ラインハルトの兄は魔女に魅入られている!   作:欠けたチーズ

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て、とうさま

スバルが消えた

 

話した後、一旦別れ姿が見えなくなったらしい、村人達が不安がっていたのを宥め、スバルのことだからまたふらっと現れるだろうそう思っていた

次の日になってもスバルの姿がない、流石に異常だと感じる捜索を始めた

 

「…で、目撃者がいるらしいんだが、お前か?」

 

聖域に人達に聞き周り、一つの話を聞いた

ガーフィールがスバルを運んでいたのを見たと

 

睨みつけるように見つめてくるガーフィール

 

「証拠なんてねぇだろうが」

 

「さっきも言ったろ、目撃者がいる」

 

「は!見間違えじゃねぇのか?昨日は…イノシシを運んでたんだよ」

 

目を逸らして言い放った姿は嘘をついている人間がする姿がそのものだ

ここで何処にどうして、イノシシを運んだのかを詳しく聞いてもよかったが、面倒なのでやめた

 

「ガーフィール、嘘はもっと上手くつけ」

 

その言葉にさらに目つきを鋭くしている、黙れと言いたがだがレインとしても今この状況スバルは必要だった、それに目をつきを鋭くしたところでレインは引かない

 

「スバルは何処だ」

 

「だから言ってんだろ、俺様は関係ない」

 

話すつもりは無いか

 

口を割らないそう判断し、ため息をつき背を向け歩き出す

 

「何処行くきだ」

 

「お前話さねぇだろ、ならお前とくだらないおしゃべりするよりは自分で探した方が早い」

 

面倒だが仕方ない、ロズワールも聖域の住人も協力はしてくれないだろう

屋敷のこともあり、焦る気持ちがあるが今はこの状況を打破出来るスバルを優先すべきそう判断するしかなかった

 

レインが去っていく中、焦ったように近寄ってくる足音が聞こえてくる

その足音に振り向くことなく

 

「俺は何の策もなくお前とは会ってねぇそれに、俺とやり合って勝てるとでも思ってんじゃねぇよな?」

 

とだけ言えば足音は止まった

 

ーーー

 

派手に動き回る、そうすれば自然とガーフィールの注意もこちらに向く

 

屋敷のことも気になるが、今スバルを置いて屋敷に行ったとて情報が足りない返り討ちに合いかねないそれに、今この状況を何とかしなきゃいけないのも事実だ

もどかしい気持ちを抱えつつ派手な行動をして注意を引く

 

1匹の虫がレインの顔の前を飛んでいた、手を近づければレインの手に乗った

 

「やっとか」

 

数日もかかったこの作戦はようやく終わる

 

ーーー

 

何かに気づいたのか、レインの見張りをやめどこかに向かおうとするガーフィールそれを邪魔しに入る

 

「最初っから!俺様の注意をお前に向けさせるつもりだったのか!」

 

「ようやく気づいたのか」

 

怒りで震えるガーフィールを眺め、鼻で笑う

レインが派手に動きその間にオットーがスバルを探す、そんな作戦を立てたのはガーフィールにスバルの居場所を聞くために接触する数時間前だった、この作戦中常にレインにガーフィールの意識が向くため下手にオットーと合流して話せないと言う問題はオットーの『言霊の加護』で解決出来た

 

「悪いが、向かわせねぇよ」

 

剣を抜き、歩み寄る

その姿に警戒して構えている

 

「っ」

 

ここで戦えば、監禁していたスバルを逃すことになる

だが簡単に逃がしてくれる相手だとは思わない

 

ガーフィールが取る選択は簡単に分かってしまう

 

拳を剣で受け止める

 

ある程度戦闘し俺の体力を削り隙を作り逃げる、って所だろうな

 

拳を剣でいなしながらそんなことを考える

 

土地勘があるガーフィールに逃げられたら追いつけられるか分からない、それを分かっていてそう考えるだろうな

 

隙を伺いつつ逃げられるようにしている様子

 

ガーフィールが逃げたとしてもオットーの加護で協力してくれる虫や動物達の案内の元アイツらに合流すればいい

 

