ボロボロになった都市庁舎の中で、アナスタシアから何があったの経緯を軽く聞き終えた、エミリアは着替えをするため別れ、ベアトリスはエミリアと一緒に行ってしまった、なんでもエミリアと話があるといい。
やる事もなくなってしまったスバルは、気づいた時には姿が見えなくなっていたレインを探すべく、1人歩き回る。
「…」
「すげぇ項垂れてる」
都市庁舎から少し離れた民家だった物の近く、瓦礫に座り項垂れているレインを面白げに発見した
「何があったんだよ、兄様?」
「…」
「レイン?」
いつもならば、兄様呼びをした際すぐに反応するのに、反応しなかったことに疑問を持ち、レインの方を見つめる
「…スバルは…ラインハルトと友人なんだよな?」
「?まあそうだけど」
レインの言葉はいつまで経っても返ってこなかった
「何だよ…」
「スバル、今すぐ逃げろエミリア様やラインハルトを出来るだけ遠くに逃してくれ」
目を向ければ、口元を押さえ真っ青な顔のレインだった
その姿を見てすぐに何か異常があったことを理解する
「何言って」
「早く!」
切羽詰まった様子に従うべきかを悩んでいた
いつもは見せない姿
従うべきか、それとも1人にさせず一緒にいるべきか
「そんなに慌てないでください。私はただあの時の言葉を守りに来ただけです」
スバルには聞き馴染みのない声、その場には似合わない、警戒心が無くなるような優しく美しい声
驚き声の主を探そうとしているスバルとは違いレインはただ顔を青くして怯えていた
見た事ない姿に、ただ気になり声の主を探すのをやめレインを見ていた
「早く行け!」
震えた声だった、震えてえ怯え切った声
聞いこともない声に、言葉とは反対に驚き固まってしまった
「逃げなくっていいのですか?」
また聞こえてきた声に、声のした方を向く
誰もいない、何もないあったとしても瓦礫だけだ
「なぁ、レイン」
この状況を理解すべく、何か知ってそうなレインの方に目を向けた
「は」
座っていたレインの肩に手を置き、頭に顎を乗せ楽しそうに青い瞳を細め笑っている少女、レインから目を離したのは一瞬だったというのに音もなくレインの側にいることに驚きつつその容姿に見入る
白金の髪が真っ赤な髪の上に置かれ、その存在感を放っている
何処となくエキドナを思い出させる目元、角度的にはっきりは見えないがかろうじてわかる左右で微かに違う青色の瞳、何故か布一枚しか着ていないが、何より異彩を放つのは顔だ、人間離れした整った美貌
その姿にスバルは息をするのも忘れただ呆然と見つめていた
「…なんで、おれは」
「ええ貴方は契約を破っていない、ですが我慢出来なくなりました」
ああレインが怯えている理由はコイツか
少女の長い髪でレインの顔は見えないが体が震えているのが見えた
「逃げろ」
目が合った気がした、その声に体が動くことができなかった
ここでレインを置いて逃げてしまったら、取り返しのつかない結果になりそうで
怖くって
だからと言って、ベアトリスがいない今どうにか出来るわけでもなくって
「スバル?」
聞こえた声
「兄様を探しているのだけれども…ただ事じゃないみたいだね」
頼りになるけど今は聞きたくない声だった
レインが1番危険から遠ざけたい人物
振り返れば険しい顔をして、『龍剣』を握るラインハルトの姿が見えた
「おや、困りましたね」
「やめろ」
「兄様から離れて下さい」
ラインハルトから聞いたことな冷酷な声だった
自分に向けられたものではないと分かっていても、冷や汗が流れる
「ラインハルト、スバルを連れて逃げろ」
「断ります。兄様を今ここで置いて逃げるわけにはいきません」
「おねがいだから言うこと聞いてくれ」
レインの懇願にラインハルトは聞く耳を待っていないらしい、動きはしない
「嗚呼、悲しいですね、ずっと助けたいがために行動していたと言うのに…」
「ひっ」
肩に置いていた手がレインの顔に触れた
その行動にラインハルトも足を進めていた
「やめろ…来るな」
「嗚呼…嫉妬してしまいそうなほどに素晴らしい愛ですね」
「待て、ラインハルトなんか変だ」
レインの必死よう、何か異変を感じて止めに入ろうとした
「ラインハルト・ヴィン・アストレアはこの場にいるはずがないなぜなら大瀑布にいるのだから」
その言葉と共にラインハルトは消えた
「は?」
忽然と姿を消した
さっき立っていた場所にも、辺りを見渡してもその姿は見えなかった
「なにが」
「ぁ、ああ!」
振り絞ったような声、それはレインからだった
一気に立ち上がる、レインの方に体重を乗せていた少女は持ち上がり、勢いよく振り返ったレインについてこれず宙に浮かんでいた
白金の髪が風になびき、風によって持ち上げられた布の隙間から白い肌が見えていた
そこだけ切り抜けば女神とも聖女とも言える姿だった
「パンドラぁあ!!!!」
「ああやっと、呼んでくれましたね」
剣を抜き少女の上半身を切り、体を二つにした
「お前が!先に契約を破ったんだ!お前が!ラインハルトに!危害を加えたんだ!」
言い訳をするように怒鳴り散らす姿にただ唖然としながらも嫌に頭は働いていた
