ラインハルトの兄は魔女に魅入られている!   作:欠けたチーズ

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幻想

「招かれざる客とはこのことだね」

 

おかしいさっきまで墓所の中でスバルといたはずなのに

 

「あの女に愛された哀れで惨めな子が何のようかな?」

 

あたりは草原が広がりその中ポツンとパラソルが置いてあってある、パラソル、中にある椅子に座っている女性、その顔を見た

 

「ぅ」

 

口元を抑え足をつく

喪服みたいなドレスに白い髪、そしてアイツに似ている目元

 

「…いや、君は僕の顔を見てそうなったのではないね、僕の顔とあの女の顔を重ねたね」

 

似たような目元を見て怯えてしまった

 

「何をされたのか知らないし興味も無いが、あの女と僕を重ねないでもらいたい、不愉快だ」

 

そう言われても仕方ないだろ

似ているものに反応してしまうんだから、そのせいで白が怖いんだから

目を強く閉じ深呼吸をする

 

口元を押さえていた手を離し、顔を上げる

 

「…君の見た目…剣聖の」

 

そういい面白そうに見つめる白髪に真っ黒な目の女を見つめる

 

「ふむまぁいいさ」

 

「ここから出る、にはどうしたらいい」

 

自信満々に笑う女を見つめる

その顔はどことなくアイツと似ている

 

「僕としても君をここに長居させたく無い、さっさと出してあげるよ」

 

「そうしてくれ」

 

嫌な笑みを浮かべて笑った姿を驚き見つめる

 

突然右頬を撫でられた、正確には眼帯越しに右目をだ

 

「ひ」

 

目を取られた時の記憶が頭の中で流れる、それに怯えて一歩後ろに下がる

 

「あの子も随分何かに執着するようになったものだね」

 

そう楽しげに言い放った魔女が見えた

 

ーーー

 

「…あ?」

 

目の前の光景に思わず声を上げる

 

「やっと起きた?」

 

まず見えたのはエミリアの顔だ、そして角度的に

理解して勢いよく起き上がる

 

「大丈夫?」

 

「エミリア様?前も言いったよな!それあんまりやるなって!」

 

レインはエミリアに膝枕をされていたのだ

それに気づき勢いよく起き上がった事によって多少頭がふらつくが、それよりも

 

「スバルもそんな顔すんだったら止めろ!」

 

面白くなさげに、不貞腐れたように見つめていたスバルを指差して言えば

 

「エミリアたんがやりたいって言うから」

 

「負けるな止めろ!」

 

黙って見つめるガーフィールを置き去りに2人に説教をかます

 

ーー

 

話し合いをするらしいが、頭がもうまともに働かないのでひと足先に休む事にした

 

ーーー

 

弟が生まれた日のことはよく覚えている

 

小さい手を伸ばして言葉にならない声をあげて

 

「ラインハルト、貴方のお兄ちゃんよ」

 

自分と同じ赤色の髪に青色の目、暖かくって触れば壊してしまうんじゃ無いかと思ってしまうほど柔らかくって小さくって

 

どうしようもないほどに愛おしかった

 

頑張って小さな手を伸ばしていて

 

手を差し出せば嬉しそうにその手を掴んでいた

 

「レイン、もし何かあったらラインハルトを守ってあげてね」

 

その言葉に不思議そうに答えた

 

「ラインハルトもお母様も守るよ」

 

もしこの子が自分よりすごい存在になっても自分に劣等感を抱く状況になっても何が何でも弟だけはラインハルトだけは守ると

そう決めたのがこの日だった(ラインハルトが産まれた日)だった

 

「頼もしいわね」

 

そういい嬉しそうに笑う母様の横で父様が複雑そうな顔をしていた

 

「俺は?」

 

「知らない」

 

今覚えばこの時から父様だけに反抗期が始まっていた

 

ラインハルトが2歳になってしばらくした時

母様は目を覚まさなくなった

 

眠る母様を見る

死んでいるかと思ったが触れば暖かくかすかに胸が動いている

 

「…」

 

信じたくなさげに見つめている父様の服の裾を掴む

 

「…レイン」

 

「母様起きるよね?」

 

「…ぁ、ああ起きるよ、きっと起きるその時は家族みんなで出かけよう」

 

「うん」

 

不安な顔を隠せていない父様に心配をかけまいと頷く

 

ーー

 

「兄様」

 

嬉しそうに呼ばれた

 

ラインハルトが喋られるようになっても母様は目を覚まさなかった

 

「いいんですか?」

 

「ああ」

 

自分の分のおやつのチョコを差し出す

嬉しそうにしながらも不安げに

 

「兄様の分じゃないんですか?」

 

そう聞いてきたので、心苦しいが嘘をつく

 

「兄様は今お腹いっぱいなんだ」

 

本当は食べたいがラインハルトがあまりにも美味しそうに食べるので、見ている方がいいそう思い差し出す

 

「そうなんですね」

 

納得したように嬉しそうに食べている

 

後で婆やに上げすぎはダメと怒られた

 

 

お祖母様が死んだ

そして剣聖の加護がラインハルトに移った

 

それを聞いて、少しだけ劣等感を抱いた

 

だけれどもお祖母様の葬式で、お祖父様が何にも悪くないラインハルトをなじった、

 

なのに誰も止めなくって、ラインハルトの前に出て

 

「お祖父様でも、それ以上ラインハルトのことを言うならば!許さない!」

 

そういい悲しげなラインハルトの手を掴みその場を去った

 

ラインハルトはまだ幼い自分の弟だと再認識した、たとえ大変な役目に選ばれなとしても、自分よりも強くなっても、大切な弟ならば守らなきゃいけない

そんな考えで劣等感なんて吹き飛んだ

 

「兄様僕は」

 

「気にしなくっていい」

 

悲しげな声をだし、泣きそうなのを必死に堪えているラインハルトの頭を撫でる

 

「ラインハルトは何にも悪くないんだ、なのにお祖父様は…父様だって」

 

「それでも」

 

まだ何か言いたげに悲しげな顔をする、ラインハルトの頭を乱暴に撫でる

 

「いいか!俺は絶対にラインハルトの味方だ!俺はラインハルトの兄様なんだからな!」

 

高らかに宣言すれば嬉しそうに笑っていた

 

「兄様はすごいですね」

 

「ラインハルトだって凄いんだからな、でも無理をするのはダメだ、だから兄様の前では弱くたっていいんだぞ」

 

「…」

 

無言で抱きつかれ、かすかに鼻を啜る音が聞こえる

小さな背を優しく撫でる

 

「絶対兄様が守ってやるからな」

 

 

あれから数年が経ったが、ラインハルトは時々落ち込んでいるようだ、それもそうだ日に日に態度が冷たくなる父親、国から出ることも禁止された

 

酷く落ち込んでいる姿を見て家を出て、とある場所に向かう

 

一応爺やには伝えた

 

人混みをかき分けて、ラインハルトがよく美味しそうに食べるチョコが売ってる店が見えた

 

ラインハルトが落ち込んでいる日には必ず買ってこっそりあげてる

 

だから今日も買いに来た

 

「!」

 

突然、路地裏から腕が伸びてきた、自分の手を掴んで路地裏に引きずり込んだ、突然のことに声も出なくって

 

ーー

 

「…」

 

目が覚めた、まだ太陽は登っていないらしく暗い

 

懐かしい夢を見た

まだ右目が自分の物だった時の夢

 

「……また」

 

あの時みたいにラインハルトと笑い合いたい

 

そんな夢を願う

 

 

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