鷹と蝶   作:ナカイユウ

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時は少し進み、1学期も終わり迎えた花火大会当日_


見直した

 佐知川高校・体育館_

 

 「ヘイ!みんなお疲れ!」

 「「お疲れ様です!」」

 

 土曜日の練習が始まる10分前。体育館の扉のほうから五百崎さんの声が聞こえて、この後のウォームアップと基礎練習に備える部員全員が一斉に元気よく挨拶を返す。ラケットバッグを背負う五百崎さんの右手には、毎度ながらのお土産らしき紙袋。

 

 「これ、この間の遠征先のお土産」

 「ありがとうございます!」

 「しっかし暑いねぇ今年の夏は」

 「そうっすね。もうマジで灼熱です」

 「ちゃんと水分補給しとけよお前ら」

 

 今回もまた試合の遠征先で買ってきたというお土産を、意気揚々と五百崎さんは後輩たち全員へプレゼントとして渡す。こうやって遠征の後に母校(ここ)の体育館へ顔を出すたびにこの人はいつもお土産を持ってくるのだけど、本音としては土産の話で盛り上がる時間(ひま)があるなら五百崎さんみたいに強い人と1分でも長くバドがしたい。

 

 「柊仁っ!お疲れ!」

 

 お土産に集まるみんなから少し離れて素振りをする俺に、五百崎さんが元気よく声を掛ける。

 

 「お疲れ様です」

 

 佐知川高校のOBで、バドミントンの強豪で知られる大学に進学してからもコーチとして遠征のない土日にここの体育館に顔を出して俺たち後輩を指導している五百崎さんは、バドの界隈では佐知川出身ではない人でも名前を知っているくらい有名な人だ。

 

 「素振りひとつとってもイイ動きしてんな柊仁は!」

 「試合のときと同じ動きが出来てないと素振りの意味はないんで」

 「ははっ、今日も()()してていいね~」

 「はあ…(どういうこと?)」

 

 小学生のときから年代別の日本代表に選ばれ、佐知川に進学して更に実力を磨いていきインターハイは3年連続で出場して高2のときにはシングルスでインターハイ初優勝。主将として挑んだ高3は県予選と本戦で2年生だった兵藤さんに本命のシングルスで敗れ共に準優勝となるも、団体戦でチームを優勝へと導き佐知川高校の2冠に大きく貢献した立役者。

 

 「それより五百崎さんと早く打ちたいです」

 「待て待て。まだウォームアップも始まってないって」

 

 そして大学に進学してからもインカレで好成績を残し、今では日本代表入りも期待されるほどの選手になっている。学年が3つ違いなこともあり五百崎さんとは直接の先輩後輩ではないが、中高で色々と育ててもらったという兵藤さんを通じてこの人とは中1のときから面識がある。

 

 「ところで調子はどうよ?」

 

 ラケットバッグからラケットを取り出した五百崎さんが、俺の隣にきて上半身だけで軽く素振りをしながら調子を伺う。

 

 「今のところ問題ないです」

 「そっか。まあ県1位も取ったんだしこのまま本戦まで調子を落とさずに行けば優勝も狙えるな?」

 「当然です。どんな大会だろうと優勝しか興味ないんで」

 「あはっ、いいねえ」

 

 真横から笑顔のままさり気なく吹っ掛けられる先輩からのプレッシャー。もちろんいつも通りに自分のプレーをして県予選を勝ち切った俺からすれば、1グラムの重みにもならない。勝って終わろうが負けて終わろうが、次の大会で勝ち切るために練習する。それだけのことだ。

 

 「けど()()()によれば、この前の県予選危なかったらしいね?」

 

 軽めの素振りを止めた五百崎さんの視線と表情が、不敵に俺を見て問いかける。風の噂の正体が何なのかは、すぐに分かった。

 

 「…羽鳥くんのことですか?」

 「そうそう。にしても柊仁に名前を覚えてもらえるなんて羽鳥くんは光栄だな」

 「印象に残ったんで」

 

