Repeat after me 「ラミ☆エル」!!   作:妖怪「キラキラ様」

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僕、そんな風に思われていたのかい!?☆

 

「うし!じゃ、行くぞ!」

 

 おお!、行け!バクゴー!と切島や芦戸を始めとしたA組のみんなは盛り上がる中、爆豪は騎馬を担当している緑谷の背からスッと浮き上がる。

 

 おお、と今度はほぼ全員が感嘆の声を上げるのを背に受け、滑る様に、流れる様に、爆豪は空を飛んでいった。

 

「凄えな、爆発音聞こえなかった」

「スーッと、滑ってくみたいな飛び方だったな」

 

「さ、みんな配置について、行くよ!」

「「「おう!!!」」」

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 青山優雅は心操と発目を背に乗せたまま、寝そべる様な体勢で空中で頬杖をついて微笑んでいた。

 

ああ、胃が痛い!

「う~ん、変化が無いと、ワタシのドッ可愛いベイビー達のお披露目にインパクトが無くなるのですが」

 

 背中の二人は正反対のテンションで騒いでいる。

()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()が、明確な意思疎通が出来た事など一度も無いので、優雅は余りその辺りは気に留めていない。

 

 あの日、『無個性』だと揶揄われ、公園で一人泣いていたあの日、随分とボロボロな、真っ白に燃え尽きた様な『神様』が自分の前に現れ、

 

『天使』が、プレゼントをくれるよ

 

 と、帰り際にそう言って、送り出してくれたその日の夜、『神様』の言葉通り自分の中に『天使』様の個性が宿っていたのに気付いたのだ。

 

 パパンとママンは「天使がいるの!」と必死に訴えた、舌っ足らずで言葉足らずだった自分の言葉を理解できず、お腹から飛んだレーザーから『ネビルレーザー』と名付けてくれたけれど。

 

(僕の中には天使が居るんだよ☆パパン☆ママン☆)

 

 だって、キラキラと煌めいて、暖かく光って、僕の思いを矢に変えて、僕の恐怖を盾にして、いつでも僕を守ってくれているんだ!

 

 そんな事が出来るのも、『天使』様が僕に宿ってくれたからだ。

 それに『天使』様に会えたから、きっと僕自身もこんな素敵なサプライズを沢山体験している。

 

 今もB組の子の茨の壁の向こうで、爆豪君の()()()()()()()()()()()()()()

 

 どういう基準かはわからないが、雄英に入って初めて心がキラキラと輝いている人を見た。

 

 それは、緑谷出久という同級生の中にあって、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 あんな綺麗な輝き、生まれて初めてのサプライズだ!

 

 心の中の『天使』が、何でそんなモン見えてるんだ、と言っているような気がするが、優雅にはさっぱり届いていない。

 

 それよりも、USJの一件の後から、徐々に淡く輝き始めた爆豪君と八百万さんの方が重要だ。

 

 ヒーローになると輝くものなのだろうか。

 

 いや、そんな事は無い。

 

 今まで会ったヒーローは、あの相澤先生でさえ普通だった。

 

 やっぱり、爆豪君が、八百万さんが、正確に言えば()()()()()()()()()()()()()()()緑谷君が特別なんだ!

 

(やっぱりキミはビックリ箱だ◇緑谷君☆)

 

 本当にレースの時はビックリしたが、実は正直気にしてないのだ。

 だって、あの時の緑谷君は時折、一瞬だけ、『()使()()()()()()()()()()()()()()

 

(緑谷君にもいるのかな☆『天使』様☆)

 

 それを確かめるにも、まずはきっと、爆豪君と勝負しなきゃダメだ。

 

 爆豪君は口は悪いけど、この所ずっと緑谷君を守ろうとしている。

 

 一足飛びに直接緑谷君に『天使』様の話をしたら、きっと不貞腐れてしまうだろう。

 

 ほら、今も輝きながら、茨の壁の向こうから飛んできた。

 

キラメキは、止められないね☆

 

 優雅は微笑み、レーザーの照射を止めて、近付いてくる爆豪を待ち構える事にした。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

行くぞ青山ァ!!

