鷹と蝶   作:ナカイユウ

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負けず嫌い

 「飛鷹くん……“がんばれ”」

 

 

 

 

 

 

 「(いい朝だ…)」

 

 陽が昇り始め空が次第に水色になり出していく早朝の空の下、今日もまた朝練の始まる20分以上前に学校の門をくぐって朝の体育館へとこの足を進める。快晴って言うほど空が晴れているわけじゃないのに、どういうわけかこの心は超がつくほど清々しい気分だ。例えるなら、ラジオ体操の第一が始まる前に流れる()()()みたいな感じ……さすがにこれは発想が田舎すぎるから心の中で思うだけにしておくけど。

 

 “…やっぱ雛姉の力はすげぇわ…”

 

 というのはジョークってことにして、ここまで気分がいいのは昨日雛姉からパワーを送ってもらったからだ。もちろんパワーはあくまで気持ちの有無ってだけで、1日だけ身体能力がオリンピック選手並みに跳ね上がるみたいなドーピング的な効果は1ミリもない。それでもたった1人の“がんばれ”の一言と両手から授けられた温もりだけで、何をやっても上手くいく予感さえしている。いやもう、マジで恐ろしい人だな雛姉は。

 

 「…まあ、いますよね」

 

 扉の前まで来ると、昨日と同じく奥から微かに聞こえるバスケットボールの音と小刻みに床を鳴らす靴の音が聞こえてきて、思わず口から出た独り言。もう入る前から想像できる、この広い体育館で誰よりも早くネットを張りシャトルを用意して練習をしている大喜先輩と、その隣の女バスのコートでシュートの練習をしている鹿野先輩(マドンナ)の姿。早起きは得意だけどどっちが朝早く体育館の扉を開けるかっていう競争をするほどの負けず嫌いの精神は持ち合わせていない俺にとっては、先に越されて悔しいとかいう感情はそこまで湧かない。

 

 「(次の朝練は試しにもう5分早く来てみるか)」

 

 でもいつからここで練習しているんだろうっていうのは、ぶっちゃけ背中を追う後輩としては気になるところ。しかし朝の体育館に大喜先輩と栄明のマドンナこと鹿野先輩が2人か……ワンチャン2人が()()()()()()()なんかしたらちょっと面白いな…

 

 「さっさと入らんかいっ」

 「いっ!?」

 

 なんて扉の前でどうしようもないことをあれこれ考えてフリーズしていたところで、いきなり背後から背中のど真ん中あたりを指で一突きされたから思わず間抜けな声が出た。

 

 「なるほど。ひだっちは後ろからの攻撃が弱点ってわけか」

 「いるんだったら普通に声かけりゃよくね?」

 「バドミントンはボーっとしてたらあっという間に試合終了だよ?」

 「そもそもコートどころかまだ体育館にすら入ってないんだけど」

 

 もう一声目を聞いた瞬間から誰なのかはわかっていたけど、振り返るとその仕掛け人、もとい千木良がしたり顔をしてご機嫌に笑っていた。昨日の朝練のときも思ってたけど、やっぱ会って2,3日でこの距離感で話せる千木良(こいつ)は間違いなく筋金入りの陽キャだ。

 

 「それより今日も一緒だねひだっち?」

 

 つい一昨日からクラスメイトになった陽キャ女子の千木良が、振り返った俺の前でニッと笑う。ぶっちゃけマジで偶然なのかそれともわざとなのかはともかく、早朝から元気すぎるくらい明るいその様子を前に、針生先輩が言っていた“体力が吸い取られる”っていう意味がちょっとだけわかった気がしてきた。もちろん、あくまでも悪い意味ってわけではない。

 

 「…だな」

 

 というか、改めて真正面から見ると結構可愛い顔してるんだなこいつ……

 

 

 

 「もし結にアタックするんだったらそれなりの覚悟はしといたほうがいいと思うぜ?」

 

 

 

 まあ、()()()()()()ってわけじゃないけど。

 

 「じゃあ入って早速練習すっか」

 「練習したい気持ちはわかるけどもうちょいこの()()()空気に浸ってかない?」

 「ごめん。ちょっと何言ってるかわからん」

 「そもそもエモいってどういう意味なんだろうねひだっち?」

 「知らないで聞いたんかい…(まあ俺も意味はよくわかってないけど…)」

 

