1000年間浄化の光に当てられてたら悪性とか無くすよね   作:K+#ガソ林

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第六話

 俺ね、魔王だったらしい。

 今日は4魔の一体、西の獣王を討伐しに、ロヴォス村というところまで行くのね。馬車に乗ってる。

 

「私も一緒です。」

 

 ロヴォス村には、前線基地が用意されている。顔見知りということで、色々やりやすかろうと彼女(エルゼラ)にもついてきてもらっていた。廃人同然のアマネ様の世話もしてもらう必要があるし。

 

「立派なことだ!前線基地だ、魔物に食い殺される可能性は高い!守ってやれないかもしれない!立派なことだ!」

 

「あまりおどかすなよ。リュカ!彼女とて、それはわかっているだろうが…そこまで露骨にいうことでもない。」

 

「言い方が悪かったか?それは、申し訳ない!エルゼラ殿!」

 

「いいえ、お心遣いありがとうございます。私とて、連合国の民。お手伝いさせていただきたく思うのです。」

 

「立派だ…。」

 

「リュカちゃんも、エドナスちゃんも、結局言うこと同じじゃない。」

 

 馬車は進む。アベルは資料を取り出し、皆に注意した。

 

「警戒すべきは、この『白虎』。2体以上確認されてて、騎士団肝入りのゴーレム兵すら蹴散らすらしいね。パワーとスピードが強ければ、強いと言うことかしら。」

 

「ゴーレム兵とはなんだ?俺の時代にはなかった。」

 

「闇で操作する戦闘用外骨格だな。強くて硬いが、悪魔は闇を支配するということで、安全を期すため、このような内地でしか運用されていない!」

 

「助かる。」

 

───

 

 勇者一行は悪魔7将を暗殺しようと気を揉んでいた。アスモデウスと同じような手順で封印しようと乗り込んでも、将達はすぐに拠点を捨て去り、逃げられてしまうのである。今後について話し合う勇者アレックス、弓使いオト、魔術師ドラコ、盾使いシル。

 

「戦力を分けて巡回するのは悪手だ。あいつらの逃げ足をなんとか封じる手段があれば良いのだが。」

 

「大規模な聖剣結界で、戦場ごと覆ってしまうのは如何でしょう。」

 

「それ、やろうとしてるんですが、理論が完成していないのですね。無制限な拡大は、現状の技術では不可能と。」

 

「では、地面の下にでも入れまして、トラップとして運用するのはどうです?」

 

「神の球を大量に用意出来れば、考えるんだけどな。…やはり、これか。」

 

 勇者アレックス・ノヴァが目をかけるのは、『光を生み出す研究』だ。

 

「…時間がかかるのは好都合だ。神の球の研究を急がせる。」

 

「理論としては───周りにある闇を吸収することで、光を発生させる装置、それが、神の球の正体などと言っているそうです。オトさん、シルさん、どう思われますか?」

 

「……。」

 

「闇を溜め込むなんてきな臭いって、言って欲しいんですか?」

 

「ええ、はい。しかし、オトさん。あなたが何も反応しないとは、少し気になりますね。」

 

「…思うところがない訳ではありませんが…神の球を原因として事変が起こったと言う記録はありません。私の知る限り。ですので、何も。」

 

───

 

 魔王を知る者は、この世界に少ない。

 であれば、魔王は魔王でない。

 しかし、罪は罪だ。恨みは募る。その、ごく少数の感情は、昂り燃える。

 

「魔王アベル、か…クックッ。」

 

 南の戦場へ向かった、魔王を名乗る者、その名は───。

 

「帝王アナンの後継者、バルサラックの太子───コルム。私の牙は、お前を狙っているぞ。」

 

「感心しませんな。このような場所で、そのようなことを。ご主人様。」

 

「リカード。用事は済ませたか?」

 

「ええ。食糧、移動手段…諸々の手筈は整えました。出発ですか?」

 

「魔王が死したのち、世界に散らばった我ら同胞の魂を迎え、再臨させる。バルサラックの復活は間近である。」

 

「……。」

 

「心配するな、聞かせている。勇者王とて我らの存在には気づいている。その上で、我々は協力できる。」

 

 雑踏の中で、食事を摂る者、新聞を読む者、商売をする者───コルムは彼らに目配せすると、立ち上がって歩み出した。

 

「魔王は後だ。バルサラックの独立も後だ。先に悪魔を追い払う。こちらで、勝手にな。」

 

「行きましょう。ご主人様。」

 

 バルサラックの全ての人間を、この場に持ってくることは不可能だった。王たる魂と、その臣下たる3名。彼らが、新生バルサラック大陸軍を構成する全てだ。

 

「ああ。…大鷲を狩ってやったんだ。少しは恩に思ってくれ。」

 

 2人は歩き出した。

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