 

待ってたよ◇爆豪君☆

 

 塩崎の作り上げたツルの壁の向こうから飛び出した爆豪は、威勢よく叫びながら青山の方へ一直線に突き進み、しかしながら猛スピードですれ違っていく。

 

 彼を背後から狙い撃とうとレーザーを放とうとした青山は唐突に左右から震えた空気に思い切り体を揺さぶられ、心操と発目が振り落とされない様に支える。

 

 爆発音も光も見えなかったと青山が爆豪をみると、爆豪の両手の、手首の辺りが歪んで見える。

グルグルと回転する何かが彼に推進力を与えているのだ。

 

(爆豪君のサプライズ☆)

 

 見れば、爆豪の中の輝きは強まり、彼の掌から光がチラチラと零れ落ちている。

 

 楽しくなってきた青山は心持ち強めにレーザーの雨を爆豪の元に降らせた。

 

「ぐっ!?」

 

 当たってもいないのに爆豪が呻く。

レーザーの全てが、唐突に爆豪と青山の間で十字に輝く光の剣に遮られ、消失したのだ。

 

(思ったよりフィードバックがデケェ!)

(爆豪君のATフィールドだね☆)

 

 今まで誰も防く事が出来なかった青山のレーザーを、爆豪が明確に防いで見せた事で観客からも選手達からも歓声が上がる。

 

「爆豪やったぞ!青山のレーザーかき消してる!」

 

『いやぁ、逃げ回るだけで終わるかと思いきや!雄英騎士団特攻隊長、爆豪の華麗なる反撃開始だぁ!!』

なんだその設定(なんだ、あれが『爆破』か?)』

 

 歓声が響く中、続けざまに放たれるレーザーの波は、しかしながら次々に爆豪の周囲で輝く『光の剣』に切り裂かれて彼まで届かない。

 

 嬉しそうに笑みを深める青山に対し、爆豪は周囲に気付かれない様に吐き気と不快感を飲み込んで抑え込み、一層掌から光る球体を放出し、青山のレーザーへ誘爆させていく。

 

(ッ!!クソが!!背筋を這い上がって抑え込んで来る様に、青山のレーザーが当たるたび変な『圧力』が押し潰そうとする様なこの感じ!!デクの時は正面から正々堂々殴り合う感じだった!だがコイツは、()()()()()()()()()()()()()()!!)

 

 『個性』の性能差の話では無く、予想した『個性因子の活性化』。おそらくは『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、という技術において、()()()()()()()()()()()()()()()

 

 拙いのだろう自分の能力ですら分かる。

この状態だからこそ分かる、圧倒的な『心』の力でこちらを押し潰そうとして来るこの力の差に、爆豪は怖気を感じながら、それを自身が受け入れる事を絶対に許さない。

 

(この程度で根を上げて、ヒーローになんざなれるかよ!!)

 

 一瞬。

 

 ほんの一瞬。

 

 青山の目に、爆豪の輝きが『()()』見えて。

 

 爆豪の周囲、こちらとを隔てる様に、()()()()()()()()()()が見えた気がして。

 

 次の瞬間、青山達の周囲に巨大なオブジェが次々と生え始めた。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「モコモコ⋯モコモコ⋯。フワフワ⋯プカプカ⋯」

「ん」「ん」「ん」「ん」

 

 漫画の吹き出しの様な頭部を持つ男子生徒、吹出漫我が個性『コミック』で柔らかい擬音を次々実体化させ、その後ろから言葉少なな女子生徒、小大唯が個性『サイズ』で擬音に触れ巨大化させていく。

 

「皆さん!足場が出来次第上がって下さい!」

行きますぞぉ!

