縁繋の魔女〜小さな偶然達の集会で会いましょう〜   作:慈愛の魔女

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その5 EPISODE1【不死川小鳥】

「あっ⋯⋯あのっ! よっよろしかったら! わっ私ととととっ友達になってくだしゃい!!」

 

 それは余りにも衝撃的な言葉だった⋯⋯彼女にとってそのような言葉を口にしたものは今の今まで居なかった。

 

 不死川小鳥に対する周囲の反応は決まって怯えるか、異物のように距離を置かれる事が程どだった。

 

 時には化け物と罵られた事もある。彼女は何故そう言われなければならないのか? そんな疑問を抱き人を観察するようになっていた。

 

 だが目の前の彼女はどうだろうか⋯⋯そんな連中と違い、恐怖に怯え嫌悪するような表情や目とは違い、どこまでも無邪気で透き通るような真っ直ぐな目をしていた⋯⋯。

 

「と、とも⋯⋯だ⋯⋯ち?」

 

「はい! あっ私は黒木ミシャッ⋯⋯あううまたカンじゃいまいたぁ⋯⋯えっと⋯⋯黒木ミサです⋯⋯それでアナタはなんて言うのですか?」

 

 どこまでも純粋な彼女が眩しく移り、小鳥は思わず目をそらす。だが彼女の紅玉(ルビー)の様な紅い瞳が彼女を射抜いて離さない。

 

「⋯⋯⋯⋯り」

 

「⋯⋯ん?」

 

「不死川⋯⋯小鳥⋯⋯」

 

 目を逸らしながらも、ボソボソと聞こえないようなか細い声で、彼女は喉につっかえて出てこない言葉を絞り出すようにして、そう名乗った。

 

 そう呟く彼女の頬は何処かほのかに赤らんでおり、そんな彼女を見ながら確かに聞き取ったのか、ミサは花がパァと咲いたかのような満面な笑みを浮かべた。

 

「はい! よろしくね! 小鳥ちゃん!!」

 

 

─────⋯⋯⋯⋯⋯

────⋯⋯⋯⋯

───⋯⋯⋯

──⋯⋯

─⋯

 

「アレ? 小鳥さん今日はミサ副委員長さんと一緒じゃないのですか?」

 

 休憩室で読書中の小鳥に火宮チナツはそう話しかける。

 

 話しかけられた事で小鳥は読んでいた本に栞を挟みパタンと閉じると、チナツの方を見る。

 

「チナツちゃんでありますか? まぁ⋯⋯ミサちゃんは今、薬用植物園にいるでありますよ」

 

「薬用植物園ですか⋯⋯そう言えば今はその時間でしたね⋯⋯」

 

 彼女はあぁそう言えばといったようすでそう呟くと、普段ミサについて歩いてたり、外で治安維持の活動が主な小鳥が、休憩室で大人しく読書とは珍しいと思い、チラリと彼女が読んでたであろう本に目をやる。

 

「魔女と集会で会いましょう⋯⋯ですか?」

 

「ん? あぁ⋯⋯コレでありますか⋯⋯コレは私が昔ミサちゃんにオススメともらったものでありますよ」

 

 そう言って何処か懐かしげな顔で微笑みながら、小鳥は手にしていた本の表紙に手をそっと載せた。

 

 そして小鳥は今、薬用植物園で歌を口ずさみながら、水やりをしてるだろう小さな魔女の顔が頭の中に浮かんだ。

 

「副委員長らしいですね⋯⋯」

 

「えぇ⋯⋯そうでありますね⋯⋯」

 

 チナツの言葉に小鳥はそう言う、事実黒木ミサと言う人物を語れば、魔女は彼女のアイデンティティと言って良い存在だ。

 

 普段から魔女をよそった格好を好み、将来はギヴォトス最高の魔女になるのが夢だと豪語する彼女⋯⋯

 

「思えば何時も私はミサちゃんにもらってばかりでありますしね⋯⋯」

 

「小鳥さんがですか?」

 

 小鳥の呟きにチナツは首を傾げる。そんなチナツの言葉に小鳥は苦笑する。

 

「えぇ⋯⋯ミサちゃんがいなかったら、今の私はいなかったと断言できるまでありますから⋯⋯そう言う意味では、私にとってミサちゃんはとっくの昔に立派な魔女でありますよ」

 

 小鳥はそう言うと目をつぶった。そして思い起こされるのはミサとの記憶、この本をくれた事もそう、今は風紀委員長となったヒナを紹介されたり、自分の為に頑張ってくれた彼女⋯⋯彼女が自分を見つけなかったら、彼女が自分に話しかけてくれなかったら、おそらく自分は今とは違う人生を歩んでいた事は間違い無かっただろう。

