「ミューズ商会とやらの本丸がある場所まで、ベティーたちを案内するかしら」
と言うベアトリスの一言でリリアナと一緒に向かうこととなった
3人の後ろ姿を見て頭を抱える
「レインなんか疲れてね?」
「だらしないのよ!」
人の気も知らずに、くすくすと笑っている2人
この一年でスバルの影響を受けまくった、ベアトリスはまだいいとして、人たらしの才を持つスバルがいる今、何かやらかすのは確実だ
出来るだけ止められるようにはするが、スバルはその上を平気で行く
「…ぶん殴るぞ」
「ぴぃっ!」
目頭を抑える、レインの言葉に2人は慣れたように笑っているが、リリアナだけは、疲れで目つきが悪くなり痛めつけていた胃がさらに悲鳴を上げ始め険しい顔に、怯えていた
「まあまあ!そんな顔せずに!」
楽器を弾き、何か歌い出しそうな雰囲気だ
「やめろ、今は向かうことが先だ、ただでさえどっかの誰かのせいで遅れているんだ」
当の本人は知らん顔をしている
振り回させていいように使われているな
いつか必ず仕返しをすると心の中で違いつつ、スバルが何かやらかさないように見張る
ーーーー
スバルとリリアナが話しているのを聞き流しながら歩き進める
「あなたひょっとして……『幼女使い』のナツキ・スバル様ですか?」
「うげ」
「うわ、かしら」
「はっ!」
目を輝かせそう尋ねたリリアナと、嫌そうな顔をするスバルとベアトリス
その逆に珍しく鼻で笑うレイン
レインにとっては、スバルにいいように使われている節があると考え始めていた、そのためこのようにスバルが嫌がる二つな『幼女使い』として呼ばれることに関しては、よく思っている
性格が悪いわけではない、ただ面白がっているだけだ
「クルシュ・カルステン公爵が主導した三大魔獣『白鯨』の討伐において、並々ならぬ助力をして、剣鬼ヴィルヘルムをして恩人と言わせた歴史の介添え人! 直後、世界を震撼させ続けた魔女教大罪司教の一角、『怠惰』これをクルシュ公爵とホーシン商会のアナスタシア嬢の力を借りながら撃破。さらには噂の裏付けが取れていませんが、三大魔獣『大兎』をも討伐し、四百年の膠着した時間を動かす最も新しい英雄!」
「痒い痒い痒い痒い痒い!」
「ぞわぞわする評価なのよ」
「何言ってる、王戦候補者の騎士としてはこれほどまでにない肩書だ」
笑いそうになるのを堪えていたが、実感声は笑っていたのだろう、スバルに睨まれた
睨まれたからと言って何かを変えるようなことをするわけも無いが
「となると!そちらにいるのは!『剣聖』の兄であるレイン・アストレア様ですね!」
普段では見れない機嫌のいい顔もその言葉によって、いつもの仏頂面に変わった
「あ」
「あ」
「え?私何かやっちゃいました?」
『剣聖』そしてラインハルトの兄であることを言われるのを嫌がっていることを知っていた2人はやらかしたな、とでも言いたげに声を上げていた、その様子にリリアナは理解できてなさげに不思議そうに首を傾げている
「その話は俺の前でするな」
「ひゃ!ひゃい!」
若干笑っていた声と打って変わって、冷たい声にリリアナは驚き舌を噛みながら返事をしていた
ーーーー
リリアナとスバルが突っ走り、交渉の場に向かって行ってしまった、勿論止めた
「ぼ、ぼぼぼぼ、僕のリリアナに触るなぁ!!」
そういい魔石をスバルに投げ大爆発した
という感じで、交渉は決裂に終わった
爆発のせいで所々薄汚れているが気にせず、落ち込むスバルの背を手加減して叩く、励ましでは無い
「なんで、お前は、いつも、問題ばっかり!」
「地味に痛え!やめろ!」
「スバルも悪気があったわけじゃないのだから、ね?」
エミリアの諭すように言い放った言葉に、やめるしかなく、手を止めため息をつく
「申し訳ありません、スバルを街の中で遭難させるべきでした」
「そこまで方向音痴じゃないからな?」
その言葉にスバルとベアトリス以外からの、信用なさげな目線がスバルに向けられていた
その視線に気づいているのかは分からない
「…はぁ」
ため息をつきつつ近くの水路を現実逃避気味に眺める
反射して綺麗に輝いて…
ふと前を向いた時、白髪の男が真っ直ぐ歩いてきていた、エミリアは話に夢中で気づいていないらしい
「エミリア様失礼します」
