鷹と蝶   作:ナカイユウ

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お世話になります

 栄明中学高等学校。4月から俺が進学することになるその学校は、私立の中高一貫校にして複数の部活が全国大会、すなわちインターハイに出場しているというスポーツ強豪校だ。もちろん俺が入学と同時に正式入部することになるバドミントン部も例外ではなく、同じ県内では佐知川(さじかわ)高校に次ぐ強豪として知られている。

 

 「栄明……って、マジすか」

 

 この学校から俺のところに声が掛かったのは9月に入って1週間ほど経ったころ。最初に声を掛けてきた千曲を含めて5校から“良い返事をお待ちしています”という勧誘(スカウト)が来ていて、同じように声を掛けられた恵介が千曲に行くと決めたのを聞き俺もそこへ進学すると心に決めて願書を書こうかというタイミングだった。授業終わりに教頭と顧問から呼び出されてそれを聞かされた瞬間はもちろん戸惑った。元から運動部界隈では有名な上に1コ上のはとこがそこに通っていることもあって全国的に有名なスポーツ強豪校だと知っていたとはいえ、まさか雲山という小さな町でただ楽しくバドをやっていた俺のところにスカウトが来るなんて、全く想像もしていなかった。

 

 「北信越大会での試合内容を高く評価してのことだと俺は聞いている。ただ、最終的にどの推薦を受けるかは親御さんとも真剣に話し合って決めてほしい」

 

 どうやって伝わったのかなんて知る由もないが、全中出場を賭けた北信越大会3位決定戦のファイナルゲームで8点差をひっくり返して最後の一枠を掴んだ試合が巡り巡って栄明高校バドミントン部のところにも届いた。昨日までは一択だったはずの心は、県外から掛かってきたスカウトの声に()()()なものを感じて大きく揺らいだ。

 

 「……父ちゃん、母ちゃん……俺、栄明に行くわ……」

 

 バドを始めてからずっと切磋琢磨してきた親友とこれからもバドを続けるか、それともはとこも通う新天地でここに留まっていれば感じられない刺激を受けながら高みを目指すか。丸一日考えた末に、猛反対を食らう覚悟で俺は両親に栄明に行きたいという意思を伝えた。

 

 「これは飛鷹の人生だから、俺も優実(ゆうみ)と同じで飛鷹の意思を尊重したいと思う」

 

 猛反対される心配をよそに、両親はバドをするために地元を離れる決意を固めた俺のことを反対もせずに背中を押してくれた。特に何やかんやで水泳もバドも自由にやらせてくれた母ちゃんはともかく、中学校で教師をしていることもあってか堅物で厳しい一面のある父ちゃんが理解を示してくれたことは、意外だったのと同時に嬉しかった。

 

 「ただし、自分で栄明へ行くと決めた以上は勉強とバドミントンのどちらも疎かにせず両立して、本気で打ち込むこと。部活動にばかり力を入れて勉強を時間の無駄だと蔑ろにする人間が、スポーツで良い結果を残せるはずがないのだから……」

 

 とはいえ当然手放しでOKを貰えたわけではなく、親元を離れ栄明に行くことを許された代わりに俺はふたつの約束を託された。まず1つは勉強とバドミントンの両立という、ありきたりだけどごもっともな約束。

 

 「そして、栄明に行って()()だけはするな……このふたつを守れるというなら、行ってこい」

 

 そして2つ目が、“栄明に行って後悔だけはするな”という、家族だからこその約束だった。千曲を蹴って新天地へ行く決意を固めた俺に、もう迷いはなかった。全てはもっと深くバドミントンを楽しんで、一度だけ見たあの景色と高みにもう一度立つため。

 

 「……ありがとう」

 

 晴れて両親からの応援を勝ち取った俺は栄明のスポーツ推薦を受けることになり、面接と俺的にはさほど難しくなかった筆記テストと実技を経て晴れて合格して、進学先の一番近くにある従伯父の家、もとい蝶野(ちょうの)家で高校卒業までお世話になりながら栄明に通うことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「これだけの荷物を1人で持ってくるの大変だったでしょう?」

