カードゲーム世界に転生したが、どうやら俺はモブらしい   作:ドラゴンスキー

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第三話 原作スタート!?

「はーい、そろそろホームルーム始まるわよ、席に着きなさい」

 

翌日の朝のホームルームの時間が迫っている。

だというのに烈火の姿が見えない。

基本的に俺より速く登校しているのに珍しいこともあるものだ。

 

「・・・・・・セーフ!」

 

教室のドアがダン!と開き、烈火が遅刻すれすれながら間に合ったようだ。

 

「はい、おはよう烈火くん。早く席に着きなさい」

「はーい」

 

どこかそわそわしながら席に着く烈火。

昨日、星川光輝(ほしかわこうき)に勝つことを誓っていたので、早くスピードがしたくてたまらないのかもしれない。

なんだ、じゃあいつもの烈火じゃないか。

 

「今日の連絡事項は――」

 

先生の話を聞きながら今後の予定を考える。

そろそろまた大会とかに参加してもいいなー。

デッキとか見直しておかないとな。

 

「はい、朝のホームルームは終了!今日も一日頑張っていきましょう!」

 

今日も退屈な一日が始まるぜ。

そう思っていたんだ。

 

――事件は3限目の数学の時間に起きた。

 

「なあ、スピードしようぜ、スピード」

「・・・・・・おい、静かにしろって!」

 

授業中にも関わらず、そんな声が聞こえてきた。

スピードしようと言う声には聞き覚えがない声だったな。

声のした方をみると烈火が小声で注意していた。

・・・・・・今誰と話してたんだ?

 

「ちょっと烈火君、私語は慎むように」

「スミマセン・・・・・・」

 

烈火が謝り授業が再開する。

なんなんだ・・・・・・?

 

それからの授業は今まで通りの授業で特に不思議だと思うことはなかった。

 

 

 

そして放課後になった。

今日も今日とてカードショップいくぞーと、ねこやの方に歩みを進めていた俺だったが、烈火の声が聞こえてきたので足を止めた。

 

「おい、だから授業中にはなしかけんなっつったろ!」

「しょうがないだろ~?退屈だったんだよ」

「お前な・・・・・・」

「まあまあ、いいじゃないか。細かいところは置いておいて、早くスピードしにいこうぜ~」

「・・・・・・ったく」

 

会話を終えてねこやの方に歩き出す烈火。

俺が見た限り、烈火の周りに人の姿はなかった。

まるで、()()()()()()()()()()()()()()()()・・・・・・。そこで俺の頭に電流が走る。

 

「・・・・・・とうとうこの時が来たか」

 

()()()()()()だ。

いや、原作知らんし、この世界がアニメになってるのかもどうかも怪しいところではあるが。

思えば、既に原作は始まっていたのかもしれない。主人公のライバル敵存在に序盤で負けるのはカードゲームアニメあるあるだ。

 

「おおおおお・・・・・・!」

 

俺は多分モブだからあんまり関わることはないかもしれないが、これからの烈火達の動きは要注意だな!

この目で見ることのできるイベントは見ておきたい!

ああなんて心がワクワクするんだろう?

まあ、カードゲーム世界だから命に関わるような心配があまりないからかもしれない。この世界のゲームが闇のゲームとかで巻き込まれたりしない限りは大丈夫か。

 

「そうと決まれば――」

 

早速ねこやにいくぞ!

早くしなければイベントを見過ごしてしまう!

俺は歩いて行くのを止め、走ってねこやへと向かった。

 

 

 

 

 

「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」

 

走ってきたから息が上がった。

小学生の体力があるとはいえ、急に走るのはよくないな。

さて、烈火は――と。

 

「お、はじめ走ってきたのか!そんなにスピードやりたかったのか?」

 

にしし、と烈火が笑う。

よかった。まだバトルは始まってない・・・・・・!

 

「ああ。実は、バトルしたくてうずうずしてしまってな。思わず走ってきちまったぜ」

「なんだ、お前もか!・・・なら、俺とスピードしようぜ!」

「!?」

 

なんで俺くんが!?

 

「昨日は情けねえところを見せちまったしな。龍神烈火(たつがみれっか)の完全復活を見せてやるぜ!」

「なるほど。・・・そういうこと」

 

要はバトルで挽回したいってことか。

 

「そういうことならいいぜ。やろう」

「お!・・・へへ、そういやはじめとバトルすんのも久しぶりな気がするぜ」

「そうだったか?」

 

そう言われてみたら確かにしていなかった気がするな。

 

「んじゃ、早速バトルスペースいくか」

「おう!望むところだぜ!」

 

 

 

 

「さて、準備はいいか?」

「おう!」

「気張れよ、烈火!」

 

なんかカードから声が聞こえた気がするが、俺はモブなので反応しないのだ。

 

