「羽鳥飛鷹です!よろしくお願いします!」
バドミントンのことを楽しそうに話す親友の笑顔を見て、その得体の知れないスポーツに興味を持った小4の夏の終わり。泳ぐことに飽きてしまった俺は親友の通っている隣町のバドミントンスクールの体験教室に参加した。
「えっ、全然打てないんだけどこれ?」
当然ラケットの持ち方はおろかルールすら全く知らないレベルで知識が皆無だった俺にとって、生まれて初めて触れるそのスポーツは何もかもが新感覚だった。まずは正しいラケットの持ち方から始まり、初めて打ったドロップショットはあらぬ方向へと飛び、クリアを打ち返そうとすれば野球やテニスの球とは全然違うシャトルの軌道に戸惑って何回も空振りをした。
「シャトルを打つときは肘を止めて打つ。こうすることでシャトルを思い通りに飛ばせるようになるんだよ」
そうしてなかなかシャトルを思うように打てないでいる俺に、体験教室を開いたコーチの人が上手く打つためのコツを教えてくれた。
パンッ_
「出来たじゃん飛鷹くん」
「…すげぇ、マジで飛んだ」
コーチのアドバイスで肘を固定することを意識したら、自分の思い描いた通りにシャトルがスコーンと前に飛んでいった。どう考えてもマグレの一発だったけれど、自分の放ったシャトルが放物線を描いて反対側のコートへと飛んでいく光景を見たときは、軽い感動すら覚えるほど気持ち良かった。
「いいよ、その調子」
最初の一発目こそ本当にマグレだったが、正しい打ち方を知って、自分なりに予測不能だったシャトルの動きを読めるようになって、その度に空振りが減って的中率が上がっていって、掴み始めたコツが自信に変わっていく。今思えば少しずつ出来ることが増えていくのはどのスポーツでも同じことなのだろうけど、バドミントンだけは本当に
「最後はスマッシュの練習になるけれど、これは実際に見たほうが分かりやすいのでまずは僕が手本を見せます」
銃声みたいな鋭い音と共に、目では追えないスピードでネットの上を通り過ぎてコートに突き刺さるような角度で落ちる。コーチがスマッシュの練習でお手本として見せた生まれて初めてこの眼で見たスマッシュの衝撃も俺にとっては特別で、いつかは自分もこういう球を打てるようになりたいと憧れを持ったのだけど……何よりも俺がバドをやると心に決めたのは、このスポーツが楽しいということを心の底から分かり合える恵介という存在がいたからだ。もし恵介がバドをしていなくて何か違う形で出会っていたら、きっと変わらずバドをやるだろうけどここまでは楽しめなくて、水泳のときと同じくふとしたことをきっかけにまたやめていたかもしれない。
それぐらい、俺にとってバドミントンは
スパンッ_
「ナイスショット!いいねえ飛鷹くん!」
「あ、あざっす!」
最後に生まれて初めての完璧なスマッシュが打てた瞬間、俺はこのスポーツをもっともっと楽しみたいと強く思い、その日のうちにショットを教えてくれたコーチに“スクールに入りたい”という意思を伝えた。
「今日から練習に参加してもらう羽鳥飛鷹君だ。羽鳥、自己紹介を」
栄明中学高等学校・高等部バドミントン部の監督で、俺をスカウトした張本人である
「今日から練習に参加させていただくことになった羽鳥飛鷹です。バドミントンを始めたときからずっと心に決めている“バドを楽しむ”ことをこれからも大切にしながら、インターハイを目標に頑張っていくんで今日からよろしくお願いします」
監督から促され、地味に3日前あたりから頭の片隅で考えていた自分なりに真面目過ぎずかといってビッグマウスにならない絶妙なラインの自己紹介をして、視線を向けている先輩たちから拍手で迎えられる。初日の初っ端でお客様感は否めないけれど、今日から俺はこの人たちとバドミントンをして、インターハイを目指していくことになる。
“んー、やっぱもうちょっとふざけたほうが良かったかこれ?”