 「いいえ全然。むしろいい筋トレになりました」

 「でもだからって無理して入学前に怪我なんてしないようにね?」

 「もちろんそこは気を付けます」

 

 実家を出てから乗り換え含めて約4時間。最寄り駅に着いた俺は従伯母の曜子(ようこ)さんに車で送ってもらい、今日から世話になる蝶野家へ向かっていた。

 

 「飛鷹くんは覚えてる?前に私たちの家に来たときのこと?」

 「前……なんか薄っすら覚えてるような覚えてないようなって感じですね」

 「ふふっ、それもそうよね。だって飛鷹くんが私たちの家に遊びに来たのってまだ新築だったときだし」

 「……あー、記憶が正しかったら俺が年長ぐらいのときっすそれ」

 

 助手席に座りながら、小5のお盆に羽鳥家でやった親戚の集い以来に顔を合わせる曜子さんとの会話。親戚と言えど、県外に住む蝶野家の人たちとは今まで生きてきてトータルでも4,5回くらいしか会っていないせいか、思うように距離感が掴めない。

 

 「もしかして緊張してる?」

 「全然大丈夫す」

 「あらそう?」

 

 実は割とマジで緊張していることを察せられながら、大通りから信号を曲がり白線のない住宅街の道へと入っていく前の景色に目を移す。蝶野家に行くのは10年前の春休みに家族旅行で東京を観光した最後に半日だけ滞在して以来。いま走っている景色を見ても全く記憶が蘇らない程度には縁のない場所でこれから生活するというのは、いくら雲山市立南中学校バドミントン部の元エースとして全国の舞台に立ったこの俺(※ボロ負けの初戦敗退)をもってしても、いざその時が近づくと緊張するみたいだ。

 

 “雛姉(ひなねえ)、ちゃんと覚えてるかな俺のこと……”

 

 「……さては()()()()考えてるでしょ?」

 「え?」

 

 心の中で考えていたことを、曜子さんから思いっきり読まれてしまった。会う前から勝手に身構えている俺が悪いのだけど、これは普通に恥ずかしい。あの雛姉のことだから下手に気を遣う必要はないのは分かっていても、久しぶり過ぎてどんな感じで話していたかを上手く思い出せない。まず、俺のことを覚えているかどうかだけど。

 

 「そりゃ…雛姉と会うの自体マジで久々なんでどんな感じで話そうとか、あと俺のこと覚えてるかとか…ぶっちゃけ考えますよ」

 「あはは、やっぱり緊張してるじゃない」

 

 何せ雛姉と最後にあったのは、親戚の集いで会った5年前の夏。それからはお互いに都合が合わず年賀状でのやり取りしかしていなくて、いま俺が知っている近況と言えばインターハイに出場して3位になったことくらい。はっきり言って俺の記憶の中にいる雛姉は、新体操と歌が大好きなお団子ヘアがトレードマークの元気で明るい1コ上のお姉さんのまま……ってぐらい、いまの俺と雛姉はお互いに疎遠だ。

 

 「それに……はとこっつっても女子が住んでる家にこれから3年もお世話になるんで…」

 

 おまけに小6だった雛姉は来月には高2になる、年齢で言うなれば立派な女子。お盆とか正月にだけ会うのならともかく、親戚と言えど同じ学校に通う女子と最低2年間は同じ屋根の下で生活するのを想像すると余計に考えてしまう。こんなことなら、バドを楽しみ過ぎないで彼女の1人でも作って女慣れしとけばよかったかもな……というのは冗談だけど。

 

 

 

 

 

 

 「飛鷹くん。バドミントン、私にも教えてよ」

 

 

 

 

 

 

 「…心配しなくたって大丈夫よ。雛もちゃんと飛鷹くんのこと覚えてるから」

 

 車のハンドルを握り、目線を前に向けたまま曜子さんが暖かい口ぶりで優しく笑う。

 

 「そうですか……だったら安心です」

 

