Repeat after me 「ラミ☆エル」!! 作:妖怪「キラキラ様」
「
ナニ言ってんのかっちゃん!?と怒鳴る緑谷に、麗日と常闇は何事かと顔を見合わせる。
「このままだとジリ貧だろーが。心配すんな、五分は持たせ「そのセンスでゴリ押そうとするの辞めなよ!組手でも四分持たないでぶっ倒れるじゃないか!」あ゛っ!?持っとるだろうが!!」
「最後の最後でお情けで四分二秒!五分なんて途中で気絶して墜落死するだろ!」
「〜〜!!じゃあこのままアイツにヒーロー科三十九人、イイ様に弄ばれて負けて死ねってか!!」
「レーザーの嵐を止める位しか期待出来ない時点で自己犠牲にもならないね!それならルール無視で『赤』使った方が「ソレは辞めろ、ガチの意味で死人が出る」⋯⋯」
騎手と前騎馬が唐突に怒鳴り合いを始めた事で、後騎馬の麗日と常闇は理由が分からず困惑する。
確かにこのまま青山の一人勝ちを許すのはヒーロー科として非常に不味い、だがそこまでガチにならなくても、と一瞬思ってしまう。
それほど今の二人の言い合い、特に爆豪には鬼気迫るものがあった。
いや、ヒーローたるものガチの姿勢は大事だし、どう声をかけたものか、と後騎馬の二人が戸惑っていると。
「ねぇ!「「
「あ⋯⋯、ゴメン拳藤さん!!どうしたの?」
B組の委員長、拳藤が寄って来たのだが、気付かず威嚇した形になってしまった事に緑谷は慌てて謝罪した。
「あ、いや、こっちも取り込み中に急にゴメンね。それより青山を止める打開策がありそうな話に聞こえたけど」
拳藤の問いに緑谷と爆豪は視線を交わす。
「止めるには、止められると思う。それでも大甘に見積もって二分が限度「ぁあ゛!?四分だろうが!」ゲロ吐いてぶっ倒れる人の言葉は信用ならないよ!⋯だから、その間に青山君を止めるか、止める打開策を見つけるか。それを話し合おうとしたんだけど」
その前段階で既に躓いてる、と二人は再び睨み合う。
険悪な雰囲気に困惑する拳藤は後騎馬の麗日達を見るが、
「ウチらも詳しい事は全く分からん」
隣の常闇もあわせて首を振る。
どうしたものかと下を向く拳藤だが、ヒーロー科の委員長二人が揃っているのを見たからだろう、他のグループも三々五々集って来る。
気付けば、拳藤の打開策を考えている、という言葉に同調した全員が集まり、さながら野戦陣地の様な状態になっていた。
それは即ち青山達のターゲットが一箇所に集る事も意味していた為、当然の如くレーザーの波が叩きつける様に押し寄せるが、B組の塩崎茨が自身の個性『ツル』で壁を張り続け凌ぐ形で、何とかその裏で落ち着いて相談が出来ていた。
「大丈夫?塩崎さん」
「問題はありません。ただ、私のツルが紙切れか何かの様に一瞬で切り払われていくので気が抜けませんが」
少し困った様な表情でおっとり答える塩崎だが、その実彼女の瞳はこの場を絶対に死守するという決意を湛えていて、その場の者たちに確かな芯の強さを感じさせていた。
「それで、時間は無いけどもう一回教えて?爆豪なら青山を本当に抑えられるの?」
祈るように手を組み、厳かな雰囲気でツルを生み出し続ける塩崎を尻目に、拳藤はみんなの前で改めて緑谷に問う。
「抑える、と言う一点のみなら出来る!と答えるよ。レースの時も、今までもずっと見て、感じてきたから。青山君の攻撃を防ぎ、抑える事はかっちゃんになら出来るよ」
断言する緑谷にB組のみならずA組の面々も驚いて声を上げる。
だけど、と続ける緑谷に全員黙ってしまったが。
「だけど、これは特殊な個性の運用方法で、相手の個性をこっちの個性で受けた時に疲労感や不快感の形でフィードバックがあるみたいなんだ」
と、同意を得るように八百万に視線を向けた緑谷に答える様に八百万も頷く。
