Repeat after me 「ラミ☆エル」!! 作:妖怪「キラキラ様」
「全く、『報連相』は社会人の基本だろうにさ」
「面目ないです」
元気になったという事で、改めて青山に口止めをしつつ爆豪達を救護所から追い出したリカバリーガールは、対面のオールマイトの不手際を諌めていた。
「まあ、私もそこまで詳しく聞いちゃいない立場だからね。アンタのサイドキックや師匠に話して対策ついでに叱られといで」
「ング」
「ングじゃ無いんだよ大事な話だろうに」
「そ、その通りですリカバリーガール⋯」
リカバリーガールの言葉に項垂れスマホを取り出すオールマイトだが、「まずサーに」「いやグラントリノが先」「いやでも」「ええい!震えるな、足!」と足をガクガク震わせながら一向に連絡出来ずにいた。
その背中を半眼で見やって、リカバリーガールは深く溜息を付く。
「⋯アンタ、どんだけ怖がってるんだい」
☆☆☆
「『個性因子活性化』の使用中止、ですか?」
救護所を追い出された三人は、昼のレクレーションの参加予定も無かった為に、昼食を取るべく立ち寄った食堂で、たまたま居合わせたA組の女子一同と相席していた。
「うん、どうもかっちゃんの負担、思ったより大きかったらしくて」
「え、大丈夫なの爆豪君!」
「問題はねぇ、落ち着いた」
「『天使』様の力だね☆」
「「「⋯⋯」」」
一応、大丈夫との本人の返答はあるものの、青山の言葉がノイズになって全員どう返していいか分からなくなる。
「⋯⋯一応、『個性因子活性化』に関しては、予想通り
「凄い、爆豪が頑張って説明してくれてるのに更に訳わかんなくなった」
「確認は追々だが、とりあえず何かヤバそうだからしばらく使用は自重しろ」
「わかった」
「今度はわかりやすい」
「爆豪くんがわからんって相当やね」
芦戸に葉隠、麗日と、女子が集まれば実に賑々しくなる。
緑谷は平然としながらその実(女子に囲まれて話してる〜!?)と内心動揺してブルブル震えていた。
ちなみにわかりやすく緊張しているので大方の女子にはバレている。
(緑谷震えてる。笑うからヤメて)
(初だウブ)
(緑谷緊張し過ぎワラエル)
(緑谷さんそんなに動揺されて。爆豪さんの事大変でしたのね)
(緑谷ちゃん、女の子とお話した事が少ないのかしら)
(デクくんめっちゃ震えとる)
「で、トーナメントはどうなった?」
八百万に期せずして報告すべき事を伝えられたので、改めて爆豪は体育祭の状況について尋ねる。
それに対し彼女達からの報告は、多少議論を重ねたものの最終的に轟を出場させようという意見で統一されたらしく、A組は轟、芦戸、飯田、八百万、上鳴、切島、瀬呂、尾白が出場となったらしい。
翻ってB組はと言うと、かなりの紆余曲折が途中であったらしいがひとまず主犯の物間をねじ伏せて、拳藤、塩崎、黒色、鎌切、小大、凡戸、吹出、庄田というメンバーで決定したそうだ。
「あたりめーだが、半分以上知らねぇなB組」
「ねー、あんまし交流出来てないもんねー」
「潔くジャンケンしてたからね☆」
「そういえば結果は運なのに、塩崎さんトーナメント枠に入ったんだね」
「あ、塩崎さんは途中で貢献度高くない?って、推薦されとったよ」
「ありがとう麗日さん、そうなんだ」
(お、緑谷が緊張してない。これは、アレか?)
(おお、早くもアレの季節!?)
(まだボヤにもなっとらんわ。焚き付けんのは悪手だ)
(((!!?)))
(爆豪ちゃん、こういう話も対応出来るのね)
(いやこれは過保豪勝己でしょ)
(か、ほ、ご、う!?)
(不味い!耳郎さんがツボに入った!!)