 曜子さんの口から雛姉が俺のことをちゃんと覚えていることを知らされて、ようやく肩の力が少しだけ抜けた。そうだ。雛姉とは羽鳥家で一緒に花火をしたり近くのパワースポットの山を登ったり、最後に会った夏には俺と野球でいう()()()()()()()()()とはいえ一緒にバドをする程度には打ち解けた仲だから、忘れてるなんて絶対にない。

 

 「それより、一緒に暮らす雛のことを女子って考えるようになるなんて飛鷹くんも大人になったわね?」

 「一応来月から高校生なんで……ってどういう意味ですか?」

 「ちなみに私は()()()()()から」

 「よく分からんけどすげえ勘違いが起こってる気がする……」

 

 それに俺はバドをするためにわざわざ栄明に行くと決めたから今ここにいる。もっといつもの俺らしく堂々としろ。俺。

 

 「はい。今日は1日お疲れ様です」

 「ここまで送ってくれてありがとうございます」

 「いいのよこれぐらい。今日から家族みたいなものだし」

 

 もう家に入る前からすっかり歓迎ムードの曜子さんのおかげで気が楽になったところで、最寄り駅から7,8分ほど走った住宅街の一角に車が止まる。

 

 「どれか一個持つ?」

 「いえ、全部持てるんで大丈夫です」

 「本当に大丈夫なの?」

 「これぐらい全然平気っすよ。スタミナだけはあるんで」

 「とりあえず玄関開けておくよ〜」

 「ありがとうございます」

 

 いつの間にか日が落ちて茜色になった空の下、曜子さんの車から自分の荷物を下ろして、実家から持ってきたありったけの手荷物を全身でぶら下げて約10年ぶりに蝶野家の前に立つ。ぶっちゃけ久しぶり過ぎて、“あぁ、そういえばこんな感じの家だったっけ…”ぐらいの記憶しか蘇らない。

 

 「お邪魔します」

 「荷物は一旦床のところに置いちゃっていいからね」

 「はい」

 「にしてもよくこれだけ荷物持って乗り換えとか出来たわね飛鷹くん…」

 

 ぶら下げた手荷物を気にしながら朧げにしか記憶にない羽鳥家より少し広めな玄関の中に入って、玄関の端に片道4時間強を共にしてきた生活必需品と愛用のラケットケースを置いて一度は入ったことのある玄関を何となく見渡してみる。

 

 “…玄関が広い…”

 

 案の定、俺の記憶は蘇らなかったもののアイボリーの照明に照らされた開放的な玄関をちょっと見渡しただけでも分かる、蝶野家の豪邸ってほどじゃないけれど普通の家より()()()()()()良い家感。

 

 「…玄関ってこんな広かったでしたっけ?」

 「そうよ。この家を建てたのがちょうど10年前だから、飛鷹くんがここへ来たときから何も変わってないわ」

 「広いって自覚はあるんすね?」

 「ちょっとだけね。奮発したから」

 

 思わずちょっとだけ広めの玄関のことを聞いたら、曜子さんは満更でもない様子でそう返して奥に見える階段のほうへと歩いていく。よく分からないけど、何となくこういうところが()()だなって思う。

 

 「雛~!飛鷹くん来たわよ~!雛~!」

 

 階段の前で立ち止まり、曜子さんが大声で2階に向かって雛姉の名前を呼んで俺が来たことを知らせる。

 

 「……って、聞こえてないし」

 

 だが何秒か待っても2階から反応はなく、曜子さんは溜息交じりに独り言を呟く。

 

 「ごめんね飛鷹くんちょっとここで待っててね。雛~!」

 

 まるで割とよくあることだと言わんばかりに、俺に軽く謝って雛姉の名前を呼びながら2階へ上がっていく曜子さん。その姿は元体操日本代表を旦那に持つ奥さんとは思えないほど、本当にどこにでもいる普通の家庭のお母さんだ。

 

 “…とりあえず土産持って待っとくか…”

 

