Repeat after me 「ラミ☆エル」!!   作:妖怪「キラキラ様」

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閑話:励め!演習試験!(前編)

 

「さあ来い、ヒーロー!私が」

 

スマイルヒーロー『オールライト』!!

爆裂ヒーロー『ダイナマイト』!!

(爆豪少年に伝わってるのは想定内、だけど使いこなすのハヤスギナイ!?)

 

(⋯⋯ハンデ付きで大丈夫かね、オールマイト)

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 成績優秀な委員長緑谷と副委員長八百万の二枚看板に泣き付き、期末試験の筆記対策をA組総出の勉強合宿in八百万家でこなすという暴挙を為し遂げ、B組からのタレコミによって演習試験も入試のロボを利用したものと知って、こりゃラクショー!と高を括っていた芦戸三柰と上鳴電気は、相澤の首元に隠れ潜んでいた根津校長の試験内容変更との言葉に崩れ落ちた。

 そんな悲しみに沈む二人をよそに、淡々と『生徒二名対教師一名によるガチバトル』という演習試験の対戦カードが発表されていく。

 

 原作を知る者にとっては大体が大差無い内容なので略すが、轟焦凍&麗日お茶子対13号、青山優雅&八百万百対イレイザーヘッドは対戦カードとしては数少ない違いだろう。

 

 まず轟&麗日組は全力の『ブラックホール』で吸い込みつつ追従する13号に対し、まず轟が大氷壁を贅沢に使い捨ての壁にしつつ、麗日を担ぎながら膨冷熱波*1を用いて距離を取った。

 そこから逃げ回りつつ麗日が吸い込み切れずに捨て置かれた破片*2を複数無重力化し、大氷壁を最後は目眩ましとして使い捨てた所に上空に貯め込んだ氷塊諸共ブラックホールで崩される氷壁を叩き落として逆に障害物として利用し、隙を付いて両名脱出という結果で試験を終えた。

 

 一方青山&八百万組だが、『活性化』を操れる二人に対しまさかの『活性化』――しかも爆豪、八百万が使用していた未完成品でなくオールマイト達から根津校長に伝わった暫定完成版を使うイレイザーという事態に、二人が恐慌に陥る場面から試験は始まった。

 通常の『抹消』に加え展開中のレーザーがイレイザーの視線と交わった部分だけポッカリと穴が空くだけで無く、彼が触れた個性に寄る現象が停止、消失するという死柄木弔の再現の様な状態に、最初は逃げ回るだけで精一杯の二人だったが、青山の張った『鏡』はイレイザーに触れられれば即座に消滅こそするものの視線では無力化出来ない事に気付き、こちらもイレイザーに直接レーザーなど個性を当てない様に調整して試験会場内のオブジェクトを障害物として距離を稼ぎ、二人共に会場を脱出した事で試験を終えたものの、会場内のオブジェクト――つまり住宅地の壁などを豪快に破壊していた事で減点を食らっていた*3

 

 そして冒頭でもあった原作主人公組、緑谷出久&爆豪勝己対オールマイトであるが、二人の協調性の無さを危惧しての対戦カードであった原作に対し、今回の理由は最も『個性因子活性化』に詳しい二人に対処可能なヒーローがオールマイトであった事、そして『活性化』を扱う者がどれ程の強さを持つのかという指標としての側面も密かに持たれていた。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「かっちゃん、対オールマイトは」

初手から全力、全ブッパだ!テメェとオールマイトは『活性化』についてよく知ってる。最悪『鏡』使っての殴り合いまであるが、単純に逃げを打てるなんて甘い考えは捨てた方がいい」

「どうせ負けるなら全力でぶつかる。だけど最初から負ける気なんか無い!ならやる事は一つ!だね、かっちゃん!」

「ああ!せっかくのNO.1ヒーロー様とのガチンコだ!徹頭徹尾ガチ殴り合い!全力でブッ殺すぞ!!」

「うん!!(殺すのはダメだけどね)」

 

 そんなやたらと幼馴染み組に気合いが入っている、更には普段ストッパーになってくれそうなガチオタクが今回全力でアクセルを踏み抜いているとは露知らず、会場に入ったオールマイトは会敵直後に、初手全力のフルカウルによる緑谷の二十パーセントスマッシュを防御の上から叩き込まれビルの壁の向こうに消えていった。

 

(イヤイヤイヤ、緑谷少年!今のただのパンチじゃないよね!?)

