1000年間浄化の光に当てられてたら悪性とか無くすよね   作:K+#ガソ林

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第五話

 

 魔星。悪魔達が集う星。この星は闇に覆われ、地表は見えず、そこから悪魔が生まれる。

 地球を攻める目的は些細なものだった。魔星での権力闘争に敗れた悪魔が起死回生を狙い、宇宙を渡ったのだ。

 彼方に照らされるあの星に、命があると信じて。

 地球との交流は、搾取と同意義であるが、地球という場所が知名度を上がるにつれ、取引を行う悪魔も増えている。

 欲に関わり、それを煽り立てることで、搾り取れる闇の質が上がるのだそう。

 

「では、ここで質問だ。この星は闇に覆われている。───闇が欲しいなら、それを使えば良いではないか。」

 

「正解は皆がお察しの通り、魔星の闇は我らの管轄外。物理的に利用することができないんだ。」

 

───

 

 戦争の様子?なんでそんなことを知りたいんだい?

 ここは荒野の休憩所。君も脱走兵だろう。戦争自体と手を切ったはずだ。

 …お金を払われちゃ、仕方がない。わかったよ。

 

 南、大鷲の魔物が大岩を落としている。絶体絶命さ。負傷者を守るので手一杯で、空からの攻撃だから、手榴弾も効果が薄い。

 東、最前線さ。勇者達と連合軍の精鋭がお互いを守るように悪魔と戦闘中。戦列を伸ばしたくないけど、敵の本陣は叩かなきゃならない。そこで、少数精鋭で固めて、休みなく突撃してるみたい。

 勇者達はできることが多いから、ここが一番安定してるね。

 北、亡者の軍が無限に湧き出てくる。闇さえ入れて仕舞えば、骨でさえ兵器になるとは恐れ入った。神の球の力で聖なる手榴弾を供給してるから侵攻は止めれてるね。だけど悪魔達は、かつて人類が築いた砦を利用して大きくしてるみたい。…今は季節も寒い時期だし、ここは動かないだろう。

 西、国々が連合して守ってるから、問題ないけど、昨晩黒角傭兵団が連合国王都を強襲したみたい。民間人が減らされると、そのまま継戦能力が削がれる。素早く対処したいね。

 

 こんなところかな?あら、もう行くのかい?

 どこに?…なるほど、南ね。あんた、只者ではなさそうだ。幸運を。名前は?

 

「…。魔王、アベル。」

 

 ハッ。とんでもないね、そりゃ。

 

「さらばだ。店主。」

 

───

 

 俺ね、魔王だったらしい。

 今日は俺の仲間のお披露目会。よろしくお願いします。ボルクさん。

 

「よろしくお願いされる。まずは一人目、粛清騎士のリュカだ。」

 

 一人目が入ってくる。暑苦しい感じの偉丈夫だ。だけど、前髪が垂れているくらいに長い。ミスマッチではないか?

 

「よろしくお願いする!魔王アベル!俺が監督させてもらおう!」

 

「よろしくね。リュカちゃん。」

 

 次はこれまた大きな男だ。頭には角が生えている。

 

「二人目は、岩角王、エドナスさんが冥府から来てくださった。」

 

「よろしく頼む!」

 

「待て待て待て待て、エドナスはもう死んでるんじゃないのか?」

 

 顔見知りが来た。聞いてないぞ。

 

「俺は千年前、自身の闇を全て壺の中に入れ、必要な時に復活する誓いを連合と立てていてな。今はその契約を履行しているわけだ!」

 

「死者蘇生ってわけ?でも、エドナスちゃんがいれば百人力よね。実際。」

 

 エドナスは戦場に立てば鬼神のような男。常に気の緩みが一切なく、100戦100勝の英傑だ。不意打ちにも強いし、初見殺しにも強いし、ミスがない上に考える能力があるから、千日手とか無く毎回勝つのだ。

 

「うむ!魔王アベル、覚悟しろよ!」

 

「殺されないよね?俺。」

 

「そろそろ次行くぞ。」

 

 3人目の方は聖人さんだった。

 

「この方はアマネ様。聖人として志願した65歳の女性だ。光の力で多少は若く見えるだろうが、既婚者なので気をつけるように。」

 

 聖人は俺の時代にもいた。『神の球』のような、光を生み出す力を埋め込まれた人々だ。

 神の球は昔、結構な数あったとされている。それを砕いて、さまざまな国が聖物として加工した。(今は大抵が力を失っているらしい。)

 聖人も、神の球の加工品の一つである。意思疎通はできないが、神の球を弱らせた感じの治癒・快復能力を持つ。近くにいればご飯を食べなくてもしばらく大丈夫だし、傷も治る。

 

「志願者とはいえ…というか、本当に志願者なのか?」

 

「彼女は死に至る病でな、家族とも協議して、聖人登録をしていたらしい。」

 

「人道的にはどうかと思うが、人である以上、鋭い牙も爪も持たず扱いやすい!また、引っ張れば歩く!扱いやすい!」

 

「よろしくねぇ。アマネちゃん。」

 

 アマネが頷いた……ような気がした。

 聖なる力を体から発しているのだ。意識など持つまい。

 

《 これだから 人という奴は 》

 

 魔王さん…。

 

《 魔王なのはお前もだろ。まったく…争いには、勝たねばならん。これは仕方がない。 》

 

 魔王さんらしくないね。

 

《 残酷だろ?仕方ないなら、やっていいになる。人類というもの。 》

 

 いつから、表に出るつもり?

 

《 この争いが、終わった後。 》

 

───

 

 エルゼラは、弱い人にはならない、そう思っていた。

 弱い人間とは、守られる人間だ。人の足を引っ張る人間だ。そんなものには、なりたくない。人を助けて、助けられる。それが、強い人間だと信じていた。

 エルゼラは自分なりに生きている。誰にでもできる生き方で、誰をも傷つけることもなく、仕事を果たして、他人を思いながら。

 

(だけど。)

 

 脳裏にチラつくのだ。

 こんな、こんな生き方───誰も見てくれない。

 チヤホヤされたいという、子供のような虚栄心。言語化すると、そこまでなのに、何故、何故、ここまで重く、心を引きずるのか。

 別に、戦場に行きたいというわけでない。戦闘は、嫌いだ。何かを殺すのは、好きじゃない。

 ただ、カッコよく生きていきたい。綺麗になりたい。特別になりたい。

 

「……。」

 

 絵も上手く描けないエルゼラには、空想を頭の中でまとめるくらいしかできない。箒が空を割った。今は、これが聖剣だ。

 

「エクソダスブレイド!」

 

「…。」

 

 エルゼラは、視線には敏感だった。振り返ると、そこにいたのは魔王アベル。

 アベルは存外、気のいい有角族の青年。1000年前の戦争の首謀者であるはずなのに、今の姿からそんなイメージは浮かばない。

 

「エクソダスブレイド。」

 

「はい。」

 

「なるほど。いいね。」

 

 彼の言葉が、切れる。

 便利な言葉だ。なるほどとは。相手に委ねる言葉だから、柔らかな印象を持っている。

 だが、肯定したという事実は、いただけない。私は簡単に逃さない。遊び相手にでもなってもらうしか、なかろう。

 

「では、魔王アベル。覚悟。」

 

「なるほど。勇者エルゼラというわけ。」

 

「エクソダススラッシュ!」

 

「ダークガード!」

 

 箒の猛攻を腕で受けるアベル。割と本気目に振ってるな?ちょっと痛かったらしい。

 

「ホーリーレイ!」

 

「ダークガード!!」

 

 ひたすら、ダークガードする1日だった。

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