「ええ、わたくしも第一種目の最後の青山さんのレーザーに対抗した際、酷い疲労感を感じましたので」
今は大分落ち着きましたが、と心配そうに覗き込んでくる芦戸に大丈夫だと言うように微笑んでから答える八百万に、一同は彼女の第一種目の結果が十八位だった事を思い出す。
何やら峰田に先行させた後、ゆっくり地雷原を進んで遅れてゴールしたと思っていたが、疲労を回復させる為と言う事だったらしい。
「それ、詳しく聞くことは「話が長くなるから無理だ」!!?」
拳藤がまだ要領を得ないともう少し詳しく聞こうとしたのを爆豪が遮る。
でもと反論しようとした拳藤だが、爆豪の上に向けたに爆破の光では無く複数の球体が浮いているのを見て息を呑む。
「それ」
「触んなよ。基本的に俺の個性で出来た爆弾みてぇなモンだし、デクの言葉通りフィードバックがキツい」
思わず触りそうになった拳藤が慌てて指を引っ込める。
他のみんなも興味深げに覗き込む爆豪の掌の周囲には、光る球体、脈動する球体、半透明の球体、燃える球体が一つずつ浮かんでいた。
「詳しくは時間がねぇから省くが、これなら青山に対抗出来る」
「でもかっちゃん、学校行事とは言え本気の実戦運用は初めてだよ?正直、フィードバック込みで一分持てば良い方だと思うけど」
「じゃあテメェの一発で自爆して死傷者出すってか?「そうは言わないよ!?」」
「どのみちこのままじゃ何も良いとこ無しで負けんだぞ。なら一矢報いる位はしねえと」
負けたままで良いのかよ、出久。
そう真剣に詰められて緑谷は言葉に詰まり、俯く。
「他のみんなでは使えないのかしら、緑谷ちゃん」
「蛙吹さん」
蛙吹に話しかけられて顔を上げる緑谷の後ろで、視線を交わして自分ならばと訴える八百万に、無理だと言うように掌から球体を消した爆豪が首を振っている。
「正直、この一週間で形にした八百万さんや感覚でモノにしたかっちゃんが凄すぎるんだ。今教えて上手くいかない可能性が高いし、そもそもコントロールが難しいみたいで」
「緑谷はどうなんだ?」
「僕は「話が長くなるから後だ」かっちゃん」
蛙吹に答える緑谷に、横から切島も口を挟むが、それに答える前に爆豪が話を切る。
「ほら見ろ拳藤!こいつら情報の出し惜しみはするし結局大したプランも無いじゃないか!」
「物間!」
拳藤の後方からキザったらしい、大げさな態度で嫌味を言ってくるB組の男子生徒、物間寧人を嗜める様に拳藤が名前を呼ぶ。
「やっぱりUSJの一件で目立って調子に乗っているのさ!ボクらはボクらで対抗手段を考えるべき「思い付いたの?」⋯それは!」
「思い付いてないからみんなで考えるんだよ。案が出ないならもう少し黙ってて」
文句を続ける物間を軽くあしらって、拳藤はA組に「変に対抗心拗らせちゃって、ゴメンね」と謝った後、話を続ける。
「この話は体育祭の後でも教えて貰うことって出来る?」
拳藤の問いに緑谷は爆豪と、次いで八百万を見て、二人が考えた後に頷いたのを確認して、「大丈夫だよ」と答えた。
「なら、良い。アタシも気になるから教えて欲しかったしね」
緑谷の答えに微笑んだ後、拳藤はB組の方を見渡して、
「さあ、打開策、考えるよ!条件は爆豪が抑える一分で青山を無力化する事!騎馬戦のルール無視したら反則負けもあり得るから、そこ注意してね!」
おう!と小気味よい返事を返すB組に、緑谷は目を白黒させ、爆豪は小声で「大丈夫だと言っとろーが」と不貞腐れる。
「こんな時なんだし、みんなで協力してってのも楽しそうだしね」
物間以外は別にA組に対抗意識持ってないんだよ、とおどける様に笑う拳藤に、確かなリーダーシップを見て笑顔を浮かべる緑谷も、改めてA組に打開策を考えようと呼びかけるのだった。