右頬からどんどん上がっていく小さな手
少しひんやりしているその手が怖い
「怖がらないでください、怯えないでください」
無理な話だ、そんなことを思っていても口には出ない、喉の辺りで声にならない呼吸音に変わってしまう
「私は貴方を愛しています」
やめて
お願いだからやめてくれ
もうやめてくださいお願いします
ーーー
「っぁ」
ふらつく足
周りの雑音がうるさく気持ち悪さを悪化させる
青い空に浮かぶ太陽すら気持ち悪さを悪化させていく
「ぅっ」
眼帯が付けられている右目を押さえ、路地裏に向かう
結局あれはなんだ、なんで戻ってるんだ?
スバルはいた、1人でいた
アイツは何か知ってるのか?
吐き気を必死に抑える
冷や汗が止まらない
「…うで無事だ」
今更気づいた事に驚き痛みがない事も確認する
「何なんだよ」
また俺が何をしたんだよ
そう思い立ち上がりまた弟がくる前に路地裏を出た
「衛兵さーーーーーーーーん!!!」
そんな声が聞こえ呆れた
「アイツ何やってんだよ」
ため息をつき声のした方に向かう
ーー
路地裏の出入り口でスバルが出てくるのを待つ
スバルを助けたのが弟だから、堂々と路地裏に入る事が出来ない
路地裏から出てきたスバルに声をかける
「スバル」
「ってうお!?」
「情けねぇ声出してんじゃねぇよ」
路地裏の方を確認する、自分の片っぽの目と同じ青色の目と目があったのでスバルの手を掴み逃げる
困惑するスバルの声は無視する
「なぁ」
耐えきれなくなったのか声をかけてきた
「お前の仕業かこの状況は」
「え」
「え、じゃねぇよ前も助けに行ってやっただろうが」
かなりの距離、離れたが追って来ないのを確認して振り向きちゃんと見る
「レインは覚えてるのか」
「だからそうだってんだろ…何だよその顔」
泣きそうな顔に困惑し焦る
涙は出ていないが自分がやった状況ならば焦る
「いや、わざわざ頼らなかった相手が頼っていい相手だと思わなかったよ」
ため息混じりにそう言われた
その言葉の意図が分からず顔を顰める
「何だよ突然、意味わかんねぇし」
「わざわざ恋敵を頼る奴なんていねぇて事だよ」
「恋敵?」
言っている意味が分からず首を傾げる
恋敵も何も、レインには想いを寄せる人間なんていないのだ
「別に俺はあの人に気があるわけじゃねぇよ」
はっきり言えば、信じられないと言いたげの顔にむかつき頭を強く掴む
「地味に痛い!」
そんな声を上げている
ーーー
時間が戻ってる事しか説明してくれなかった
何か言いかけた時スバルが止まりなんか苦しそうにしていたのでそれ以上は聞けなかった
今はエミリアを探すべく、人混みの中を歩いていた
「てか、お前ラインハルトときょ」
「その名前を出すな」
不思議そうな顔のスバルを一つしか見えない目で睨む
「仲悪いのか?」
「悪い」
一方的に拒絶しているだけだが
「俺の前でアイツの名前出すなよ」
「分かったよ」
呆れたようにそう言い放つスバルにむかつき頭を掴む
「何でだよ!」
ーーーー
何かが刺さった跡のある壁を見つめる
「どうするつもりだ」
氷柱が突然現れて壁に刺さって消えた、
果物屋の店主から聞いた話を推理すればもう徽章は盗まれた後だ
盗品蔵に向かいつつ話す
貧民街の近くということもあって人は少ない
「フェルトからこれを使って徽章を買い取る」
そう言って見せられたのはよくわからない箱みたいなやつ
これにどれほどの価値があるのか分からないが
「…俺実家すぐ近くにあるから、金借りてこようか?」
多分借りれる
落ちこぼれであり『剣聖』の加護は無いが…多分借りれる
「ミィーティアだよ、それもなかなか希少なそれに前回はこれで買い取れた」
「つまり買い取って、殺して奪えばいいって事でやられたと」
「まぁそんな所だよ、て事でレイン特別にこのミィーティアの機能を見せてやる」
価値を信用してなさげなレインにスバルはそう言い放った、まずは仲間から信用してもらわないと困るという事だ
「やるな、とっておけ」
と言ったのもつかの間、眩しい光が視界を照らす
「お前なぁ」
文句を言いい頭を掴もうと思ったが、差し出されたミィーティアを見れば、自分がいた赤い髪に右目に黒い眼帯、青い目
「…確かに金を借りて来なくって良さげだな」
安堵のため息をつく
「マジで借りるつもりだったのかよ」
そこまで信用してなかったのかと肩を落としている
「主人の危機だからな」
ーー
死んでいた少女こと、フェルトの寝ぐらに行くことになったが、真っ黒な見た目は目立つという事で人目のつかない所で、待つことになった
「あの服装も目立つと思うがな」
不満を垂れる
すごく目立つ服を着ているやつから、お前目立つと言われ不満に思う
しばらくして話し声が聞こえたので表に出る
「遅え」
服装についての不満混じりに、冷たく言えば
「悪い」
軽く返された
「一つ聞くけど、そいつは」
赤い瞳で睨んでくるフェルト
なんて言おうか困っているスバルより先に答える
「そいつの護衛」
手を軽く上げ無害アピールをする
怪しげに見つめてくる瞳は閉じたと思えば、どうでも良さげに見つめてくる目に変わっていた
「まぁ私は高く買い取ってくれたらいいわけだから、でも変なことし出したらただじゃ置かねえからな!」
「そっちが変なことしなきゃ俺も変なことしねぇよ」
このような交渉は顔を合わせた時点で始まっている
警戒心を緩めず、フェルトの案内の元盗品蔵に向かう
ーーー
盗品蔵に入り、ある程度の世間話を終え本題に入る
「そもそも、なんで兄さんはこの徽章を欲しがんだよ?」
「アタシに依頼してきた姉さんも話したがらなかったけど、兄ちゃんもそーだな?」
「……そもそも、盗み自体がいかがわしい話なんだから、後ろ暗い理由があるのは誰でも一緒だと思うんですがー」
「でも、特にアンタは後ろ暗いわけだ。ま、落ち着いて考えてみりゃー、盗みを依頼された品物を横からかすめ取ろうってんだしな、こんな怪しげな護衛まで連れて」
獲物を見るかのように見られる
「この徽章は、なんだ? 実はこいつには、この見た目以上の価値があるんだ。だから欲しがるんだろ? それはつまり、魔法器以上の金になる価値ってことだ」
「待て、フェルト。お前、その考えはマジに危ないぞ。話の流れ的に何を言い出すのかだいたい予想がつくのがゲーム脳でアレだけど……それはマジにやめとけ」
このまま行けば、徽章にとてつもない価値があると勘違いしたフェルトにふっかけられるそう思い口を開く
「その徽章にお前が想像するほどの価値なんてねぇよ」
ただの目印なんだから
一部の人間にしか渡されない物だが、目印の意味を果たせないそれに価値などない
会話をしていた2人の視線が向く
「じゃあ何でこれを欲しがるんだよ」
「数が少ないからだ宝石だって数がすくねぇから高くって貴族とかに人気なんだろ?で、それをそこら辺で売れば大した金にもならない、なら大きい方に賭けろよ、損はしたくねぇだろ?それとスバル初めての交渉で緊張してんのはわかるけどよ、そんなんじゃ舐められるぞ」
「助かったよ」
安心したのかほっと胸を撫で下ろしていた
一体!どの魔女なんだ!何ドラなんだ!