 せっかく入りかけていたスイッチが切れてしまう前に、ちょっと何言ってるかわからない千木良を後ろに従えて扉を開けて中へ入る。何度でも言ってやるが俺の中での最優先はバドミントンで、恋愛だとかいうアオハル的なやつはあくまで二の次だ……というのも本音だけど、また下手に屯って追いついてきた針生先輩から変な目で見られたくないのもまた本音だなんて、さすがにダサすぎるから言わない。

 

 「おはようございます」

 

 扉を開けて体育館の中へと入れば、この広い体育館で誰よりも早くネットを張りシャトルを用意して練習をしている大喜先輩の姿が真っ先に視界に映り、体育館特有の空気に心が揺さぶられスイッチが一気に入っていく。もしかしたらこの気持ちが俗にいうエモいなのかは、知らないけど。

 

 「()()()()じゃん!おはよー!」

 

 入ってすぐに履いてきたスニーカーを脱いているうちに後ろにいた千木良が二つ隣のコートにいる()()()()という女バドの人、もといA組の兵藤さんに手を振りながら声を掛けて、俺を追い越してシューズに履き替えて女バドのコートへと元気よく走って行く。

 

 「おはよ結ちゃん。朝から元気だね」

 「今日も兵藤さんちのランニング終わり?」

 「うん。でも早めに切り上げてきた」

 「偉いなぁあかりんは。マジで尊敬しちゃう」

 「我が家の習慣ってだけだよ結ちゃん」

 

 それを謎に保護者になった気分で軽く見届けつつ、こっちはこっちで女バドのやり取りを耳にしながら、シューズに履き替えてバッグからラケットを取り出して準備を進める。

 

 「(そういや千木良があだ名以外で人の名前呼んでるとこ、まだ一回も見てないな…)」

 

 俺も雲山(むこう)にいたときは恵介や同クラの連中から明るい奴だって割とよく言われてた記憶があるけど、明るい奴の最上級みたいな千木良を見てると“実は俺って結構普通(まとも)な奴なんじゃね?”と、相対的に感じてくる。かといって千木良がまともじゃないなんて言うつもりはないし、思ってもいないけれど。

 

 「…ところで早めに切り上げてきたのってもしかして猪股先輩に会いたいからだとか?」

 「違うよっ///!ただ単純にもっと上手くなりたいから早く来てるってだけで…」

 「私は応援するよ。あかりんのこと」

 「だから本当に違くて…」

 

 「(なんか地味にすごい話が聞こえたような気がするけど……聞かなかったことにしよう)」

 

 これも針生先輩が言ってたことだけど、やっぱり部活も学校生活も周りにムードメーカー的な存在がいると、それだけで意味もなく楽しいって感じるのは俺もよくわかる。確かにバドの楽しみ方は人それぞれで()()みたいに怒りを原動力にしてストイックに突き進むのもアリだけど、やっぱりプレーをしているときはネガティブなことなどは全部忘れてただのバドバカになってピンチのときでさえも心の口角を上げてシャトルを追えるくらい、シンプルに至福の瞬間を1秒でも長く堪能したい。

 

 

 

 「パワーを送ってるの。飛鷹くんが明日、遊佐なんちゃらって人に勝てるように」

 

 

 

 って、考えてみればもっと身近なところに()()()()()()()がいるじゃんか。

 

 

 

 「飛鷹も早く来て偉いね」

 「大喜先輩には及ばないっすよ」

 

 ラケット片手にコートへ着いた俺に、素振りを中断して大喜先輩は2()()()で朝練に来た俺を軽く褒める。まだ針生先輩たち上級生も到着していないバド部のコートにただ一人で立つ大喜先輩の姿が、いつも以上に先輩らしく俺の目に映る。

 

 「ただ今日はパワーが漲ってるんで、いつもより気合いが入ってるかも知れないす」

 「パワー?」

 

 絶対勝つって決めた晴人に勝ったとて、この人に勝てるようにならなければインターハイへは進めない。

 

 「総当たり戦で1人でも多く勝ってメンバー入りするためのパワーです」

 

