ラインハルトの兄は魔女に魅入られている!   作:欠けたチーズ

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おばあちゃん子

 

フレデリカの案内の元部屋に入ればスバルとエミリアの姿が見えた

オットーの姿は無かったがまぁよしとした

 

「レイン、村の人達はどうだった?」

 

エミリアが気がかりだったであろう村のことを聞いてきた

 

「無事です、ラムと聖域に向かった奴らは帰ってねぇみたいですけど」

 

ラムが帰ってきてない、この状況を見れば察しはついたのだろうスバルは納得したような顔をしていた

 

フレデリカがお茶を並べ始めたのを見てソファに座る

レインも来る事を見越してか人数分のカップを並べている

 

「状況を見るにフレデリカから聖域の話を聞くところか?」

 

ここに長くいるラムやフレデリカは聖域に行ったことがあるという事はロズワールの口から聞いていた

 

記憶は無くなっているが流れ的にレムも知っているのだろう、聞けはしないが

 

「そうですわ、相変わらず察しがよろしいですわね」

 

長い付き合いではないが数ヶ月暮らした中だからかそんなことを言われる

昔を振り返るように楽しそうにギザギザな歯が見えないように口元に手を置き笑うフレデリカを文句言いたげに見つめるがやめた

ここで何か文句を言っても聖域についての話が先延ばしになるだけだ

 

ーーー

 

「――ガーフィールという人物にお気をつけてください。『聖域』において、お二人がもっとも注意して接しなくてはならないのが、その人物ですわ」

 

ガーフィールという名前はロズワールの口から何度か聞いたことがあった

聖域にいる盾とか、なんとか…それぐらいしか覚えていないが

 

そんなことを1人で考えている間に、聖域に行く準備は進む

 

ロズワールの書類仕事をレインができる範囲で片付けたり、剣の手入れをしたり、祖母や婆や爺やに教えてもらって出来るようになった花壇をいじりを息抜きがてらにやったり、それをスバルに見られて揶揄われたり、白鯨討伐でラインハルトが何か気に病まないように手紙を出そうか数時間悩んだり、結局出さなかったが…

 

そんなことをして数日が経った

 

廊下を歩いている時、視線の先に屋敷では見慣れない少女の姿

 

「…たしか…村にいた」

 

少女もレインの存在に気づいたのか近寄り頭を下げて

 

「ペトラ・レイテです!」

 

「そうか、ペトラか」

 

ラムがいない今、ワンオペでは屋敷の管理は不可能と悟ったフレデリカが協力者を募った結果、ペトラが新しいメイドとして入る事になった

 

「…まぁ頑張れよ」

 

「はい!」

 

ロズワールを筆頭に癖が強い人物が多いいこの屋敷、こんな幼い普通の村娘が仕事するとなれば苦労も多いいだろう、そう思って同情から来た言葉だった

 

ーー

 

必要な荷物やらをオットーと共に竜車の中に運ぶ

 

「本当に買ってもらえるんでしょうか…」

 

そんな泣き言が聞こえてくる

ため息をつき、オットーの方を見る

 

オットーが協力する条件に、何故こんなに買ったのか分からないほどに大量の油をロズワールに買い取る手伝いをする、と言う事になっていたらしい、ちゃんと買い取ってもらえるか心配なのだろう

 

「ロズワール様が買ってくれなきゃ、お前は大変な事になるぞ、借金をした商人の結末なんて想像に難く無い、加護持ちなんてさらに大変になるだろうなぁ」

 

「うぅ」

 

その言葉を聞き縮み上がった様子でせっせと荷物を運んでいる

 

「だがお前は優秀だからな使い潰されるのは勿体無い、最悪俺が油を買い取ってやるよ」

 

その言葉を聞き、緊張感のある顔からほっとした表情に変わっり心底嬉しそうに見つめていた

 

「本当ですか!」

 

「ああ」

 

間接的にエミリアの命を救った、という時点でロズワールは買い取るだろうが、レインから見たロズワールは何を考えているのかよく分からない人間だ、だからこそ一応恩人であるオットーが落ちるところまでいかないようにそうフォローする

 

それに数日間見ていたが、オットーはかなり優秀だ、ただの商人にしておくのは惜しい、エミリア陣営に引き込み馬車馬のように働かせよう、と言うような考えもあった

 

ーーー

 

道中何があるか分からないので、竜車の上に登り周囲を警戒する、もう慣れた作業だ

 

かすかに聞こえる2人の仲良さげな声

 

その声に少し安堵する

レムの記憶がないと言ってからどこか影があるように暗くなっていた、だがエミリアたら話すことでそれが少しでも改善されるなら

そう思ってしまった

 

「…馬鹿だな」

 

その言葉は自分自身に向けたものだった

弟を1番に心配しているはずなのに、弟に重ねてスバルを心配していたそれに気づいたからだ

 

ーーー

 

森に入りしばらくした時だった

 

「何かくる」

「何かが近づいてきてます!」

 

オットーの声と同じタイミングでレインもそう言い放った

 

竜車の中から聞こえた焦るような声も気になるが今は

 

走りよる金髪の少年が見えた

拳を向けられたので剣を抜く

 

「っ」

 

拳と剣が当たる、本当に拳なのかを疑うような音が森に響く

一撃が重い竜車の上、不安定な足場ということもあり殴られた勢いのまま竜車から落ちる

 

「あ?なかなかにやるじゃねぇか!」

 

額に傷跡があり、どことなくフレデリカを彷彿とさせるギザギザな歯

 

「レインさん!?」

 

心配げに声をあげている

何かあったというのに竜車の中から反応がない、何かに襲われたような音がした、オットーがレインの名前を叫んでいるという時点で、エミリアやスバルが飛び出してくるはずだ

中でも何かあった事がすぐにわかる

 

ため息をこぼし、楽しげに殴りかかってくる少年の相手をする

 

ーー

 

何とか誤解を解いた

どうやら襲って来た少年がガーフィールだったらしい

 

「改めて考えっと名乗ってなかったな。俺様はガーフィール……あァ、ただのガーフィールでいいや。最強の男だ。よろしく頼むぜ」

 

「ああ、俺はナツキ・スバル……え? 今、なに? 最強って言った? 素面で?」

 

そういいスバルは、レインの方を向き何か言いたげに見つめている

 

「こっちみんな」

 

「あ?言ったぜ? なんか変なとこあんのかよ」

 

2人の様子を不思議そうに見つめている

 

「いや、ぶっちゃけ正面から『自分が最強だ』とか言い出す輩がいると思ってもみなかったもんだから。それにしても、ちょっとでかい看板持ち過ぎじゃないか?」

 

「俺様が最強にふさわしくねェってのかよ?」

 

確かにスバルの言いたいことはレインでも分かる

ガーフィール自体はかなり強い、あと数年もすればレイン以上に強くなる、だが『最強』というにはまだ遠いいことはレインが1番よく分かる

 

「めちゃんこ強いだろうってのは認めるけど、最強かどうかって議論をしようとすると……どうしても、俺の脳内にちらつく存在がいるからな…なぁ兄様」

 

「…」

 

スバルの最後の言葉に頭を掴むでも足を蹴るでもなく少し距離を取る

 

普通にドン引きした

 

「そう言うのが!1番傷つくんだよ!?」

 

「知ってるからやってんだよ」

 

「あ?」

 

2人の様子をまだ分からないと言いたげに見つめていた

 

 

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