 針生さんと猪股くんの試合も印象的だったけど、何よりも県予選で一番印象に残っているのは羽鳥くんとの試合だ。

 

 「あの試合は危ないどころか本当に楽しい試合でしたよ。ああいう予想外の強さで脅かしてくるような相手(ひと)が増えたら、もっと面白くなるのに…」

 

 俺と試合に当たる人はだいたい、自分を卑下しては俺のことを下から見上げて試合に臨んでいた。特に1学年下ともなると、試合をする前から勝つ気がない態度の人たちばかりで本当につまらなかった。

 

 

 

 

 

 

 「お願いします」

 

 だけど羽鳥くんは違った。“お願いします”と握手を交わしたときに真っ直ぐこの眼を見た表情は、相手がどうだなんて一切考えないでただこの試合を楽しむことだけを考えていた。

 

 「サービスオーバー。11―10」

 

 そして1ゲームの7点ビハインドで魅せてきた、“読めないスマッシュ”を武器にした自分が負けることなんて1ミリも考えてなんかいない本気。自分より年下の人と本気でやり合って点数をリードされたのも、自分より年下であんなに予断を許さないプレーをしてくる人と試合をするのも、晴人以外で自分より年下の人で俺と対等に向き合ってくれる人と相まみえたのも初めてで、久しぶりに心が躍る感覚がした。

 

 パァァンッ_

 

 羽鳥くんとの試合があまりにも楽しくて、俺はつい最後のスマッシュで我を忘れて感情的になってまだ練習でしかやったことのなかったスマッシュを打った。結局それが決まったことで彼との準々決勝は決着したけれど、本音を言うなら惑わされずに拾ってくれたらもっと楽しい試合が出来たのにと思った。最後の最後に“打ってくるはずがない”と油断されてしまったことだけが、惜しいと思った。

 

 もし相手が猪股くんだったら、()()は絶対に拾われていたってくらいには酷いスマッシュだったから。

 

 「楽しい試合だった」

 

 ただ準々決勝で、それも1年生を相手にここまで自分の中にあるものを惜しみなく出し切らざるを得ない試合展開になるとは思ってもみなかったから、あの試合自体は本当に満足している。最後の1点で彼の甘さが露呈してしまったとはいえ、元来のセンスと確かな負けん気を持つ彼はきっと更に強くなって来年の県予選に戻って来る。

 

 「次戦うときはもっと楽しい試合をしましょう!」

 

 

 

 あんなふうに、敵も味方も関係なく“遊佐柊仁(おれ)”と()()()()()()()()()()()が1人でも多くいたらって、俺は思う。

 

 

 

 

 

 

 「俺が相手だ!柊仁!」

 

 

 

 

 

 

 「…その願望。今日叶うかもよ?」

 

 あの試合で素直に感じたことをそのまま口にした俺へ、五百崎さんが不敵に微笑む。

 

 「どういうことですか?」

 「あれ聞いてない?」

 「本当に何のことですか?」

 「それは相変わらずマイペースなことで(そこがお前の良さだけど)」

 

 ただ俺からすれば五百崎さんの意図が分からなければ思い当たる節も全くなくて、脳みそが軽くショートしかける。そんなことより、うっかり充電し忘れて残量が10パーセントしか残っていないスマホのバッテリーが家に帰るまで持つかどうかがちょっとだけ気掛かりだ。

 

 「監督から聞かなかった?今日は()()()()()()()()()()()()()ってさ」

 

 察する気配のない俺に、五百崎さんが隣で屈伸をしながらヒントらしきワードを口にする。

 

 「……あー、()()()()()()()()()()()()ですか?」

 「やっと思い出したか」

 

 五百崎さんからのヒントらしきものを元に考えること5秒。ようやく思い出した。

 

 「どうしてもこの眼で見てみたかったんだよね……“神童”と呼ばれる黎ちゃんの弟がいまの柊仁を相手にしたら、どんな試合(ゲーム)を魅せてくれるかってさ…」

 