 

 ひょっとしたら空虚に死に場所を求める怪物に成り果てていたかもしれない⋯⋯。

 

 だがそれはタラレバの話だ⋯⋯今の小鳥は小さな魔女の魔法により救われた少女に他ならない。

 

「そう言えば、小鳥さんはヒナ風紀委員長やミサ風紀副委員長とは幼い頃からの関係でしたね」

 

「えぇ⋯⋯幼い頃から色々とお世話になってるでありますよ⋯⋯まぁ⋯⋯返そうとはしてるのではありますが、返すよりもミサさんから与えられるものが多すぎて返し切れないのが現状でありますがね」

 

 小鳥はそう言うと、やれやれと言った様子で肩を竦めて見せる。

 

「ふふ⋯⋯そう言われると小鳥さんのアダ名も間違いは無いと言った所ですかね⋯⋯」

 

「二つ名でありますか?」

 

「はい⋯⋯たしか〝姫君の護衛騎士〟とか〝魔女の使い魔〟に〝黒木ミサの守護者〟⋯⋯後、〝ウィッチ・ランパート〟⋯⋯あっ⋯⋯」

 

「……あっはっは。成る程、成る程。魔女の防壁と書いてミサちゃん(魔女)を防衛する絶壁女と。このあだ名を考えた人は天才でありますなぁ。はっはっはっは……必ず見つけ出して血祭りに上げてやりますよ。拳でね」

 

「あ、あの、小鳥ちゃん。私がつけたあだ名ではないので、その握った拳を下げて下さいね?」

 

「えぇ、勿論であります」

 

 チナツが怯えながらそう言うと、小鳥はにっこりと笑い、握っていた拳をゆっくりと下ろしていく。

 

 そして休憩室の時計をチラリと眺める。

 

「とっ⋯⋯そろそろ勤務時間でありますね⋯⋯では私はコレで⋯⋯」

 

 小鳥はそう言うと席を立ち、マスクを被った。そしてそのまま休憩室から出る為に歩き始める。

 

「⋯⋯行ってらっしゃい小鳥さん」

 

 そんな彼女の背中を見ながら、チナツはそう言った。そんな彼女の言葉に小鳥は足を止めると、彼女の方に振り返る。

 

 そして─────

 

「えぇ行ってくるでありますよ」

 

 そう言って小鳥はそのまま休憩室を後にするのだった。




オマケ
黒木ミサ
実は両親から数百万は小遣いでもらってる位には、結構金持ちだったりする。

不死川小鳥
この後に原作通りに滅茶苦茶ボロボロになった。

便利屋68
ミサが憧れる魔女像に近しい人物として、ミサからは滅茶苦茶好意を抱かれてる。その為か強化訓練等で偶にポケットマネーから出して、仮想敵の役を依頼でやってもらってたりする。多分風紀委員会に入って無かったら、便利屋68にいた可能性が非常に高かった。

魔女達の集会で会いましょう。
2018年2月8日に、九頭さんという人物による、「#魔女集会で会いましょう このタグで、『魔女が拾った男の子が成長して、魔女よりでかくなって(ごつくてむさくてがっしりしてて)魔女を全力で愛して守る男になる話』の絵を描きますので、誰か描きたい方いらっしゃればこのタグつけて好き勝手に・・・」
というつぶやきが発端で、これが人々のあらゆる性癖と創作意欲を刺激すると、イラストのみならずテキストなども創作され、瞬く間に広まることとなった作品集。
Before = 魔女と子供の邂逅。→After  = 子供が成長した、その後の結末。の2つの場面で構成され、それだけを踏まえていれば魔女と子供のキャラ設定やストーリー展開は作者の好みに合わせて自由に創作ができ、同じく140文字世界でのつぶやきが発端となった「童貞を殺す服」とは違って、受け取る側を選ばないのが特徴。
ちなみにミサ世界ではミサの両親が余命宣告を受けたミサの為に書いた作品集となっており。ミサが元気になった後も、趣味の一環で両親が偶に書いてブラックマーケットとかで発注している。ただその為か発注数は非常に少なく、その手の本好きにはかなり希少な書物となっている。ミサが魔女に憧れた切っ掛けでもあり、布教の一環で小鳥やヒナもススメられており、ミサからもらった数冊を所持している。(その為か実は便利屋の陸八魔アルに多少憧れており、ヒナが風紀委員会に居なかったら便利屋68に所属してた可能性があったりする)
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