ラインハルトの兄は魔女に魅入られている!   作:欠けたチーズ

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心配事

聖域とは想像していた場所と違い随分寂れている場所だった

 

ラムとも無事合流することができ、ロズワールの元に案内されると言われ

聖域の中でもまともな家に案内された

 

「やーぁ、エミリア様にレインくん、スバルくん。ずーぅいぶんと、久しぶりな再会な気がするところだーよねぇ」

 

そう話しかけたロズワールの姿は寝台に横たわり、身体中包帯が巻かれている

ラインハルトのせいで霞んでいるが、ロズワールはルグニカ王国で一番の魔法の使い手だ、そんな人間がここまでボロボロになることなんてそうそう無いだからこそ、その姿に動揺し驚き声も出ない状態になったそれはロズワールを心配しての結果だ

 

「まーぁずはご無事でなーぁによりでしたよ、エミリア様。ラムから屋敷周辺に起こった問題に関しては聞いていましたかーぁらね。あなたの身になにかあっては困ると、生きた心地がしませんでしたとーぉもぅ」

 

「そう思うならもうちょっとマシな準備が……いや、んなことより、お前の方こそなんだよ。これ、どういうことがあったんだよ」

 

「ありゃーぁ、そーぉれを聞いちゃう? わーぁたしもこれでも男なんだよーぅ? こうして醜態をさらしているだけでもプライドが傷付けられているんだから、そっとしておいてほしい気持ちもわかってもらいたいものだーぁけどね」

 

「そんなわけにいかないでしょ。ホントにどうしたの、ロズワール。こんなにケガして……それも、あなたがなんて」

 

エミリアの問いかけに、レインも答えを待つもしかなりの重傷ならば、もしレインの目的を叶えられない事になるのであれば、そう言った考えが頭をよぎり不安になる

レインにとってロズワールは信用ならないが目的を果たすためには必要不可欠なのだ、だからこそ心配もするし動揺もする

 

「ざわざわって、心が落ち着かないの。ここっていったいなんなの? 『聖域』なんて呼び方をしてたけど、私には全然そう思えない。それならここは……」

 

「魔女の墓場、の方がずっと納得しやすいですかーぁね」

 

「…魔女」

 

ロズワールの言葉に少しだけ不安げにレインが呟いた、その理由を知っているからかロズワールはレインを見て楽しそうに笑みを浮かべていた

 

ーーー

 

クルシュ陣営との同盟、村人の安全を確認し終えたエミリアが口を開いた

 

「この場所の話、聞かせて。ロズワールは『聖域』って呼んだ。でも、ガーフィールは『強欲の魔女の墓場』って呼んだ。どっちが本当なの?」

 

「どちらも本当ですよ、エミリア様。この場所はかつての強欲の魔女――エキドナの最後の場所であり、私にとっては聖域と呼ぶべき場所です」

 

「――魔女」

「エキドナ……」

 

いつもの道化らしい態度や声は消え、真面目な話をする時の声に顔になっていた

 

「強欲の、魔女……嫉妬の魔女に滅ぼされたっていう、別の魔女のことよね」

 

「えーぇ、そうですとも。今や世界の歴史のいずこにも、彼女の名前は残されていない。わずかに、彼女その人を知るものたちの思い出の中以外には」

 

「待て待て待て、今の話はおかしいだろ」

 

「俺の記憶が確かなら、強欲の魔女……ってのが嫉妬の魔女にやられちまったのは四百年前だろうが。この場所が四百年前の魔女の最後の場所ってのは納得してもいいとして……お前がその本人を知ってるってのは、いくらなんでも」

 

「わーぁたし自身が知っている、とは言ーぃやしないとも。これは代々メイザース家……ロズワールを継ぐものにのみ伝わる口伝のようなものだーぁからね」

 

そういいレインの方を楽しげに見つめている

 

一体どこまで知ってるんだコイツ

そう思いながらエミリアやスバルにバレないように冷や汗を拭く

 

魔女の話はあまり進んでしたいとは思えない

 

壁に寄りかかり話を聞き流す

もし重要なことがあるならば後でスバルに聞けばいいそう思い

吐き気を抑えるために口元を手で抑える

 

