Repeat after me 「ラミ☆エル」!! 作:妖怪「キラキラ様」
「今日のヒーロー情報学はコードネーム、ヒーロー名の考案だ」
「「「「「夢膨らむヤツキターーー!!」」」」」
相澤の言葉に一斉に騒ぎ出すA組一同。
プロヒーローからのドラフト指名、その集計結果が黒板に映し出される中、今後のヒーロー活動に繋がる説明を相澤から受ける間も彼らのざわめきは中々収まらなかった。
「優勝した轟が一番だけど、爆豪と青山も多いな」
「むしろ轟ちゃんは少ない位じゃないかしら」
「あのストレート勝ちじゃ、逆に指名に迷ったのかもな」
彼らの言葉通り、A組での指名トップ勢は優勝した轟が3000弱、爆豪と青山がそれぞれ2000程の指名を受けていた。
「あとはそこそこ、あ、俺200ある」
「俺もだ」
「俺100切ってる⋯、格差社会⋯」
「瞬殺か活躍したかの差か。世知辛ぇ⋯」
そう口々に零すのは上鳴達騎馬戦でチームを組んだ四人だ。
二回戦進出の切島、一回戦敗退でも評価の高かった尾白と、双方一回戦を瞬殺されて敗退した上鳴、瀬呂できっちり明暗の別れる指名件数となった。
「アタシは100そこそこだけど飯田の1000は凄いね〜」
「飯田くん凄い張り切ってたもんね!」
二回戦進出とはいえ騎馬戦までは余り目立たずにいた芦戸は150弱といった指名数だが、準決勝進出で大きくアピール出来た飯田への指名は1000件を越えるもので、飯田自身もほっと胸を撫で下ろしていた。
「ああ、正直、麗日君の意気込みや緑谷君の頑張りに比べ、なんと自分の不甲斐無い事かと友人として情けないばかりだったが、なんとか結果を残せてホッとしているよ」
「いやいやウチなんて結局何も出来んかったし」
「いや、体育祭までの努力は尊敬すべきと思ったし、まあ、体育祭本番の、青山君のアレは、致し方無い側面も多分にあると思うが」
「呼んだ?☆」
喜ぶ自分と反比例する様に落ち込む麗日を励まそうと声をかける飯田だが、そもそも予測不能な自由人青山の干渉による予期せぬ脱線を起こした体育祭の惨状を思い出して言葉に詰まる。
他にも一回戦敗退とは言えレースでのアピールに成功した八百万が200弱、騎馬戦以降目立つ事なくフェードアウトした『マスコット』緑谷が100件程とそこそこの指名を獲得出来ていた。
ちなみに八百万に引っ付いてレースを上位でゴールした峰田は、やはり絵面が悪かったのか性格が出たのか、指名はされずに涙をのんでいた。
「この結果を踏まえ、指名の有無に関係なく職場体験に行ってもらう」
そんな教室内のざわめきもなんのその、相澤は淡々と職場体験について説明を続け、
「適当に付けるとイタい目見るよ!」
「「「ミッドナイト!!」」」
『十八禁ヒーロー』ミッドナイトの登場と共に、いよいよコードネーム決めの時間が始まったのだった。
☆☆☆
「はい☆マドモアゼルミッドナイト☆」
「はい青山君早いわね」
全員の前でヒーロー名の発表と聞いて生徒達に動揺が走る中、平然と優雅にピンと指を伸ばして手を上げた青山は、ヒーロー名の書かれたボード片手に教壇に上がる。
両手で堂々と掲げる様に見せたボードに書かれたヒーロー名は、
「
((((だろうね))))
別に予想していた訳では無かったが、ボードを見た瞬間、教室内の誰もが腑に落ちた表情を浮かべる。
元々決め技のゴン太レーザーの発射時に叫んでいたのだ。
言われてみれば、と誰しも納得した様に教壇に立ちキラキラとした表情でこちらを見渡す彼を眺める。
「『ラミエル』、天使の名前ね、良いじゃな「ノン☆」え?」
「マドモアゼル、『ラミ☆エル』さ◇ミとエの間を溜めて、星を意識するのさ☆」
感想を遮られ困惑するミッドナイトにそう返した青山は改めてクラスメイト達に顔を向ける。
「さぁみんな一緒に!☆『ラミ☆エル』!!☆」
「「「「ぇ」」」」
「『ラミ☆エル』!!☆」
「「「「⋯」」」」
「『ラミ☆エル』!!☆」
「「「「ら、らみ、える⋯」」」」
「Repeat after me!☆『ラミ☆エル』!!☆」