 

 崩壊したビルの壁に埋もれているオールマイトは勿論無傷であったが、内心では驚愕と動揺で大わらわであった。

 威力こそ当の緑谷の言葉通り二十パーセント出力の一撃といえたが、それに付随する衝撃は大いに上回っていたのだ。

 

(アレは多分⋯⋯『発勁』!四代目か三代目辺りの個性だった筈)

 

 オールマイトは思い返す、緑谷が纏う『活性化』状態でのフルカウルは糸状の『鏡』を丁寧に絡め合わせて織り成した布の様な状態で彼の全身を覆い尽くし、かつ液体の様に留まる事無く全身を循環している。

 その全身を覆い、循環しているオーラが拳を握り構えた時に、拳か手首の辺りから糸がほどける様に螺旋状に展開し、殴りかかると同時に再び結合、収縮した勢いをバネが伸び縮みするような感覚で一気に発散、己に襲い掛かって来た結果、予想以上の衝撃に踏ん張りが利かずに吹っ飛ばされての今、なのだろう。

 

(今の所お師匠以下歴代の『継承者』達の話を緑谷少年から聞いた事は無い。ならばやはり『天使』化していない『OFA』は私の中にあり、彼の中にあるのはコピーされた『OFA』から進化した『天使』の個性なのだろう。そこから模倣、再現された歴代『継承者』の個性を循環するエネルギーを利用して発現するのが緑谷少年の『天使』!!)

 

 ひと通りの考察を終え瓦礫の中から外に出てきたオールマイトを出迎えたのは、緋色のオーラを循環させながら構える自身の後継者と、手榴弾に似せたデザインの籠手を外し、グローブやコスチュームが剥き出しになった両腕に光輪――いや、複数の球体を高速回転させて輪状に纏わせた前傾姿勢で構える彼の幼馴染みだった。

 思った以上の威力が出た事に動揺があったかもしれないのにそれを微塵も見せない、それどころか試験における今の明確な隙に対して逃げる様子も無く身構えているとは。

 

 彼らの選択に思い至り、オールマイトの彫りの深い表情が力強い笑みへと変わる。

 

「なるほど、そういう感じか!!」

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

死ねぇ!!!

(久々だなその罵倒!)

 

 仕切り直して最初の一手は爆豪の突撃から始まった。

 後ろ手に腕を伸ばし、掌からではなく、その腕の周囲を高速で回転する光球が一つずつ彼の掌に移動してはバーナーの如く噴射する度、爆豪自身を速度を上げて前へ前へと押し出していく。

 そのままお互いの間合いに入ったと思った辺りで腕を振り回し、掌の爆発で攻めると見せかけて回転させた体の勢いを乗せたまま、鋭い蹴りがオールマイトの顎を目掛けて襲い掛かった。

 

(う~ん、風切り音が重いね!)

 

 顎を引く勢いで軽く体を仰け反らせるだけでオールマイトは躱していくが、彼の動体視力は高速で目の前を通り過ぎる足を見送る瞬間、爆豪の踵で光球が弾けバーナーを噴かす様に速度を上げるのも、その足自体が『鏡』によってコーティングされ硬度も威力も引き上げられているのを見逃さなかった。

 

(この蹴り当たったら痛いよね、というか、かする、だけで、火傷しそうだ!)

 

 チリチリと空気との摩擦で火を起こせそうな速度と音を響かせながら、爆豪の息も付かせぬ連続攻撃をオールマイトは捌いていく。

 最初の蹴りを外したとみるや、そのまま反動を利用して全身を回転させて体の正面がオールマイトと相対した瞬間に右腕を伸ばし爆破、更にはその爆破に光球を連鎖させた合計二連続の爆発で更に逆回転しての回し蹴りを繰り出す。

 正面からの殴り合いだけでなく徐々に横へ上へ、はたまた下へ背後へと、攻撃の基点も軸も不規則に移動させてこちらを休ませる暇を与えない、彼自身休む暇も無いような切れ目の無い攻撃を続ける爆豪に、オールマイトは内心の笑みを抑えきれない。

 

(いや、速いし重いし切れ目が無いし!爆豪少年も『活性化』が安定したら様変わりし過ぎだよ!?)