 さて、そんなわけで俺が今日からお世話になることになった蝶野家は、スポーツ界隈じゃ割と有名な体操一家だ。この家の主は俺の従伯父にして日本代表として世界選手権に出場したこともある元体操選手で、いまは母校の大学で准教授と男子体操部の監督をしている蝶野弘彦(ちょうのひろひこ)。その弘彦さんの奥さんで従伯母の曜子さんも元体操選手で、大学卒業と同時に引退したものの曜子さんも体操選手として全日本に出場して入賞したことがある実力者だったというのを、いつかのタイミングで曜子さんの従姉妹にあたる母ちゃんから俺は聞いている。

 

 「雛、もう来てるわよ飛鷹くん

 

 そしてこの2人の間に生まれたのが、高1にしてインターハイ3位に輝いた栄明高校新体操部の期待の星にして元体操日本代表を父に持つサラブレット、もとい俺のはとこの()()こと蝶野雛(ちょうのひな)。言うまでもなく雛姉はあくまで俺がそう呼んでいるだけで、マジな意味ではない。

 

 ちなみに今は1人暮らしを始めた関係でこの家にはいないが、この蝶野家には()()こと蝶野麦(ちょうのむぎ)という雛姉の2つ上のお姉さんもいる。さらに余談を言うと麦姉は雛姉とは違い、この一家の中で唯一体操競技には進まず別の道へ進んでいる。

 

 “…なんかすげえ(とこ)に来ちまったな俺…”

 

 雲山では知らない人はいない和菓子屋で買った土産の紙袋を持って恐らく自分の部屋にいるであろう雛姉を呼びに行った曜子さんを待ちながら、現在進行形で有名人が2人もいる家に住まわせてもらうという何とも言えない敷居の高さをしみじみと噛みしめる。

 

 「えっ?もう来たの?

 

 階段の上のほうから、雛姉と思しき女の人の声が小さく聞こえてきた。記憶の中にいる雛姉よりほんの少し大人っぽくなった声が、聞き覚えはあるけれど初めて聞いたような不思議な感覚となって耳に届く。

 

 “……来た”

 

 2階から微かに聞こえる足音が早くもなければ遅くもないペースを静かに刻んで玄関へと近づくのに合わせて、土産の入った紙袋を持つ右手に自然と力が入る。何年かぶりに年が近い親戚に会うときは、第一声は何て言うのが正解なのだろう。いっそ普通におひさ~ぐらいの軽いノリでこっちから早速壁を破ってやろうか。曜子さんも気を遣わないでいいみたいなこと言ってくれてるし……いや、さすがに身内でもちょっと馴れ馴れしいかこれは……

 

 「……飛鷹くん?」

 

 と脳内でこれから同居させてもらうことになるはとこへ言う一言目を考えているうちに、階段を下りきる途中のはとこから先手を打たれた。

 

 「おっす……久しぶり……」

 

 階段の6段目あたりで立ち止まり俺を見下ろす雛姉へ、目を合わせ声を掛ける。先に名前を呼ばれて出鼻をくじかれたみたいな恰好になったおかげでどっちつかずな締まりの悪い第一声になって、互いにフリーズ。とりあえず、スタートダッシュは無難にやらかした。

 

 「えっ飛鷹くん!?」

 

 やや気まずいフリーズを数秒挟んで、小5の夏ぶりに顔を合わせる小さな顔が分かりやすく目を丸く開いて驚きの声を上げ、普段着姿の雛姉は階段を一段ずつ足踏みながら一気に駆け下りて土産を片手に玄関で待つ俺の前まで駆け寄り立ち止まる。

 

 「曜子さんからはもう聞いてるとは思うけど……今日からこの家でお世話になることになったわ」

 

 目の前で立ち止まる大人っぽくなった雛姉に、頭で言葉を紡ぎながらご挨拶。やっぱり顔つきは会えなかった時間を感じさせるくらいには大人になったけれど、二つ結びのお団子にした綺麗な薄い赤色の髪はそのままで、久しぶりに顔を合わせた1コ上のはとこは俺が想像していた以上に記憶の中の面影を残していた。

 

 「ってことだからよろしく。雛姉」

 