「・・・気張っていくぞ~!なんてな・・・・・・」

「へー、烈火って腹話術できたんだ」

「・・・・・・!へへ、実はそうなんだ。最近練習中なんだよ!」

 

嘘つけ。絶対できないぞ。

 

「まあ、いいか。じゃあいくぞ――」

「「じゃんけんぽん!」」

 

烈火、ぐー。俺、ぱー。

 

「くっそ、負けた!」

「なら先行はもらうぜ!」

 

先行はもらうぜ!って言いたくていつも勝ったら先行選んじゃう。

デッキからソウルゾーンに5枚カードを置き、8枚ドローしてその中から3枚をエネルギーゾーンに置く。初期エネルギーは三つだ。

 

 

「俺のターン!スタートフェイズ!ドローフェイズ!メインフェイズ!『シャイニードラ』召喚!」

「おお、出たなシャイニードラ!」

 

後ろのディスクから可愛らしい光の幼龍が登場する。コスト1の光属性スピリットだ。

 

「さらに、スペルカード、『エンジェルドロー』を使用!コスト3だが1エネルギー軽減して2エネルギー支払う!効果により、デッキから2枚カードを引いて、その後手札から一枚捨てる!」

 

デッキから2枚引いて、一枚をセメタリーゾーンへ送る。

 

「これでターンエンドだ!」

「よし、今度は俺のターンだな!スタートフェイズ!ドローフェイズ!エネルギーフェイズで一枚エネルギーゾーンに送り、これで4エネルギーだ!」

 

「さあ、こい!」

「おう、いくぜ!メインフェイズ!『レッドトカゲ』を2体召喚!さらに『トライホーン』を召喚だぜ!」

 

ディスクから赤のトカゲとサイのようなスピリットが映し出される。

レッドトカゲはコスト1、DP1000の火のスピリット。トライホーンはコスト2、軽減1のDP2000の同じく火のスピリットだ。烈火はいつも通りの火属性単体のデッキだ。

 

「バトルフェイズ!レッドトカゲで攻撃(アタック)!」

「ソウルで受ける!」

 

俺のソウル、残り4。エネルギーを1つ回復。

 

「次のレッドトカゲで攻撃(アタック)!」

「それもソウルだ!」

 

残り3。ソウルカウンターなし。エネルギーを1つ回復。

 

「まだまだいくぜ!トライホーンで攻撃(アタック)!」

「それはシャイニードラで防御(ブロック)

 

「ここで防御(ブロック)!?シャイニードラのDPは1000、トライホーンはDP2000だ!」

「このままだとシャイニードラの負けだな。だからインスタントスペル使用!『エンジェルドロー』!これによりシャイニードラのDPは2000アップ!合計3000!」

「なんだと!」

 

ソウルで受けて回復したエネルギーを使用しスペルを唱える。

これによってDPで下回ってたはずのシャイニードラがトライホーンを撃破する。

 

「くっ・・・・・・!ターンエンド!でもソウルをいきなり2つ削ったぜ!」

「やるな。俺のターン!スタートフェイズ!ドローフェイズ!エネルギーフェイズ!リカバリーフェイズ!」

 

ドローフェイズでデッキからドローして、エネルギーフェイズでエネルギーが4になり、リカバリーフェイズでスピリットとエネルギーを回復させる。

 

「メインフェイズ!シャイニードラ』召喚!さらに2エネルギー軽減してコスト4の『小天使(しょうてんし)ララエル』を召喚!召喚時効果発揮!スペルカードを1枚手札に加える。俺は『ライフポーション』を手札に加えるぜ!」

「スピリット1体を回復させるスペルか!」

 

さすがよく分かってるな。

お馴染みのコンボであるサラも風の翼も手札にある。

くく、震えて眠れ・・・・・・!

 

「さて、バトルフェイズだ!シャイニードラで攻撃(アタック)!」

防御(ブロック)できるスピリットはいない・・・・・・!ソウルで受けるぜ!」

 

烈火の残りソウル4。

 

「次のシャイニードラで攻撃(アタック)!」

「それもソウルで受ける!」

 

残りソウル3。

 

「ララエルは残してターンエンド。これで残りソウルは一緒になったな?」

「くそぉ!ここからだ!スタートフェイズ!ドローフェイズ!・・・・・・!」

 

お、なんか来たみたいだな。

お喋りしてたカードか?

 

「エネルギーフェイズ!リカバリーフェイズ!そして、メインフェイズ!」

「・・・・・・」

「まず『トライホーン』を召喚!1エネルギー軽減してコスト1で召喚だ!そして、3エネルギー軽減して『火龍王クリムゾンドラゴン』召喚!」

「・・・・・・!」

 

今までの烈火の切り札は『火龍グレンドラゴン』だったはず。

これが新しい烈火の切り札か・・・・・・!一番最初に見れて感動だ・・・・・・!

 

火龍王クリムゾンドラゴン、コスト7の軽減3の炎を纏ったドラゴンだ。

かっけー。

やっぱりドラゴンが一番なんですわ!

