ラインハルトの兄は魔女に魅入られている!   作:欠けたチーズ

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2つの選択

レインが到着する数十分前

 

「ラインハルト」

 

1人の老人の搾り出すような声で楽しげな朝食の場は少し静かになった、気がした

 

「その…だな」

 

「はい、なんでしょうか」

 

「……う、うまく焼けそうにない。コツがあれば、教えてはもらえまいか」

 

途切れ途切れで言い切った

その姿に、息を呑み皆次に出る声を待っていた

 

「――はい。わかりました。お祖父様」

 

口角を緩め、そう言い切った姿にスバルは小さくガッツポーズをしていた

この場にレインもいたならばあの輪に無理矢理入れ、立ち上がり声を荒げて喜んでいただろうが、帰ってこないのだ仕方ない

 

実際はレインが邪魔が入らぬようにしているため、この場にレインが居たならば、この空気は気まずく終わっていた

それを知る術がないスバルはただレインが1秒でも早く戻ってくることを願う

 

「…こうか?」

 

「はい」

 

さっきとは違いかなり上達している姿が見えた

 

見るたびに、次を作るたびに上達していくダイスキヤキ、それはどんどん山盛りになっていく

 

祖父と孫、その2人が楽しそうに笑い合いダイスキヤキを作っていた

 

「ヴィル爺、流石に作りすぎじゃにゃい?」

 

「む、」

 

微笑ましい姿を見守ってはいたかったが流石に食べ物を粗末には出来ないと声を上げたのはフェリスだった

 

「フェリス、こっちにはまだきてないレインがいるんだぞ?」

 

「あー」

 

つまりは全てレインに食わせようという事だ、それに納得して誰も止めに入ろうとしない、むしろ、スバルの言葉を聞いてラインハルトの口元がさらに緩んだ

 

「レインはすぐ戻るって言ったのに、遅れた、なら文句言えないだろ?てことで!ラインハルト!ヴィルヘルムさん!レインの腹がはち切れるまで作ってやれ!」

 

「そこまではやらないが、兄様が満足するまで作るしよう」

 

ラインハルトは目を輝かせ楽しげに笑っていた、その様子を見てからヴィルヘルムも釣られて笑っていた

 

「マシな顔になったじゃねぇか」

 

楽しそうなラインハルトの顔に、フェルトは満足げに山盛りになったダイスキヤキを頬張った

 

「でもいいんですか?」

 

耳打ちしてきたのらオットーだった

 

「なぁに、レインにも必要だろ?休息」

 

「…そうですね…所で、何でエミリア様やベアトリスちゃんが作った焦げたダイスキヤキを皿に乗せてるんですか?」

 

焦げ食べるのを後回しにしていたダイスキヤキ達

焦げていたり、ソースが染み込みまともに食べられない物ばかりだ

 

「選ばせるんだよ」

 

「え?」

 

「レインにエミリアたん達が作ったダイスキヤキか、ヴィルヘルムさん達が作ったダイスキヤキ、選ばせるんだよ」

 

「それ、レインさん嫌がりません?」

 

休息と言っておいて試練を与え始めるスバルに若干の焦りが浮かべる

 

「ツンデレ兄様の面の皮を剥がしてやるぜ!」

 

「ナツキさんはレインさんに何をされたんですか!?」

 

何かされたとしか思えない発言に声を荒げるが、どちらかと言うとスバルの方が何かしている気がすると考え始めていた

 

レインが到着するまで後数分

 

ーーー

 

朝食会場に着いたのは、もう終わりかけた時間だった

 

「ガーフィール見つかったか?」

 

その言葉に首を横に振る

 

「遅かったけど、もしかして迷子になってた?」

 

「お前じゃねぇんだよ」

 

馬鹿にするように笑う姿に腹が立ったが、今はグッと抑える

 

「それより、アナスタシア様聞きたいことが」

 

「どうしたん?」

 

「本当にプリシラ様方には声をかけていないんですよね?」

 

「そうやけど、何でなん?」

 

なら何処からか情報を手に入れ、来たのか

 

「いえ、先ほどプリシラ様が宿に入ろうとしていたので、止めていたのですが…」

 

「また面倒な事になったわ…」

 

あからさまに肩を下げ、やれやれとでも言いたげだ

その気持ちはわかってしまう

 

「プリシラって、お前よく生きてたな…」

 

「お前は何をされた」

 

