「…起きたのか」
剣を振るっていた時、見覚えのある黒髪と声が聞こえ手を止め目を向けた
「お!レイン」
元気に駆け寄ってくる姿に怪我の具合も大丈夫だとわかる
倒れていた時は困り果てたが、内心安堵する顔には出さないが
「やっぱり剣を使ってるから毎日剣振ってたりするのか?」
「ああ」
起きたばかりだと言うのにテンションの高い姿
朝から元気だなと、まあ当然か何度も死んで欲しかった結果に辿り着いたんだから、そう納得して腕を動かし剣を振るう
空気を切る音が聞こえる
「俺もちょっと体動かすから、ああ邪魔はしないから安心しろよ」
「邪魔したら手が滑ったって言って木剣当てるからな」
「酷くね?」
少し離れた所で、エミリアを巻き込んで変わった動きをし始めるのを見ながら手を動かす
何だあれ?
ラジオ体操はこの世界にはないそれ故に見たことのない動きにただ困惑する
ーー
汗を拭いている時、珍しくレムが来た
いつもはラムが来る
「朝食の時間ですので食堂に来て下さい」
「分かった」
もう慣れたが、相変わらず敵を見るような殺意まみれの目
ーー
食堂でスバルの訳分からない話を聞き流す
「俺をここで雇ってくれ」
こいつ本当に何考えてんのかよく分からねぇな
対価を貰うという話なのに何故働く?そう疑問に思いつつ、リンガを口に入れる
ーー
必死に、使用人の仕事をこなしているスバルを眺める
「さっきから何で見てんだよ…何してんだよ」
「暇つぶし」
箒を両手で持ち動かしながらそう聞いてくるスバルを見ながら、言えば嫌そうな顔をしていた、スバルからしてみれば使用人の仕事をしていたら知り合いが観察しにきたようなものだ、やりにくい
本当は怪我の様子と、ベアトリスから悪戯をされたと聞いたので、そこら辺大丈夫かの様子見だ、もう一つは、この短期間で分かった事だがスバルはかなり無茶をする見張ってないと気づいた時に死にかねない、それとレムは初めての人に警戒心が強い、レインと仲がいいとエミリアが少しだけ言ってしまった事もかなりの不安要素だ
だからいらない監視だ
「レインって性格悪い?」
「人によるんじゃねぇの?」
そろそろ不審に思われてきたなそう思い、やる事もあるので部屋に戻る事にした
ーー
ロズワールに呼ばれ、めんどくさげに部屋まで行く
ノックをし許可をもらい部屋にはいる
ロズワールしかいない無駄に広い部屋
普段はよくいるラムの姿はない、スバルの指導をしているから当たり前と言えば当たり前なのだが
仏頂面だったレインの顔が少し緊張を帯びたものに変わる
「話というのは?」
「ちょっとした労いだぁよ」
本当か?と疑い表情がいまいち分からないメイク姿の顔を見る
労いだけと言われれば本当か?と疑いたくなる、目の前にいる男ならば余計にだ
「信じてないみたいだぁね」
見破られ、何も言えずただ見つめる
喋らないのを見て目を瞑り笑っている
「なぁにしばらくは何もなぁいから、安心して休むといい〜と言う話だぁよ」
「…そうですか、所で悪巧みは順調ですか」
その言葉にロズワールはメイク越しでも分かるように笑っていた
「順調さ、安心したまえ君の目的はちゃんと果たすさ」
いつもの口調や声のトーンとは違い、真剣に話す姿に気を引き締める
「そうしてもらわないと困る」
眼帯越しに右目を触る
ーー
夜、月明かりが屋敷の庭を照らしていた
自分の部屋からそれを眺める
正確には庭にいる2人をだ
エミリアは日課の精霊とのあれこれをやっている、それをスバルが少し離れたところから眺めている
スバルはエミリアに気がある
別に恩人だから手助けするわけではない
自分の主人に何かあったら困るからだ、力的に負けるのはスバルだろうが
ーーー
スバル視点
戻ってきてきた、レムやラムにお客様そう呼ばれ焦り、2人の静止を無視してレインの元に行く
相変わらず庭で剣を振っていたレインのもとに行く
「…起きたのか」
「レイン!何で俺は戻ってきたか知ってるか!?」
何を言ってるのか分からないとでも言いたげに、心底不思議そうな顔をしてレインは口を開いた
「何言ってるんだよ、戻って何てねぇよ?」
理解が拒んだ
戻ってきている、あれは夢ではないそう分かっている
「は」
何で、何でだ?
「何でだよ」
「スバル?」
腕を掴む
心配そうに見つめてくる一つしかない青い目
何で
「何で覚えてないんだよ」
「…?」
不思議そうで嘘をつく理由もないその姿にただ絶望する
覚えてくれた、覚えてくれる人がいなくなった
スバルは孤独になってしまった
ーーー
3回死んだ
レムに殺されたり
崖から飛び降りたり
レインは覚えてはいなかった
覚えていなくってもレインは俺を庇ったり助けようとしたりしていた
何であいつは突然死に戻りの記憶が無くなった?
「そこをわかれば」