スバルが使用人として働くことになった
「…」
嫌なほどに、無理に繕っている姿を見ていられず目を逸らし避けた
起きて早々聞かれた「覚えてるか?」と言う言葉に疑問は残るが記憶にないことを考えても意味がない
ーーー
涙の跡をつけ、膝の上で眠るスバル
「餓鬼かよ」
「頑張っていたんだからそんなこと言わないの」
レインの発言に慣れたようなエミリアが諭す
普通は出会って1週間ぐらいの男に膝は貸さない、優しさなのか警戒心がないのかよく分からない姿に呆れため息をつく
「エミリア様は人との距離感を学びましょう」
「え?」
突然そんなことを言われ困惑する姿を見てまたため息をつきたくなった
エミリアにとってはスバルと出会ってまだ数日だそれだけの人間にそこまでするかと疑問を浮かべる
ーーー
夕焼けが窓から差し込み少し薄暗い廊下
廊下の真ん中に立つレム顔からは不快感が滲み出ている
「レイン様は仲間でも連れてきたのかと思ったのですが」
「どう言う意味だよ」
「はぐらかさないでください、スバル君からも魔女の匂いがするんです」
「スバルが」
鋭い目つきで睨みつけられる
レムに敵視されているのは魔女の匂いがレインからするから、理由はわかる魔女に魅入られてしまったから、魔女教ではないと言う証明はしたが信頼はされていない
だがスバルから魔女の匂いがすると言う言葉で納得してしまったあの魔法とも思えない巻き戻しの能力に、レムが警戒していることに
本来ならば魔女教を疑うのだろう、だか怪我をしたスバルの手当てのどさくさに荷物を確認した、福音らしきものはなかったためその線はレインの中から消えていた
「スバルからもか?」
「そうです」
「じゃあスバルも」
魔女に魅入られたのか
睨みつけるレムの視線を無視して考え込む
「…姉様やロズワール様に牙を向けると言うならば貴方でもレムは容赦はしません」
「牙ね…何もしねぇよ」
これ以上お互いが話す理由がないのか、レムは仕事に戻り、レインはただ呆然と立ち尽くした
スバルも俺と同じで魔女に魅入られたなら
アイツの仕業なのか?
気分が悪くなったので考えるのをやめた
ーーー
ノックもせずに開く扉に目をやる
「レイン今いいか?」
膝枕を見た翌日、休憩中なのかスバルが自室にやってきた
「膝は貸さない」
開口一番に言えば、驚いたような顔をしてから少し怒ったように
「借りねぇよ!てかお前も見てたのかよ!」
と頬を赤らめ恥ずかしそうに言い放った
茶化せば昨日と顔色も雰囲気も違うことに少し安堵する
無理に繕っていた、無理に何かをしていた、知り合いがそんな状況に陥っていれば心配にもなる
「で、何だ」
「一つ聞きたいんだけど、巻き戻りが起きた直前時何してた?エルザの時とか」
「何言ってんだ?…死んでたが?」
思い返せば、2回ともエルザに殺されていて、気づいたら時間が戻っていた
目の前で見たはずなのに、そう思いながらスバルを見る
「その時俺は生きてたか?」
「生きてたが、何だよこの質問」
顎に手を置き考え込んでいるスバル
「レインはもしかしたら、俺より先に死んだ時にしか記憶が残らないんじゃ」
「…まてそれじゃ、お前何回」
死んだ?そう聞こうとしたが何とも言えない顔を見てやめた
聞いちゃいけない気がした、聞いたらダメな気がした
「まぁいいできるだけ協力してやるよ」
「安心しろよレイン、協力してくれるのはわかってるからな」
「何だこいつ」
自信満々に言う姿に呆れるそんな言葉が出た
「んでだ、アーラム村に呪術師がいるかもしれねぇんだよ」
「待て何でそうなった分かるように説明しろ」
突然話しが飛んだ気がする
「眠るように死ぬ呪い」
「…はぁ」
ため息をつき頭を抱える
眠るように死ぬ、それを見たかの実体験したかは分からないがろくなこと起きていない事は理解できる
「呪術師の心当たりは」
「無い」
「一つ言っておくが、弟みたいにおれは強くねぇよ」
「そこまで期待はしてねぇよ」
呆れたように言う姿に腹が立ち頭を掴む
「何でだよ!?」
ーーーー
村に行くことになったら言うと言われ自室でゆっくり本を読んでいた時、庭の一部に黒い霧が立った
「…えぇ…」
何でだよ、そう思いつつ窓を開け降りる
高いには高いが、骨が折れない高さだ
「この状況は?」
動けないスバルの首根っこを掴む
着いた頃には、黒い霧は晴れ、その中心にいたスバルを掴み、申し訳なさそうな顔をしているエミリアに聞く
「スバルが魔法を使ってみたいって言って」
「俺に感謝しろよ、スバル」
「何で?」
分かってなさげなスバルにため息をつく
でもよく考えたらレムには仲間だと思われているのか
ーー
「午後から村に行くことになった」
そういいにきたスバル
「俺よく考えたら悪い意味で有名だから怪しまれるから1人で行ってこい」
「マジか」
言い切り、本を読み直す
「怪しい奴がいたら言え、闇討ちでも何でもしてやるよ」
「闇討ちって騎士なんだろ?それは」
「名前だけの騎士だ、プライドも誇りもない」
唸り考え終わったのか「頼りにしてるぜ」とだけ言って部屋を出た
「…」
どこにもいいよう無いぶつけようの無い感情に振り回される
自分が言えたことじゃ無いが、もう少し頼ってくれないとかと思ってしまった、自分は頼らず1人で抱え込んでいるというのに馬鹿な話だ、そう思いため息を一つこぼす