 

「いくぜ!火龍王クリムゾンドラゴンで攻撃(アタック)攻撃(アタック)時効果発動!相手のDP3000以下のスピリット一体を破壊する!小天使(しょうてんし)ララエルを破壊だ!」

「何!?」

 

聞いてないぞそんな効果!

まあ今知っただけなんだけど。

・・・・・・ってブロッカーを破壊された!?まずいぞ、これ!

 

「ソウルで受ける・・・・・・!」

 

ソウルカウンターこい!

・・・・・・こない!残りソウル2。

相手のフィールドにはレッドトカゲが2体、トライホーンが1体。

 

「レッドトカゲで攻撃(アタック)!」

「インスタントスペル、『ライフポーション』使用!シャイニードラを回復させる!回復したシャイニードラで防御(ブロック)だ!」

 

DPはどちらとも1000。相打ちだ。

 

「まだまだ!次のレッドトカゲで攻撃(アタック)!」

「ソウルだ・・・・・・!」

 

・・・・・・・・・・・・。

 

「へへ、ソウルカウンターは無かったみたいだな!決めろ、トライホーン!」

「ソウルで、受ける」

 

これで俺のソウルは0となり敗北した。

 

「いよっしゃあ!俺の勝ちだぜ!」

「・・・・・・ああ、負けたぜ。お前の勝ちだ、烈火!」

「おう!楽しかったぜ!」

 

 

 

勝負は終わりしばらく色々話したが夕暮れになっていたのもあり今日は解散することになった。

この世界がアニメだとしたら、既に原作は始まったのだろう。

これから烈火達はたくさんの人とバトルして今よりもずっと強くなっていくのだろう。

 

「くそ・・・・・・」

 

帰り道で一人呟く。

頭では分かっている。

俺はモブなのだから、基本的にこれからの戦いにはついていけないのだ。

烈火だけでなく、海人も広美も、どんどん強くなっていって勝てなくなるだろう。

そんなこと、分かっているのに。

 

「くっそー・・・・・・!」

 

でも悔しいものは悔しいのだ。

全力でやっているからこそ楽しいし、悔しい。

自分の胸から溢れ出す思いを止められず、来たときよりも早く走って帰宅するのだった。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「なんだよ、クリム」

「なんだよじゃねーよ烈火!さっきのバトルのことだって言ってるだろ!」

 

俺の周りを飛んでいるクリム―――火龍王クリムゾンドラゴンはカードに描かれたかっこいい姿では無くデフォルメされた可愛らしい姿をしていた。それこそ、ゲームセンターにあるUFOキャッチャーの景品になっていてもおかしくない姿だ。この姿は選ばれたカードバトラーにしか見えないらしく、バトルの最中にも出ていたがはじめは何も反応しなかったので、それはどうやら本当らしい。

 

「それでクリム。さっきのバトルがどうしたって?」

「どうもこうもねーよ!確かに結果的には勝ったけどな、相手にソウルカウンターがあったらカウンターを防ぐのは無理だったろ!」

「はあ!?勝ったからいいじゃねーか!」

「そうやって星川光輝(ほしかわこうき)に負けたんだろ!?」

「――ぐっ」

 

それを言われると弱いぜ。

確かに思い返してみるとその通りかもしれない。

クリムゾンドラゴンの初陣に浮かれてたみたいだぜ。

 

「悪かったよ。今度から気をつける・・・・・・」

「ああそうしてくれ。バトルに絶対は無いんだ。しっかりとリスクを管理するのもカードバトラーに求められる資質の一つだぞ!」

「へーい・・・・・・」

「なんだその気の抜けた返事は!”ヤツら”はすぐそこまで来てるかもしれないんだぞ!」

「ヤツらってたしか・・・・・・」

 

・・・・・・・・・・・・。

 

「か、かた・・・・・・カタユドーフだっけ?」

「『破滅の精霊(カタストロフ)』だ!カタユドーフってなんだよ!?」

 

破滅の精霊(カタストロフ)』ねぇ・・・・・・。

 

「本当にいるのかそんなヤツら?」

「ああ、ヤツらは俺たちが住む6属性の領域を支配しようと企んでいる組織なんだ。俺はいち早くヤツらに気づき、こっちの世界に逃げ込んで来たが、俺がこの世界に来たことが気づかれるのも時間の問題かもしれない・・・・・・」

「ふーん・・・・・・」

 

みんなが心地よく過ごしている場所を壊そうとしているなら許されない組織だぜ。

 

「要は勝てばいいんだろ!勝てば!」

「ああ!そのためにはお前に強くなって貰わないと困る!」

「んじゃ、さっさと帰るぞ!帰ってデッキの見直しだ!」

「おう!」

 

 

そうして俺とクリムはママが晩ご飯を作って待っている家へと帰った。

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