Repeat after me 「ラミ☆エル」!! 作:妖怪「キラキラ様」
さて、本日から本格的な高校生活のスタートである。
で、あるが、現在授業の為ヒーローコスチュームにお着替え中の青山優雅くん。
いつもと変わらぬ笑顔を浮かべてはいるが、内心絶賛不満気である。
何なら油断すれば頬の一つ二つ膨らませたい位には不満なのだが、一応その不穏な内心は周囲にバレてはいない。
コスチュームに不満があるわけでは、ない。
(オールマイトの挨拶、ヨカッタよね◇)
原作読者はご存知「普通にドアから」来たアレである。
ちょっと自分の行動と被った上に、勢い、認知度、反応、姿勢⋯⋯。
自分より高いクオリティでお出しされた挨拶とポーズに、自身の不甲斐なさを感じて燻っているだけだった*1。
☆☆☆
「可愛らしいね◇ウサギさんかい?☆」
「ほぇ?」
コスチュームに着替えて少し後、眼前には生徒達に一斉に話し掛けられる聖徳太⋯⋯オールマイトの姿。
そこからやや離れた横手には、先日の『個性把握テスト』の後、普通に入試の話をして別れたきりの接点の無い、緑色のウサギ姿と見紛うコスチュームの緑谷出久が丸顔の女子生徒、麗日お茶子とコスチューム談義をしている、ようなのでお邪魔してみた優雅である。
「あ、イヤ、これはオールマイトリスペクトというか、母の手作りd「ママンのかい!?」へぁッ!?」
流石にコスチュームの話だろうと当たりをつけた緑谷の返答だったが、
「ああ◇ママンの愛情の籠もったプレゼントなんだね☆素敵じゃないか☆」
僕もパパンとママンからのプレゼントは大切にしているヨ☆と、両手を胸元に当てていたかと思えば羽根を広げる様に腕を大きく掲げて大回転。
会話の途中だったが圧が凄い、緑谷出久と麗日お茶子は一歩後ずさりながら内心を一致させた。
「僕のスーツは天使様がモチーフさ☆」
シームレスに自身のコスチューム紹介に移る優雅の言葉に、緑谷は視線を彼のコスチュームに走らせ、視界をよぎったオールマイトの姿と思わず見比べる。
「〜れがこうで、それからあとは、マントに天使の羽根の刺繍が◇ほら☆」
全身光沢のある夜空のような深い青のグラデーション、要所要所を守るプロテクターが内蔵されたタイツ状のスーツにシンプルな白、いや、プラチナカラー?のベルト、そして彼が最後に解説してくれた*2*3中心に小さな金の羽根の刺繍の付いた白いマント。
自慢げにクルリと回って背中を向ける優雅とその向こうに見えるオールマイトのスーツのシルエットを見比べて、
(尖った肩のプロテクターの有無と、あとは差し色を加えたらだいたい今の⋯いや、ヤングエイジのコスチューム⋯⋯?、青山君もオールマイトリスペクトかな?)
天使っつってんだろがい。
本人に聞かれたらぶん殴られそうなオールマイトフリークの戯言は、内心に留まったのが互いにとって良かったのかどうなのか。
こうして授業前のスーツ談義は、緑谷の一方的なシンパシーと優雅の自己満足な紹介で幕を閉じた。
ちなみに。
『天使』のくだりを緑谷がオールマイトと共有出来ていたなら、スーツの色に個性に、何やら思い当たった愉快な表情のオールマイト、という激レアな光景を心のフィルムに激写出来ていたりする。
とは言え、そもそも情報共有した場合「青山君は隠れオールマイトファンみたいです!!」という、何とも
☆☆☆
時間が経って『戦闘訓練』。
初戦の『ヒーロー緑谷&麗日ペア VS ヴィラン爆豪&飯田ペア』戦が原作通り大盛り上がりの中終了し、更に数試合終えた後。
『ヒーロー轟&常闇ペア VS ヴィラン青山&尾白ペア』
青山優雅、出陣である。
☆☆☆
(な、何が起こったんだ!?)
