いつのまにかスバルとガーフィールが交渉していたらしく軟禁状態にあったアーラム村の住人を戻すことになった
村人たちの荷物を運ぶのも終え、エミリアの見送り受けている
「それじゃ、ちょっくら行ってくる。帰りは明日になっちまうけど……何度も言うけど、無理して『試練』受ける必要はないから、少しは休んだ方がいい」
「わかってますーってば。スバルったらもう、そんなに心配そうな顔しないでよ。ちゃんと言いつけ通り、今日は大人しく休んでることにするから」
エミリアの顔には少し影があり、無理をしているのは分かってしまう
心配するような声をかけることもしなかった、出来なかった
それは魔女との契約のせいだ、曖昧な基準で契約してしまったが故にどれほど入れ込んで仕舞えば魔女の逆鱗に触れるかも分からない、だからこそレインは人とは一定の距離を保っていた、そうしなければ大切な人が殺されてしまうから
「レイン、ちゃんと戻ってきてね」
「はい」
不安げな顔のエミリアにそう言われる、後ろからのスバルの視線が痛い
何故かスバルはレインの事を恋敵だと思っている、騎士でありスバル以上の付き合いと言って仕舞えば、そう思われるがレインはたった1人の魔女以外愛せないそれを知らないが故に無駄な警戒を続けている
「レインが一緒なら心配ないと思うけどスバルのことよろしくね」
「それについては任せてください、ここ最近でアレの扱いは慣れたので」
事実王都のあれこれがあってから何となく扱いには慣れた
慣れたと言うよりも、慣れなければいけなかった
スバルはすぐ無理をして気づいた時に曇っているだから、スバルを1人にしないように壊れないように見張らなければいけなかった、魔女に目を付けられたと言う仲間意識もあってのことだ、だがそれらの行動で魔女がちょっかいをかけてこないと言うことはこう言った行動はセーフ、あるいはスバルに目を付けている魔女に手を出さないからなのかはレインには分からないが、なるべく他と変わらない態度を保つよう努力していた
「アレって言った!?」
そんな心配をよそに、スバルは驚き声をあげていた
それを慣れたかのように無視する
ーー
何事もなくアーラム村に着き、村人たちの解放は無事終わった
フレデリカに聖域のことについて詳しく聞こうと言うことになり屋敷に戻る、スバルだけでもいいと思ったが、一応ついて行くことにした
「暗いな」
屋敷の扉を開ければ薄暗く、人気がない
いつもならば屋敷に入った時点で誰かが気づき玄関ホールに来るはずだが
「誰かいないのかー!」
「なんかおかしいな、離れるなよ」
スバルの前を歩く、いつでも剣を抜けるようにする
使用人の部屋がある2階に上がり、長い廊下を歩く
「…?」
曲がり角、何か赤い何かが落ちていたそれが気になり、1人で「ベアトリスなら知ってるのか?」などと言っているスバルを置いてそれを見に行く
「スバ」
ペトラがつけていたリボンだ、真っ赤な可愛らしいリボンと、黒い服の女
目の前の光景に態様できず体は力を失い倒れていく
腹を抑え、必死に声を上げようとするが出てくるのは血だけだった
「レイン?」
突然倒れたレインに疑問に思ったのだろう、近寄ってくる
「にげろ」
やっと出たかすかな声は聞こえることは無く
「――言ったでしょう? 約束をしたでしょう?」
薄れゆく意識の中そんな声が聞こえ
意識が消えた
ーー
弟を守りたかった、母様を守りたかった、父様を守りたかった、知っている人を守りたかった
お祖母様みたいに、アイツに殺されてほしくなかった
だから突き放した
だから家族がバラバラになる一押しをしてしまった
仕方なかったんだ
仕方ないんだ
仕方がないだろ
ーーーー
「…」
ラムに手を掴まれていた
ああこの時に戻ったのか
ーー
前回同様試練の話になった
前回とは違い情報を若干濁して話しているスバルに疑問を持つ
それと同時に気づいた、不安げに見つめるスバルの目に
ああ、こいつ俺の知らない所で記憶にないところで死んだな
ーー
話し合いが終わり各々が自由に解散していく
話し合いをしていたリューズの家を出て行ったスバルを追いかける
「スバル」
周りに人がいない事を確認してから一応呼び止めた
「丁度いい時に呼び止めてくれたな」
ぼんやりとしたはっきりしない顔、本当に何があったのかと考えてしまう
「何があった」
先にスバルが死んだそれしか分からない
だから聞くしかなかった、スバルには辛いかもしれないが何も知らない状態で事を進めるよりも聞く方がいいと判断したからだった
「そうだよな…そうだったな」
口元に手を置き考え込むスバルの様子に自分の眉がよるのがわかる
いい気分ではないむしろ嫌な気分だ、助けられたかもしれないスバルを孤独にしないで済んだかもしれないなのにまた、そう考えてしまったその考えを振り払い今目の前の問題だけを考えることにした
そうしなければ弟に顔負けできないそう思ってしまったから
「また屋敷に行ったんだ、一日早く行ったのに、エルザの襲撃に遭って…ペトラもフレデリカも…レムも…」
「嫌な事は話さなくっていい」
言葉を詰まらせ苦しそうに言う姿を見ていられなくなったから
だがそれじゃぁ駄目だとアイツにスバルも目をつけられるそう思いこれは情報共有を早めるためだと言い訳を考える
「その後…俺も」
「分かった…」
これ以上聞かないことにした
レインは契約により、誰かと親しくす行為に恐怖を覚えているそれ故にメンタルケアなんてことできないだから聞けなかった、言葉をかけられなかった
また逃げたのだ