カードゲーム世界に転生したが、どうやら俺はモブらしい 作:ドラゴンスキー
「はあ・・・・・・疲れた・・・・・・」
海人が俺の列に並んでくると言う多少のハプニングは起ったものの、なんとか本戦への出場を果たした。
今はベンチでグダっとしているが、もうすぐ予選が終わる。
「おー!はじめも無事に通過したか!!」
「まあね・・・・・・」
というか原因を考えたら、俺の列にならんだ海人にも問題があるが海人の列にならんだ烈火がいなければ、海人がこっちにくることもなかったんだよな。
もう終わった事だし別にいいけど。
「はじめくん、はい、お疲れ!」
「おー海人、スポドリか。いいのか?」
「うん!」
海人はいいやつだなあ。
烈火も見習ってどうぞ。
「でも、さすがの俺でも結構疲れたぜ」
烈火は父親の形見のリストバンドで汗を拭う。
「本戦には、強い人いるかな?」
「そりゃいるだろ。星川光輝もでてくるだろうしな。な!はじめ!」
「そうだな・・・・・・」
なんか引っかかるんだが・・・・・・まあいいか。
『さて、皆様。ただいまを持ちましてデュエルトーナメント予選は終了いたします!これにより本戦に出場することになった32名の熱きカードバトラー達が出そろいました。本戦はトーナメントとなっています!』
アナウンスが告げられ予選が終了したことが分かった。
ここからが本番だ・・・・・・!
『それではトーナメントの対戦表を公開します!こちらです!』
廊下の上についているモニターがトーナメントの対戦表を映し出す。
俺の一回戦目の相手は―――渋井丸拓也。よかった知らない人だ。
それ以降は―――。
「・・・・・・!」
2回戦目まで勝ち上がれば、
手をぐっと握りしめる。ここまで来たんだ。やるしかない。
トーナメント会場へ向かう。ダメだな、緊張しているのが自分でも分かる。
落ち着け、深呼吸だ。
「はーっ・・・・・・」
会場のドアをくぐる。
「―――――ッ!」
眩しい!会場には観客が見やすいよう、たくさんのライトが配置されていた。
ここでバトルができるのか・・・・・・!
「くくっ、来たようだな」
俺の対戦相手は既に来ていたようだ。
「俺は渋井丸拓也。お前を倒すカードバトラーの名前だ」
誰だよ。新世界の神に名前を書かれそうな名前しやがって。
『さあ、両者準備できしだいバトルスタートです!』
「ふんっ、先行は俺が貰うぜー――」
烈火達ともこの舞台で戦うためには勝つしかない。こんなところで負けていられるか!
「サラで攻撃・・・・・・!」
「・・・・・・!ば、ばかな。この俺が・・・・・・!」
予選を勝ち上がってくるだけあってそこそこ強かったが、烈火達と普段バトルしているからかそこまで苦戦はしなかったな。ふう、まずは一勝だ。
『一回戦を勝ち上がったのは井上はじめさんと薄月影人です!』
やはり彼が勝ち上がったようだ。ヤツの情報はあまり持っていない。闇属性使いであることは分かってはいるが。
「カカッ!お前が次の対戦相手だな」
「・・・・・・!」
向こうの通路から歩いてきたのは薄月影人。
次の俺の対戦相手だ。
「そうだ」
「お前はあいつとつるんでたなあ?・・・・・・なんと言ったかなあ。確か、烈火とかいうガキだ」
「・・・・・・それがどうした」
「カカッ!あいつ、星川光輝を倒すだとか言ってたぜ?友達として言ってやらなかったのか?お前みたいな雑魚には無理だってよ」
「・・・・・・!おい、取り消せよ」
なんだこいつ。いきなり喧嘩売ってきやがって。
「雑魚に雑魚って言って何が悪いんだぁ?まあ、多少の見所はあるかもしれないが、今のあいつじゃあ星川光輝の相手は務まらねえ。それに、本当の雑魚はお前だしな?」
「・・・・・・なんだと?」
「次のバトルが始まる前に、逃げ出した方がいいぜ?後悔する前にな」
「俺が勝ったら、取り消してもらうからな」
「勝ってから言え」
そう言ってあいつはスタスタ歩いて行く。
手をぐっと握りしめすぎて痛くなってきた。
俺のことも烈火のこともバカにしたのだ。許していいはずがない。
次の試合も、絶対に負けられない。
ロビーに戻ると、他の対戦者達の情報もモニターに映っていた。烈火、海人、広美、星川光輝も順調に勝ち上がっているようだ。あと、フォックス仮面という名前のやつが勝ち上がっているが、たぶん風花だな。素性を隠して参加してるのかよ。
モニターには朝比奈さんも映っていて、バトルのことについて話している。そういえば、ゲストとして参加するって言ってたっけ?
