戦犯回避√ジーンの野望   作:ハヤモ

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前書き
四つん這いの赤いガンダム、コアファイターとの合体や分離を思わせましたね。
あとあの場にあった救命艇?のランチ。シュウジの居住スペースとなっていたのでしょうが、一方でファーストガンダムのラストシーンが思い出されます。でも何故あんなところに……。
それとデバイス、ガンダムにも必要なのか……戦闘の衝撃で壊れるものなのか。それとも使ってる内に摩耗して駄目になるのか。
TVアニメ版の方はどうなるのでしょうね。

さても今回。クラバ出場の方向へ。
堂々巡り感は否めませんが……。
うろ覚えなので劇中展開と異なるかも。
ジーンおじさんは出ないので、中佐とエグザベ君と共に視聴する形にしたく。


可能性の宇宙

マチュがジークアクスでクラバに出るだけでなく、マブに赤いガンダムも来そうだから配信視聴宜しくの旨を中佐に報告中。

申し訳程度に一応は止めましたよと添えて。

 

 

「分かりました。 あなたもクラバに出ますか?」

 

「へへ、ご冗談を。 ガンダム2機を相手にするなんて、ザクが可哀想でしょう?」

 

「経験者は語りますね。 良いでしょう、私もカムラン首席補佐官に話をしましたし、エグザベ少尉と合流出来た事です。 バーで配信を見させて貰いますよ」

 

「俺も相席しますわ。 カネバンの連中と観戦するのは、どうも気が引けるんで」

 

「気兼ねなく話せる相手がいない不幸、お察し致します。 私も若い子に囲まれてると気負う物が多いですから……ではお待ちしておりますよ」

 

 

そうして通信が切れる。

ジークアクスを止めろとも、どうしてそうしたのかとか、マチュやシュウジを確保しろとも言わない。

 

ふぅー……怒ってるのか楽しんでるのか。

若い奴だけでなく、中佐も分からん1人だ。

その意味、俺に理解者なんていない。 皆を騙し騙される、スパイモドキに過ぎない。

ソドンの格納庫で燻ってるだろうハゲデブのデニム中尉くらいじゃないか、馬鹿話が許されそうなのは。

 

 

「……殺し合いから馴れ合いの時代か。 寒いのか熱いのか分からん時代だわ」

 

 

分からん尽くしの時代よ。

難民問題に半ば黙認の違法賭博、闇バイト。

平和か戦時か、そこからどう砕けるか。

その意味、不安定な時代、というのが1番しっくりくるな。

 

 

「俺は知らん、ただの下っ端な傍観者だ」

 

 

バーに移動しながら、俺は思う。

マチュもニャアンも、シュウジとやらも。

誰も死なず、戦わずに済むのが1番だ。

 

……本当にそう思ってるのか?

 

 

「本気なら、ガキを戦わせるかぁ?」

 

 

放任主義って話じゃねえぞ。

結局、俺も言い訳してみたかっただけか。

どこまでも無責任に、可能性だけを見る。

人の革新。 ニュータイプへのあやかり。

 

……そんなだからオールドタイプなんだよ。

 

カネバンの連中もまた同類か。

だが中佐は高尚な考えがあるのだろうさ。

欲塗れ、戦犯顔の俺と違ってな。

 

 

「タマキ、すまねぇ。 お前の大切な娘、観させて貰うわ。 最悪キズモノになるがな、へへへ……!」

 

 

でも良いよな?

それもまた、マチュが望んだんだぜ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

待ち合わせは奇しくもタマキと飲んだ場所。

あの時と違うのは、野郎だけってところ。

花がないねぇ。 あるのは画面の向こうの話よ。

 

カウンターに並ぶおっさん2人と若僧1人。

そして物静かにグラスを拭くマスターの図。

 

 

「……へへ、どうもおふた方」

 

「良いですね、揃いました。 もうすぐクラバの配信が始まりますよ……マスター」

 

 

言われたマスターは、素直にリモコンをTVに向けて押す。 映し出されるはクラバのカウントダウンと、対戦者の名前。 それにツッコミを入れるは絆創膏を付けたエグザベ君。

 

 

「ポメラニアンズ? ふざけた名前だ」

 

 

