戦犯回避√ジーンの野望   作:ハヤモ

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前書き
ソドンとジークアクスがコロニー内に侵入した様子といい、その後のクラバといい。戦後とはいえ中立地帯への軍の干渉、機密MSが大暴れした証拠ありまくり。さすがに本国の知るところでしょ……。
もうギレンの粛清案件じゃね?サイコミュ搭載の秘密MSという禁止事項が民間人にパクられて違法賭博に出たのも露呈するし、連邦も自分達を棚に上げてオラつきそうで怖い……マクベや他の偉い人たちも胃が痛そう。
……中佐は、ソドンからどうやって揚陸というか、コロニー内の地上に降りたんでしょうか。連絡船とか、民間の目に止まるような事をすると囲まれちゃいそうだし……。

さても今回。シュウジとの出会いに向けて。
カムランとエグザベ君は中佐に任せるとして、ジーンはマチュの方へ。


シュウジ・イトウとの邂逅

 

 

『昨夜未明、突如としてジオン公国軍の強襲揚陸艦がサイド6、イズマコロニー内に侵入しました。 戦時下に逆戻りだと混乱が起きています』

 

『ですがミノフスキー粒子は散布されていません。 その上でコロニーの中心部に停船。 非戦闘状態を維持しています』

 

『地位協定では、領空の航行はジオンに優先権がありますが───』

 

『この事態を受けて、首脳陣が急遽、イズマ入りするとの憶測が流れています』

 

『現場より中継です───さーん!』

 

『ジオンは帰れ〜ッ』

 

『野次馬による交通渋滞や、度々罵声と思われる声が聞こえてきます。 ですが軍艦は微動だにせず、依然として静止状態を維持しています』

 

 

あああ……なんでこうなった。

マジワケわかんねぇんだから、あのオヤジ!

ジオン本国、総帥府の粛清案件だろコレ。

ジークアクスもコロニーに突っ込むわ、マチュがパクってオメガサイコミュ起動するわ、軍警ザクは何機も破壊するわ。

極め付けは上空の強襲揚陸艦!

俺たちマクベの軍事法廷で死刑判決、良くて禁錮喰らうんじゃねえの?

 

 

「やべぇ。 マジやべぇわ。 へ、へへへ……」

 

 

顔中汗まみれ、変な笑いまで出てくる。

いっそ任務放棄して逃げたいまである。

が、それをしたら追われる身。 くそが。

 

 

「けどよ、今更マチュとニャアンを見捨てるのも忍びねぇっつうかよ」

 

 

頭を掻きながらも足掻くばかり。

戦時中の時みたいにな。 やれやれ全くだよ。

 

 

「時間を巻き戻せりゃなぁ……」

 

 

とにかく動き続けよう。

エグザベ君の回収は、あそこまでやらかした中佐に責任取って貰うとして、俺は引き続きマチュの監視と赤いガンダムの行方を追う。

 

今やってる事は、マチュの通うサイド6でも有数のお嬢様学校の近くでJK監視。

……絵面も字面もヤバいが仕事だ。 やましい事は考えてない。 身が1つしかないし、赤いガンダムの手掛かりもない以上、これが1番分かりやすいってだけだ。

 

 

「うん? なんだ?」

 

 

そんな折、まだ下校時間前なのに、マチュが突然校舎を飛び出しては、何処かへと走って行く。

 

 

「急にどうした。 俺が追いつけねぇだろうがよ、へへへ……!」

 

 

何があったか知らんが、跡をつけねば。 NTとして何かが見えたのかもな。

……何度も言うが、仕事である。 決してJKをストーカーする変質者ではない。

誰が何と言おうとな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わぁ……! そう! これ! キラキラだ!」

 

 

学校をズルけたマチュが駆け出した場所。

そこは人通りの無い水路、小橋の下だった。

何やら見たこともない、スゲェ良い笑顔になってやがる。 その視線の先は落書きだ。 コロニーの外壁と同様のもの。

もしや、NTとして何か見えたか。 赤いガンダムの手掛かりを掴めたんじゃね?

 

そう影から窺っていると。

頭にキューブ状の胴体を持つ蜘蛛型ロボみたいなのを載っけた、電波系イケメンが何処からか出てきて……突然、マチュの頭を嗅ぎ始めた!?

 

 

「うわぁっ!?」

 

 

俺、飛び蹴りと奇声の衝動を耐える!

イケメンだから許され、俺がしたら軍警に袋叩きに遭うヤツじゃねえかと!

悲しいけどコレ、顔面偏差値なのよね!?

 

 

「……君も向こう側、見えた?」

 

「向こう側……?」

 

「ぼくはシュウジ。 君は?」

 

「ま……マチュ……」

 

 

そして頬を赤らめ、視線を泳がすマチュ!

本名じゃなくニックネームから入りやがる!

くそっ、イケメンが! コツコツ信頼を築くしかなかった俺、踏み台にされた気分!

マチュもそりゃ、顔が良い方が好きだろうが!

 

 

「おじさん?」

 

 

そんな嫉妬の炎に燃える俺に声を掛けるは、自転車を漕いできたニャアン。

その声に反応し、マチュとシュウジとやらも此方に気付いちまった。

 

 

「あれニャアンも。 2人きりで何してるの?」

 

「……アンタこそ」

 

 

そしてトーン低く始まる、謎の牽制合戦。

オールドタイプでも感じる険悪ムード……!

スマホと仕事妨害の怨み、こうも続く?