「ぇ、うん」
エミリアの細い手に自分の手を回して、前の男とぶつからないようにエスコートする
「レイン…!」
「ならお前がやれ」
嫉妬が混じった声にそう反論すれば何も返ってこなかった
「いや別に、レインはエミリアたんに今の所は気がないって知ってるけど、ほらエミリアたん可愛いし〜?いつレインがエミリアたんの可愛さに気づいて落ちるか分かんないし…その逆もあるし」
「よく分からないけど、スバル心配しすぎじゃ無い?」
「お前は俺がそこまで落ちぶれてると思ってんのか?水路に落ちろ」
ふと後ろを見た時、黄色い目と目があった、無自覚な悪意あの魔女と似たような目
冷や汗が出る、背筋に氷を入れられたようなゾッとする何か
…気のせいだといいんだが
不安を拭うこともできず、ただ宿に向かい歩く
ーーー
プリステラが商人が行き来する場合ということもあり、オットーは挨拶回りに行くことになり、別行動となった
角の向こうに行けば宿につく、そんな時だったおとなしく歩いていたらガーフィールが耳を震わせ、鼻面に皺を寄せ始めた
その様子にエミリアも気づいたのか
「どうしたの?」
「んや、宿の方から……口ゲンカみてェのが聞こえてきてよォ」
ガーフィールが言った直後確かに声が聞こえた、男たちが言い合う声
「派手にやってやがるみたいだけど、騒ぎの絶えない町だな」
「お前が言うな」
「人の仕事場で魔鉱石の暴発食らう大将ァ人のことッ言えねェんじゃねェか? 商会の連中が人払いしてなきゃ、今頃は衛兵に囲まれッてらァ」
ガーフィールとレインからの言葉にバツが悪いのか、隣を歩いていたらエミリアに語りかけた
「あれは俺の不可抗力だと思うんだけど……エミリアたん?」
だが当のエミリアは小走りで声のした方に向かっていってしまった
「今の声、片方は聞き覚えのある声で……っていうより、ヨシュアくんだと思うの」
「あァ。そういや、あのヒョロヒョロ野郎の声かもしんねェな」
「関係者が面倒起こしてるってんなら大変だ。俺らもいこう」
「何で、ヨシュアが出てくるんだよ」
この場にいるメンバーの中で勇逸、プリステラに行く際ヨシュアからの説明の場に居なかったレインだけが、首を傾げている
アイツ体弱かったろ
記憶にあるのはまだ幼く体が弱いヨシュアの姿
小走りで向かっていく4人を追いかける
「いいから、何度も同じこと言わせんじゃねえぞ、ガキ! 舐めた口きいてねえで、とっととご主人様を連れてこい!」
「あなた方のような粗暴な方々の前に、主人どころか兄様だって呼べませんよ。お引き取りを願います。自分が大人しく応対しているうちにね!」
「話のわかんねえ野郎だなあ、オイ。ぶっちめるぞ、てめえ!」
前見た時とは違いかなり身長が伸びた紫色の髪の青年、ヨシュアが両手を広げ宿の前に立っている、そして言いたいをしているもう1人は、背中を向けていて顔が見えない
「そこまでよ!」
誰よりも早くエミリアが飛んでいき、2人の間に入る
「え、エミリア様!?」
「用事が終わって戻ってきたところだったの。宿の前でこんな騒ぎを起こしてたらダメじゃない。ケンカの原因はなんなの? 落ち着いて話しなさい」
子供の喧嘩を止めるような言い方に場は白ける
その様子にスバルは安堵のため息をつきガーフィールは「なんだ、ケンカにならねェのかよォ」と退屈そうに言った背を引っ叩く
「喧嘩なんて起きねぇ方がいいんだよ」
「…!レインさん、お久しぶり、ですね…皆さんも続々とお戻りで……お疲れ様でした」
目が合い気まずそうにそう言い放った姿に見た目は変わったが、中身が変わっていないことがわかり、少し残念に思ってしまう
て事は、ラインハルトとユリウスとの関係は変わりなしか
レインはよく人を見ている、その為ヨシュアのアレコレにも幼いながらに気づいてはいた、だがそれはもう片目が自分の物では無い時、問題を解決出来るわけもなく、ただ知っておきながら放置していた
「はい、ありがとう。それで、ケンカの原因。隠さないで教えなさい」
「エミリア様にご心配をおかけするようなことでは……」
「どうしたもこうしたもねえ。そのガキが、呼ばれてきてやった俺たちを通さねえとほざきやがったんだ。だから抗議してたってんだよ」
声を上げたのは言い争っていた男だった