 

 個性『ツインインパクト』の庄田二連撃の声を合図に先陣を切った個性『ビースト』宍田獣郎太と騎手である個性『鱗』の鱗飛竜に続いて、A組、B組の各騎馬達が次々に巨大な立体オノマトペを駆け上がっていく。

 

「足場、不安定だから注意して!」

 

 拳藤の呼びかけに応!と勇ましく返事を返しオノマトペの頂上付近、青山達のいる高さまで近付いてくる彼らの足場を崩そうとする青山のレーザーは、彼の腹回りまでフヨフヨと到達し始めた爆豪の光球による誘爆で相殺され、周囲の破壊を許さない。

 

「おや、ヒーロー科の皆さんも本気のご様子!ここはワタシのドッ可愛いベイビーが攻撃にも使える所をお披露目するチャンスです!」

 

 ここでイキイキとマイクを手に取る発目を牽制しようと爆豪が動くが、青山がバッと広げた両手からレーザーを放った事で回避行動を余儀なくされる。

 

「「「!?」」」

(チッ!!やっぱりどっからでもレーザー撃てるんか!?)

 

 臍からのレーザーだけを警戒すれば良いわけでは無かったと、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()とは言え衝撃が隠せない各騎馬の下に、発目が次々と小さな何かを投げてくる。

 

 次の瞬間。

 

こちらドッ可愛いベイビーNo.三十四、痴漢撃退ボール『バンジーガム』でございます!投げつけたピンポン玉程の小さなボールは人間工学、行動心理学その他様々なデータから痴漢、犯罪者の精神状態、発汗、息遣い等の肉体状態を判別し、危険性のあると判断された対象の元で急激に巨大化、弾き飛ばします!このボールは急激な膨張に耐えるガムの様な伸縮性、相手に怪我を与えぬ様に、されそ程良い衝撃で弾き飛ばせる様に計算され尽くしたゴムの様な弾力性を兼ね備えた一品となっております!

 

「うわっ!!」

「キャッ!?」

「何ですとぉっ!?」

 

 発目の言葉に答える様に一斉に巨大化したボールが続けざまに各騎馬を吹き飛ばしていく。

さすがにそのまま落ちて地面に叩きつけられれば危険だが、既に競技場の地面は塩崎の『ツル』でそのほとんどが覆われ見えなくなっている為、クッション代わりとなったツルに助けられた後、再びみんながオノマトペのオブジェを駆け上がっていく。

 

 それを阻止する為青山は両手からのレーザーでオノマトペを薙ぎ払っていくが、吹出と小大も負けじと次々巨大オノマトペを生成していく。

 

『お〜!!最初はどうなる事かと思ったが、全員エンジン掛かって来たかァ!!』

まあ、この程度で音を上げるなら除籍モノだったがな

『コワ』

 

(((((怖っ!?)))))

 

 唐突な解説、相澤の発言に一斉に固まる生徒達というハプニングもあったが、開始当初の一方的な試合運びとは一転、互いに全力の殴り合いの様相を呈していた。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「かっちゃん!みんな!」

「大丈夫かな、みんな」

「ダークシャドウ、いつでも反応出来るようにしておけ!」『アイヨッ!』

 

 巨大オノマトペの頂上付近でやり合う彼らを、緑谷達は地上から見上げていた。

隣で上空からの落下者のサポートに残った峰田達の補助もそうだが、主目的は爆豪の騎馬を維持する事と、戦闘不能になった爆豪を速やかに避難させる為の待機である。

 

 反対側には轟の騎馬役の飯田達も似たような理由で残っていて、現場指揮を拳藤に一任する形になっている事も相まって、緑谷は理解しつつも歯痒い思いをしていた。

 

「問題は無いさ、緑谷君」

 

 そわそわと落ち着かない緑谷を見かねてか、飯田が話しかけてくれる。

 

「飯田君」

「正直、ここまでいいとこ無しな僕としても悔しいとは思う。だけど、青山君の砲撃能力がいかに強大でも、我々全員が役目を果たせば必ず勝利出来る!」

 

 だから、僕達も役目を果たせる様に今は待機だ!と告げる飯田に、緑谷も考えて、頷く。

 

「そうだね」

 

 そう答えて再び上空を見やった緑谷の視線の先に、再び青山へ攻撃を行う爆豪の姿が映った。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

青山ァ!テメェ、ブラフたぁいい度胸じゃネェか!!