レインがラインハルトを避けていたのはこいつのせいだということ
パンドラ、さまざまな災いを引き起こす箱の名前
その名前の時点で良い予感もしない
そして何より気になるのは
パンドラの片目だ、深い青色の目とレインと同じ目をしている
頭の中で線と線が繋がっていくのがわかる
誘拐し、レインの片目を奪ったのも
ラインハルトに危害を加えられないように突き放していたのも
全部
「契約なんてもう放棄してますよ。言ったはずです、我慢できなくなったと」
死んだはずのパンドラの声が聞こえた
死体があった場所に立っていた、何事もなかったかのように、地面に広がっていた血も無く、見間違いなのではないかと、自分の記憶を疑ってしまうほどに
「ぁ、あ」
心底怯えた声がレインの喉から漏れ出ていた
「レイン!逃げるぞ」
無茶を言っても頼りになったレインに頼れないと判断し、手を引っ張り走る
青ざめ怯え切った顔で、握っている手は微かに震えていた
見たことない姿だった
死に戻りを知った際も大兎のことを話した時もレインがこんなに怯えた顔になったことは無かった
「レイン!しっかりしろアイツとどんな関係があったかしらねぇけど!今は逃げるぞ!ラインハルトならきっと無事だよ!お前の弟だろ!」
その言葉に下を向いていた瞳はスバルを見つめていた
「……ぁあ」
弱々しい声
「っ」
走る追いかけてくる様子もなく、少しずつ走るスピードを下げる
どこにいくべきか、誰を頼るべきかを悩む
ベア子を頼るのは当たり前だ、エミリアは今着替えているし…
大罪司教の到来で疲弊している中のパンドラ、頼れる相手を頭の中で考える
「スバル」
「ラインハルト!」
大瀑布、世界の端と聞いていた割には早く戻って来た、ラインハルト
その姿に、掴んでいた手を離し駆け寄る
「兄様は?」
「怪我とかはないと思うけど」
レインじゃあるまいし、なぜ本人に聞かないのかという疑問もあるが、見るからに怯えている様子を見てと判断して答える
「それならよかった」
そういいスバルの方に歩み寄る
正確にはレインの方に真っ直ぐと
「兄様に何があったかは分からないでも、あんな顔をさせるのは許されることではない」
「…ラインハルトもう、分かっただろ、アイツは危険だだから早く…
スバルを連れて逃げろ」
スバルの横を通り、レインの前まで行く
それを目で追った時に気づいたレインの後方
「っ!アイツ追って来やがった!」
スバルの視線の先には音も立てずに気づいたらいたパンドラの姿に
「貴方が何者なのかも兄様とどう言った関係かも知らないただ、分かるのは兄様の僕の敵だということ」
「敵だなんて、悲しいですね」
微塵も思ってないと思わせる様な発言
シリウスの時と同じ様に手刀の構えをしている
ラインハルトに任せておけば、あのよく分からない少女も倒してくれるそう信じ切っていた
ラインハルトが手を下した
手で切ったと思えないほどの切れ味で、肉は切れた、肩から腹あたりまで切られ、血が水の様におふれ出ている
皮一枚で繋がった腕は力無く下がり振動に揺られている
「けほ」
「なんで」
きっとこれは喜ばしい事だったのだろう、レインをあそこまで怯えさせ、目をくり抜いた犯人だと思われる人物を倒せていたのならば
血を流し膝をついているのがレインでは無ければ
「なに、して、るんだよ、ラインハルト?」
「?何を言ってるんだスバル?」
力無く地面に倒れていくレインと心底不思議そうに見つめているラインハルトを交互に見つめる
「なにが」
「どうかしたのか?スバル?」
「なんで、ラインハルトがレインを…」
うつ伏せに倒れ、地面に血を広げていく姿を見つめただ茫然とする、脳が理解することを拒んでいる様に、だがそんな余裕はないと、死に戻りを経験し、大切な人な死を見て来た脳はそれを全て理解させてくる、理解しただが言葉にうまく出すことはできなかった
「大丈夫かい、スバル?兄様ならそこに」
そういいパンドラのいる場所に視線を向けた
「え」
「ああ、素晴らしい」
青い目がどんどん見開かれていく、その目にはパンドラが映り込んでいた
そして自分の兄を探すべく周りを見渡し、恐る恐る先切ったものを確かめる様に下を向いた
地面に転がり大きな血の水溜りを作っている姿を数秒呆然と眺めていた、理解するのに時間がかかったのだろう
「…兄様?」
震えている声だった、信じたくなさげに膝をつきレインに手を伸ばしていた
白い服が汚れるのを気にせず、動かず生きているのかも怪しいレインを抱き寄せただ呆然と泣きそうな顔で見つめていた
アンケート21日に締め切ります。
ハッピーエンドに決まりました!
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ラインハルトルート(和解)
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パンドラルート
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どっちも