ラインハルトの兄は魔女に魅入られている!   作:欠けたチーズ

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すれちがい

魔獣騒動からしばらく立った頃

 

「客人?」

 

「はい」

 

レムに呼び止められたと思ったらそんなことを言われた

確かに窓の外を見れば、竜車が止まっている、ここからだと竜車に書かれている紋章がぼやけ見えない、だからどこの家かはよく分からないが竜車の近くに立っている白髪の老人の姿をみてどこかなんとなく分かった

 

「分かった」

 

案内されながら客人がいる部屋に向かう

 

ーーー

 

通された部屋の中にいたのは見知った猫耳の人物とラムだけだった

 

「久しぶりだね、レインきゅん」

 

「フェリス…となると王戦関係か」

 

わざわざ来る理由が大してな…スバルの怪我もあるなそう思いつつも見つめ反応を見れば当たっていたらしい

 

「それもあるよ」

 

「そうか」

 

相変わらず苦手意識があるような目で見つめてくる、フェリスはラインハルトと仲がいい方だろう、ラインハルトにいい態度をしていないレインに苦手意識があるだからだろう

 

気まずい空気の中、ロズワールとエミリアを待つ

ーー

 

話し合いも終わり、一息つけるかと思ったが騒がしいのがきた

 

「王都に行くんだろ? 俺、ついていくから!」

 

ノックもせずに入ってきたスバルに注目が集まる、止めようとしていたであろうレムも慌てて部屋に入ってきた

 

「ノックするところからやり直せ、絶対に扉開けさせねぇから」

 

「さらっと追い出そうとするなよ!」

 

「ほらね?」

 

「……そうね」

 

レインとスバルのやりとを聞きながら、ロズワールとエミリアが顔を見合わせている

 

「遊びにいくわけじゃないの。大事な用事で呼び出されて……そう、大事なの」

 

「それはわかってるよ。王選絡みなんだろ? 国を揺るがす一大事なのは承知してるって。でーも、その上でお願いっ。連れてったって」

 

「レインだってあんまり行きたがらない内容なのよだからスバルも駄目」

 

「エミリア様?」

 

何故バレた?

 

行きたくないのは事実だがなるべく隠していたつもりだったのに

 

ーーー

 

スバルも王都に行くことになった

治療のためにだ

 

竜車ではしゃぐスバルを眺める

 

「コイツ馬鹿だな」

 

落ちかけたスバルを助けもせずそれだけ言う

どうせ助けなくってもレムが助ける

 

そんなことを思っていたらスバルに向かってモーニングスターが投げられた、鎖が巻き付き地竜が止まるまでのしばらくスバルは空中にいる事になった

 

ーーー

 

王戦当日

 

「うお、白!?」

 

「五月蝿え」

 

騎士服を来て部屋を出れば、スバルにそんなことを言われる

 

「レインっていつも黒い服だからな、白い服着ているとすげぇ新鮮」

 

頷きながらそんなことを言い放つスバルの頭を掴もうと手を伸ばすが躱された

 

「もうその手には!だっ!?」

 

取り敢えずガラ空きの足を軽く蹴った

足を抑え座り込むスバルを見下ろす

 

ーー

 

駄々をこねるスバルを置いて王戦の場に向かった

 

軽い持ち物検査も終え、赤い絨毯の部屋に入る

すでに王戦候補者の何人かは集まっていた

 

「では」

 

「ええ」

 

エミリア、ロズワールと離れ騎士達が並ぶ列に向かう

 

「兄様!」

 

嬉しそうに声を上げる弟をなるべく視界に入れないようにする

 

「また会えて嬉しいです兄様!所でスバルはきてないのですか?」

 

「来るわけねぇだろ」

 

そんな冷たい言葉にもめげず、それとも返事をしたせいか嬉しそうに笑っていた

 

冷ややかな視線が痛い

 

ただ窓の外を眺める

 

ーー

 

最後の王戦候補者が入ってきたと思ったら聞き覚えのある声が聞こえた

 

「は?」

 

スバルがいた、手で眉間を揉み目の疲れだと信じたかった

 

そもそも声が聞こえた時点でアウトだと言うことには一切気付いていなかった、気づきたくなかった

 

もう一度見たがいる

 

騎士の列に並ぶスバルをみる

 

「何できた」

 

「やっぱり来たねスバル」

 

兄弟で反対のことを言っている

そんな姿にスバルは目をぱちくりさせている

容姿はお互い似ているのに性格は全く違うことを再確認でもしているのだろう

 

「エミリア様が出席されるのを聞いて、君もくるんじゃないかと思ったよ」

 

「久しぶり&お前の俺へのそのむやみやたらな高評価ってなんなの? お前の前の俺って裏声で助け呼んだり、無様に切腹したりでいいイメージないはずなんだけど」

 

「エミリア様を凶刃から守ったのはもちろん、それ以外の面でも君は最善を選び続けた。過小評価が過ぎるのも美徳、だとは思うけどね、それに兄様に信用されてるから…」

 

小さく悲しげに呟いた最後の言葉は誰にも届かなかった

 

誰かコイツを止めてくれ

頭に手を置きため息をつく

 

「ため息ばっかついてんな、幸せが逃げるぜ」

 

「誰のせいだと思ってやがる」

 

元凶は、茶化すようにそう言い放った

頭が痛い

 

「ラインハルトとスバルきゅんって、知り合いだったんだ。いっがーい、レインきゅん経由?」

 

頭を抱えている隙に増えた

 

