スバルとユリウスが怠惰討伐に成功した
エミリアの乗る地竜に火の魔石がある、それを知ったスバルはオットーと共に行ってしまった
今は避難している竜車の方に向かうための準備をしている
怪我人を手当てしたり、生き残りの魔女教徒がいないかを探したりの状況整理だ
「心配?」
そんな中、揶揄うように聞いてきたフェリスを見つめるため息をつく
「心配してねぇよ」
「そんなこと言って〜」
ラインハルトの事をどう思ってるかを知られてしまった以上コレだけじゃ引き下がらない
「五月蝿いな!怪我人のとこ行けよ!」
「もう怒らにゃいの〜」
「ユリウスコイツどうにかしろよ!」
少し困惑した顔のユリウスを見てフェリスを指差す
もう怪我人の手当ても全て終わっているのだろう、ユリウスの説得に応じてか、分からないがニヤニヤとこちらを見つつリカードと話をしている
一人ため息をつく
それを何とも言えない顔で見つめるユリウス
胃が痛くなってきたかも
スバルの
魔女の契約
ラインハルトとの関係
フェリスからの揶揄い
戦闘からの疲労
何気に気まずいヴィルヘルムとの関係
ユリウスの弟とも仲良くしろよとでも言いたげな目
胃の辺りをさする
ーー
なるべく急いで避難した人達がいるであろう場所に向かった
何かが爆発した後が離れた場所にあった
そしてその少し離れた場所にエミリアとスバルがいるのが見えた
「フェリス」
「分かってるよ」
向かっていたフェリスの背を眺める
スバルなら魔女を殺せるのかもしれないな
ふとそんな考えが頭をよぎった
確信があるわけじゃない、絶対そうと思えるわけじゃないなのに何故かそう思えてしまった
ーー
カルステン邸宅
「レイン」
名前を呼ばれた振り返れば、何か追い詰めたように表情を固くしているスバルがいた
何故そうなったかは分からない
少し嫌な予感がした
「どうした」
「実はレムが寝たきり状態になったんだ、それでレムの武器運ぶの手伝ってくれない?重くって俺じゃ無理だった」
「スバル」
おちゃらけ無理に笑うスバルに疑問を持つがそれよりも
「レムって誰のことだ?」
「…何で、レインまで」
目を見開き絶望したような顔で、震えた声でそう言われた
心当たりがない、ラムに似た名前だが聞き覚えがない
狼狽えるスバルを見つめる首を傾げる
「説明しろ、信じるから」
「ぁああ」
死に戻りを覚えていたからこそ、レムのことを覚えているとそう思っていた、だから覚えていないこの状況を必死に受け入れる
ーー
眠る少女を見つめる
ラムにそっくりな顔
「…」
スバル曰く、ラムの双子の妹で王都に来てからずっと一緒との事、だがレムと言う少女の記憶自体が無かった、どう頑張っても思い出せなかった
何か思い出すことを期待しているかのように見つめてくる
「レムだったか?レムの記憶は俺にない」
スバルの視線に耐えられなくなったわけじゃ無いただ本当に覚えていないからこその情報共有だ
「…っそう、か」
目を伏せ項垂れるスバルの肩に励ましかのように手を置く
「でも確かに記憶の一部が抜けている感覚はある」
魔女に目をつけられたせいなのかそれともレムと一悶着あったのかわからねぇけど
項垂れ続けるスバルを置いて部屋を出た
一人にさせたほうがいいと思ったから
ーー
同盟関係の話し合いが終わり、スバルはまたレムの所に行った
「…」
多分アイツはレムの状態を見て何回かは分からないが死んだと思う
スバルの性格を知っていればスバルがあんな風になるまで落ち込む相手を救おうとするのはすぐに分かる
嫌に冷静で諦めている姿を見れば、嫌だけど…分かってしまう
「…はぁ」
ため息をつき前髪を雑に掻き上げる
自分も誰かを頼ることなんて出来ないのに、頼ってくれないのかと傲慢な考えをしてしまう
ーーー
アーラム村の住人達を村に返す
そのために用意された竜車に荷物を運ぶのを手伝う
と言っても、村人達の荷物のほとんどは置きっぱなしで村人達の荷物は運ぶ物は対して無い、今は運んでいるのは道中で必要になる食料だ
少し離れた場所でスバルとクルシュが話しているのを見てからすぐに手を動かす
「手伝います」
「…休まなくっていいのかよ」
荷物を運ぶ手伝いをしてきた、老人を見つめる
『剣鬼』として見ると言ったものの気まずい、元々ラインハルトの事に関しては許していない、何なら思い出すだけでもいまだにムカつく、それでも『剣鬼』なら許す発言は今後のことを考えて気まずくなるのが嫌だったから言ったものだがさらに気まずくなった気がする、言わなきゃよかったと後悔している
「このくらいは平気です」
「…そうかよ」
無言のまま気まずい空気のまま、黙々と荷物を運ぶ
側から見ても気まずい空気だと分かるのだろう、村人達が一切来ない
最後の一つが終わった
「助かりました、レイン様」
終わった事を一応言えばそう言われる
「突然避難させたんだ、これぐらいはやる」
村人達と軽い会話を交わし、エミリアの元に行こうとした
「怪我も病気もなさらないように」
背にいるヴィルヘルムからそう言われ驚き振り返った、子供を見るように心配そうに見つめてくるヴィルヘルム
元々祖母が生きていた頃から、ヴィルヘルムとはあまり面識はなかった、きっと騎士団の仕事で忙しかったからだろうが、それでもそんな顔ができたのかと見た事ない顔に想像もしてなかった顔に唖然とする
それと同時に必死に言葉を探す、心配されて嬉しくって言葉が出て来ないと思われたら嫌だったから
「…目標がなくなってボケんなよ」
悪態をつきヴィルヘルムに背を向けエミリア達の方に早足で向かう
「…フ」
少しだけ嬉しかったのは秘密にする
ーーー
村人達のこともあるので村に残り、エミリア達には先に屋敷に戻ってもらう事にした
盗賊やらに村が襲われた形跡はなく、逃げてくる前の状態そのものだ
だが聖域に向かったラムと村の人達はまだ帰ってきていないらしい、静かだ
村を見回り安全を確認した
「何かあったらすぐに屋敷に来い」
と言ってから、屋敷に戻る
荒れ果てていると思っていた屋敷は、避難する前よりも綺麗になっていた
屋敷に入りエミリア達を探す
そんな中いるはずのない人物を見つけた
金髪で背の高いメイドを
「久しぶりだな、フレデリカ」
声をかければ気づいたのか振り返った
スバルが来る数ヶ月前にやめたはずのメイドが立っていた
「お久しぶりです、レイン様」
そういい手に持っているティーセットを落とさないように綺麗にお辞儀をしていた
「…ラムか?」
この状況を作ったであろうメイドの名前を出す
「はい」
ここを荒らさせるわけにはいかないそう思ってのラムの行動かと、自力で推測したが正解だったらしい、言い当てられるとは思っていなかったのか少しだけ驚いた顔をしている
「エミリア様方の元に案内しますわ」
「そうしてくれ」
レインがロズワールの屋敷に来たのは半年前、フレデリカとは大して長い付き合いでは無い、だからあまり親しい仲ではない、レイン自体親しい人間を作ろうとはしないが
だから会話があまりなく気まずい空気が流れる