 そんな強敵(せんぱい)に今日中に勝てるかと言われたらまだ微妙だけど、いまの俺には蝶野家のムードメーカーから授かってきたパワーがある。もちろんそれで勝率が上がったかと言われたらそんなことはないけれど、今日は確実に昨日の自分より良いプレーができるという自信だけはある。

 

 「いいね」

 

 雛姉の力を借りてでも絶対に勝つという自分なりの決意に、大喜先輩は一言そう言うと先輩だからとクールぶらない素直な笑みを浮かべる。この笑顔に、腐れ縁の雛姉も元気づけられたことが一度くらいはあるんだろうか。

 

 “総当たり戦が終わったら雛姉にまた聞いてみるか、大喜先輩のこと…”

 

 「相変わらず早いなお2人さんは」

 「あ、おはようございます針生先輩」

 

 なんてバドミントンと関係あるようでそこまででもない自分勝手な想像を考え出したところに針生先輩の声が届くと、そこから昨日と同じように次々と人が増えていき、今日もまた朝練が始まる。

 

 「針生先輩。ノック一本お願いします」

 「総当たりがあるからって遠慮はしないけどいいな?」

 「はい。どんと来てください」

 「はっ、いい心構えじゃねえか」

 「今日の俺、多分絶好調なんで」

 「言ったな?じゃあこっちも本気(マジ)で上げてくけど文句は受け付けねえぞ」

 

 こうして朝練が始まり心を完全に切り替えた俺は、メンバー入りの懸かる総当たり戦を前に更にもう一段階の気合いを入れるため、針生先輩に本気(マジ)ノックを申し込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「やべぇ……エグいくらい(ねみ)ぃ…」

 

 そして朝練を経て午前の授業が終わった4限目終わり。俺は調子こいて飛ばし過ぎた朝練の()()を食らっていた。

 

 「そりゃ朝練からあんなハイペースでぶっ飛ばしたらこうなるっての」

 「午後の授業全部居眠りする自信しかないわ」

 「あのさ、もしかして飛鷹ってこのままだと総当たり戦の1年生対決が飛鷹VS遊佐ジュニアになりそうだからってハンデ負ってくれたのか?」

 「なわけないじゃん。てかなんでジュニア呼び?」

 「佐知川にいる遊佐の弟だからだよ。つっても呼んでるのは俺ぐらいだし本人にそれ言ったらブチ切れ確定だろうけど」

 「あぁそっか。針生先輩言ってたなそんなこと…」

 

 授業が終わって自分の机に突っ伏す俺に、昨日の席替えで前の席になったバド部仲間の坂元が揶揄いながら話しかけてくる。

 

 「…いくら針生先輩でもさすがに総当たり戦控えてるから多少は情けをかけてくれるだろうって思ってたけど……あの先輩(ひと)んこと甘く見てたわ…」

 

 針生先輩にノックを上げてもらうことは初めてじゃないし、朝練でしかも今日は総当たり戦もあるから遠慮はしないと言っても多少は…と思ったのが間違いで、俺が調子よくノリノリでお願いしますと言ってきたのをいいことに、本当に遠慮なしのガチなコースを上げられた。もちろん俺も俺で振り返ると調子に乗っていたところもあったから自業自得ではあるけれど、それに朝からペース配分なんて無視でついていったものだからエグいくらい眠いのとほんの少しだけ腕と脚が重い。

 

 「ホントに大丈夫か?」

 「いま感じてる身体の重さの9割が睡魔みたいな感じだから、気合いが乗れば完全回復できると思う」

 「あんなに朝からガチでやってよく体力持つよな飛鷹って」

 「スタミナだけは小さい時からずっとあるんだよ俺……さすがに針生先輩には負けるって思い知ったけど(マジでバケモンだろあの人…)」

 

 とりあえずいま思うのは、色んな意味で雛姉から昨日パワーを貰っておいて良かったなってこと。かと言って本番まで温存しろって言われたら返す言葉が見つからない……あれ?下手したら辛うじて睡魔だけで済んでるのって雛姉のパワーを使い切ったからとかないよな?