拍手が終わった瞬間、いざ言ってみたら思いのほか真面目っぽくなってしまった自己紹介にどうしようもないくらい小さな後悔が身体を流れる。もちろんここでバドをすることを心から楽しみにしているけれど、ただでさえ周りが先輩だけという状況の上に自分だけが全然違う
「繰り返しになるが、本来新入生が本格的に練習に参加するのは4月からだが、羽鳥には特例として今日から全く同じ練習メニューで参加してもらう。ちなみに基本の練習メニューに関しては既に羽鳥にも伝えているが、まだ分からない部分もあるだろうから適宜サポートを頼む」
「「はい」」
何てことは幸か不幸か一切触れられず、栄明での初練習は雛姉から見送られながら蝶野家を出たときの高揚感は何だったのかと言わんばかりに淡々と始まる。俺と恵介を除くと地区大会も突破できない弱小の部類だった南中のバド部とは違い、インターハイに何度も出場している栄明にとっては俺ぐらいじゃそこまで驚きはないということだろうか……一応言っておくけど、自分を棚に上げているつもりはこれっぽっちもない。
「えいめーい、ファイ」
「「オー」」
「ファイ」
「「オー」」
「ファイ」
「「オー」」
まず最初に行うのは、ランニングとストレッチの準備運動。体育館の中でバド部が使っているコート内をフルに使って端を周回しながら、独特な掛け声を出しながら一定のペースを刻む。こういう練習は南中のときも学校が休みで朝から部活があるときによくやっていたから、なんだか懐かしさすら感じる。
“…つか、めっちゃ広いなこの体育館…”
ランニングをしながら仕切られたネットの向こうに目を向けると、バド部以外にもパッと見ただけで3つぐらいの部活がそれぞれ活動しているのが視界に入った。実技のときにこの体育館には来ているからもう知っているけど、学校の体育館なのにぶっちゃけ地元にある市民体育館よりも下手したら広いんじゃね?ってぐらい、この体育館は広い。さすがはスポーツ強豪校なだけあって、スケールが違う。
「羽鳥くんの番だよ」
「?あっハイ、えいめーい、ファイ」
「「オー」」
なんて油断して早速掛け声が最後尾を走る自分のところにまで巡ってきて隣を走っていた先輩にフォローされるヘマをやらかしつつ、ランニングとバドをやるうえで最も重要な下股と体幹を鍛えるストレッチで温め終えてが終わると、5分の休憩を挟んでダッシュへと入る。
「2セット目行きまーす!」
見守るようにストップウォッチを持つマネージャーからのカウントで、1人1人が練習メニューをこなしていく。20メートルほどの距離を全速力で駆け抜け、次に20メートルの中でダッシュとジョギングのサイクルを繰り返し、最後は方向転換しながらのダッシュを行う。こういう基礎的な練習はスクールでも南中でもやっていたから慣れているし、やってきたおかげでスタミナもかなりついてきたとは言っても、今でもそれなりにはキツく感じる。
「飛鷹、このままもう1セットやるけど行けるか?」
「はい!全然行けます!」
だけれどこうした地道な基礎練習がバドにおいて必要な瞬発力、持久力、俊敏性、そしてメンタルの強化に繋がっていく。フットワークさえやっておけば何だかんだでどうにかなると雑にしてしまうとプレーが狭まるばかりか、肉離れやアキレス腱を痛めたりするリスクにも繋がることはスクールのときから教わっているから、こういうところは常にサボらずやり続けてきた。まあ、準備運動が一番大事だってことはバドに限らずどの運動部にも共通していることだから言うまでもないのだけど。
「ノックに備えてクールダウンしておけ」
そして10分の休憩を挟んで、やっとシャトルが打てるという気持ちが前に出過ぎないように抑えながらいよいよラケットとシャトルを使ったノック練習へと入って行く。
「よろしくお願いします!」
