Repeat after me 「ラミ☆エル」!!   作:妖怪「キラキラ様」

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そんなヒドイ表現では、ダメさ☆

 

「う、後ろから詰めて、の、乗って下さーい!」

 

「うるせぇクソn「はーい」「委員長頑張れー」!」

 

 今日の『ヒーロー実習』はバス移動、クラス委員長の仕事と言う事でみんなのまとめ役をこなそうとして噛んでいる出久を、周囲は(約一名を除き)微笑ましく見守っている。

 

 そんな中、青山はというと、

 

(ち、近い〜〜〜!!)

 

 出久の背後から、彼をじっっっっっと見ている

 

 笑顔で、見ている

 

 じっと、見ている

 

 笑顔で、「青山君、緑谷君が緊張している、バスに乗りたまえ!」

 

「ウィ☆」

(ありがとう〜飯田君!)

 

 直角に曲げた腕をカクカク動かして飯田が青山を促せば、思いの他素直に青山はその場を離れバスに乗り込んでいく。

 

 素直に断りを入れれば良かったのかと思った出久だが、あのキャラの濃い青山に積極的に話しかけに行くには、彼はまだクソナードであった。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「爆豪ちゃんはキレてばっかだから、人気でなさそう」

「ンだとコラ出すわ!!」

 

 車内ではみんなが和気あいあいと雑談を続けている。

出久も、個性『蛙』のカエルらしい特徴を持った女子生徒、蛙吹梅雨の「梅雨ちゃんと呼んで」や「あなたの個性、『オールマイト』に似てる」といった、親しげな様子とその会話にタジタジになりながら、何とか会話の輪の中に入っていた*1

 

 そんな中での蛙吹から出久の幼馴染み、爆豪勝己への言葉である。

途端に不機嫌になる爆豪に、たまたま隣の席になった耳たぶがコード付きのイヤホンの形状をしている女子生徒、耳郎響香は迷惑そうに顔を顰めながら身を引き、個性『放電』のノリの軽い男子生徒、上鳴電気は更に「クソを下水で煮込んだ性格」などと評してからかっていく。

 

「ダメだよ上鳴君☆」

 

 上鳴の言葉に未だ出久をじっと見ている青山が言葉を挟む。

 

「そんなヒドイ表現では、ダメさ☆」

 

「なんでずっと緑谷見てんの?」

 

 前の席に座る肘からテープが出る個性『テープ』の男子生徒、瀬呂範太のツッコミにスーッと青山の視線が爆豪へと逸れていく。

 

「せいぜい『ドブ川に溺れてずぶ濡れて汚れ切ったまま、飼い主に吠え続ける小型犬』位さ☆」

 

 「ね◇」とにこやかに笑いかける青山に、

 

(((小型犬!?)))

 

 と密かに戦慄する周囲。

 

 直後に思わず噴き出しかけて慌てて口を塞ぐ者、思いがけない表現に固まる者、かっちゃんの犬姿が想像出来なくて戸惑う幼馴染みと、割とその後の反応は別れたが。

 

「オイッ!!誰がトイプーだクソが!!」

「⋯君、ポメラニアンの方がらしくない?☆」

「ァア゛ッ!?」

 

 ガチギレする爆豪に平然と返す青山の、大喜利じみたやり取りに周囲の困惑は深まっていく。

 

「てか飼い主誰だよ!!」

「緑谷君◇」

 

 は?と爆豪は唐突な返しにポカンと間抜け面を晒す。

 

「なんでクソナードが「だって君」」

 

 緑谷君に勝ってないだろう?