それはそう。

けどガンダムも大佐風に言えば、俗っぽい名前だぞ。 逆に赤い彗星ってのも人によっちゃアレだが。 今となっては馴染み深く違和感がないのが怖いところだ。

 

 

「始まりますよ」

 

 

そして映し出されるMS。

方やカブトムシみたいな角を付けたザク2機、マブ戦術の基本に忠実な動き。 元ジオン兵か。

 

対してこちら側といえば。

マブの赤いガンダムはハンマー持ちで……。

 

 

「なっ、ジークアク……!」

 

 

慌てて口から出る機密を押さえるエグザベ君。

相変わらずの若さ、迂闊さが初々しい。

戦場だったら死んでそう。 いうて自分のMSが民間人にパクられて、いいように使われてる映像を見せられてる訳で。

見方によっちゃNTR扱い。 絶句、絶叫、絶望の絶許三昧しても仕方あるまい。

だが、それは分かる話だ。 俺もザクをマチュとニャアンにパクられたからな。 シートが尻の形に湿ってたのは雨だったからだろう。 おのれメスガキ共め。

 

 

「ふむ、面白い」

 

 

中佐は画面に釘付けだが。

俺としちゃ、マチュの無事を願うばかりだ。

あいや、願わくば可能性とやらを見せてくれ。

 

その想いに応えるように、ジークアクスは軍事行動としては素人な一方、機体そのものは円滑な動きを見せ始める。

 

 

「こりゃ酷い……そんなに動いたらバーニアの光で位置を知らせてるものだぞ」

 

「ですが機体制御をサイコミュだけで? 何者なのです、このパイロットは」

 

「……へへ、ただの我儘なお嬢様ですわ。 刺激に飢えて、俺を困らす程度のね」

 

 

更に言えば狂犬である。

普通に犯罪行為を何度してる事か。 俺はともかく、タマキに申し訳ねぇとか思えんのかね。

 

 

「ああ、相手に先制を許した!」

 

 

そうグチグチ思う間も対戦は続く。

ザクがジークアクスを先に発見、マシンガンを撃ちまくる。

それに慌てたマチュのジークアクス、姿勢を激しく動かしまくり、シュウジの赤いガンダムとぶつかってしまう。

やはり素質はあるが、そこは素人である。

 

 

「だが、危険の中で成長を遂げる者もいる」

 

「何を達観してるんです!? 見てる側も苦しい状況ですよ。 相手は銃火器で武装、対するこちら側はヒートホーク1本だなんて!」

 

 

カネバンの連中も、マチュの動きに文句はありつつ、そこはグゥの根も出ないだろうよ。

けどな、丸腰って訳でもねぇし……。

 

 

「どうかな、1本ありゃ十分な時もある。 俺は何度かそうした場面に出会した。 なら出来ん事はない」

 

「いやいや、見るからに素人と玄人の戦いですって! 装甲の違いくらいしか有利な点はないんじゃないですか!?」

 

「エグザベ君……」

 

「な、なんですか急に」

 

「へへ、若いねぇ」

 

「ええ。 若いですね。 羨ましいです」

 

「本当になんなんですか!?」

 

 

騒ぐ元気が羨ましいと、中佐共々頷く。

視線は画面に固定したままだが。

MSの性能が戦力の決定的差ではないと言いたいが、性能は性能。 高い方が良いに決まってる。 そして、それを扱えるパイロットの技量も高ければ尚ヨシ。

そして戦場では何でも使え、逆にある物で戦うしかねぇなら、それを駆使して生き残るしかねぇ。

この場合、マチュはある意味では両方の力を持っている。 ジークアクスの機動力、エグザベ君が出来なかったオメガサイコミュを起動させるNTとしての力を。

 

画面の方。

ザク側は相手のMSは見た目はヤバいが、中身は素人とみるや、果敢に攻める。

マシンガンを撃ちまくり相手を誘導、マチュが1機に囚われて追い掛け回すと、僚機のザクが死角から撃ちまくる。

 

 

「へへ、マブ戦術に忠実だわ」

 

「ミノフスキー粒子散布下の有視界戦闘においては先に見つけた方が有利。 その有効性を互いに補完し合うのが2機1組によるM.A.V.、通称マブ戦術。 今は突撃機動軍の教本にも載っています」