流石に生死には…関わるな

 

時間差でスバルの言葉に納得きてしまった自分が悔しい。

 

「じゃぁ、あの偉そうな姉ちゃんも此処にいるってわけだな?」

 

「はい」

 

「レインきゅん本当によく無事だったね〜」

 

楽しげに笑いながらそう聞いてくるフェリス

 

「本当にな」

 

下手したら首を切られていた

 

「まあ、そんなお疲れなレインのために」

 

「え!?本当にやる気なんですか!?ナツキさん!」

 

その言葉に嫌な予感はする、スバルの近くに置いてある、山盛りの丸焦げな何かと、これまた山盛りのダイスキヤキは関係無いと考えたい

 

考えたかった、がすぐにその考えは覆された、スバルがその2つを持ち

 

「こっちがエミリアたんが作ったダイスキヤキ、そんでこっちがヴィルヘルムさんとラインハルトが作ったダイスキヤキ、どっちがいい?」

 

軽く持ち上げながら丁寧に説明している

スバルの後ろではエミリアとベアトリスが自慢げに胸を張っていた

 

「…」

 

皆レインを見ていた

普通なら綺麗な方を取るだろう、レインだってそうしたいだが

 

焦げた方を取れば(エミリアとベアトリス)そこまでして家族が嫌かと思われ、綺麗な方を取れば(ラインハルトとヴィルヘルム)主人の顔を立てられ無いだけではなく、主人の料理が下手すぎて捨てるしか無いという、一部から反感をないかな無い状況になるかもしれない

 

レインにとってこの選択は死刑宣告に近しい物だった

 

ーーー

 

結局どっちも全部食べた

胃の中パンパンに押し込められたダイスキヤキは押しただけでも逆流しそうなほどだった

 

「…」

 

「レインさんよくあれだけ食べましたよね…」

 

「…」

 

口元に手を抑える一向に喋らない姿に同情の眼差しを向けるオットー、レインの中では止め無かった時点でスバルと同罪なのであとで殴ると決めていた

 

「…」

 

「怖いのでそろそろ喋ってほしいのですけど」

 

一向に喋ろうとしないその姿勢にオットーは恐怖を覚えていた

 

「はぁ」

 

「喋ってほしいとは言いましたけど…ため息は…」

 

「スバルもオットーも同罪な」

 

重い体を動かして外に出る事にした

 

「え、ちょと待ってください!僕は止めました!止めました!」

 

後ろから慌てた声が聞こえるが、知らない

 

ーーー

 

そう言えば、プリステラには腕の立つ複製師がいたな

 

ポケットの中にある金属を指で転がしながらそんなことを思い出した

これの修復の依頼をしに行くか、いやそんなことをしたら

魔女の逆鱗に触れかねない

 

すぐに辞める事にした、そもそも場所も知らないので行けるわけもない

 

ため息をこぼし、目的もなく歩き回る

 

ーー

 

耳をつんざくような、恐怖を煽るようなそんな声が聞こえた

 

町中に聞こえる声、プリステラにある放送

それを悪用して誰かが使っていることなどすぐに頭に浮かんだ

 

見知らぬ恐怖を煽るような声に戸惑い逃げ出す市民

 

『アタクシは魔女教大罪司教色欲担当…エメラダ・ルグニカ・カペラちゃん様でーす!』

 

放送から聞こえた声に耳を疑いたかった

 

「魔女教…」

 

どうにかして、スバルと合流すべきだ、そう判断して来た道を走る

 

走って胃にあるものが逆流しそうになるのを必死に抑えて

 

「っ!」

 

突然視界に入って来た黒い何かを咄嗟に避ける

避けたせいでバランスを崩し、派手に転び地面に転がるがすぐに立て直す

 

「…魔女教徒」

 

黒い頭巾を被った集団

 

十字のナイフを見せつけるだけで、襲ってくる様子はないが、魔女教徒相手に細かいことを考えている暇なんてなかった

 

今はすぐ無茶をするスバルか、すぐ無理をするラインハルト、魔女教徒相手ならば1番に狙われるエミリアの元に駆け付けたかった

 

進む邪魔をする魔女教徒相手に剣の刃を突き立てる

 

 




ハインケルによるラインハルトの足止めは起きました
レインはアストレア家長男なのに呼び出されなかった。可哀想

ハッピーエンドに決まりました!

  • ラインハルトルート(和解)
  • パンドラルート
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