ホシノの同級生になっていた話   作:キヴォトス一般人

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Act.15:ある過去の話⑤ 対策委員会

「毎日恒例の対策会議を始めるよ~」

 

 対策委員会室……大層な名前を付けているものの、実際はただの空き教室だが、ホシノ達対策委員会は毎回ここに集まっていた。

 ホシノとセレネが1年の時に使用していた生徒会室も別に存在するものの、対策委員会としては違う部屋を使うことで2人の意見が一致したことでこうして違う教室を使っていた。

 

 とはいえ、対策委員会は実質アビドス生徒会の後釜でもある組織であり、生徒会と言っても過言ではなく、対策委員会室と言いつつも、新しい教室もまた実質生徒会室となるのだが。

 

「わたし達アビドスが払わなくてはいけない借金の残りですが……ざっと6億円ですね」

「いや~本当に先が見えないよね」

「ん……」

「巨額ですよね」

「これでも結構減ってるんですよ」

「そうだねえ……」

 

 思わずため息が出そうなくらいの金額である。

 

「状況が状況だけに仕方がないことなのでしょうが……」

「まあね。色々と過去の資料も漁ってたりするけど、砂漠化とか砂嵐による対応費用」

「借りた先もよろしくないですね」

「カイザーローンでしたっけ」

「そうそう」

 

 ユメとホシノ、セレネの3人でアビドス生徒会として活動していた頃は8億円近くの借金があったのである。その金額が1年足らずで6億円まで減っている事実をホシノは正直驚いていた。その要因についてもホシノは理解している。

 

「そんな訳で! 何かいい意見がある人~」

「ん!」

「シロコちゃんどうぞ。いや何となく予想がつくんだけど」

「銀行を……襲う!」

「却下」

「しゅん」

 

 ばっさりとホシノに却下されたシロコは落ち込む。ここまでは毎回恒例のやり取りであり、セレネもノノミも苦笑いする他なかった。

 

「やっぱりこれで……」

「それは駄目ですよ」

「ですよね」

 

 ノノミがスッと取り出したゴールドカードを見せてくるが、今度はセレネに却下されてしまったのだった。

 

「いつも通りだねえ」

「そうですね……ホシノちゃんは何かないのですか」

「えーおじさんに聞いちゃう?」

 

 セレネがホシノに話を振る。

 対策委員会、と名を変えて結成したまではいいのだが、借金という負の遺産は引き継いでしまっているため、結局のところアビドス生徒会の時と活動方針は変わらないのである。

 

「バスをハイジャックしてアビドスに連れてこよう」

「……ホシノちゃん?」

「ん……面白そう」

「シロコちゃん……」

「あはは……」

 

 とんでもないことを言い出すホシノとそれに同意するようなシロコを見てセレネは苦笑いする。

 

「セレネちゃんは何かないの~? おじさんに聞いといて副委員長のセレネちゃんは言わないのは不公平だよ~」

「むむ」

 

 痛いところを突かれた、とセレネは思った。とはいえ、ホシノが言っていることは正しくセレネ自身も何も言い返せなかった。

 

「そうですね。わたしの稼ぎを2倍に増やしますか」

「え」

「え」

「えぇ」

「皆さん? 何ですかその反応は」

 

 せっかく答えというのに、と不満げにセレネはホシノ達を見る。

 

「いや流石にそんな簡単じゃないですよね?」

「おじさんもさすがに心配だよ?」

「ん……セレネ先輩、もしかして?」

「いやいや危ないことはしてませんよ? あとシロコちゃんは何か勘違いしていると思うので、そんな同族を見るような目で見てこないでください」

 

 ノノミとホシノの反応は分かるが、シロコの反応は何か違う、とセレネは判断する。そもそもセレネのことを若干ではあるが、キラキラした目で見てきている時点で勘違いしているだろう。セレネは慌てて言い訳をする。

 