 

 

「あー……俺は仕事の商談帰りだ」

 

「帰りにこんな橋の下に寄る? 普通に私をストーカーしましたって言えば?」

 

「……人聞の悪い事を言うな。 こんな明るい内からマチュが走ってるのが見えりゃ、気になるだろうが」

 

「やっぱストーカーじゃん。 通報しよ」

 

「そしたらタマキにも言いつけるぞ」

 

「……2人の内緒って事で」

 

 

冷や汗かかせんな……軍警には目をつけられてんだから。 エグザベ君以上に殴られそうだわ。

殴ったね、中佐にも殴られた事無いのにってなりかねん。 あいや俺が悪いんだがよ。

でさマチュ。 なんで得意気な顔でニャアンを見てるの? されたニャアンもムスッと不機嫌顔になるし。

 

 

「ここにいる皆の内緒でしょ」

 

「お互い家も何も知らないじゃん? でも、私はおじさんの家知ってるし。 おじさんも私の家知ってるもんね? 私の部屋で一緒に眠った事もあるもんねぇ?」

 

「あ、ああ……」

 

「わ、私だって、その……あるし! おじさんの仕事場の、仮眠室で……!」

 

「へぇ? 仕事場の、仮眠室ね?」

 

「ッ、いいわよ! 私もおじさん家行くから!」

 

 

なんの言い争いなんかね、これは。

嫉妬の怒りも霧散し、シュウジと目が合う。

互いに首を傾げるばかりだったが。

 

 

「で、マチュはこのイケメンのシュウジ君とやらとナニシようって?」

 

「ちょっとやめてよ!? 変な言い方しないで、本当にサイアク……ああシュウジ、違うから。 "コレ"は近所のお節介焼きなセクハラジジイってだけだから。 変な勘違いしないでね?」

 

 

ナニこの温度差。 さっきと今の高低差よ。

頭がキーンとなるわ。 風邪も引きそう。 なんなら心まで寒い。 涙も出てくるわ。

 

 

「……で、ニャアンは仕事中か?」

 

「そうだ……コンバンハ、オイソギデスカ?」

 

「別に急いでいませんよ」

 

 

なにその棒読みの合言葉。

シュウジもここまで特にツッコミなし。 どんなメンタルしてるんだ電波系イケメンめ。

というか、第三者が2人も見てる場面でデバイスの受け渡しを始めるってどうなのそれ。 ニャアンの雇主って密売人のマーコだっけ、ソイツが見たらどう思うんだコレ。

 

 

「え、シュウジとニャアンってどんな関係?」

 

 

そして吠え始める狂犬マチュ。

シュウジはイケメンだし、知り合いの、それも嫌いな女が寄ってる光景は気になるんだろうさ。

修羅場かな。 おお、怖ッ。 シュウジ頑張れ。

 

 

「……ただの取引相手」

 

「じゃあちょっと待ってよ。 今、私が話してんだから!」

 

 

そう言って、間に割って入ると。

シュウジの手に当たり、そこに持っていた金色のコインが水路にポチャった。

 

 

「……あっ。 今のが全財産だったのに」

 

「ええっ!? 払えないってこと!?」

 

「シュウジ、お金ないの?」

 

「……コンチ、どうしよう」

 

 

頭の箱ロボに話し掛けるシュウジ。

ああ、それコンチっていうのね。

ハロに対するコンチ。 改めて見れば、市販品ではなく、知育ロボットの魔改造品ってとこかね。

……まぁ、そんなことよりも。

 

 

「マチュ、取り敢えず謝っとけ」

 

「えっ? なんで? 私は別に……」

 

「割り込みに悪意がなくても、その弾みで人の財産を奪ったんだぞ」

 

「うっ……ごめん、シュウジ」

 

「ううん、ぼくもちゃんと持ってなかったから」

 

 

取り敢えず謝れたから頭を撫でとく。

どうもマチュは後先考えず無鉄砲が過ぎるというか。 行動力の高さは褒められる時と違う時がある。 自分の行動の結果に責任を取る事も少し覚えて貰おう。

……ジークアクスの件といい、俺のザクといい。

いつか金だけじゃなく命を落とすぞ。

そうなったら、マチュは耐えられるのか?

あいや、何とも思わないか。 それすらも。

戦争してた、俺が責められる義理じゃねえが。

 

 

「で、シュウジ君。 デバイスが必要ということは、君はモビルスーツ乗りか?」

 

「うん。 ついてきて」

 

 

などというから、どこ行くかと思えば。

マンホールのフタを専用ハンドルで開けて、地下へ案内するときた。

 

 

「地下の秘密基地かぁ? へへ、男の子が好きそうなワードだが……ジャブローで間に合ってるわ」

 

 

などとボヤいても、若い子には分からんな。

 

 

「じゃ、待ってれば? 私達は行くから」

 

「なんで私もなのよ!?」

 

「誰もいかねぇとは言ってねぇだろ」

 

 

そう言い合いながらも、地下へ降りていく。

ここにも描いたのか、虹色のラクガキ塗れで、けれど暗い円筒の道を進んでいった先、丸型のエアロックを手動でシュウジが開けてくれれば。

 

 

「へへ、コイツぁ……ッ!」

 

 

そこには四つん這いの赤いモビルスーツが。

 

 

「ガンダムじゃねぇか……!」

 

 

ヤマが当たったわ。

……やはりマチュ達と縁は切りたくねぇな。




後書き
更新常に未定。
ジークアクスの物語は監督的に、視聴者に考察丸投げしたり時間ループものになったりするのでしょうか……。
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