流星のロックマン Arrange The Original 2   作:悲傷

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第64話.予兆

 あれからどれだけ歩いただろう。乾いた荒野の中を、ただただ無心に足を進めていた気がする。いや無心と言うのは少し違う。考えることを否定していたという方が正しいのかもしれない。頭の奥の方でずっとあの言葉が響いている。あいつの声が再生されている。

 

 

 

――一人が強いなんて間違っている――

 

 うるさい、お前に何が分かる

 

――僕も一人だった――

 

 お前と一緒にするな

 

――僕にも大切に思える人ができた――

――絆ができた――

 

 やはりそうだ

 俺とお前は違う

 

 

 

 笑おうと思った。だができなかった。頬は引きつって形を変えてくれない。なにより胸の動悸が激しい。

 視線を正面に向ける。砂塵と岩石だけの何もない世界。そこにうっすらとあいつの顔が浮かんだ。

 

 

――僕たち、少し違った形で出会えていたら……友達になれたんじゃないかな―― 

 

 歯を食いしばる。そんなことあるわけがない。あってなるものか。

 舌打ちをしようとして代わりに嘔吐感が彼を襲った。何も口にしていないはずなのに、喉もカラカラなのに。

 つま先が小石に引っかかった。頭から地面に落ちて全身を打ち付けた。起き上がろうとしても体は言うことを聞いてくれない。瞼が重くなる。そのまま引っ張られるように暗闇に意識を溶かしていった。心地良いとは言い難い冷たい世界に……。

 

 

 最初に感じたのはふんわりとした感触だった。背中から伝わってくる。うっすらと目を開けると、藁が見えた。数秒考えてそれが天井だと理解した。体が暖かいものでくるまれていることに気づいたのはその後だ。続いて青臭い匂いが鼻をつく。どこから匂っているのかと辺りを見渡す。自分だと分かるのにまた数秒の時間がかかった。

 ようやく意識が覚醒してきて、自分の置かれている現状を把握した。ここは誰かの家らしい。体の痛みが和らいでいることを確かめると体を起こす。

側に自分のスターキャリアーが置かれていた。辺りを見渡してみる。棚、机、壁飾り、全てが石や木材で作られており時代遅れだ。だがここには前に来たことがあるような気がする。

 そのとき部屋のドアが開いて誰かが入って来た。その顔を見てようやく全てを思い出した。

 

「気が付かれましたかな」

 

 子供相手に敬語を使うアガメ村長に無言の視線を向けた。

 

「村の近くに倒れているところを若い者が見つけましてな、勝手ながらワシの家に運んで解放させてもらいましたぞ」

「……そうか」

 

 不愛想な返事をしてから体を見渡してみた。白くて清潔な包帯が全身に巻き付けられている。

 

「しばらくここでゆっくりしていってください。お、そうだ。喉は乾いていらっしゃいませんかな。こちらなんていかがでしょう」

 

 アガメは部屋に不釣り合いな冷蔵庫から何かを出すと、木製のコップに注いで渡してくれた。

 

「今朝収穫し、数時間前に搾り取ったばかりの新鮮なフルーツジュースです。あ、安心しなされ。前回のは口に合わなかったようなので配合は変えてありますぞ。それでは、不便でしょうが、ごゆっくりしていてくだされ」

 

 なおも無言な彼に気を使ってくれたのだろう。アガメは部屋を後にした。

 

「相変わらず、不用心だな」

 

 小さく息を吐くとコップの中身に目を移した。甘酸っぱい匂いと黄色っぽい色からするとリンゴの配分が多いのかもしれない。

 しばらくしてから少しだけ口をつけてみる。濃厚な甘味が口の中に広がった。

 

「俺は……」

 

 目を閉じて思いを巡らせる。あの言葉が脳裏に響く。あいつの顔が思い浮かぶ。何度も何度も。コップを握る手に力が込められる。

 

「俺は認めない。お前を認めない……絶対に……!」

 

 

 

 

 

 彼は気づかなかった。傍らで変化が起きていたことに。それは静かな異変だった。スターキャリアーのモニターに何かが映った。黒い靄のような物だ。その中央辺りに二つの黄色い光が宿る。霧は目のように光を揺れ動かすと、「ギ……ギギ……」と小さい声を発した。




告知


 流星のロックマン Arrange The Original 2

 番外編

 ~「IF」~


 2016年度公開予定


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よし! 告知したぞ! 告知したぞ私! ちゃんと書くんだぞ私!!
と自分を追い詰めます。

皆様、「流星のロックマン Arrange The Original 2」をここまでご愛読くださり、ありがとうございました。

正直に言って不完全燃焼です。
あまり面白くできず、中途半端な作品になってしまったのが残念でなりません。
特にソロ。スバルのライバルというポジションなのに全然活躍させてあげられなかった。
彼って扱いにくいんですよね。一人でいようとするものだから物語に関わって来てくれない。

という訳で名誉挽回、汚名返上。くすぶっている悔しさをぶつけるために、執筆することに決めました。

番外編として「IF」を書きます!(よし、言ったぞ私。二度も言ったんだから絶対に書けよ私……!)


この「IF」は原作ゲームにおける裏シナリオ(本編クリア後のシナリオ)にあたる章となります。と言ってもこの裏シナリオはボスラッシュみたいなもので、シナリオそのものはかなり薄いです。
そこで原作の設定を多数無視し、オリジナル設定を加えまくった内容となります。
バクチに近い挑戦です。
それでも「読んでやっからグヂグチ言わずにさっさと書けや」という菩薩のごとく心優しい方は、是非ともおつきあくださればと思います。


それでは、今年はこれで最後の更新となります。

皆さま、よいお年を。
来年またお会いしましょう。
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