 それに安心したのか、5年前とあまり変わっていない雛姉の顔を見ていたら安堵が身体中を巡って、謎に気持ちが晴れた。

 

 「……君ってほんとに飛鷹くん?」

 「じゃなかったらここにいんの誰?」

 

 俺の顔をじっと見つめるパッチリとした二重の瞳が、驚きから疑心に変わって首を傾げる。おいおいマジか。もう5年も会ってないとはいえ一緒に花火に山登りやバドまでした俺のことを、覚えてないってのか…

 

 「いやだって、私の知ってる飛鷹くんってこんなに大きくなかった気がするけど?」

 「雛姉と会わないうちに20センチ以上背が伸びたんだよ」

 「この私がチビとでも?」

 「んなこと一言も言ってない」

 「あと声が低くなってる」

 「大抵の男子は中学で声変わりする生き(もん)でしょ」

 

 というのは前から揶揄い好きなところがあった雛姉のジョークだっていうのは分かっているので、敢えてそれに乗っかってやる。やっぱり雛姉はちゃんと俺のことを覚えてくれていた。

 

 「…でもまあ、よくよく考えたらあの飛鷹くんがこんなに大きくなってるのも無理ないわよね。だって最後に私が飛鷹くんと会ったのって、琢朗(たくろう)さんの家に泊まりに行った5年前のお盆だもん…」

 

 5年分だけ大人へと近づいた俺の顔を、少し()()()()()雛姉は微笑ましく見つめる。10センチに満たないほどだったはずの俺と雛姉の身長差が、その倍くらいに広がったようにこの目に映る。

 

 「本当に大人っぽくなったね……飛鷹くん」

 

 言ってしまえばそれぐらい雛姉以上に俺が会わないうちに大きくなったというのもあるのだけど、記憶の中より少しだけ低くなった視線に、会わなかった時間の長さを俺はいま感じている。

 

 「だけど……顔はちゃんと飛鷹くんのままだ……」

 

 見上げるような視線を向けたまま、雛姉は左足を半歩ほど前にスッと出して背伸びをしながら右の掌を俺の頭の上に優しく乗せて、嬉しそうに微笑む。

 

 「雛姉もじゃん」

 「そう?私は結構変わったなあって思ってるけど」

 

 自分は変わったと一瞬だけ悪戯っぽく笑った雛姉の少し小さく暖かい掌がそっと離れ、背伸びで近づいた視線がまた元の高さへ戻る。あの夏から季節が18回移り変わり、俺と雛姉はそれぞれのペースで同じ分だけ大人へと近づいた。それでも俺の前では少し背伸びしてお姉さんらしく振舞っていた雛姉との距離感は、まるで会わなかった時間の隙間が嘘みたいに変わっていない。何だかそれが懐かしいような新しいようなって感じで、不思議な気持ちだ。

 

 「……羽鳥飛鷹くん」

 

 俺の頭から手を離した雛姉が、5年前と同じキラキラとした表情で名前を呼ぶ。会わない時間が長すぎたせいか大人に近づいた可憐な小顔にちょっと慣れないところはあるけれど、とにかく雛姉が()()()()()だったことが俺には凄く嬉しく思えた。

 

 「蝶野家へようこそ」

 

 

 

 

 

 

 「誰かのピンチに現れる。それが蝶野雛さまぞ」

 

 

 

 

 

 

 「はい……今日からお世話になります。蝶野雛さん」

 

 こうしてバドミントンのためだけに生まれ育った町を飛び出した1()()()()()()()による蝶野家での生活は、ちょっとした感動を伴い幕を開けた。




原作を読まれている方はもうお察しかもしれませんが、蝶野家に関しては雛パパの名前と雛パパが元体操日本代表であることと原作112話でチラッと家の外見と雛の部屋が描写されたことを除いて全くと言っていいほど情報がないので、一部を除いて完全なオリジナル設定となっています。

納得できねえよという方もいらっしゃるであろうということは重々承知のつもりですが、どうか寛大な心でお許しいただけると幸いです。
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