開始早々吹き付けてくる冷気に、思わず顔を庇う様に腕で視界を塞いでしまった、武術の道着の様なコスチュームに身を包んだ巨大な尻尾を持つ男子生徒、尾白猿夫は周囲の状況に動揺を隠せないでいた。
冷気はおそらく轟の『個性』だろう。
自分達のいるビルの一室、防衛対象のハリボテの核ミサイルも含めて、周囲一面が氷漬けになっている。
いや、正確に言えば『青山の背後を除いた周囲一面』だ。
立ち位置的に偶然青山の背後に立っていた猿夫は、ひとしきり強烈な冷気が襲って来た後、自分と青山本人を含めた周囲数メートルに一切の被害が及んでいない事に気付く。
「青山、何をやったんだ?」
「
「⋯⋯は?」
「僕のキラメキが冷気を拒んだのかも、ネ☆」などと本人は嘯くが、訳がわからない。
「いやいや、わかんないって、冗談だろ?」
「ううん、ホントにわかんない☆寒いって思ってて、気付いたらこうなってた☆」
(はぐらかされた⋯⋯、訳じゃ、無いんだよな?)
「僕って氷に強かったんだネ☆」と答える青山は平然と本心を語っている様に見える。
イヤ、よくよく見れば目が泳いでいる。
若干、冷や汗も見える、気がする。
(嘘?⋯⋯いや動揺してるだけだ、これ)
普段の二割増しでカクカク動く青山は、何だか思ったより普通に動揺しているらしい。
まあ、わからないなら追求しようが無いし、悠長に話している状況でもない、と猿夫が戦闘に意識を切り替えたところで。
「ア」「「あ」」
床からひょっこり顔を出した常闇踏陰の個性『ダークシャドウ』と目が合った。
☆☆☆
『ダカラヤメヨウッテイッタダロ、フミカゲ〜!!』
「落ち着けダークシャドウ!」
『ヤダヨ、アイツノヒカリ、コワイモン!!』
即座に当たりをつけた青山の臍の辺りから照射されたレーザーは、床をぶち抜き階下に潜んでいた轟、常闇両名に襲いかかっていた。
最初は氷の壁で、と防御を選択しかけた焦凍だが、一瞬で消し飛ぶ氷壁に顔色を変え、現在全力で氷を放出して青山のレーザーに抗っている。
そう、
最初は青山の臍の辺りを中心にバスケットボール大の直径だった光点が、今や廊下全体を埋め尽くさんばかりの巨大な光の波となっている。
(冗談じゃねえ、なんだこのデカさ!!)
その光の波だが、光ならば氷の表面で乱反射したり、熱を伴うなら溶かしてくるだろう。
なんで削岩機の如くゴリゴリ削ってくるんだ。
自身の『個性』が抵抗もそこそこに消し飛んでいく。
実際本物のレーザーがこの規模で発射されれば今頃自分達は消し炭、良くて両断されると感覚的に理解している個性『半冷半燃』の特待生、轟焦凍は、このレーザーがハンマーで殴る様な、物理攻撃的な状態で撃ち込まれていると解釈していた。
だからこそ、今の自分でも抑え込めている。
(そんだけ加減してこの威力ってなんだよ!!)
そう、わざわざ
(非常に、ひっじょうに腹立たしいが)父であるプロヒーロー『エンデヴァー』に鍛え上げられた自分ならば、並大抵の相手は歯牙にもかけないだろうという自負があった(あの男のおかげなどとは死んでも思わないが)
その自分が防戦一方、下手に逃げればレーザーに
思い出した様にパートナーの常闇を見れば、隙をついて接近したのだろう、尾白がやけに消極的な『ダークシャドウ』毎、烏の様な頭部を持つ男子生徒、常闇踏陰に攻撃を加えている。
青山の隙を突かれない様、牽制も兼ねてだろう、青山のレーザーの光を背に『ダークシャドウ』が勢い付かない様な立ち回りも上手く、尾白は的確に常闇を抑え込んでいく。
自分も常闇も、互いをフォローする余裕が無い。
簡単に終わるだろうと高を括っていた。
『個性把握テスト』を
『ダークシャドウ』が絶対に戦いたくないと、常闇が
雑に個性でゴリ押しした結果の油断と慢心、実力差。
(俺の、負けだ⋯)
『左』を使えばあるいは、という雑念を捨てる。
互いに全力を出したとして、今の精神状態の自分に勝てるとは思えない。
事実、まもなく常闇に確保テープが巻かれ、惰性と意地だけで何とか尾白を近付けずに氷を放出し続け、何とか形だけは時間切れで、実質は情けないばかりの完全敗北で、焦凍の『戦闘訓練』は幕を閉じた。