 

 おじさんももうちょっと本気で殴りかかっていいのかな?と期待を込めて初動も殆どわからない様なモーションで反撃をしようとして。

 伸ばしかけた腕が十字型の光帯に阻まれた。

 

「オールマイト!!」

(!?、選手交代か緑谷少年!!)

 

 オールマイトが驚く暇も無く今度は手足の『鏡』を螺旋状に展開、集束させながら後継者にして愛弟子が殴りかかって来る。

 今度は最初から反撃に出ようとするが、オールマイトの攻撃はいつの間にか彼の周囲に展開した複数の光球から、弾けて飛び出した十字型の光帯によって阻まれ、恐らくは爆豪の『閃光弾』としての特性を持った爆破を『鏡』で固定しているであろうそれを、緑谷が逆に壁にしつつそれごとこちらを押し潰そうと光帯の上から続けざまに殴る蹴るを繰り返して来るのだ。

 

「スゴいな二人とも!爆豪少年は速度の乗った行き着く暇も無い連続攻撃!翻って君は、一撃一撃の重い力押しか、緑谷少年!」

「対オールマイト戦で、色々話し合いました、から!」

 

 爆豪程の速度が無いから、という訳では無いが、先程までの内心での驚愕と称賛をポロッと口から溢せば、緑谷もニィッと口を開いて好戦的な笑顔で応える。

 視界の隅に緑谷と入れ替わりで後方に下がった爆豪を認めながら応戦するオールマイトは、さすがに短時間とはいえ濃密な運動量に顔を上げる気力も無く、ゼーハーと荒い呼吸を整えようとする彼が、こちらを見ぬままその両掌から延々と光球を生み出し、こちらへと漂って来るそれらを一瞥もしないまま自分の攻撃の補助に応用していく愛弟子の連携に舌を巻くと同時に楽しくなってしまった。

 

「(緑谷少年、職場体験の時でも結構頑張って組手とかしてたのに。実戦となると割と好戦的になっちゃうのかな?それとも爆豪少年と一緒だから?どちらにせよ今日が一番歯応えのある戦いだよ)ヒーローぉ!?」

 

 ノリ始めたオールマイトが思わず叫ぼうとしたその刹那、懐へ飛び込んだ緑谷が光帯越しにアッパーカットを決め、集束したエネルギーの衝撃毎オールマイトを上空へと吹き飛ばした。

 

(いやぁ、私もまだまだ若いな!ヒーロー活動中じゃない模擬戦とかだと、こんなにワクワクしてしまうなんて!まあ、盛り上がり過ぎて疎かになった足元を少年達に的確に攻められているのは大きな反省点だがネ!!)

 

 上空高く飛ばされながら、オールマイトはまだまだ余裕で笑っていたが、それでも的確に攻められる、と自分を認識した後で脳内のグラントリノから「まだ修行が足りんらしいな」と呼び掛けられてスンと無表情になる。

 と同時に自分も飛び上がって来たのだろう、いつの間にか自分と同じ目線まで飛んで来た緑谷と目があった。

 緑谷は右足から螺旋状に展開したオーラを集束させながら、踵落としの要領を兼ねて蹴り落として来る。

 

 その蹴り足の先には、集束した筈のオーラが縄の様に束ねられ、蹴りの勢いを加えながらよくしなる鞭の鋭さでこちらに向かって来るのが見えていた。

 

(ヤッバイ。多分五代目辺りの『黒鞭』ィ!!?)

 

 グラントリノにビビってる場合じゃなかった、無防備で食らったらホントにお小言だけじゃ済まなくなる――!!!

 慌てて両腕を構えて防御したオールマイトに、蹴りと共に叩き付けられた推定『黒鞭』は彼を本日最大の速度で以て地面へと叩き付けたのであった。

 

SMASH!!!

*1
原作と違い対緑谷戦が無い為、低威力かつ移動手段として初使用

*2
百キロ単位の大物

*3
轟&麗日組は大きな道路等を中心に立ち回り、最後の氷塊落としを除いて被害を最小限に抑えた為、注意のみで済んだ模様

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