「……さて、神ヘルメス。ゼウスは今どこ?」
『死の七日間』が終わりルシアートは別の神に恩恵を刻むことになったが、ヘルメスに刻んでもらうことを生理的に拒否したため、仕方なくウラノス(を脅して)恩恵を刻んでもらい、代わりに自暴自棄になって暴れまわろうとする
黒竜との戦いから一度も更新をしていなかったステイタスを
「な、何のことかなー?」
「とぼけないで。アルフィアはゼウスに託したと言ったしその光景を私も確認した。だから聞いているの」
「待て、確認した?君はこの8年間次元の狭間で彷徨っていたと聞いたが……どうやって確認したんだ?」
「方法?それはね、【未踏の領域よ禁忌の枷よ、今日この日、我が身は天の法典に背く】」
「あでっ!?これは……!?」
ヘルメスを無造作に
「【それは見てはならざる叡智、破滅を招く禁忌の知恵。
魔法名を唱えた次の瞬間、ルシアートの手元に本が現れる。そしてページがめくられていくたびに映像が投影され、一つ一つがかつてこのオラリオで起こったことだった。
「これは……過去の記録か?」
「正解、流石神」
【アカシック・レコード】
情報閲覧魔法。過去に起きた事、そして未来で起こりうることを見ることができ、例外はあるが星が誕生する前の記録、これから起こり得る可能性のあるもの全てを見ることができるルシアートの新たな魔法。
これによってゼウスの居場所はヘルメスが知っていることを知ることが出来たのだ。
「この魔法があれば歴史の闇に埋もれた真実も知れるのでは……というか、そこまで調べられるなら自分一人で調べていけばいいじゃん?」
「え?面倒くさいからヤダ」
「えぇー……」
どうやら聞いた理由の最もたる理由はそこにあるらしい。
成る程、流石ヘラ・ファミリア。とヘルメスはかつてヘラに下働きさせられていたことを思い出しながらため息を吐く。
「この魔法で遺跡を調べてほしいなら……教えてくれますよね?」
ルシアートの物言わせない笑みを見たヘルメスはお手上げといった表情で両手を上げた。
────────────────────
とある山奥、そこでは一人の老人と少年と、少年よりも少し年上な
「おじいちゃん!これ読んで!!」
「これは……アルゴノゥトか?何度も読み聞かせたじゃろ……?」
「でもでも!もう一回読みたい!!」
「クソジジイ。私からもお願い」
「お主もか、仕方ないのう……」
──────────コンコン
「あれ?お客さんだ」
「こんな辺鄙な家にお客さんじゃと?」
「僕出てくるー」
「あ、これベル!」
ベルは老人が止めるまもなく玄関のドアを勢いよく開ける。すると、目の前には旅装束の金髪蒼眼の女性が立っていた。
「すみません、こちらに筋肉ムキムキのお爺さんはいますか?」
「……へ?」
「ん?どうしたんじゃベル…って、ぎゃー!?」
ドアの先にいる女性を見た老人は、死んだ人を見たような叫び声をあげる。旅装束の女性はそんな老人を見てとても、とても綺麗な笑みを浮かべながらドアに足をかける。
「探しましたよー、
「な、なんでお前が生きているんじゃルシアート!!?」
「あれ?ヘラに聞いてません?」
「聞いておらん!!」
「お、おじいちゃん?」
「ど、どうしましたクソジジイ!…ぇ?……嘘、なんで………」
ベルは
部屋で待機していた少女も異変に気付き、玄関に向かう。そして、目の前の女性を見て呆然とする。
「……ベル、すまんが読み聞かせは後でじゃ」
「え?え?」
「ゴメンね少年。そして…………久しぶりねアンネリーゼ。私のことは覚えているかしら?」
「……………………勿論です
その言葉にルシアートは涙を流しながら抱きつく。アンネリーゼも泣きながら抱きつき返す。ベルは何が何だか分からなかったが、
「ごめんね……ごめんねっ……!貴方を一人置いて行ったりしてっ………!!」
「あれは仕方まりませんでしたし、
「……そっか、それはそれで釈だけど。……ごめんが私はゼウスと二人でお話したいんだけど…」
ルシアートは
「ベル、アン」
「は、はい!」
「な、何?」
「少しの間、二人で家の中におれるか?」
「わ、わかった!」
「……うん、わかった」
「よろしい」
ベルとアンネリーゼが家の中に入ったのを確認した二人は外に配置されているベンチに座る。ゼウスは家の前に広がる畑を見ながら口を開く。
「それで、何のようじゃ?」
「まず最初に、私の子供を預かっていただいてありがとうございました」
「なぁに気にするな。それにメーテリアから教えて貰うまでお主と
「そりゃあ……ファミリアでも知っていたのは幹部陣だけだったし、私が全力で隠蔽していたから」
「なるほどのぅ」
「それと、ザルドとアルフィアは死んだよ。世界の踏み台となって」
「………そうか、恩恵がなくなったのは確認しとったが……逝ったかザルド、アルフィア」
「で、アルフィアから貴方の所のクソ雑魚サポーターとメーテリアの間に子供が出来たこと。私の子供もそこに居ると聞いたので神ヘルメスに居場所を吐き出させてここまで来ました」
「そうか。それで?これからどうするだ?」
「暫くはここを拠点としながら世界を回る予定です」
「…ん?