 

「……元ジオンでしょうか」

 

「クラバは戦後に失職した連邦やジオン兵のガス抜きの1つとなってますからね」

 

 

一方的な展開だが、ジークアクスとガンダムの高機動、装甲にはザクマシンガンでは歯が立たない。

軍警が駆け付けてくる約5分あるかどうかの戦闘時間内に決着を付けねば、互いに損であろう。

 

だからか、ザクはヒートホークに切り替える。

そして動きを止めるべく、クラッカーを、いや。

 

 

「閃光弾!」

 

 

エグザベ君が叫ぶや、刹那的に画面が真っ白。

宇宙が暗く晴れた先、ジークアクスは慣性というか、ぎこちなく漂うばかり。

唯一の武器、ヒートホークもどこかに投げ飛ばしてしまった様子。

 

 

「マチュ……!」

 

 

機体が高性能でもパイロットは人間。

強い衝撃などを受けちまえば、戦えなくなる。

そこにトドメを刺そうと詰め寄るザク。

だがそこに割り込むはガンダムハンマー。

……いや、どこでそんな武装を?

大佐は持ってなかった気がするが。

 

 

「このまま決着がつかないのでは?」

 

「どうかな、互いに諦めてねぇぜ」

 

 

ガンダムを蹴り飛ばし、回復したジークアクスを追いかけ始めるザク。 逃げる動きのマチュ。 その先に待ち構える僚機。

 

 

「罠だ! この先で斬られるぞ!」

 

「マチュは間合いを分かってる」

 

「はい!?」

 

「まぁ見てようぜ、へへへ……」

 

「最後まで勝負は分からない、という事です」

 

 

待ち構えるザクがまさに斧を振り下ろそうとした瞬間、ジークアクスがその高機動性のままに上に回避。 代わりにザクに向かい、頭部に突き刺さるは、いつぞやに飛ばしてしまったマチュのヒートホーク!

 

 

「なっ!? どこから飛んできたんだ!」

 

「空気抵抗、重力の無い宇宙の自由度よ」

 

 

その運動エネルギーのままに宇宙を飛んでいた斧の軌道、それより早くも動けるMSの機動力、誰もが忘れても仕方ないようなソレを、マチュは考えてなのか、それか本能かNTの能力で読んでか、相手を逆に誘導したようだった。

 

 

「へへ、あと1機よ。 可哀想になぁ」

 

 

シュウジの赤いガンダムと戯れてる暇もなくなり、孤立したザクに勝ち目はなく。

マチュがヒートホークを引き抜き、その勢いで最後の相手に吶喊、頸を刎ねた。

 

刹那、勝利ポメラニアンズの画面になれば、軍警も来た事でクラバ配信はお開きとなった。

 

暫く呆然となるエグザベ君と中佐。

 

 

「……勝った、のか?」

 

「そのようです……ここまでのニュータイプ。 ますます興味深い。 ジーン特務曹長、このままアマテさんをお願いしますね?」

 

「へへ、最悪、手荒な真似をします?」

 

「今のところ貴方次第ですよ」

 

「了解ですわ。 へ、へへへ……」

 

 

取り敢えず任務は続行、皆の頸は繋がった。

けれどいつどうなるか分からない。

 

未来はあらゆる可能性が揺らめいている。

やってくるものが望むものか否か。

俺は、俺たちは、生き延びる事が出来るのか。

 

答えを知る者はいない。

俺たちはまだ戦うべきなのか。

何を望むべきなのか。

 

その答えは、多くの英霊の魂と共に今も、この宇宙をさまよってるのかも知れない。




後書き
取り敢えずほぼ劇中展開終了ッッ!!
ほぼ毎日投稿もここまでかと……(疲
ああ……もうゴールして、良いよね?(泣
応援、励まし……ッ!圧倒的感謝……ッ!!
ここまでお読み頂いた読者の皆様、ありがとうございました!
TVアニメ版が放送され、展開が分かってきたら再開するかも? 或いは戻らないかも(殴
それか、宇宙世紀年表を出すくらいかも?
今後は別の小説の読み書きをしようかなと。
今後、またどこかで再会出来ればと思います。
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