 

 先ほどより顔色を悪くした爆豪が、調子の悪さなどものともせずに吶喊して来る。

 

 掌から離れる光球は十字状の光の剣となって青山のレーザーを相殺し、半透明の向こう側が歪んで見える球体は、内部に圧縮された空気を一瞬で膨張、爆発させる事で周囲の空気を激しく揺らし、青山達の動きを阻害しその場に釘付けにする。

 

「爆豪君、調子悪そうだけど「気にスンナ!キラキラ様が!」今更だけどソレ、僕のあだ名かい?☆

 

 レーザーと爆破の撃ち合いの合間にも周囲から個性やら消し飛ばしたオノマトペの破片やらが飛んで来る中、青山は勝負の土台に上がっているのは目の前の爆豪だけだとばかりに、おざなりにレーザーで周囲を吹き飛ばしつつ爆豪だけを注視し言葉を投げかける。

 

あったりめーだろうが!厄除け妖怪『キラキラ様』が!!

 

待って!?僕、そんな風に思われていたのかい!?☆

 

 割ととんでもないあだ名に、割と本気で固まって青山がツッコミを返す、と。

 

行け!

 

「「「うぉおおおおォッ!!」」」

 

「え」「エ」「え◇」

 

 爆豪と向き合っていた方角とは真反対、巨大オノマトペやツルの海の死角から飛び出してきた轟が、青山達の上空に到達すると同時に腕を振りかぶって思い切り投げる様に振り下ろす。

彼のうでに巻き付けられたテープが途中で千切れ、遠心力により勢いの付いた上鳴達四人が一塊になって青山達にぶつかる。

 

あふん☆

 

 衝撃で変な声の出た青山毎自分達も巻き込む様に瀬呂がテープで全員をグルグル巻きにする。

青山が背中を振り返ると前騎馬の切島が体と足で器用に心操を押し倒し、後騎馬の尾白が尻尾で発目が余計なサポートアイテムを扱えない様両腕を拘束している。

 

 そして切島に肩車で乗ったまま倒れ込んだ様な変則的な体勢で青山の首に抱き着いて不敵に笑う上鳴。

 

(アレ、こんな大勢を支える程僕力強く無い⋯⋯麗日さんの『無重力(ゼログラビティ)』だネ!☆)

 

 思った以上に軽い彼らの秘密に思い当たる青山に、

 

「降参しろ青山!とついでに心操!降参しねえと放電するぜ!

 

 と、上鳴はなかなかに強烈な脅迫をして来た。

 

「良いのかい、みんな巻き込まれるけど☆」

 

「「「問題無いでーす!!」」」

 

「いやあ、感電が怖くねえかって言われりゃウソになっけど、隙を付くにはコレくらい突拍子も無い方が良いだろ?」

「俺らじゃなかなか良い案が浮かばなくてさあ」

「上鳴が自爆覚悟で考えて、面白いかなって」

 

 切島、瀬呂、尾白が苦笑しながら順に答える。

 

「俺の電撃、何かに使えないかってずっと思っててさあ。この状態なら『騎馬での体当たり』だろうし、どう見ても今年のヒーロー科一年、遠距離最強のお前に一泡吹かせれるってなったら、カッコよくね?ってさ!」

 

 提案したらみんな乗り気になんの、笑ったわ!と笑う上鳴を見つめて、やがてニンマリ笑った青山は、

 

「心操君☆」

 

はい!降参、降参!降参します!

 

 声を掛けた途端に助かったとばかりに降参を連呼する心操を見て思わず噴き出し、声を上げて笑うのだった。

 

第二種目終了!勝者、雄英騎士団(仮)

 

(((((その設定、まだ有効だったんだ)))))

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