「愛を私だけに向けてくれるその日まで私は待ち続けます」
優しく頭を撫でるその手が怖い
「ですが、これは2人だけの秘密にしたいので誰かに喋ったり、伝えたりしないで下さいこれはお願いです」
拒否権なんてないくせに自分の都合ばかり押し付けてくるアイツが嫌で嫌いでそれでもそれを言って仕舞えばラインハルトに家族に大切な人に何かされるんじゃないかと怖くなって頷くことしか出来なかった
「いい子ですね」
そういい頭から頬そして顎をなぞるように伝い
「この契約を破った時その時私は貴方を独り占めしに行きます」
その言葉の意味を察してしまった
大切な人も知ってる人も何かされるそう思ってしまった考えついてしまった
コイツの力ならラインハルトを殺す事だって出来るかもしれない、それは絶対に阻止しなきゃ行けない、俺はラインハルトの兄様なんだから兄が弟を守るのは当たり前なんだ、だから
ただ恐怖の首輪に繋がれることしか出来なかった
ーー
気持ち悪い
口元を手で強く抑える
スバルの方を少し見れば、壊れた時の様な目で見ていた
こんな状態になるのも仕方が無いのだスバルが死ぬ直前に見た光景が目の前で自分の首を切るレインだった、首を切った理由も分かるスバルが一人ぼっちにならないようにだ、レインはそれを気にしている端があっただからすぐに分かってしまった
「あむ」
「うひぁああ!?」
「…わぁ…」
突然フェリスがスバルの耳を甘噛みした
隣で起きたことに気持ち悪さも吹き飛んだ
側から見れば可愛らしい子が甘噛みした、と見えるが…フェリスは男だ、男が男の耳を甘噛みしたのを近くで見せつけられたのだ
どこかの層には人気があるだろうが
「ボーっとしてたと思ったからイタズラしたら、にゃんて嬉しい反応……フェリちゃん、癖ににゃっちゃいそう」
「…」
「フェリスか…ってレインお前何距離取ってる!」
目は戻っていた、少し安堵する
「近くで変なやりとり見せられたら離れたくもなるだろ」
腕を掴まれる逃さまいとしている
何でだよ!離せ!
フェリスの悪ふざけに巻き壊れたく無いだから離れようとしていたのに
ーー
作戦会議も終わり、地竜に乗ろうとした時スバルに声をかけられた
「…何であんなこと」
「…さぁな、今はやることあんだ後ででいいだろ」
適当にあしらい、地竜に乗ろうとした時腕を掴まれた
「もう、あんな事はするなよ」
苦しそうな顔で真剣な目で泣きそうな声でそう言われた
「ならお前も生きる努力をしろ」
空いている手でスバルを指で刺して言えば、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていた
「………気をつけるよ」
それは出来かねない、だって自分が死ねば過去に戻り皆んなを助けられるんだからだから
口だけはそう言う
「その間は何だ」
それは出来ないと言うことはレインも分かっていた、だからこその警告のつもりだった、スバルが自分を蔑ろにして簡単に命を投げ出すのであればレインもスバルが死ぬ前に自分も死ぬ、そう言う警告
手を離させ、相変わらず文句言いたげに見ているユリウスを無視して、地竜にのる
きっと、またあの状況に近しい事になったら自害するだろう、そう言った確信だけはある
ーー
エミリアを説得しに行こうと準備をしていた時
「それって魔眼的なヤツなのか?」
突然そんなことを言われた、周りには誰もいない
「違うが?」
「じゃ白鯨誘き寄せた時のあれは?」
「そうだな…なるべく秘密にしてぇけど…同じお仲間だ話してやるよ、少しだけな」
勝手に結ばれた契約、独占欲からくるものかラインハルトを危険視ししての発言かはわからないだが、魔女のことを話さなければいい
誘拐された時何があったのかも話さければいい、それらは分かっていた
「誘拐されたって言ったろ?」
「ああ」
「誰もしらねぇけど、誘拐したの魔女教関係者なんだよ」
「は?」
レインの言葉に驚き固まる
嫌そうに、眼帯を触っている
スバルの視線に気づいたのだろう
「俺は魔女教徒なんかじゃねぇよ」
そう言っていた、当然だが言葉は信じられる
「そんときに…変なの埋め込められた…その影響だ」
言葉を選び慎重に話す姿に疑問に思うがそれよりもそんなことよりも
「誰もしらねぇって」
「魔女教徒に誘拐されたって知られたら大変になるだろ?…特に…ラインハルトの肩身が狭くなるのは嫌だ」
最後の方は小声で言っていた
王都に来てから3回目のループの時、ラインハルトに助けを求めようとしたが遠くにいるという事でレインを使いラインハルトを呼び戻そうとした事があった
だがレインは何が起こるかを知っていてもラインハルトを呼び戻さずべつの方法を考えていた
その姿は必死に何かを守ろうとしている姿だと分かった
「何でラインハルトにだけ超絶ツンツンしてんだよ!」
「はぁ?」
意味が分からないと言いたげに見つめている
何か事情があるのだろう、魔女に魅入られたと言っていた、だからきっとラインハルトを危険に晒したくないゆえに何かを必死に隠している
「レインには借りが沢山あるからな」
「…はぁ意味わかんねぇけど話戻すぞ」
ため息をつき右目に手を置き、指の隙間からは赤い髪が出ていた
「怠惰戦、俺は行けない」
「何でだ?」
「魔女、関係とでも言っておく、前回変に目付けられて死にかけたんだよ…」
無かった事になったが実際死んでいる
「ヘイトが集まるのは1人だけの方がいいもんな…分かった」
「死なねぇように頑張れよ」
「レインが頑張れって言ってるの初めて聞いたかも」