「いや、それも考えたんですが……今
「え?ワシに迷惑かけるのは……?」
「え?聞く意味あります?」
有無を言わせない声色と曇りない目でルシアートは問う。ゼウスはこれは何を言っても無駄だという事を過去の経験から悟った。
「……ない、よね?」
「ですよ。ちなみにもうちょっとアンが成長したら流石に出ていこうと思ってますよ。では、私はアルと……「ベルじゃ」ベル君と遊んできます。貴方にはこれを─────【アカシック・レコード】」
ルシアートはスキル【
「これは……」
「私の新たな魔法、
食い入るように映像を見始めた
「あ、お母さん!クソジジイとの話は終わりましたか?」
「終わったよ〜。それでね、私もここで住むことになったから」
「え!?本当ですか!?」
「うん!……さて、はじめまして少年。私はルシアート、アンネリーゼの母です」
「べ、ベル・クラネルです。よろしくお願いしますルシアート
ベルの無邪気な『おばさん』発言にルシアートは膝から崩れ落ちる。
───────後にベルは語る。アレは死んでもおかしくなかった。と……
「お母さん!?」
「くっ、こう言われることはわかっていた。わかっていたけど……『おばさん』は効くなぁ……」
「あ、そういうことか」
「え?え…?」
「………天然って怖いわね」
ルシアートが崩れ落ちた理由を察したアンネリーゼはベルを恐ろしいものを見る目を向けた。
───────後にアンネリーゼは語る。母があそこまでダメージを受けたのを見たのはあれが最初で最後。だと…
────────────────────
全てを見終わって戻ってきた
「やっばかわいいね、流石私の子供とメーテリアの子供……。ねぇ、私が連れて行っちゃダメ?」
「いくらお前でもアン以外はダメじゃ」
「ちぇー」
「………お前はまた挑むのか?」
「当っ然!!今度こそあの竜をぶっ殺す!でも、戦って分かったけど私一人では絶対無理。だから、背中を任せられる仲間、希望を託せる仲間が必要」
「終末への針は進み続ける。本来
「それは……
「なんじゃ知っていったのか。そうじゃ、最早アレに対象できるのはワシを除けばヘファイストスやヘスティアのみ。じゃが……」
「神ヘスティアは未だ下界に降臨しておらず、神ヘファイストスは黒き終末に抗う為に必要なファミリア。どっちも頼るわけにもいかないよね……」
「幸いまだ猶予はある…はずじゃ。だから……お前は秘密裏にオラリオ、学区と共同で行動し世界の平和を維持してほしい。この通りじゃ」
いつになく真面目な顔で頭を下げる
「もちろん、私が生きているのは
「連れて行くんじゃろ?」
「うん、向こうは子供がいることも知らないだろうし。…アンって今12歳?」
「そうじゃが?」
「じゃ、学区に行くのは2年後かな〜。それまでにあの子に色々と仕込まないと」
「……そうか、ならばこれを持っていけ」
一体何をアンネリーゼに仕込むのか
「え!?コレ、
「これ、声が大きい。ベル達が起きるじゃろ」
「あ、ごめんごめん」
「それが儂にできる手伝いじゃ。……頼んじゃぞ、世界を」
「任された!」
─────────────────────
月日は流れ、大抗争から二年。ウラノスやヘルメスの依頼によって秘密裏に災害級モンスターを討伐する傍らアンネリーゼを鍛えるという生活を送ってきたルシアートは、久々の休暇をベルとアンネリーゼと戯れながら過ごしていた。
だが、その平穏は唐突に崩れ去る。