 中1でバドを本格的に始めると驚異的な早さで技術を習得してあっという間に頭角を現し、バドを始めてから僅か2年目で全中に出場するといきなりベスト4まで勝ち進んだという人外的な才能の塊。敗れた晴人の試合映像を通じてでしか彼のプレーは見たことがないけれど、少なくとも“神童”と呼ばれる所以は理解できた。

 

 「俺も楽しみですよ。()()()()()()()()()()と同じ遺伝子を持つ人と同じコートで打つことは」

 「うはっ、こんなに楽しそうな顔してる柊仁は久々に見たよ」

 

 ただ、それが何だと言うのか。神童なんて呼ばれようが、コートに立てば俺たちは対等に人間(プレイヤー)。もちろん周りからこれといった才を持ち合わせない凡人呼ばわりされる人も、同じコートに立った以上はそうであるべきだ。何も難しい話なんかじゃない。上も下も関係なく、目の前の2ゲームを取ることに全てを捧げて試合を楽しむことだけに集中すればいい。

 

 「…ま、さすがに柊仁なら普通に勝てるって俺は信じてるけどね」

 

 

 

 俺もいい加減……()()()()()()()に飽きてきたところだ。

 

 

 

 「お疲れ」

 「「お疲れ様です!」」

 

 体育館の扉から声が聞こえて、俺は挨拶を合図に五百崎さんと共に監督のもとに集まる。集合した部員たちの視線の先には、佐知川ではないウインドブレーカーを着た長身の中学生が緊張とは無縁のリラックスした表情で監督の隣に立っている。

 

 「昨日の練習でも一度話したが、改めて今日はKTSジュニアというクラブチームに所属する千木良君に佐知川(ウチ)の練習に参加してもらうことになっている。では千木良君のほうからも自己紹介を一言」

 「はい」

 

 言うまでもなく彼が噂の神童にして、来年から新たに佐知川へと加わる()()()になるかもしれない“怪物くん”だ。

 

 「KTSジュニアから来ました。東谷(あずまや)中学3年の千木良慧です。本日はよろしくお願いします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「21―15。21―16。ゲーム、飛鷹」

 「クソッ」

 

 自らの読み違いでゲームが決着し、思わず悪態が口から出る。

 

 「晴人。俺のスマッシュの精度は上がったか?」

 「知るかそんぐらい自分でどうにかしろ」

 「受け手の視点だからわかることもあるんだよこーいうのは」

 

 ストレートで負けたこっちの気持ちなんて全く眼中にない様子で、羽鳥は俺にジャンプスマッシュの出来栄えを聞いてきた。実力が足りていないと言われればそれまでの話だが、柊仁との試合を境に俺とこいつの実力差は縮まるどころか更に広がり始めている。

 

 「まだ柊仁と打ち合ってたときほどじゃねえな」

 「やっぱそーだよなぁ。安定して打てるようにはなったけど、もっと狙い通りの場所に落とせるようにならねえと厳しいか~」

 

 大喜先輩との決勝ですら余力を残してストレート勝ちした柊仁を本気にさせたあの準々決勝と比べると6から7割程度のプレーを前に1ゲームもデュースも取れない現状が、そのまま()()となって押し寄せる。

 

 「このままじゃ俺の胸糞悪いからもう一回やるぞ羽鳥」

 「いいぜ。こっちも調子が上がってきたところだしな」

 

 当然、負けたまま今日を終えるつもりは毛頭ないからすぐさま羽鳥に再戦を申し込む。こういうときに“おう、やろうぜ”と軽いノリで試合を買ってくれるところが、俺が思う羽鳥(こいつ)の唯一の良いところだ。

 

 「集合ーっ!」

 

 だがさあこれからというところで、終わりの時間を迎えてタイムアップ。

 

 「は?もう練習終わりかよ」

 「ほんとバドやってると時間経つの早ぇな~」

 「しかもよりによって羽鳥(こいつ)に負けて終わるとか…」

 「だったら勝てるようになれるまで頑張りゃいいっしょ」

 「チッ、俺より早く負けた分際が偉そうに」

 