 

 「はぁ…こういう調子良さそうってちょっとでも思うとすぐ調子に乗るとこを直してかないと駄目なのはわかってんだけどなぁ」

 「俺もわかるわそれ。それで自重したらしたで調子狂ってプレーが雑になるっていうね」

 「あーめっちゃわかるー」

 

 という自虐はここまでにして、ひとまずバドを始めたときからずっと染み付いているこの()()()()をどうにかせねばと、千木良に続いて意気投合したクラスメイトの坂元と席に座って駄弁りながら朝練のダメージをもろに食らった身体と一緒に痛感する。

 

 「つーわけで飛鷹、食堂行くぜ」

 「…なんで食堂?」

 「母さんが寝坊して弁当作れなかったんだよ」

 「ああ、それはドンマイ」

 「そこからどうしても動きたくないんなら俺だけ行ってくるけど」

 「いや俺も行くわ。弁当だけど」

 

 お母さんが寝坊して弁当を作れなかったから食堂で食べると言って席を立つ坂元に続いて、俺も朝練の疲れが抜け切らない身体を動かして曜子さんの弁当を片手に立ち上がる。本音を言うと昼休みギリギリまで寝ていたい気分ではあるけど、適度に身体を動かしておかないと逆にクールダウンしすぎて本番で思うように動けなくなるってことを小6のときに実体験で教わっているから、俺からすれば逆に好都合だ。

 

 「おや?男バド諸君は今からどちらへ?」

 「ちょっと食堂まで」

 「おっけ~いってら~」

 

 ちょうど席を立って男バド組で仲良くB組の教室を出ようと足を進めて、通りがかったところで机を合わせて4人の女子組と一緒に昼食を食べ始めていた千木良から軽く声をかけられつつ、教室の外へと出る。

 

 「そうだ。2人とも頑張ってね、総当たり戦」

 

 その間際に、千木良は俺たちに思い出したかのようにさり気なく応援の言葉を送る。

 

 「おう」「あざす」

 

 B組でただ一人の女バドからのエールを受け取って、教室を出て階段へと足を進める。本当にパッと思いついたみたいなテンションと表情でも、自分たちのことを応援されると嬉しいものだ。

 

 「(頑張ってね、か…)」

 

 雛姉のときも然り、こんなふうに人から応援されると何だかそれだけで気分が軽くなる俺は、普通に単細胞(バカ)だよなってつくづく思う。

 

 「…あ」

 

 と、心の中で千木良から送られたエールの余韻に軽く浸りながら坂元と一緒に食堂を目指して歩く俺の視界に、着崩した制服で両手をポケットに突っ込んで歩く晴人の姿が見えた。

 

 「よっ」

 

 すれ違いざま、俺は晴人へ軽く右手を挙げて声を掛ける。

 

 「……」

 

 だけど晴人は、すれ違う一瞬だけ俺の眼を横目で鋭く一瞥すると、そのまま相槌ひとつすら返さずに通り過ぎてA組の教室へと入っていく。

 

 「見事にシカトされたな飛鷹」

 

 バド部の同期に話しかけられてもシカトを決め込んだ晴人の姿をチラッと目で追いながら、隣を歩く坂元が俺だけに聞こえるほどの声量で呆れ半分な口ぶりで話しかける。

 

 「もしかしてジュニアと昨日なんかあった?」

 「宣戦布告してきた」

 「マジか殴られなかった?」

 「いや全然。むしろ話してみたら結構いい奴だったよ。良くも悪くもって感じだけど純粋にバドも好きそうだし」

 「つかいつの間にジュニアと話した?」

 「ノック終わったあと」

 「…そういや昨日トレーニングルームに飛鷹がいるって西田先輩から聞いてそっちに行く途中でジュニアとすれ違ったんだけど、あんときか?」

 「多分そんとき」

 「なるほど全部繋がったわ」

 

 言うまでもなく晴人の態度に思い当たりがあり過ぎる俺にとっては想定の範囲内だから、特にショックなんてものは感じない……と言いたいところだけどやっぱり無視されるのは自分の蒔いた種でもちょっとだけ心にくるという、このメンタルの脆さ。とりあえず、昼休みの間に曜子さんの作ってくれたマジで美味い弁当を食べて()()()()()()()()するとしよう。