まずは先輩が上げる球をスマッシュのみで打ち返し、それが終わると奥とネット前など状況に応じてヘアピンやドロップも使って相手のコートへ返す。それをひたすらに繰り返す。本来ノック練習というものはシャトルと上げる側と打つ側でローテーションをしていくのだけど、今回俺は打つ側に終始してノックをやらせてもらっている。
パンッ_
“…右後ろから左前、やっぱ引退して練習する頻度が減ってたから少し下手になってるな…”
こういうシャトルを使った練習は、自分の足りないところが課題となって見えてくるから試合形式の練習の次くらいには楽しい。一応全中に出られたからと言って、まだ5年半しかバドをしていない俺には足りないところや苦手なところがまだまだある。
「動き自体はいいんじゃないか?スマッシュは力の入れどころと抜きどころをしっかり掴めていて、球もちゃんと読めていて足も動かせてる…ただ飛鷹の場合は要所でフットワークが雑になるきらいがあるから、そこ直していかないと相手に動きが読まれていざってときに打たれるぞ」
にしてもここまで練習内容的には中学でやってきたことと何ら変わらないのに“俺ってまだまだだな…”と感じるのは、きっと俺が
「ありがとうございます。
特に最初にノックを打たせてもらった
「
そして球を打たせれば、まるで大したことのないかのようなすまし顔で必ず自分の狙ったコースに百発百中の如く打ち込んでいく。試合をせずとも針生先輩という人はここのバド部の中で誰よりも強くて、部活を引退して実戦から遠ざかっていたいまの俺では勝てないことを肌で感じる。
キュッ_パンッ_
そしていまの俺の中で、まだ咄嗟だと名前が出てこないけれどこれは勝てないかもなと直感で思った先輩がもう1人いる。
「
針生先輩のような絶対的な安定感とは違う、返ってくる一球一球を必ず拾い上げて狙ったところへ返さんとするノックを見ただけで伝わる気迫が溢れるプレースタイル。それでいてただ気迫がすごいだけじゃなくて、決まったコースであっても常に飛んでくる球の軌道を予測して足を動かし、スマッシュひとつでも打つたびにコースを微修正して苦手なコースを重点的にプレーしながら最適解を探っていく冷静さもある。自分を客観的に見つめて課題を意識してノックをする姿勢に、この先輩のバドに対するひたむきさと向上心の高さを垣間見る。それに上手いのはこの2人の先輩だけじゃなく、普通に県大会に出られるであろう先輩が何人もいる。
“…もっと早く気付いていれば、あのときもっといい試合できたんかな…”
ノックの順番待ちの時間を使いコートの外でフットワークをつけた素振りをしながら、考える。ここの先輩たちに比べて中学までの俺はどうだった?ずっとただ楽しむためにバドをやってきたとは言っても、俺も俺なりに本気で向き合いながら練習に打ち込んできたはずだった。だけどいま感じているのは、もっと真剣にやっていれば、全中の初戦で当たった
自分なりに本気で向き合っていたつもりでも、先輩が引退してエースを託されたときから全中の初戦でボロ負けするまでの俺は、誰よりもバドを楽しむと意気込みながらも心の中では狭い箱の中で
シュッ_
気になる先輩のノックを意識の片隅に置きながらスマッシュを意識した素振りをして、一息つこうと蝶野家のストックから拝借したポカリを口に運び、何気なく視線と意識を緑のネットの向こう側を見渡す。
「ファイトー!」
ネットで仕切った隣の練習スペースで、女子バスケットボール部が練習しているのが一瞬だけ目に留まる。
“…試合形式の練習っぽいな……さすがスポーツ強豪校、本番さながら…”
スイートスポットにシャトルが当たったときに放たれる乾いた甲高い打撃音と、バスケットボールが床を跳ねるときに発せられる“ダン”と下から響く音と、床をキュッと鳴らす靴底の
「…っし」
体育館の空気を浴びて、再び心のスイッチを入れて素振りをしようと腕を上げる。
“……あ”
ちょうどそのとき、すぐ後ろにあるコート外の通路を歩く雛姉の姿が視界に入った。バド部の練習に集中していたせいかすっかり頭から抜け落ちていたけれど、そういえば雛姉も同じ体育館で練習していた。