ー

 

ガーフィールの案内の元墓所に向かう

 

「なぁレイン」

 

「なんだよ」

 

「顔色悪くね?」

 

本当に時々見せる勘の良さは何なんだと思いながらため息をつく

 

ヴィルヘルムの時と言いユリウスの時と言い今とい、人が踏み入って欲しく無いところにだけよく気づく

その謎の勘の良さに呆れため息をつく

 

「気のせいだ」

 

何か言おうとしたスバルが言葉を発する前に

 

「気のせいだ」

 

そう言ったが、それがダメだったのか信じてなさげな顔をしていた

 

「2度いう時点で気のせいじゃねぇよ?」

 

「レイン大丈夫?」

 

2人の会話を聞いていたのかエミリアが心配そうにレインを見上げる

 

「平気です、少し疲れただけなので」

 

「本当に?無理をしているなら早く言ってね」

 

本当に心配していることが分かる

不安げに見つめてくる目から目を逸らしそんなことを思う

 

「やっぱりレインは1番に警戒しなきゃだな」

 

「何がだよ」

 

納得したように見つめてくるスバルの頭を掴まなかった俺は偉いと思う

自分にそう言い聞かせる

 

ーー

 

「着いたぜ。ここが墓所って呼ばれてる、まァちんけな墓だな」

 

「お前のちんけの基準がわかんねぇな」

 

なかなか見ないほどにでかい石造りの遺跡を見上げる

 

「墓所にきたはいいけど、ここでなにをしたらいいの?」

 

「細けェことは戻ったあとでロズワールの野郎に聞きゃァいいさ。とりあえずのとこ、エミリア様にやってほしいのは中に入ることだけだかんよ」

 

「中に入るだけ?」

 

「この中に入ればいいの? 入ってなにかするとかじゃなくて?」

 

「今は日が出てやがっかんな。墓所の奥に入っても『試練』が始まらねェ。準備もなにもできっちゃいねェし、まずは資格があるかどうか確かめにゃなるめェよ」

 

そう言いながらエミリアを墓所に押し込もうとしている

流石に止めに入る、ガーフィールの肩を掴みその隙にスバルがエミリアを離れさせる

 

「ちょちょ、ちょっと待て! また話が飛躍してるって。試練とか準備とか資格とか、そのあたりの説明が全然ねぇぞ!」

 

スバルの言葉にうなずき説明を求める、もし少しでも危険があるのであればエミリアを中に入れさせることはできない

 

「っだよ、いいじゃねっかよ。中に入ってっからロズワールのとこ戻れば全部わかんだからよ。俺様に説明させると筋道立てて話すの苦手すぎっからこんがらがってわけわかんねェことになんぞ」

 

「お前は内容読ませない契約書にサインしろって迫ってんだぞ、おっかなくてできるわけねぇだろ、そんなこと。整理して話すのが苦手だってんなら、こっちの質問に一個ずつ丁寧に答えろ」

 

「珍しくちゃんとしたこと言うじゃねぇか」

 

本当に珍しく分かりやすい例えに思わず褒める

 

「あァ……なら、まァいいか。日没までァ付き合えねェから、手短にやろうぜ」

ーー

 

ガーフィールから説明を聞き

安全の保証ができないと言うことでスバルが中に入って行った

 

不安げに見つめるエミリア

 

そんな時だった、スバルの叫び声が聞こえたのは

 

「スバル!?」

 

「あいつ!エミリア様はそこで待っていてください」

 

「あ?おい!」

 

止めに入ろうとしたガーフィールを無視して、墓所の中に入る

 

「っ」

 

何故が異様にふらつく足取り、異常なほどの体調不良

 

倒れているスバルを見つけ肩を組み運ぶ

 

「うっ」

 

まともに立っていられない、こんな状況下レインより弱いスバルを置き去りにして墓所に出る事もできない、壁に肩を引きずらせながらスバルを運ぶ

 

「ぁあ?」

 

スバルの意識が戻ったらしい、そんな声をあげてゆっくり目を開けている

 

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