唐突にテーブルに突っ伏しプルプル震える耳郎に動揺する緑谷だが、「ちょっと面白い話をしてて噴き出しただけ」とさらっと言いくるめられて落ち着く。
爆豪は(ダレが過保護だ!)とキレると更にややこしいので黙ってランチラッシュ謹製カレーライス(四辛)をかきこんでいた。
☆☆☆
「あ、ここにい「あー!!?オメーら何女子とイチャついてんだコラァ!!」ぉおぅ」
「峰田君!?別にイチャついてなんk「イチャついてたろーがよぅ!!何だ!?病み上がりの爆豪使って母性本能擽ろうって魂胆かよ!」ぇえ」
「オイラ達に隠れて何しようとしてたんですか?ナニしようとしt「うるせーぞエロブドウ!刈り尽くされたくなかったらダマレ」」
楽しい昼食会(?)も一段落した頃、彼らの元に上鳴と峰田はやって来た。
目的は言わずもがな原作通り、ではあったのだが、ここで予想外の委員長緑谷、自由人青山、ツンギレ爆豪という伏兵の存在である。
早々に作戦の失敗を悟った上鳴は既に通りすがりに話しかける無害な同級生ムーブにシフトしているが、悲しいかな彼が相棒に選んでしまったのはいつでもリビドー一直線、A組きってのエロブドウ、峰田実であった。
本能の赴くまま、見ようによっては男三女六の合コンの様*1なセッティングでの食事会風景に、峰田は血涙を垂れ流しながら*2男子三人に言い寄っていく。
「なんだよ奥手の童貞野郎だと見逃してたらうまい事やってよお緑谷!」
「待って峰田君、女子!女子の前でその!そういう⋯」
「カマトトぶってんじゃねぇ!こんな女子全員侍らせてよぉ!合コンかよ!ハーレムかよ!お前は爆豪とイチャコラしてればイイんだよ一線越えちまえよそしたらその分オイラみたいなモテねぇ奴の取り分が増えるだろうがよ〜!!」
「流れでトンデモねぇ事言ってんな峰田!?」
いつもの峰田に「うへぇ」と言いたげに辟易する女子一同に流し目の青山、巻き添え食って爆破されたくないのでツッコミにまわる上鳴に、そろそろ一発本当に爆破しないとダメだなと碌でもない発言の標的になった爆豪だったが。
誰もそれ以上反応出来ずに口を噤む。
「峰田君」
「ひょ!?」
ゆらり立ち上がった緑谷がおもむろに峰田の顎を掴む。
「僕は今とっても楽しいんだよ。かっちゃんとこんな風に学校生活送れるなんて夢みたいでさあ。なのに僕は仲良くかっちゃんと会話しただけでありもしない疑いをかけられるの?かっちゃんこれでも意外と繊細なんだこれでまた仲が拗れたら今度こそ修復出来なくなるかもしれないだろう?僕も男だし一応モテたいって漠然とはわかるけど麗日さん達喜んでないしさアプローチっていうのが間違ってると思うんだそういうのをどうこう言うほど僕は大人じゃないから峰田君の不満とかはわかってあげられなくてゴメンねって思うけど前提として人の迷惑になる事をしちゃいけませんってヒーロー以前に人として大事な事だと思うという辺りを踏まえて、さぁ?」
「峰田君」
「かっちゃんと僕がどうなると」
「君にメリットがあるんだろう」
「その場合」
「僕に降りかかったデメリットは」
「当然」
「補填」
「出来るんだよなぁ?」
「
「「「緑谷ぁ!?」」」
「デク!?」
「デクくん!?」
あからさまに何かキャラが違う、というか言うなれば爆豪味の増した緑谷にその場の全員が恐れ慄く。
その衝撃たるやいつもいの一番にツッコミに入るだろう爆豪が口をパクパクさせるだけで一拍完全に出遅れただけでも察せられるだろう。
真っ先に我に返り緑谷を押さえにかかった上鳴に続いて、やっと爆豪が手を伸ばし、更に麗日が必死に緑谷を宥めにかかる。
「お、お、落ち着こう!?緑谷!な!?」
「デク!マテ!エロブドウ如きに手を汚すな!?」
「デクくんアカンよ!早まったらアカン!?」
「別に証拠さえ残らなければブドウは植えれば木が生るだけ」
「緑谷ぁ!?」「デクゥ!?」「デクくんんん!?」
☆☆☆
「皆々様におかれましては真に申し訳アリマセンデシタ!!!」
見事なまでの土下座が披露されている。
「緑谷ちゃん、気持ちはよく分かるわ。峰田ちゃんは度が過ぎる所があるもの。でも、不快な思いをして嫌な気分になった上で、ちゃんと自分の事だけじゃなく私達の事も忘れずに注意してくれた事は嬉しいの。だけど、実力行使はイケナイわ」
その傍らで蛙吹は優しい声で緑谷を窘めている。
「ご、ゴメンナサイ」
我に返ったのか、彼女の正面には顔を真っ赤に染めて俯く緑谷が座っている。
「なんか、ゴメン」
「どうせ良からぬ事を企んどったんだろーが、今はいい。⋯⋯デクが落ち着いてヨカッタ」
「ば、爆豪くん、ドンマイ」
傍の席で、申し訳無さそうに上鳴が頭を下げ、爆豪は力尽きた様にテーブルに突っ伏し、麗日はそんな爆豪をどうにか慰めようとオロオロしていた。
「⋯期せずして、峰田さんの折檻、達成されましたわね」
「⋯⋯ああ、レースのアレ?」
「はい、一応有効な戦術となったので強くは言えなかったのですが」
こういうのを、因果は巡ると言うのでしょうか?
そんな彼らを遠巻きにして、八百万以下残りの女子達は珍しい緑谷のガチギレに何とも言えない様子で、その後の惨状を眺めていた。
こんな空気の中、もうすぐ体育祭最終種目『ガチトーナメント』は始まるのである。
そして、誰もまだ許す気は無いようで、峰田は未だに一顧だにされず放置されるのであった。
(んふ◇地獄の様な空気♧)
(アレだけの怒りを爆発させる程デクを追い詰める前に反省して良かった。デクがヴィランになるとか、死んでも死にきれねぇ)
(ああいうガチギレの時の本音が『麗日さん達』ねぇ。いつ煙を立てに行こうか)