 

 「…ぶっちゃけ心配なんだよなぁ遊佐ジュニア。バド部の中だけならともかく、外でもあの様子じゃ怖がって誰も近寄らなくなるって」

 

 歩くペースを緩めた坂元が、溜息をつくように晴人への本音をこぼす。バド部に入部したその日のうちに意気投合した坂元(こいつ)とは、やはりとことん意見が合うらしい。

 

 「真面目に練習してるところとか、物の扱いがすげえ丁寧なところとか、ちゃんと見れば全然嫌な奴なんかじゃないんだけどな…」

 

 “楽しくやる暇があるならもっと他にやるべきことがあるだろ”と、他の一年(みんな)に向けて言っていた不器用なアドバイス。考え方からして俺とはまるで正反対で極端ではあるけれど、もし晴人が“自分だけ強くなれたらそれでいい”と心の底から本当に思っている奴だとしたら、こんなどうでもいいはずの他人を心配する言葉なんて出てくるわけない。と、俺は思っている。

 

 「晴人(あいつ)さ、俺が楽しもうぜって言ったらこう返したんだよ。“くっだらねえ”ってさ……けどその“くっだらねえ”って言ってる顔が、俺にはちょっとだけ嬉しそうに見えたんだよね…」

 

 自分が強くなることに拘りながらも、バドミントンを自分のエゴじゃなく純粋に好きだからやっているのが伝わるから、こっちも本気で一戦交えたいって気持ちになる。

 

 

 

 「くっだらねえ」

 

 

 

 「…思い込みかもだけど、晴人にもちゃんと()()()()()()()があるんだって考えたら…マジであいつとバドをやって勝ちたいって気分になったわ」

 

 晴人と昨日話したことを思い出しながら言葉を紡いでいたら、何だか思っていた以上にアツい感じの台詞になって出てきた。なんか俺、晴人に喧嘩…いや宣戦布告してからずっと変なスイッチが入り続けてる気がする。

 

 「飛鷹って案外負けず嫌いだよな?」

 

 そんな具合にいつもよりちょっとだけテンションが上がり気味な俺に視線を移した坂元が、まるで笠原先輩みたいなクールな表情で小さく笑って俺に告げる。

 

 「負けるのは嫌だよ。自分が負けて終わる試合なんて全然楽しくねえし」

 「ははっ、確かに負けて終わるのは楽しくないよな」

 

 聞かれなくとも全くもってその通りだから、素直に本心で返す。バドを楽しむと言ったって、俺だって負けるためにバドをやり続けているわけじゃない……誰よりもバドミントンを楽しんで燃え尽きるために、俺はやっている。

 

 「それより食堂行くなら早く行ったほうがよくね?」

 「やべえそうじゃん」

 

 と、テンションが上がり過ぎて心の声が漏れだしてまた朝練のときみたく調子に乗ってしまう前に、俺は坂元を促して食堂へと早歩きで足を進めた。

 

 「飛鷹」

 「ん?」

 「ふと思ったんだけどさ……親戚(はとこ)が蝶野先輩って普通に凄くね?」

 「やっぱ坂元もそういう認識?(確かに凄い人ではあるけど…)」

 「だって1年生ながらインターハイで3位になった新体操部のエースでもって、そのお父さんが体操の元日本代表ってだけまず凄えじゃん」

 「あー、言われてみると確かにな」

 「おまけにあの千夏先輩と引けを取らない可愛さを兼ね備えてる人がはとこって…シンプルに俺はお前が羨ましい」

 「さすがに鹿野先輩と引けを取らないは言い過ぎじゃね?(確かに可愛いってのは俺も思うけど…)」

 「マジで前世でどんな得を積んだらお前になれるか教えて欲しいわ」

 「こんなことあんま人に言いたくないけどいまの坂元(おまえ)ちょっとキモイぞ」

 

 ちなみに雛姉の話題(はなし)で坂元と軽く盛り上がりながら曜子さんの弁当を食べたらスタミナは完全回復し、どうにか万全のコンディションに戻った状態で俺は午後の総当たり戦に臨むことができた。




次回。飛鷹VS晴人、ラブオールプレー。
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