『それでは準備が出来ましたので2回戦目の方に移ります。参加者は移動をおねがいします――!』
時間が来たようだ。
いこう。
「――カカッ!逃げずに来たようだな!」
「当たり前だろう。約束は守って貰うぞ」
「お前じゃ俺には勝てねぇよ」
これまでやってきた時間を思い出せ。
勝つしかない。
相手がどれだけ強かろうと。こんな人をバカにするような態度のやつは許しておけない。なんとしても勝って、謝らせる。
『―――それでは、2回戦目始めてください!』
いくぞ――――!
「闇龍王ダークネスドラゴンで攻撃」
「―――――――――ぁ」
なにが・・・・・・なんで・・・・・・。
「ほらな。口ほどにもねえガキじゃねえか。お前の検討違いだぜネス」
薄月影人が誰かと話しているようだが頭に入ってこない。
俺は、ミスはしていない。
自分ができる最高のプレイングをしていたはずだ。
「なんだ?自分が強いとでも思ってたのか?カカッ!勘違いもいいところだな!努力すれば勝てるなんてのは凡人の幻想だ。お前がやってきたことなんて俺や星川光輝から見たら塵芥にも等しい」
「・・・・・・・・・・・・」
負けた。
なんで?分からない。
「てめーのようなゴミ虫をみてるとイライラするぜ。自分のこともわかってねえガキだんて特にな」
「―――おい、お前!!」
早くバトルが終わっていた烈火がこちらに来たようだ。
「――お前、
「―――ぁ」
多分、烈火に悪意はない。
悪意がないからこそ俺の心に刺さった。
違和感。
そう、違和感があった。
―――本戦には、強い人いるかな?
海人が言っていた言葉だ。
俺は、そう思われてはいなかった。
はじめから、烈火や海人と同じ位置なんて、立っていなかった――――。
「安心しろ、はじめ!俺が仇を取って――――」
「ああああぁぁあああああああああ!!」
「はじめ!?」
逃げ出した。
かっこ悪く。醜く。酷く。
逃げた。逃げた。逃げた。
走った。走った。走った。
―――お前がやってきたことなんて俺や星川光輝から見たら塵芥にも等しい。
そうだ。海人や広美、烈火とも対等ではない。
―――本戦には、強い人いるかな?
俺は、あいつらから見て強い人間ではなかった。
――お前、弱いモノいじめみたいなマネはやめろよ!
俺は・・・・・・弱い。
走って、走って、走った。
「いてっ」
ただ我武者羅に走り続けていたら人とぶつかってしまった。
「―――大丈夫かい?」
気分が最悪だとしても、俺がわるい以上は謝らなくては。
「すみませ・・・・・・。・・・・・・!嘘・・・・・なんで・・・・・・」
そこに立っていたのは。
「おや、僕のことを知っているのかい?井上はじめくん?」
俺がぶつかってしまったのは。
「龍神、
亡くなっているはずの烈火の父、炎士だった。