Repeat after me 「ラミ☆エル」!! 作:妖怪「キラキラ様」
「生徒各員、自衛に限り個性の使用を許可する!委員長、生徒を連れて陸地を目指し避難しろ!」
「は、ハイ!」
突然の相澤の指示に面食らった出久だったが、反射的に返事をした後、連続する水柱に混乱するクラスメイトを落ち着かせようと声を上げる。
「みんな!まずは落ち着いて、陸地を目指すよ!」
「でもよ緑谷、目指すっつっても水柱あれ、ヴィランじゃ」
「だからだよ !少しでも距離を離して安全を確保しないと!大丈夫!僕らには」
「
大きな掛け声と共に水柱の原因らしい黒い巨体が宙に舞う。
オールマイトが生徒達に近い水柱を作った巨体の
「「「オールマイト!!」」」
「オールマイトが付いているんだから!」
「うし、俺らも早いとこ避難しねえと」
「っつってもそんなに泳げねえよ俺」
「水中は得意といってもこの人数は一人では一度に運べないわ」
オールマイトの存在と出久の言葉に元気を取り戻した彼らは、徐々に陸地を目指して移動を始めるが水中ゆえにその歩みは遅い。
そうしている内に生徒達の近くで再び沸き上がる様な水柱が上がり彼らの一部が叫び声を上げるも、数拍ののち「ぷはっ」と息を吸う様に水面から顔を出した爆豪に全員が固まった。
「「「爆豪!?」」」
「オールマイトォ!!一匹泳ぎの上手えのがいんぞ!!」
どうやら人知れず水中で
「と、とんでもねえ動き⋯」
「さっすがNo.1ヒーロー」
目にも留まらぬ動きを前に目と口を皿のようにして驚く生徒達の中、出久は「かっちゃん!!」と爆豪に呼び掛ける。
「大丈夫かっt「問題ねえ、つかテメエは何してんだよ!」」
怪我は無いか確かめようとした返事を罵倒で返されたが。
「あ、いや、みんなを避難させようと「なら早よヤれや!」ぅ」
「テメエのピーキーな個性じゃろくすっぽ役に立てねえなら、その無駄にヒーロー知識の詰まった脳味噌捏ねくり回すしかねえだろーが!委員長に選別されておいてお荷物やりてーのか!?」
今まで通りの流れ出る様な罵倒、だが。
(あれ?これって発破掛けられた?)
「ご、ゴメン!すぐにやるよ!」
「⋯おう。オールマイトが仕損じるこたぁねーだろうが、後ろは守っとく」
「ぇ。ぇえ!?「さっさと動けやダボが!!」ゴメンナサイ!!」
追い立てられる様な罵倒に慌ててみんなの方へと戻って来た出久だが、内心(やっぱり罵倒の中にひと粒の優しさを感じる!?なんで!?)と絶賛混乱中であった。
そんな彼の内心に気付かず八百万と蛙吹が近付いてくる。
「緑谷さん。爆豪さんは?」
「あ、大丈夫。殿を請け負うみたいだけど、オールマイトもいるしね!」
「そうですか、であるなら追撃を気にしない分焦る必要は無くとも、落ち着いて、迅速に、避難を完遂させねばなりませんわね」
「でも、効率化を考えないと泳ぎ切るだけで体力を使い果たしてしまうわ」ケロ
「う〜ん⋯⋯」
早急に水中を離れたい、が、機動力の高い爆豪は殿、常闇の『ダークシャドウ』はあくまで常闇自身が起点の『個性』である。
必死に頭を回すその時間も惜しんで泳ぎ切るべきか、とふと上空に目をやり、
「やあ☆」
青山と目が合った。
「あ、青山くんんんんっ!?」
「やあ緑谷君☆一応上空から見張っているよ☆オールマイトは残念ながら、あの
「ああ、そう、ウン。⋯そうじゃなくて!青山君、空、飛べるの!?」
平然と、ぷかぷかと浮かぶ青山からオールマイトの現状を教えられつい普通に返事をしてしまう出久だが、そうではない。
「そうだけど、言ってなかったっけ☆」
「レーザーの反動で空を飛ぶものとばかり」
「ああ◇ゴメンね☆推進力はレーザー頼みだけど◇浮かぶだけならこの通りさ☆」
あくまでにこやかに和やかに、ともすれば気の抜けそうな青山の相手だが、彼は出久を見ながら身体の向きはずっと同じ、爆豪の残った出久の背後を向いている。
フザケたり我が道を行く様に見えて、きちんと僕らのサポートに徹してくれている、と気付いてやる気がみるみる湧いてきた出久は「八百万さん!」と声を張り上げた。
「ロープ、ですか?」
「うん、みんなを青山君に運んで貰おうと思って」
そう告げる出久に、思わず上空の青山を見上げた八百万は、にこやかに手を振る青山に苦笑を返して*1緑谷に向き直る。
「全員を運ぶ膂力とロープの手渡し方法は」
「常闇君のダークシャドウに麗日さんを運んで貰って、全員ハイタッチで浮かせれば時間は掛からないと思う」
麗日さん自身は申し訳ないけど青山君におぶってもらう、とかかな?と苦笑しながら頬を掻く出久をしばし見つめた八百万は、納得した様に頷くと、
「青山さんは今の作戦で問題ありませんか?」
「ウィ☆麗日さんが軽くしてくれるなら大丈夫さ☆」
青山へ確認を取った後、自身の個性『創造』を以て背中から飛び出す勢いで創り上げられるロープを取り出すのだった。
☆☆☆
「大丈夫か13号」
「はい、すみません先輩」
13号を庇う様に前に立ち構える消太、『抹消ヒーロー イレイザーヘッド』は一見やる気の無さそうな二人の
(本当に生徒達が側にいなくて良かった。今のアイツらでは最悪死人が出ていた!)
常に二人の
(俺の個性『抹消』と
『見る事』がトリガーでは無く、『触れる事』がトリガーにしては不可解な点の多い他人の個性を『無効化』して見せた死柄木弔。
不可解といえばオールマイトが相手をする推定十二体の巨体の
「羨ましいなあ、イレイザーヘッド」
「!!」
「俺の個性は触れなきゃいけない。お前は『見る』だけでいい。楽で良いよなあ」
(何だ、何を⋯)
その時、本当に偶然、イレイザーは目に不快感を覚え、左目だけが一瞬早く瞬きをした。
「ちょっと見るのを止めて欲しいなあ」
死柄木弔が不気味な物言いと共に、顔の前に翳した掌を『グッと握った』。
その瞬間、イレイザーは。
右の視界を失った。
「先輩!!?」