ガーフィールの腹に蹴りを入れ木に打ち付けられている

 

だが、村人達が安全な配置につくまでの時間がほしい

 

立ち上がるガーフィール

それを見て、間髪入れず剣を振り下ろす

 

ーーー

 

「っ」

 

木に強く打ち付けられる

木は激突の衝撃のせいか凹んでいた

 

「…はぁ」

 

逃げたガーフィールの背を見てため息をつき、オットーの加護のおかげで協力してくれるゾッタ虫を見つめ飛び立ったのを見て追いかける

 

ーー

 

木々の隙間から見える光

聞こえる声

 

「…悪い遅くなった」

 

まだ新しい死体を見つめる

どうやら遅かったらしい、地面に広がっていく血

 

商人なのにここまで命張るのかよ

 

スバルを庇い死んだであろうオットーの亡骸

 

衝撃を受けているレインを無視してスバルを殺そうと伸びてきた虎の手を剣で弾く

 

金色の毛並みの猛虎、聖域の中では亜人が多いいそれ故にガーフィールも先祖があり、あるいは獣人化が出来るタイプなのだろうと片付ける

 

怯える瞳で現実をうまく受け止められていないのか、口を震わせている

 

そんな姿にため息をつかず首根っこを掴み黒い地竜、パトラッシュの方に投げればうまいことキャッチしていた

 

「行け」

 

「まっ」

 

その言葉と同時にパトラッシュは走り去った

 

「さて、次は逃がさねぇからな」

 

剣を構え、鋭い瞳で見つめてくるガーフィールを見る

 

協力してくれた、オットーを救えなかった無力感から目を逸らし走り出す

今ここで感情的になって仕舞えば負ける、そう言うことにした

 

ーー

 

勝負はレインの方が優勢だった、このまま行けばガーフィールを押さえ込むこともできた、が何度目かのガーフィールの拳を剣で受け止めていた時

 

「…あ」

 

音を立てて剣が折れた

いやよくここまで持ち堪えたと褒めるべきだ

 

これを好機と言わんばかりに拳を叩き込まれる

咄嗟に剣を持っていた右手でガードするが、嫌な音を立て吹き吹き飛んだ

 

「っ」

 

木にぶつかる、人型の時とは違い重い拳に体は悲鳴をあげていた

 

「かは」

 

足元が真っ赤になる程血を吐く

右手は曲がっては行けない方向に曲がり使い物にならない、肋骨も折れているのだろう体がひどく痛む、頭も打ったせいか視界がチカチカと点滅する、揺らぐ霞む

 

人よりも大きいしかも虎の獣人と化したガーフィールの攻撃を一身に受けたレインは限界が近かった

だが、地につきそうな足を無理やり立たせる

ここで膝をついてしまったらもう立てないそう思ってしまったから

 

父様なんであんなに頑丈なんだろな

 

ふと頭によぎったのはよく分からないくらい頑丈な父親

きっとこの攻撃を父親が受けていれば、少し血を吐くぐらいだろうか

 

「無いものを願ったって意味ねぇか」

 

左手で折れた剣を握り、ガーフィールを見る

魔法も使えない加護もない次当たれば死んでしまう、当たらなくっても時間がくれば死ぬのは確実だそれでも立ち上がる

 

負けたくないから、負けられないから

今ここで倒れて仕舞えばスバルと一緒に逃した村人達が戻ってきてしまう

 

「レイン様!」

 

その声に驚き声のした方を見る、逃げているはずの村人達だ

 

「なんでだ!今すぐ逃げろ」

 

そう叫ぶが、こちらに近寄ってくる

 

やめろ。もどれ

 

「恩人を見捨てて助かったって!家族に合わせる顔がありません」

 

元々村人同士で話し合っていたことだった、それを知らないのは監禁されていたスバルと連絡手段が限られたレインだけ、囮作戦なんてしなければこの事態も止められたのだ

レインの叫びを無視して村人達はガーフィールに物を投げていく

 

そんなことをしたって無意味だ

やめろそう言おうとした口からは血が漏れ出る

 

自分が死んでも、どうせ魔女のせいで死ねないのに

 

