戦犯回避√ジーンの野望   作:ハヤモ

16 / 28
前書き
劇中の1シーン程度ですが、ドクロマーク入りのヘルメを持つ兵士がいましたね。ファースト的にはビグロのパイロット、トクワンとザクレロのパイロット、デッパのデミトリーかな。戦後どうなったのか……。

さても今回短め。
中佐の本音は分かるようで分からない的な。


借り物のカギ

ソドンに戻った俺とデニム。

格納庫のMSラックにザクが架けられるや、技術士官のコワルが嫌そうな顔をしやがった。

装備はともかく、機体が壊れたからな。 旧式ザクだし、いっそ破棄したい気分だろう。 健闘を讃えられはしたが。

 

 

「デニム中尉は片腕欠損、ジーン特務曹長は関節部がガタガタですよ。 随分と無茶な動きをしたのですね」

 

「1番は鍔迫り合いの時か。 だとしてガンダムだ。 五体満足なだけマシだろ。 それも君ら整備のお陰だな。 これからも頼むわ、へへへ」

 

「煽てないで下さい」

 

 

といった軽口を叩きながらも、中佐に呼ばれるがままブリッジに上がる。

怒られるんかな、いや、だとしても頑張った。 褒めてくれるさ。

 

 

「ジーンさんッ!」

 

 

違った。 罵声だった。 可愛い声だが。

 

 

「へへ、どうもコモリ少尉」

 

「どうもじゃないですよ! 任務失敗じゃないですか! これで中佐はジークアクスを出す気満々ですよぉ! どうしてくれるんですかー!」

 

 

ひでぇ。 ザクにしては良くやっただろ。

実戦経験がないからってよぉ。

 

 

「だってしょうがねぇでしょ。 ザクでサイコミュ搭載のガンダムを相手にしたんだ、パワーも装備もダンチよ。 寧ろ生きて帰れた事を褒めてくだせぇ」

 

「そうですよコモリ少尉。 ここは彼の頑張りに免じて許して下さい」

 

「中佐!」

 

 

緑のおじさん、あいやシャリア中佐が治める。

でもね、庇ってくれるのは嬉しいけど、こうなってるの中佐の所為でもあるからな?

 

 

「パイロットは大佐でなくとも、機体性能は本物です。 それについていけただけでも、ジーン特務曹長とデニム中尉は凄い働きをしてくれました。 労わってあげて下さいね」

 

「はい……分かりました」

 

 

不服そうな顔でズコズコ下がる少尉。

こういうのも許されるソドンの風紀。 俺への風当たりはキツい気がするがね。

 

 

「……どうも。 しかしコモリ少尉の訴えも誤りではないでしょう。 事実、任務は失敗。 恥ずかしながら帰って参りました」

 

「堂々として下さい。 通常であれば堕とされていたでしょう。 そこを機転や連携を駆使して継戦、あと1歩まで追い詰めた。 これは凄い事ですよ」

 

「同時に勝てる見込みを度外視にして、俺とデニム中尉を送りましたな?」

 

「どうでしょうか。 現場経験豊富な貴方の想像力にお任せします」

 

 

掴ませてくれないねぇ。

NTだから、俺の考えは盗聴されてるものとしても、実際に命懸けな身としては小言くらい許して貰いたい。 若い連中のようにな。

てか、通常であれば堕ちてたと言う時点で、捕獲は失敗する事前提だったかもな。

 

 

「へへ、ならこれは俺の想像ですが。 俺らを発進させた意図は、ガンダムが本物か否かを改めて確かめる為と、その上で手に負えないとなれば、ジークアクスを出撃、更にはオメガサイコミュを発動させる大義名分を得る為、だったりします?」

 

「そこまで大それたものではありません。 ですが貴方も気になるでしょう? なぜ今になって、それもサイド6に現れたのか。 誰がどのような経緯で乗っているのか。 シャア大佐のガンダムならば、あのゼクノヴァの秘密や、それこそ大佐の行方を知る手掛かりになります……貴方が監視している少女、その周囲の人達についてもね」

 

 

最後は少し脅しに感じてしまったわ。

考え過ぎだ。 それに任務対象に情けを掛けるのも変な話だ……手遅れか。

 

 

「……焦る必要がお有りで?」

 

「手元の"カギ"は借り物ですからね。 ならば、ある内に扉を開けたい。 そう思うのは私だけでしょうか」

 

 

カギ……ジークアクスがね。

借り物を傷物にする訳にいかんだろうに。

 

 

「分かりました。 この部隊を指揮するのはあなたです、シャリア中佐。 例の新型についても、俺がどうこう言える存在ではありません。 時間を下さい、と言える状況でも無いのも把握しました……ですが例の少女から目を離す程に胸騒ぎがするもので。 先にイズマコロニーのアジトに戻らせて貰います。 宜しいですか?」

 

「勿論です。 元の任務を放棄しろとまで言いませんよ。 寧ろ呼び出してしまったこと、謝らせて頂きます」

 

 

表面上の言葉だけじゃ、やはりその真偽のほどは分からんのよ。

 

 

「俺のザクの修理は途中までで構いません。 行きと同じく、それで帰りますから」

 

「伝えておきましょう。 ああ、それと」

 

 

中佐が俺の背に言葉を投げ掛ける。

 

 

「あまり女の子達に深入りしないように。 情が移ってしまうと、いざという時に辛くなるかも知れません」

 

 

相変わらず、柔らかさの中に棘がおありで。




後書き
更新常に未定
そろそろ頻度落とすかも……。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。