「おつ……」
思わず素振りを中断して雛姉に声を掛けようとするも、ワイヤレスのイヤホンを耳につけ手先でリズムを刻みながら歩いていく様子を見て、それを躊躇う。新体操のことは全くと言うほど俺には分からないけれど、休憩のためかアリーナの外へと歩いていく雛姉が自分の振り付けに集中していることだけは前だけを見据える真剣な表情ですぐに分かったから、俺はなるべく目が合わないように気を付けながら練習着の上にウインドブレーカーを羽織る雛姉を目で追う。
本当に頑張ってるんだな……雛姉……
「飛鷹!次やるか?」
「はい!お願いします!」
新体操に真剣に打ち込む雛姉のことを目で追っていたところで先輩から声をかけられハッと我に戻った俺はコートへと戻り、はとこに負けじと再度心を切り替え引き続き練習に打ち込んだ。
「午後練は13時からね~」
昼の12時。朝9時から始まった午前の練習はあっという間に終わった。学校で机に座り授業を受けている3時間はあんなに長いのに、バドをやっていると時間を忘れてしまうからか同じスピードで時間が流れているとは思えないくらい、時の流れが早い。
「モップ掛けやっておきます」
さて、午前の練習が終わりこの中で1番の下級生である俺には昼休に入る前にやるべきことがある。何度も打たれたことでシャトルから剥がれ落ちた羽の一片や練習で汗が落ちて滑りやすくなった床をモップで拭いて綺麗にする、いわゆるモップ掛け。もちろんこれは先輩から言われたとかではなくて、自主的だ。
「えっ?いいよいいよ君は午後に備えてゆっくり休んでて」
他の先輩に混ざって練習スペースの端にあるモップを手に取ってコートの清掃を始めようとする俺を、マネージャーの先輩が少し謙遜した様子で止めてきた。確か名前は
「いえ、練習に参加させてもらってる以上はこれぐらいのことはしておかないとって思ってるんでやらせてください」
そもそも俺のいた南中のバド部はマネージャーがいなかったから、絶対違うだろうけどマネージャーがいるっていうだけで強豪っぽいなと俺は思う。というか、よく見てみると顔が結構可愛いことに気づく。パっと見で何となく、守屋先輩は男子からモテそうな雰囲気を感じる。
「そう…じゃあせっかくだからそこのコートをやってもらっちゃおうかな」
「はい、ありがとうございます」
「落ちてた羽とかは筒の前に集めておいてねー」
「了解です」
という口にしたら引かれそうな勝手な感想は心に留めて、先輩たちに混ざり俺もモップを掛ける。“プレーはマナーに出る”と小4から小6まで通っていたスクールのコーチが言っていた教えを守り、埃1つすら残さないことを意識して練習の跡が残るコートを真っ新にする。
「終わりました」
留まっていた羽の一片を拾い集めて、モップを定位置へと戻す。本当に当たり前のことだけど、こういう些細な部分も手を抜かずにちゃんとやることが大事だってことは少なくとも
「羽鳥くん、だっけ?」
「はい」
モップを定位置に戻してコートを出ようとしたところで、ちょうど一か所に集めた羽の一片や埃を塵取りで片付け終えた守屋先輩から通りすがりに名前を呼ばれた。
「ついでで一個だけ聞きたいことがあるんだけどいいかな?もちろんすぐ終わるから」
「はい。大丈夫すけど」
振り返ると、守屋先輩は俺に何か言うことがありそうな表情で小さく笑いながら聞いてきた。もしかしたら俺が知らないうちに何かやらかしたか?という嫌な予感じみた考えが一瞬だけ頭をよぎる。
「悪い意味で聞くつもりはないんだけど……ノックのときにひなっちのこと見てたでしょ」
「…ひなっち?」
呼び止めた守屋先輩は立ち上がって、“怒らないから言ってごらん”と言いたげな表情で俺にだけ聞こえるほどの声量で聞いてきた。
「あ~そっかこの名前じゃ伝わらないか……新体操部に蝶野雛っていう人がいるんだけどさ、その人のこと素振りしながらガン見してたでしょ?