 監督のところに向かいながら不完全燃焼の愚痴を溢す俺に、羽鳥は悪意のない爽やかな表情でクールに笑いかける。日を追うごとに初めてこの体育館で打ち合ったときのセンス頼りな雑さが減り、自主練と県予選を経てコート全体を俯瞰したクレバーな戦い方をするようになったこいつは、間違いなくバドミントンプレーヤーとして次の領域へと進み出している。

 

 「……似てきたな」

 「?何か言ったか晴人?」

 「何も言ってねえ」

 

 

 

 柊仁との試合で“まだやれる”という確信と課題を見つけたその横顔がだんだん柊仁に()()()()()()()()ように思えて、無性にムカついてくる。

 

 

 

 「はいっ!片付けはキビキビと動くっ!!」

 

 それはそうと、練習が終わるや普段以上にテキパキと動く守屋先輩の指示のもと急ピッチでコートの片付けと清掃を始める。理由は恐らく、今日の夜にやるという年に一度の花火大会だ。いつもランニングで走っている河川敷から花火が上がるのが見えるから、近所じゃないけど小学生のときには家族に加えてジュニアチームの奴も誘って花火大会に行ったりしていた。

 

 「コラそこのんびりとやらない!」

 「どんだけ楽しみにしてんだよ守屋マネ」

 

 ただそれも佐知川に進学して今まで以上にバド漬けの日々になってからはすっかりなくなり、今年も行かずに花火なんざそっちのけでランニングに出掛ける予定だ。

 

 「モップ片してきます」

 「あと5分で出るからなるはやでお願いっ」

 「うす」

 

 それ以前に、()()()()()を持つ俺には周りの奴らみたいに息抜きをする暇もない。

 

 「(これ片したら直帰して10キロくらい走りに行くか…)」

 

 周りの奴らが花火大会に行って祭りの活気を満喫している間も、柊仁(あいつ)はバドのことを考えて、今日より自分が強くなるために行動している。

 

 

 

 

 

 

 「晴人もやる?バドミントン」

 

 バドミントンという競技(スポーツ)と出会って楽しさに触れた瞬間から、柊仁は文字通りにバド以外の楽しみを捨てた。起きているときはご飯を食べるか勉強するかバドのことをしているか。もちろん気分転換のゲームすらしない。バド以外は何も興味ないし何ならいらないと言わんばかりに、学校の授業が終わってもクラスの誰とも遊ぶことなく暇さえあれば練習に出掛ける。ただひたすらにバドと向き合い続ける柊仁は、もの凄いスピードで強くなっていった。

 

 「練習?俺も行く!」

 「へばるなよ」

 

 そんな兄貴がムカつくけどカッコよくて、俺はその背中を追いかけた。ただ純粋に強くなりたくて追いかけていた……柊仁と俺が()()ということを自覚するまでは。

 

 

 

 

 

 

 「俺……高校、栄明に行くから」

 「え、なんで」

 「なんでって_」

 

 

 

 

 

 

 「あ」

 「うわ」

 「“うわ”って何すか?(モンスター扱い?)」

 

 2階の倉庫の前にある置き場にモップを置いて階段を下りたところで、ロビーの方角から歩いてきた蝶野先輩と鉢合わせしたついでに臨戦態勢をとられる俺。何だか前にも同じようなことがあったような気がする。

 

 「そういやタイミングなくてまだ言ってませんでしたけど、県予選優勝おめでとうございます」

 「いや今更過ぎるわ」

 「少しは喜んでくださいよ。祝ってんすから」

 「その前に君は先輩に対する礼儀とリスペクトを持て」

 

 とりあえず1年のときに続いて県予選で優勝したことを今更ながら祝ったら、案の定のリアクションで返された。先輩側からすれば迷惑だろうけど、何気に反応が面白いからちょっかいかけたくなるんだよなこの人。

 

 「一応このあと花火大会あるけど君は行くの?」

 

 アリーナのほうへゆっくりと歩みを進めながら、蝶野先輩が花火大会のことを聞く。

 