「だから何度も言ったはずです。身分を騙るなら騙るで、それなりの準備と身の程を弁えるようにと。少しばかり良い服を着たぐらいじゃ、滲み出る品のなさは隠しきれません。嘘も大概にしてください!」
「下品で悪かったなあ! 俺だって好きでこんな格好してるわけじゃねえよ! 使いっ走りしてんのも同じだ。ああ、クソ、話にならねえ!」
「取り敢えず落ち着けよ」
レインの静止も届いていないのか空気は変わず険悪だ
「どうしたの、スバル?」
どうしたものかと考えつつ、乱闘になった際いつでも飛び込める準備をしているガーフィールを止めている時、そんな声が聞こえ目をやる
「いや、気のせいかもしれないんだけど……この人、どっかで見たことあるような気がして……」
首を傾げ悩んでいる
「ああ? なんだ、オイ。今度はてめえまで因縁つけようと……っ!?」
スバルガラ思い出すやらも先にガラの悪そうな男が何か思い出したかのようにスバルを見つめていた
「て、てめえ……ラインハルト詐欺の……!」
「ラインハルト詐欺って、ずいぶん限定的な詐欺……あ」
「…」
人の弟の名前で詐欺名を作るなと言いそうになったのをグッと飲み込む
「チン! チンじゃないか! うわぁ、なんでこんなとこで、元気してたか?」
「馴れ馴れしく呼びかけてきてんじゃねえよ! そもそも誰がチンだ! 俺にはラチンスって名前があんだよ!」
ラチンスという名前に何処か聞き覚えがあったが思い出せないのでやめた
「チンじゃねぇか」
「うるせえ!」
何故かラチンスは嫌そうな顔をしているのに対してスバルは仲良さげに話している
俺と会う前の知り合いか…いや相手は嫌がってんな
止めるべきか問い詰めるべきかを考え始める
「ラチンス。戻ってこないと思ったら、何を騒がしくしているんだい?」
その声に、驚き固まる
だからガーフィールがラインハルトに殴りかかったのを止められなかった
「ガーフィール!」
獣人化した手でラインハルトを殴ろうとしたが、ラインハルトの手よりも何倍もでかい手は簡単に受け止められてしまった
ラインハルトの体はよろめくことなく真っ直ぐに何事もなかったこのよう立っていた
「…ガーフィールやめろ」
「兄様!」
嬉しそうな声に目も向けず、ガーフィールを引き剥がす、猫のように持ち上げれば反論したそうな顔を見つめる、何か言おうと口を開けすぐにやめていた
「ガーフィール、やめろ。こいつはラインハルトだ。俺の……友達だ。」
その言葉に安心してしまった
スバルならそう言ってくれるだろうとは思っていた、若干言葉が詰まっていたのは決闘でのあれこれが原因だろう
「ガーフィールすぐに殴りかかるのはやめろ、エミリア様の顔に泥をかけるような事だ」
「だが…悪かったぁ、レイン兄ぃ」
「…」
何かを言いかけたがすぐにやめたらしい
物分かりがいいのはいい点だ、スバルも見習って欲しい
「…僕の兄様なのに」
レインとガーフィールのやり取りを見ていたラインハルトの口から漏れ出た言葉、レイン達には聞こえずスバルにだけ聞こえていた
その言葉を聞いていたスバルは驚きラインハルトとレインを交互に見つめていた
ガーフィールが放った「レイン兄ぃ」と言う言葉に嫉妬してのあの発言だと言う事は理解している
悔しそうにガーフィールを見つめるラインハルト、その様子に気づかず説教をしているレイン
「…」
口元に手を置き、考える
本当に何でレインはラインハルトの事嫌ったフリなんてしてるんだ?
口に出さない疑問を心の中で唱える
レインが本当はラインハルトを嫌っていない事は分かっている、だからこそ魔女に魅入られた同士、と言う言葉を思い出し嫌な方向に納得してしまった
ハッピーエンドとバットエンド、どっちの方が人気なんだろ
内容によるのかな?
ハッピーエンドに決まりました!
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ラインハルトルート(和解)
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パンドラルート
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どっちも