 

 思わぬ返答に爆豪の思考が止まる。

 

「っ、こないだはたまたまだ!!一回負けた位でマウント取られちゃたまんねーわ!!」

 

「ああ、違うよ爆豪君◇君は今まで一度も緑谷君に勝ったことが無いだろうって言ったんだ◇」

 

 今度は爆豪の顔から表情が消える。

 

「何かイジメっ子とイジメられっ子の関係みたいだねって位で、実際どの程度かは知らないけどさ☆」

 

 いつの間にか周囲の会話も止まっている。

 

「緑谷君が怯える位なら、暴力位はあったのかなって思うんだ◇」

 

「でも、緑谷君は抗って来た◇」

 

「この間の『戦闘訓練』、本当に上下関係が決まってるなら、緑谷君は立ち向かえなかった筈だ◇」

 

 でも、出久は爆豪に立ち向かい勝利した。

 

「緑谷君の何が驚異で君の何がそうさせるのかは知らないけど、君は今まで緑谷君に勝てた事が無くて、だから力で捻じ伏せておかないと自分を肯定出来ない◇」

 

 だから僕には必死に取り繕う君が、緑谷君に必死にじゃれつく子犬に見えるよ☆

 

 そう締めた青山に固まる周囲、困惑する出久、表情が消えた上に顔色が真っ白になった爆豪。

 

「⋯⋯遺言はそれでいいかキラキラ野郎!!」

「そうやって僕も無かった事にするのかい☆緑谷君から目を逸らす様に、自分の本心に背を向けて◇」

 

 上鳴は「それ以上は止めとけよ」と爆豪の顔色からちょっとヤバいと遮ろうとした。

 蛙吹は「それ以上はイケナイわ」と爆豪の心の深い所にヒビが入ったように感覚的に考えて止めようとした。

 

「やだなぁ青山君」

 

 だが、それより出久が言葉を返すのが早かった。

 

「僕、かっちゃんに勝てた事なんか無いよ?」

 

 出久は爆豪の表情を見ていなかった。

青山の見当違いの言葉が爆豪に響くと思わず、普段と変わらぬキレ方だと思っていたのだ。

 

「かっちゃんは昔から凄くてさ」

 

 出久は本心で爆豪を凄いと信じていた。

だから爆豪が自分の方を見て動揺しているなど思いもよらなかった。

 

「ちょっと怖かったりするけど、強さでは誰にも負けないんだ」

 

 だから、こないだはマグレで勝てて自分でも良くやったと思うよ、と頭を掻く出久は気付かなかった。

 

「そうなんだ◇ゴメンね緑谷君☆」

 

 ボクの勘違いみたいだ☆と謝る青山を尻目に、完全に顔色も表情も無くした爆豪は着席して姿が見えなくなった。

 

 隣の耳郎は爆豪から距離こそ取ったままだが心配そうに様子を伺っているし、上鳴や瀬呂、他のクラスメイトも互いを見つめ合って困惑を共有している。

 

(((((思ったより幼馴染みの闇が深い)))))

 

 青山の濃いキャラが動く度に、一致団結していくクラスメイトであった。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 雄英高校の災害救助訓練施設『USJ』に到着してバスから降りた直後、

 

「青山」

 

 呼び掛けられて優雅が振り向くと、担任の相澤が近付いてくる。

 

「最後まで責任持てないなら、カウンセリングの真似事は辞めとけ」

 

「ウィ◇」

 

 嗜める様に告げる相澤に、特にカウンセリングのつもりも無く普通に会話をしていた優雅は驚きながらも素直に頷くが、

 

「空気を読、めなくても相手の立ち場や心情に思い至れる頭があるなら、追い詰める真似はするなよ」

 

 唯我独尊も程度が過ぎれば害悪にしかならんぞ、と釘を差されて、優雅は今度こそ反省して頭を下げるのだった。

 

(まあ、見たところ問題無さそうに見えるが)

 

 目の前の優雅から視線を移した相澤の目には、バスから降りて施設に向かう爆豪の姿が映る。

一見すると顔色も落ち着き、若干視線は下向きながら落ち込んでいるというよりそれは、何かを真剣に考えているように見える。

 

 それから少し離れた場所では緑谷が、慣れないながらも必死にみんなを整列させようと委員長の仕事を頑張る初々しい姿を見せていて。

こちらは本当に平然としていて、笑顔で話しかけられている麗日や飯田の方が若干ぎこちなさが見える位だった。

 

(授業の後に様子次第で面談するか)

 

 こういうのはもう少し信頼関係が出来上がってからするモンなんだが、と新学期早々のメンタルケアの相手が随分と正反対な二人になるかもしれない事に、相澤は思わずため息を溢すのだった。

*1
近くの席から興味深げにこちらを見やる青山は極力無視している、恐い

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