 「俺は行かないっす」

 「あらま。外せない用事?」

 「用事っつーか、()()()()するんで」

 「自主トレってバドの?」

 「はい。この前先輩と話してから色々考えて、1つ上の勝ちたい奴と次戦うことになったときに“やってやる”のが今の目標だってことに気付いたんで」

 

 もちろん俺は花火なんかよりも優先すべきことがあるから、先輩からの誘いを断る。そもそも仲が良いというわけではないどころかむしろ嫌ってる節がありそうなこの人にそんな意思はないだろうけど。無論、その原因は初対面で無礼なことを言った自分にあるが。

 

 「…なんだ。偉いとこあるじゃん」

 

 花火大会には行かず帰ってバドのための自主トレをすると正直にただ伝えただけの俺に、ゆっくりしたペースで隣を歩く蝶野先輩が小さく笑いながら呟く。別にこんなのは偉いなんて褒められるほどのことじゃなくて、強くなるためには当たり前のこと。これが俺の認識だ。

 

 「これは偉いとかじゃなくて、勝ちたい人に勝つためには1秒も無駄にはしていられないってだけなんで」

 「それが“偉い”ってことだよ。他のみんなが“今日だけは”って集まって花火を観に行く中でも、自分だけはもっとバドで強くなるために遊ばず家に帰ってトレーニングだなんて真面目で偉いっ」

 「何が言いたいんすかさっきから…」

 

 言い切ろうとする言葉を遮り、足を止めた先輩が釣られて思わず振り返った俺を暖かな眼つきで見つめる。

 

 「君のこと。ちょっとだけ見直した」

 

 振り返った視線の先で、蝶野先輩はそう言って微笑んだ。少なくとも今まで俺に向けてきた表情の中で、一番明るくて優しい表情(えがお)だった。

 

 「では雛さまは花火大会の準備があるからこれで」

 

 

 

 この人って……俺にも()()()()するんだな……

 

 

 

 「蝶野先輩」

 「ん?」

 

 初めて見せた笑顔に俺は、アリーナへ再び戻ろうとする蝶野先輩を呼び止める。“1年という大きい差を認識した上でそれでもやってやろうと思っている人が先輩のような地位の人を脅かす”という話をしたときから、どういうリアクションをしてくれるのかが少しだけ気になっていた。

 

 「見直したなら俺のことを名前で呼んでもらっていい_」

 「絶対ヤダ。サヨナラ」

 「言い切る前に即答っすか…」

 

 そしたら言い切る前にあからさまに怪訝な顔をされて、冷めた声で反論の余地すら与えず蝶野先輩は足早にアリーナの中へと入って行った。完全に魔が差したとはいえ、やはりまだ先輩との間には明確な壁があることを不意に実感する。

 

 「(どんだけ呼びたくないんだこの人は…)」

 

 別に俺は、蝶野先輩と仲良くなりたいからこんなことを言ったわけじゃない。ただ感情が(せわ)しいところとか、頑なに俺の名前を呼ぼうとしないところとか、全国の舞台に立ったからこそ言えるアドバイスをしているときの眼差しが真剣なところとか、“高額な観覧料”を請求されそうだから黙っているがたまに体育館の階段の踊り場で1人こっそりと振り付けの動きを確認している努力家なところとか……何というか先輩の一面をひとつずつ知っていく度に、()()()()()()と思うようになった。

 

 「(…そろそろ戻んないと守屋先輩に怒られるかもな)」

 

 

 

 そして蝶野先輩から“見直した”と言われた瞬間(とき)……どういう訳か俺の感情は、例えるなら“絶対に敵わない強敵に一矢を報いた”かのような、心地良さに包まれた。

 

 

 

 「みんなそろそろ出るから急いでっ!」

 

 いつの間にかバド部の大半の面子が支度を済ませていたアリーナに戻り、守屋先輩に急かされながら駆け足でラケットバッグに戻り俺も支度を済ませて体育館の外へと出た。




原作と比べて雛と晴人のコンタクトが微妙に増えていることがこの先どう影響してくるのか、それとも変わらないのか……まだ何も決まっていませんがこの辺りにも注目してこれからも読んでいただけると幸いです。
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