「ほんの二日ぶりだね、元気してた? みんなのフェリちゃんは元気にしてたよ」

 

「聞いてねぇよっていうか、先日はどうも。またお会いできて光栄デス」

 

「あれあれ後半ちょっと固くにゃかった? もっと肩の力抜いてこうよぅ」

 

「はぁ」

 

ため息をつく、ロズワールの方を向けば笑って頷かれた

 

何の合図だよ、事前に打ち合わせしてねぇとわかんねぇよ

雇い主だから口には言えない不満を心の中に吐き捨てる

 

ーー

 

長ったらしい話を聞き終え

5人目の巫女が見つかった

そんな話になりラインハルトが前に出て言い放った

 

「自分が王として仰ぐ方――名を、フェルト様と申します」

 

また頭を抱えた

 

綺麗なドレスを纏ったフェルトが入ってくる

 

アイツ何考えてるんだよ

そう言いたかった

 

確かにフェルトは王族の見た目と同じだ、だが貧民街出身反発されるのは分かっているはずだ

 

「フェルト様、ご足労いただきありがとうございます」

 

「――ラインハルト」

 

ラインハルトに微笑みかけている、これだけ見ればただの令嬢だ

 

「――てめー、またアタシの服隠しちまいやがっただろ!?」

 

ドレスの裾を掴み綺麗な回し蹴りを喰らわすが簡単に受け止められている

 

「驚きましたよ。突然、なにをなさるんですか」

 

「さらっと止めといてしれっと言ってんじゃねーよ! アタシの服! 隠したのまたアンタだろ? おかげでこんなうっとうしいひらひらした着せられたじゃねーか!」

 

顔を手で覆い隠す

何やってんだよ、ラインハルト…

 

面倒ごとが自分からやってくる、だから王都は嫌なのだ

 

「よく似合っておいでですから、恥ずかしがる必要はありませんよ」

 

「恥ずかしがってんじゃねーよ、嫌いだっつってんだよ! 服だけの話じゃねーぞ、お前もだ! 騎士様が拉致監禁とかそれこそ恥ずかしいと思わねーのかよ!」

 

「それが王国繁栄のためならば」

 

ラインハルトのその言葉にいい顔はできなかった

元々嫌そうな顔だったのがさらに嫌そうな顔になる

 

「お! なんでこんなとこにいんだよ、兄ちゃん!」

 

「よぉ、久しぶりだな。元気してらんだばっ!」

 

手を上げ挨拶したスバルに回し蹴りを入れた

 

「その感じだと腹の傷とか平気みてーだな。そのわりに、他のとこの傷とかメチャクチャ増えてる感じするけど、てか!お前!あん時の怪しい奴か!」

 

そういいレインを指差す、見つかったと言いたげに目を逸らした

 

「丁度いいあのポンコツ騎士の兄なんだろ!何とか止めてくれよ!」

 

「…巻き込まないでくれ」

 

目を逸らす

呻き声を上げながら立ち上がるスバルの手を掴み立たせる

 

「それわかってんなら少し労れや、お前……なんで確認に渾身の一発だよ。仮留め状態で破れたらどうする……実際、それに近い時期もあったんだぞ」

 

「まぁ、兄ちゃんの方は兄ちゃんの方で大変だったってことか。けど、大変だったっつーんならアタシの方も負けてねーぜ?」

 

「……だろうな。まさかこんな場面でお前と出くわす羽目になるとは思わなかった。徽章騒ぎがめぐりめぐってこうしてぼんじょびっ」

 

「徽章騒ぎとか大っぴらに言えねーに決まってんだろ、状況見ろよ」

 

「……口塞ぐとか、もっと可愛いやり方あったんじゃね? 相変わらず足速ぇよ」

 

目の前で繰り広げられる会話を見て目を閉じる

 

なんかもう疲れた、すごい疲れた

 

「何か…大変だな」

 

同情する兜の男を見る

 

「…止めてくれ」

 

「それはやだ」

 

いつだって世界は俺を見放す

 

一人絶望する

 

ーー

それぞれ個性豊かな王戦候補者の王になりたい話が終わった

 

「では、次の候補者である――エミリア様そしてその騎士レイン・アストレア!前へ!」

 

「はい」

 

緊張しているエミリアの声はよく聞こえた

 

前に行こうと歩けば、緊張のせいでおかしな歩き方を呪いか何かと話している声が聞こえ呆れる

 

「では、エミリア様。レイン・アストレア、そしてロズワール・L・メイザース卿。お願いいたします」 

 

「はーぁいはい。いんやぁ、こーぅして騎士勢が介添え人の中私の場違い感がすごくて困りものだーぁよね?」

 

軽い口調でそういい「ねぇ?」と何かを求めるような声をエミリアにかけるが緊張のせいか無視されている、それを見て次はレインにもそう言った

 

「そうですね」

 

とめんどくさそうな言葉を返され終わった

 

「お初にお目にかかります、賢人会の皆様。私の名前はエミリア。家名はありません。ただのエミリアとお呼びください」

 

エミリアの王戦が始まった

 

ーー

 

ロズワールとパックの脅しを眺め、終わったらしい

 

「騎士レイン・アストレア、何か言いたいことは?」

 

「特にはないです、エミリア様が自分でおしゃられたので」

 

他の騎士は自分の主人をアピールするのに対してレインはただそれだけだった

 

 

それに対して不満を抱く人物が1人いた

何故エミリアをフォローしないのかと

 

その考えは後に爆発することになる

 

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