レインにはやり直しが効くだが村人達はやり直しなんてない

救える命があるのならば救いたい、だから必死になって逃がそうとする

 

吠える猛獣

レインの意思を考えを無視しガーフィールは跳躍し、村人達の元に向かい爪を突き立てている

鋭い爪、あんなのに当たれば、撫でられただけでもただの人間は真っ二つになって死んでしまうだろう

 

「っ」

 

痛む体を無視して走る

村人の服を掴みガーフィールの攻撃が当たらない方へ投げる、投げると言っても大して力が入らない状態故に突き飛ばしたと言った方が正しい

 

「逃げろって言ったろが」

 

今にも泣きそうな顔のスバルが木々の隙間から見えた

 

そういえば、最後にラインハルトとまともな会話したのいつだっけな

 

最近王都で出会った時も大してちゃんとした会話はしていなかった、心残りを抱えて何度目かの死を体験する

 

鋭い痛みと共に地面に転がる

 

ーーー

 

「愛しています、だから愛してください」

 

ああ

 

ーーー

 

無いはずの痛みが

無くなったはずの死の感覚が

 

血まみれの木々を見つめる

何故か積もっている雪

 

「…」

 

アイツの権能のせいで死ねなくなった

 

死んでも気づいた時にはこうなっていた

スバルの巻き戻りの際先に死んだら記憶を保持しているのもこの権能のせいだろ

 

「だれか」

 

白い息を吐きながらそう呟く

 

まだこの状況ならスバルがどこかに居るんじゃないのか?スバルは弱いからすぐに合流しないと

 

そう思い森を抜け、聖域の住民たちがいる集落にたどり着き人を探す

 

「誰か」

 

家の扉を開けても誰1人いない

それどころか人の気配すらしない

 

「いないのか」

 

誰も探し出せず落胆した声を上げることしか出来なかった

 

「寒い」

 

雪が降り続ける

何故雪が降っているのかと疑問にも思うがそれよりも

何故誰もいない?ガーフィールでさえ見つけられない、聖域の人間が外に出ることなんてできない、だからこそ余計分からなくなっていた

 

「誰か…ぁ」

 

誰もいない理由がわかってしまった

視線の先にいる兎を見て後退りする

 

「なんでだよ」

 

増えていく兎

白くツノが生え真っ赤な小さな瞳が獲物を見つめていた

カチカチと歯を鳴らす音が嫌に響いている

 

「なんでここに大兎がいるんだよ!」

 

三大魔獣の一角

レインは大兎は見たことはないが、見た目の特徴は聞いていて知っていただからすぐに分かってしまった、分からなければこんな恐怖に苛まれる事も無かっただろうに

 

勝てるわけがない

寒いと言うのに汗が頬を伝う

村に誰もいないのは大兎が喰らったからだと気づいた

 

逃げようと足を動かそうとしたが雪に足元を取られ、この場から離れたいと言う意思に反して体は冷たい雪に転がる

 

足に激痛が走る

 

「いっ、ぅ」

 

必死に足を振り大兎を振りはらおうとするが、足だけでは無く背中や腕に群がり始めていた

 

雪に染み渡る血

 

群がる兎

喰われていく肌、皮膚の下を何が這いずり回る

目が食われて何も見えなくって、自分が食べられている音だけを聞き

 

「たすけ」

 

襲いくる激痛に恐怖に耐えきれず無意識に助けを求めようとしたが、開けてしまった口から大兎が体内に入り中から食い破られた

言葉を発することもできないまま、言葉にならない悲鳴をあげるしかできなかった

必死に助けを求め伸ばした手は雪すら掴む事無く肉も骨すらも無くなって

その場には雪に染み込んだ血しか残らなかった




レイン中途半端に強いせいでいつも不意打ちか誰か守るために死んでるな
別の死に方考えないと

権能と権能がぶつかり合ってバグみたいな感じでレインは覚えてられるかんじです
あんまり時間が経っていると復活しちゃうので、覚えてられるのはタイミングがいいだけですね、いつかこれを利用してレインが先に死んだのに覚えてない状況を作ってスバルを曇らせたい
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