ホシノの同級生になっていた話   作:キヴォトス一般人

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続・過去

いつもありがとうございます。


Act.14:ある過去の話④ 新入生とある日の日常

 

 季節が廻り、4月に入ったところ、砂漠化が進んだアビドスでも桜の花は満開であった。そんな中、セレネはホシノに新入生が居ると言われて心底驚いていた。

 

「え。新入生? しかも2人ですか」

「そうそう~やったねえ」

「……ホシノちゃん、拉致ってきたとかじゃないですよね?」

「人聞きの悪いこと言わないでよ~ ちゃんとした新入生だよ! 話もしたよ」

「そうですか……でも新入生かあ」

「嬉しいでしょ?」

「そうですね」

 

 その日、2人しか居なかったアビドス高等学校にちょっとした奇跡が起きたのである。これを奇跡と呼ぶかは人に寄るだろうが、少なくともセレネとホシノにとっては奇跡のようなものであった。

 

「わたしにも言ってくれれば良かったのに」

「セレネちゃんは相変わらず忙しそうだったからさ……おじさんもおじさんで出来ることはしたかったんだよ~」

 

 それは確かにそうかもしれない、とセレネは呟いた。

 

「ありがとうございます、ホシノちゃん」

「これくらいはしないとねぇ」

 

 セレネもホシノが拉致してきたなんてことは1ミリたりとも考えてはいない。これは単なる馴れ合いのようなものだとセレネは思っている。もちろんホシノも本気でセレネがそんなことを言っているとも思っていない。

 

「入学式はしてあげたいよね」

「そうですね。豪華なものは出来ませんが……出来る限り大々的にやってみたいですね」

「お、いいねえ」

 

 そんなこんなもあり、セレネとホシノは新入生2人の入学式のことを考えるのだった。

 

 

 

 

 

**********

 

 

 

 

 

「ん。……降参する」

「はい、そこまで~」

 

 それはある日のこと、アビドス高等学校の校庭には4人の生徒が集まっていた。

 4人の生徒の中、2人は中央に1には間に、もう1人は少し離れた場所からその光景を微笑ましそうに見ていた。

 

「ん、約束通り、セレネ先輩と呼ぶ」

「はい。改めて、よろしくお願いしますね、シロコちゃん」

 

 セレネはそう言って1人の少女……砂狼シロコの頭を軽く撫でる。校庭は若干えぐれている場所もあるが、そこまで酷いものではないためすぐの直すことが出来るだろうとセレネは思っている。

 

「ん……」

 

 セレネとシロコが戦った理由は前日にあった出来事によるものだった。

 

 

 

 ――1日前。

 

「ん。セレネ、私と勝負する」

「シロコちゃん、セレネちゃんも先輩なんだからそう呼ぼうよー」

「ん。自分より強い人の言うことしか聞かない」

「うへぇ」

 

 セレネは特に気にする素振りもせずにニコニコとしていた。

 ホシノにシロコのことは聞いていたのもあるが、可愛らしい行動として見ていたため、呼び捨てにされても特に気にしていなかった。ホシノは気にしているようだったが、セレネ本人がこれではどうしようもない。

 

「別に気にしてませんよ。……とはいえ、弱いとは思っていませんけどね」

「ん」

 

 セレネ自身も強いとも言わないが、弱いとも思っていないという自覚はあった。不良たちを相手するには力が必要であるし、自分の身を守るのにも力が必要だ。そしてアビドス高等学校を守るためにも必要なもの。

 それもあり、日頃からちょっとした鍛錬と言ったものは欠かしてなかった。

 

(確かホシノちゃんもシロコちゃんと戦ったんでしたっけ。それで倒したことで先輩と呼ぶようになりましたし、言うことも聞くようになったとか)

 

 とはいえ、セレネはホシノから彼女の事情は聞いていた。

 ボロボロな状態でホシノとノノミが発見して、手当もしていた。本人は記憶を失っていたらしく、名前以外は何も覚えていないこともセレネは聞いていたので気を使っていた。

 

「んーどうしても戦いたいですか?」

「ん」

「そうですか。後輩の可愛い頼みなら仕方がありませんね」

「え、セレネちゃん戦うの? だ、大丈夫かなぁシロコちゃん……

「やった」

「じゃあ明日、校庭でやりましょうか。……ホシノちゃんは立ち合いお願いしますね」

「うへ、分かったよ~」

 

 急ではあるものの、校庭でのシロコとセレネの戦いが決まったのである。

 こんな状況でノーとは言えないホシノはしぶしぶではあるものの、立ち合いを引き受けることにした。

 

「ホシノ先輩、セレネ先輩って強いんですか?」

 

 セレネとシロコが去ったあと、やり取りを見届けていたノノミが残ったホシノにセレネのことを聞いてきた。

 

「あ、そっかノノミちゃんもシロコちゃんもセレネちゃんが戦っているところってあまり見てないもんねぇ」

「何か凄い嫌な予感がしますね……シロコちゃん」

「あはは……一言で言っちゃうと普通に強いよ」

 

 そう、セレネは強い。

 それはずっと近くに居たホシノもよく知っている。複数人相手でも余裕で相手取ることが出来る。素早く狙いを定め、的確に急所を狙うその精度と言い飛んでくる弾丸を避けるその動体視力。他にも色々とホシノが思い出せば出すほど出てくるが、あの小さな身体の何処にそんな力があるのかホシノも謎であった。

 そんなことを思うホシノではあるが、実際はホシノも人のことは言えない。セレネの方が若干身長が低いが、それでも大して変わらない体格差であり、そんなホシノもセレネからして見れば同じようなことを思うであろう。

 

「そ、そうなんですね……」

「うん。たぶん本気でやりあったら私も負けるかもしれないねえ」

「えぇ……」

 

 ノノミはそう答えるホシノに驚く。

 ノノミからして見れば、セレネもホシノも先輩ではあるものの小柄で小さいと思っている。失礼かもしれないが、事実その通りで一番最年長であるはずの2人がノノミとシロコより小さいのだ。

 

 ノノミも過去にホシノと入学の話などと言った会話をしていた中、もう1人先輩が居るということは聞いていた。

 しかし、ノノミ自身も何度か入学前にアビドスの校舎までやってきていたが、タイミングが合わずホシノとしか会うことが叶わなかった。

 

 そんなこんなあって初めて顔を合わせられたのが入学式の日だった。

 

(最初に会った時は驚きましたね)

 

「まあ……一番アビドスの為に頑張ってくれていたのはセレネちゃんだからね」

「そう、なんですね」

 

 ノノミは改めて2人の先輩を見る。セレネについてはこの場を去っているので見ることは出来ないが、思い浮かべることは出来る。

 小柄ではあるが、アビドスの為に頑張っている、その先輩2人のことを。事情はある程度ノノミも聞いているし、何ならゴールドカードという切り札を使って借金の返済をしようと提案したこともあったが、残念ながら2人の先輩には却下されてしまった。

 

「私も頑張ります」

「ありがとね、ノノミちゃん」

 

 





セレネは実際に強いです。()

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