五条はキラキラと輝く石を手のひらで転がす。
「五条さん、なんですかそれ?」
「特級呪物。一回に限り記憶を読める石」
「ヒェッ」
伊地知は悲鳴をあげる。
「さて、そろそろしっかり向き合わなきゃね」
「捕まえてきた双子の呪詛師ですか?」
「あれ、同一人物らしいよ。で、未来人の方、僕が仲間なんだって」
「はぁ!?」
「まずいよね。やばいよね。何がやばいって、僕が敵側にいる事もだけど、この後敵に回らざるを得なくなる事件が起きるって意味でやばいよね。流石の僕も緊張してきた」
「そ、それは、その」
「まあ、頑張ってくるよ」
そうして、五条は尋問部屋へと移動するのだった。
「なあなあ、サトリ。俺も強くなれたりする!? あんな技できたりする!?」
「ああ、俺はお前だからな。俺の出来る事は大体できるようになるぜ。めっちゃ苦労するけど」
「話が弾んでるようだね」
五条は椅子に腰掛ける。
「蜘蛛糸釈迦羅天って言ったっけ。君達のゲーム」
「そう!」
「なんでも願いが叶うんだろ?」
「なんでもじゃねーけど……まあなんでも、かなあ。なんでもだな」
「そしてその後、GMとなる、と」
「そう!」
「君の前任者と現在の仲間を聞こうか」
「えっとな」
前任者10名は調べても出なかった。
ゲームがクリアされると、存在すら消えてしまうのでは、という危惧がある。
大体、タイムパラドックスはどうなっているのやら。
そして巨大な問題がある。彼らの仲間の情報。五条、夏油、乙骨。この辺が問題だ。いや、直哉達も十分に問題なのだが……。
特級が3人も半呪霊化って。特殊能力が? 時空術に洗脳術に死霊術って。
直哉の変身術もかなりやばい。
五条はただでさえ強いのに、呪霊化して特殊能力も得てしまってはどうなってしまうのか。
自分対チート化した自分で、自分が勝てるとあっさりいう奴がいたらそれは見栄かアホである。
「せんせー! 呪胎九相図の4番から9番は俺、じゃなくて、虎杖に食わせてあげて。強くなるから。あとな。1番から3番の受肉って難しい? お願い! 俺の兄貴なんだ」
「兄貴?」
「そう。俺、呪詛師のデザインベイビーなの」
「は? なんだよ、それ!」
「親は脳を入れ替えて体を移動する呪詛師で、羂索。頭に縫い目があるからすぐわかるよ」
「願いでゲーム終了させるって出来ないの?」
「10糸全員の同意があれば! 1人でもそれ以外の願いを叶えたらNG!」
「えっぐ」
「どうする? 挑戦してみる?」
「んー。ちょっと考えさせて! 結論出るまで、術師として所属して待っててくれない?」
「いいよ。俺、皆が来るの待たないとだし」
「いいんだ……」
他にも、いろいろ聞いて五条は悩んだ末にそのまま報告した。
いつ何時現れるかわからない以上、報告はしておいた方がいいと思ったのだ。
会議はめちゃくちゃに荒れた。
「六眼が呪霊になるとは何事だ!」
「私は呪霊になっていませんが? たどった道が違うことは明らかです。そもそも、僕は傑を殺しているし、サトリのいた世界では2人とも堕ちてるし」
「ぐぬぬ。なんとかならぬのか!」
「ならない可能性が高いんですよねぇ。そも、課題をクリアすると呪霊になるというのが。せめて、9人の信頼できる僕クラスの人間が必要ですね」
「乙骨と九十九は」
「憂太を信じてあげたいところですけど、わからないですよね。呪術師である以上、後悔はあります。願いを言ってしまう可能性は0ではない。もちろん私も」
「事前に縛りを結ぶというのはどうなのだ」
「あー。ただ、その場合、納得できるだけの報酬が必要ですよ?」
結局、散々に揉めた結果、出たのが様子見である。
虎杖とサトリが温厚なのもあり、過程を見ることになった。
本来、読心術という権能はかなり強い。
撹乱し、心を抉り、分析し、煽り、弱みを握り、小型の呪霊達を活用すれば出来る事は増える。存在しない記憶お手のもの。
だが、サトリはそのような事をする男ではなかった。
故に、読心術はもっぱら、どうやって攻撃をしてくるかにしか使ってない。
まさに猫に小判。無駄である。
それをサトリも自覚しており、五条や呪術界も知っている。
それゆえの舐めプであった。
結果、いっそ宿儺を育てて五条にぶつけるという狂気の案が立案され、とにかく死刑は保留となった。