感動したとでも言いたげに口元に手を置き見つめているスバルに対して
「お前は俺を何だと思ってる」
ーー
ヴィルヘルムと共に屋敷に向かった
「――エミリア様、突然の訪問をお許しください」
そういい屋敷に入るヴィルヘルムの後に続く
「えっと、確か……クルシュ様のところにいた方、ですよね?」
「は。カルステン公爵家にて、臣下の列の末席に加えていただいている身です。ヴィルヘルム・トリアスと申します。此度は主の名代として、参じた次第でございます」
膝をつきそう言った、ヴィルヘルム
レインは反対に立ちエミリアを見ていた
レインの姿を見たのか、驚き動きが一瞬止まった
「どうして?」
「誤解を解くためです」
「誤解?…クルシュ様から親書が届いた事と関係があるの?」
その言葉に頷く
「中身が白紙で……こちらとしても、どう対応すべきか迷っていたんです」
「白紙、ですか。――なるほど、聞いていた通りの状況ですな」
「白紙の親書に関しては、こちらの意図したところとは違いますが……内容は私が把握しております。どうぞ、御心配になさらず」
「内容……そっか、手違いかなにかだったのね。良かった、その……嫌がらせとかじゃなくて」
安心したような顔をしているエミリアを見る
後の説明は、ラム、ヴィルヘルムで行われた
ーー
「――よろしくお願いします、お姉ちゃん」
「えっと……」
そういい頭を下げたのは村娘のペトラだった
「これって、なにかの間違いじゃないの? だって……」
「間違いじゃない、人員やら竜車の関係上エミリア様にはこの子供らと一緒に竜車に乗ってもらう事になります」
不安に駆られたエミリアが近くにいたレインにそう聞くが、簡単にそう返されてしまった
「他に竜車はないの? この子たちだって……」
「自分と乗るのは嫌がるはず、ですか?」
「それ、この子たちに確認したんですか? 嫌がられる、嫌われていると、そう思い込んでいるだけでは?」
押し黙るエミリアに畳み掛けるようにそう言い放つフードの青年
それを止めずに見つめる
「聞かなくたってわかってるもの。だから、この子たちのためにも別の竜車を……」
「子どもをダシにして、自分の弱さから逃げるのはよくねぇと思いますよ」
「どうだい、ペトラ。君はあのお姉さんと、一緒の竜車には乗りたくないか」
不安そうに見つめてくるエミリア、その姿に困りどうしたものかと、フードの青年を見る
「そんなことないよ? わたし、お姉ちゃんと一緒でいい」
「……え?」
「お姉ちゃん……お芋のハンコのお姉ちゃんでしょ? いつもスバルと一緒に、朝のラージオタイソーを見にきてくれてた」
「…………」
「お顔は見えなかったけど、お姉ちゃんがいつも楽しそうにしてたの、わたしも見えてたもん。スバルがすごく楽しそうにお姉ちゃんと話してるの、見てたもん。スバルがすごくお姉ちゃんを……だから、わたしもお姉ちゃんのこと、恐くないよ?」
「……あ」
その言葉に嬉しそうにしているエミリアを見て安心する
この人は強いけど脆い部分がある、ラインハルトと似てる所がある、だから…止めよう
契約のことを思い出してしまいやめた
「お姉ちゃん、一緒に乗ろ? みんながお姉ちゃんをひとりぼっちにさせようとしてるって、言われたの。でも、わたしは手を繋いでてあげるから」
「――うん、うん」
「オレもー!」「おねえちゃんといっしょでいーい!」「はやくいこーよー!」
「エミリア様」
目を麗しているエミリアの名前を呼ぶ
「良かったですね」
「うん」
嬉しそうにそう頷いた
隣を見れば、さっきまでフードの青年がいたのにいなくなっていた、それはエミリアも気づいたのだろう
「レイン、もしさっきの人に会ったらお礼言っておいて欲しいの」
そう言われた
「また会えますよ、だから自分から伝えてやってください、その方があの馬鹿は喜ぶ」
首を傾げよく分からないと言いたげに「分かった」と言われた
ーー
「名演技だったな」
フードをかぶる人物にそう話しかける
「絶対笑うの我慢してんだろ」
「してない」
「目を見て言えよ」
顔を逸らして言えばそんなことを言われてしまう
ーー
エミリア達を見送ってしばらくした頃
「ひゃっはー、みなごろしだー!」
「人聞きの悪いこと言わないでくださいですよ、お姉ちゃん。ちゃーんと捕虜も連れてきたです」
「捕虜?」
そういい連れてこられたのは灰色の髪に緑色の服を着た青年
「お前、いないと思ったら捕まってたのかよ、オットー!」
知らない名前に、少し困惑する
「知り合いか?」
「そういやぁあった時はレインいなかったともんな、酒場で項垂れていたんだよ」
その言葉に記憶がない、あるいはなくなった世界だという事に気づき頭を抱える
「酒場で項垂れている奴に碌なヤツはいないぞ」
経験上というか、見てきた中で酒場で項垂れている奴にまともなヤツはいない、まともじゃないから酒場で項垂れているのかもしれないが
「助けてくれてありがとうございます……って、素直に言いたくない気分なんですが」
「おいおい、命の恩人グループに対してなんて言い草だ。恩知らずなんて名前で周りに覚えられたら、今後の商いがやり辛くなって首絞めるだけだぜ?」
「あー! もう完全にこっちの事情は割れてるわけですね! ありがとうございます! おかげで命拾いしました! 生きた心地がしませんでしたからね!」
投げやりに言い放つオットーを見てため息をつく
記憶がない、そもそも出会ってないらしいがオットーを信じていいのか分からない、それから出たため息だった
案外「どけ!俺はお兄ちゃんだぞ!」するタイプ、出来ないけど