「……あー」
最初に言っておくが、俺は神に誓って雛姉のことをああいう目で見てなんかいない。だけど女慣れしていない俺でも分かる。これは下手なことを言うとほぼ間違いなく角が立つパターンだと。マジかよ。俺、ただ通りすがったはとこのこと見て“頑張ってんなー”って思いながら見ていただけなのに……初日から美人マネージャーに最悪な形で誤解されんの?俺?
「その人……俺の
と、マジで誤解される前に俺は思い切って守屋先輩に本当のことを打ち明ける。ちなみに雛姉からは周りに言っていいか秘密にするかどうかなんて全く聞いていないけれど、咄嗟すぎてこの方法しか思いつかなかった。
「……えっと、君とひなっちがってこと?」
「はい…もっと言うと、その人の家族の
何だか状況を飲み込めてないのか考え込むような仕草で守屋先輩は困惑しているけど、雛姉とはあだ名で呼ぶ仲なんだろうなっていうのは分かったから、もう全部言った。とりあえず雛姉からは後で何か言われるかもだけど、誤解されるよりはよっぽどマシだ。
「……あぁ思い出した!この前ひなっちが言ってたはとこ君!?」
「雛姉言ってたんすか?(そんなの聞いてないし声デカっ…)」
「へぇ~、雛姉って呼んでるんだ??」
「あぁいやこれは…」
半分くらいやけになって全部言ってみたら、なんと本人が先にサラッとバラしていたというオチだった。正直、数秒前までの心配を返して欲しいし、雛姉も雛姉でどうして俺に黙っていたのか……まあ、そういうところがあるのが俺の知ってる雛姉なんだけど。
「でもまさかひなっちのはとこ君が本当にバド部に入るとは……顔はそんなに似てないわね」
「所詮はとこなんであんまり似てないっすよ」
俺が
「一応聞くけど、何で見てたの?」
そして思い出したかのように、話は本題に戻る。
「…新体操、本当に頑張ってるなって思いながら見てました」
もう本当のことを言っても角は立たないから、俺は思ったことをそのまま守屋先輩へ明かす。
「休憩の合間も惜しんで自分の振り付けを真剣に振り返ってて……俺は雛姉のああいう表情を見るのも初めてだから、ぶっちゃけ少しだけビックリしましたけど……雛姉が頑張ってるとこを見ると、こっちも負けじと頑張らないとって感じで気合いが入ります」
「まあどーにかなるっしょ。いつも通り楽しんでいけば」
「……見習わないとっすね。インターハイ目指すからには」
ただ雛姉のことを見ていた理由だけを言うつもりが、バドを続けてきた中での唯一の
「羽鳥くん……ひとつだけ良いこと教えてあげる」
決意表明じみた友達のはとこの主張を聞いた守屋先輩は、手を後ろで組んでどことなく嬉しそうに小さく微笑む。良いことが何なのかも気になるし、何なら雛姉と気が合いそうなのが今ので分かってしまった気がする。
「誰でもいいから
そんな守屋先輩はマネージャーとして新入部員の俺に送ったアドバイスは、おおよそバドとは関係なさそうな意味深なアドバイスだった。
「…それって」
「ハイ、もう用は済んだから午後錬控えてる君はさっさと休むっ!」
だがその意味が何なのかを教えることなく、守屋先輩は塵取りを持ってコートの外へと行ってしまった。
「羽鳥~、早くしないと昼食う時間なくなるぞ~」
「はい!いま行きます!」
「なんか守屋さんと随分話し込んでたっぽいけどどんなこと話してたの?」
「そうですね……自己紹介的な?」
「なんで疑問形?」
結局こっちもこっちで聞けず仕舞いのまま、午後の練習に備えて昼休に入っていく。
「そういえば羽鳥って
「はい。監督から事前に」
それはそれとして、午後の練習が本当に楽しみだ。
栄明の練習メニューは例によってオリジナルです。お許しください。
というか菖蒲のキャラってこんな感じで合ってるのかな??