「「「「ら、『ラミ☆エル』」」」」
「『ラミ☆エル』!!☆」
「「「「『ラミ☆エル』!」」」」
「『ラミ☆エル』!!☆」
「「「「『ラミ☆エル』!!」」」」
「「「「「『ラミ☆エル』!!!」」」」☆」
「メルスィー☆」
((((何だコレ⋯))))
延々と繰り返される『ラミ☆エル』コールに(あ、これ応えないとずっと終わらないヤツだ)と内心で団結したA組一同は死んだ魚の目でヤケクソ気味に青山に答えた結果、早々に言いようのない疲労感に苛まれていた*1*2。
だが続いて発表した蛙吹の『梅雨入りヒーロー・
「梅雨ちゃん☆君が僕のライバルだったんだね☆」
いつもの肘立てポーズのまま蛙吹の方を向いて何やら言い出した青山に、
「どうしましょう。青山ちゃんがライバルだなんて強敵だわ」
と軽く大人の対応であしらう蛙吹の姿に更に株が上がり、後に対青山として爆豪すら頼るA組内で一目置かれるポジションとなるのだが、ここでは割愛する。
さて、切島の『
「『爆殺卿』」
「そういうのはちょっとね」
当然の様に却下される爆豪に、(あれ、爆豪、変わったん、だよね?)とクラスメイトは困惑する。
「かっちゃん、昔からネーミングセンスは壊滅的だから」
「あ゛!?んだとデク!別に問題ねーだろーが!!」
「イヤ、ダメよコレ」
いつもの如くの幼馴染みに、ミッドナイトの指摘まで加わって、爆豪は不満タラタラに歯ぎしりする。
「爆豪、『爆発さん太郎』はどーよ!」
「『ボマー』!」
「もう、『かっちゃん』がヒーローネームで良くね?」
「?『ツンギレかっちゃん』でいいんじゃねぇのか?」
((轟のツッコミ!?いやボケ!?))
「テメェら⋯!!」
ネーミングセンスが悪いだけか、と安心したクラスメイトから野次が飛び、爆豪は不満からかだんだん目が釣り上がっていく。
「(そろそろ止めないとぶちギレるよね)かっちゃ」
「もうどうせならさ、『ダイナマイト』とかで良くね?んで緑谷を『オールライト』にしてオサナナコンビのニコイチで組み替えれば『オールマイト』!」
なんつって、と笑いながら告げた上鳴に、止めようとしていた緑谷と切れようとしていた爆豪が固まる。
「「え」」
「⋯え?」
最初は冗談混じりに笑っていた他のクラスメイト達も、止まった幼馴染みの二人に困惑し始める、と。
「待ってイヤかっちゃんと対になるヒーロー名とか盲点だったアレでもコレ更に『カツデク』とか騒がれて収拾付かなくなるヤツでも昔お母さんとヒーローごっこしてた頃『オールライト』とか考えてたよ僕英語の意味もわかってなかったのに懐かしいねとか思い出に耽ってる場合じゃないぞしっかりしろ」
「まあ『ダイナマイト』ってのはイメージも悪くねぇがちょっとマテ出久とニコイチのヒーローネームはマズくねぇか何だかんだ許されたみてぇな雰囲気あるがいつまでも一緒とかソレこそコイツに不満が出た時一生ついて回る汚点みたいになるだろうがなんでちょっと喜んだ俺」
「⋯⋯⋯」
「「イヤイヤイヤ」」
((((ブツブツ怖))))
顎に手をやりブツブツする緑谷、はいつもの事だが、まさかの爆豪が緑谷そっくりの姿勢でブツブツし始めて(さすが幼馴染み)と納得しつつも周囲は戦慄する。
一瞬見つめ合って、イヤイヤとか首を振って悩んでる場合ではない。
(ちょっと上鳴!?どうすんの!?)
(俺ぇ!?イヤ、ちょっと冗談のつもりだったんだけど!?)
(このまま決まりそうな勢い)
(ニコイチヒーローかぁ)
(もっとコイツらの噂が加速するな)
その後たっぷり五分は鳴り響いたブツブツの二重奏が終わり。
教壇に立ち照れたように苦笑する緑谷と、無理やり一緒に連れて来られる形で不満気にキレた目で後ろに立つ爆豪のヒーロー名は、『スマイルヒーロー・オールライト』と『爆殺裂ヒーロー・ダイナマイト』となった。
こうしてコードネームの決まった生徒達は数日後、各々の選んだヒーローの元で職場体験を始めるのだった。
☆☆☆
「ようこそ、我が事務所へ」
「「「シュア!ベストジーニスト!!」」」
「ウィ☆宜しくね☆」
(来る場所間違えたぁっ!!?)