「おばさん、おばさん!次はコレをお願い!!」
「ん?なになに……フィアナの伝説とは……。コレはまた面白い物語を選んだなぁ。さて久々に完全詠唱いくか……【未踏の領域よ禁忌の枷よ、今日この日────】」
『ルシアート、面倒な事件が起きた』
「──────以下省略発動!!ベルごめん、ちょっと用事が入った。お話は一人で見てて」
「えー!?」
「ベル、お母さんは大事な用があるの。私と一緒に観ましょ?」
「え、いいの!?わかった!!」
ルシアートは久々に完全詠唱の【アカシック・レコード】を発動しようとしたが、普段は定期連絡のためにしか連絡してこないはずのヘルメスからルシアートが作った通信型魔道具を使って緊急連絡を入れてきた為、詠唱を中断し簡略発動。不貞腐れたベルをアンネリーゼに預け、ルシアートは通信に集中した。
「どうしたの神ヘルメス?こんな唐突に、それにいつになくヤバそうな声色だけど……オラリオに何かあった?」
『【アストレア・ファミリア】が壊滅した』
「……は?」
『事実として受け入れられだろうからもう一度言おう。【アストレア・ファミリア】が壊滅した』
「……絶滅ではないということは生き残りがいるの?」
『いるよ。生き残ったのは【疾風】のリューちゃん一人だけだ』
「リュー……
『最悪だ。生き残ったリューちゃんは俺にアストレアを都市外に逃すよう依頼してきた。その時の彼女の表情は……言わずともわかるだろう?』
「……復讐か」
『だろうね。こちらは他の事に団員を総動員させているから都市外に出た馬車には俺とアストレアと低レベルの俺の眷属数人だけだ。今は気付かれていないがいつ
「時間外手当は出してくれるんだよね?」
『…もちろん!!』
「……はぁ、わかったよ。すぐ行く」
『すまないね』
ルシアートは通話を切ると、ベルに急かされて新たな絵本を書いていた
「そういうことなんで
「事情はわかった、行ってくるといい」
「おばさんまた何処か行くの?」
「ごめんね、ベル君。おばさんは行かなきゃ行けないんだ」
「わかった。でも、絶対に帰ってきてね!」
「うん、絶対に帰ってくるよ!!」
「いってらっしゃいお母さん」
「ありがとうアンネリーゼ。いい子にしててね」
ルシアートはアンネリーゼ達に見送られながら走り出す。ベルが見えなくなるほど離れたタイミングで
「フッ!!」
翼の展開からわずか一秒未満の時間でマッハを越えるスピードに到達し、空高くに舞い上がる。そしてそのスピードを維持しながらオラリオに向けて【跳躍】した。
魔法解説
【アカシック・レコード】
情報閲覧魔法
起きた事象を本として見ることができる。
過去は星が誕生する前の記録、未来の可能性の全て見ることができる。
ただし例外もあり、神と天界の記録は見れないし、運命の分岐点も観測できない(ちなみにダンジョンは観測可能。ただし、遡り過ぎると感知されて漆黒モンスター出してくる)
イメージは型月の第二魔法、もしくはデート・ア・ライブの
ルシアート曰く「肝心な時に使い物にならない微妙な魔法」
詠唱
【未踏の領域よ、禁忌の壁よ、今日この日、我が身は天の法典に背く。それは見てはならざる叡智、破滅を招く禁忌の知恵。
はい、ルシアートは子供がいました。父親は小説最新刊で大活躍している現代の英雄です。ちなみにアンネリーゼはヘラに恩恵刻んでもらってます。かなり……いや、超特殊な子供です。
次回更新は……頑張りたい