「セレネ先輩にはいつも助けられてます」

「そうだねぇ。毎月の返済額のほとんどはセレネちゃんので足りちゃってるもんね」

「ん。セレネ先輩、稼ぐコツを教えて欲しい」

「コツも何も普通に仕事しているだけですよ」

 

 半信半疑に見てくるホシノと、相変わらずキラキラしている目でセレネを見てくるシロコの2人の視線に謎の圧を感じるセレネであった。一方ノノミは純粋にセレネのことを心配しているように見ていた。

 

「まあ深くは聞かないけどさ……でもこれだけは言わせて。セレネちゃん、無理だけは絶対しないでね」

「はい、約束です」

「じゃあ指切りしよっか」

「分かりました」

「ん。私ともするべき」

「私ともしませんか?」

 

(お、おう……)

 

 ここぞとばかりに迫ってくる3人に気圧されつつも、セレネは約束を交わすのだった。

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

「……おや? シロコちゃん、こんなところでどうしましたか?」

 

 学校内を見回っていたセレネは偶然、階段近くで座っていたシロコのことを見つけ、声を掛ける。

 

「セレネ先輩」

「はい、セレネですよ」

「ん。……セレネ先輩どうやって稼いでるの?」

 

 その質問にセレネは苦笑いをする。

 セレネは以前にも同じようなことを聞かれたな、思い返していた。ホシノや、ユメ、ノノミの3人にも同じようなことを聞かれていた。

 

 シロコはセレネのことをあまり知らない。

 それは仕方がないことで、まだシロコとセレネの付き合いはまだ短いものである。それはノノミにも言えることであった。

 ただセレネが強いということだけはシロコの身を持って知っている。少し前にあった決闘では、完膚なきまでやられてしまったのである。

 

「ん……セレネ先輩とホシノ先輩はどっちが強い?」

 

 ホシノとも戦ったことがあるシロコ。

 そのときも同じように完膚なきまでやられてしまい、そのときの約束でアビドス高等学校に入学し、アビドス廃校対策委員会に入った。

 

 入学式のときにもう1人の先輩であるセレネが居ることを知ったシロコだったが、当初はホシノよりも小柄であることもあり、弱いと判断していた。

 しかしホシノから度々聞く内容からセレネもそれなりに強いことが分かり、ホシノと同じようにセレネと戦ってみたいと思っていた。

 

「わたしとホシノちゃんですか……そうですね。状況によりけりですかね? でも全体的に見るならホシノちゃんの方が強いと思いますよ」

「そうなんだ」

 

 シロコの願いは叶い、セレネと戦うことが出来たのだが、結果はさっき説明した通りであり、ホシノと同様にコテンパンにされてしまった訳なのだが。

 

「シロコちゃん。学校は楽しい?」

「ん……楽しい、と思う」

「そっかそっか、それはよかった」

 

 セレネはシロコが記憶がないことをホシノから聞いているので把握はしていた。

 銀行強盗やら何やらを言い出したときは流石のセレネも困惑したのだが、シロコは口ではそんなことを言うものの実際に行動に移すことはしていない。

 

(されても困りますけどね)

 

 とはいえ、理由は何であれアビドス高等学校に来てくれたことにはセレネも感謝をしている。それと同時に先輩としてシロコもそうだがノノミのことも支えていきたいとセレネは、そう思っている。

 

「ここはシロコちゃんの学校です。記憶がないのは不安かもしれませんが、これから楽しい思い出を作りましょうね」

「ん……」

 

 ホシノと最初に会ったときと同じような暖かさにシロコは包まれる。

 

「それではわたしは見回りに戻りますね。何かあったらいつでも連絡してくださいね」

 

 セレネはそれだけ言ってシロコの元から離れるのであった。

 

「……あ。結局聞けなかった」

 

 1人残されたシロコはまんまとはぐらかされたことに気付くのだった。

 

 

 






会議内容は捏造です((  '-' )ノ)`-' )オイ)

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