1000年間浄化の光に当てられてたら悪性とか無くすよね 作:K+#ガソ林
腑抜けた。
エドナスから見て、魔王アベルはその通りだった。
「腑抜けたな。魔王アベル。」
「もう何かするつもりはない。これはまったくの本心のつもり。エドナスちゃん。」
オカマ言葉に、平和主義。
敵意たる敵意もなし。
「1000年の罰はよほど退屈だったか。」
「言葉に詰まるわ。」
「どういうことだ?」
「1000年間、光に当てられた俺は、安息だった。あそこには俺を急かすものも、駆り立てるものもない。そこには、安息が満ちていた。」
あれは罰というには、上等すぎる。そう魔王アベルは話した。
「手放すことが、怖くなくなった。」
「命もか?」
「苦しくないなら、あげてもいいよ。…ああ、苦しいのは以前より増して苦手になったと思う。」
「ふむ。」
仙人のようだ。過去の魔王アベルは、当然ながら苛烈だった。憎しみと、速度に満ちていた。
「昔のお前の方が、迷惑だったぞ。」
「ご迷惑をおかけしました。」
「あれだけ殺しといて、別人のようだな。」
「…ほんとに、言葉に詰まる。」
リュカが声を出した。
「魔王アベル。実際、どう考えているのだ?贖罪を。バルサラック大陸軍の大勢を無辜の民ごと轢き殺し、我らの祖先まで無差別に殺して回ったお前自身は。」
「…1人の人間にできていいことでは、なかった。」
「どこか他人事だな。」
「人間、1人だとよくない考えに走りがちなのよ。だから、そんな俺がやっていいことじゃなかった。」
「一理ある。で?」
「俺1人で、決めていい罰じゃない。ということ。過去からせめて、学ばなければならないと思った。」
魔王アベルの顔は、苦悶にやや染まっていた。追悼の色である。
何度なりとも、責め立てれよう。彼の者こそ、魔王アベルなのだから。だが、それに意味はない。
魔王アベルの贖罪もまた、意味はない。
───
「ロヴォス村に着いたわね。」
「ぬおーっ!」
伸びをする一行。しばらく、ここで生活することになるだろう。住居は…。こ、この草ボーボーなとこ…。
「住居、ここ?」
「掃除のしがいがありますね。」
「掃除っていうか、建て直しよ。屋根がないじゃない!」
「ゴーレム兵用の基地を改装して使っていたが、白虎に襲撃されてから放置しているようだ。」
「元気が有り余っている我々が、疲弊している村民の方々に迷惑をかけるわけにはいかない!ここは力を合わせていこう!」
「おー!」
可愛く雄叫びるエルゼラの横で、アマネ様が小さく微笑んだ気がした。
───
草が生えている→リュカの炎魔法で消毒
床が汚い→エルゼラちゃんが掃除
瓦礫がいっぱい→俺とエドナスでどかす
屋根がない→俺が木を取ってくる&エドナスが加工して屋根に設置&エルゼラとリュカの植物魔法で蔓を絡ませて補強する&釘を打つ
あとは壁を治すとかしたんだけど、こういう感じで修繕した。
俺とエドナスが魔法使えない分、リュカとエルゼラが頑張ってくれた。すでに日も落ちているが、暖炉に火をつけることができた。
「2人とも、魔法使えたんだ。」
「騎士団では、サバイバルに必要な魔法は覚えさせられるのだ!植物魔法は雨風を凌ぐのに便利だ!」
「私は教養として、いくつか修めています。リュカさんほどではないですが…。」
「うむ!俺ほど練度も知識もないが、制御に見どころがある!学べば、平均以上の実力は得れるだろう!」
嬉しいです、とエルゼラが頭を下げる。作業もひと段落したので、今日は前線基地で一眠りかな。
「そういえば、寝具どうするの!?」
「…アマネ様の近くにいれば、多少雑に寝ても全快は出来るはずだ!」
「当てがある。ここの地下は見たか?」
「地下!?そんなものが…。まさか、ベッドあるの?」
「瓦礫をどかす途中で見つけた。確約はできん。まだ見てないからな。ここは基地というのに寝具の類はまるでなかった。地下に生活空間があるなら、納得できる。」
「案内してくれ!エルゼラ殿、アマネ様も連れてきてくれ。念の為に。」
「わかりました。」
───
「なにこれ。」
階段を降りた先にあったのは…オンボロなスチールゴーレムだった。
「気密が確保されているとは思えませんから、錆びてしまったのでしょう。」
「当てが外れたな。他の部屋へ続く扉もない。地下にはこの部屋一つしか無いようだ!」
「このゴーレム、動かせるか?」
『───zzi───』
その時、1人でにゴーレムが動き出した。立ち上がり、直立する。おそらくはアマネ様の光の波動で、多少復旧したのだろう。
「……。」
『ノヴァ王国の、皆さん。を、為に、承認ください。』
「何を?」
ノヴァ王国は、勇者王アレックス・ノヴァの国。
つまりはこの国だ。
『承認ください。力を。』