超能力の子   作:ガテル

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第10話

 

「私とママの愛に溢れた素晴らしいお話を聞いた今、斉木さんも苺プロに入りたくて仕方ないよね?いやー困った困った☆」

 

 

自信家めんどいぞ……まぁ悪くない話だったが、芸能事務所に入るとかそういう考えには全く至らない。何故なら、それは僕のタイプやモットーからしてあまりにかけ離れているからだ。あと芸能人のイメージに関しては寿さんのおかげで少しだけ良くなったものの、皆がああではなく照橋兄のような癖アリ人物の方が割合的には結局多いだろうしな。

 

 

「えっ、入る気ないの?私がB小町SECONDという最高の結論に至った話だよ!」

 

 

天才的発想と言わんばかりにルビーはドヤ顔キメているが、僕的にB小町SECONDはむしろ話の中で若干困惑した部分だぞ?まぁ本人が満足してるなら別に構わな(ようやく終わって事務所へ戻れるわ……ってあれルビーよね?でも横にいるのは誰かしら?)

 

今僕達は電車から降りて、駅の構内にいる状態だ。僕の家と苺プロダクションが最寄りのこの駅はいつも人出が多く、かなり混雑しており。一応テレパシーは拾えても、それがどこから発せられてるのかが判断できない。声の主が半径200m以内な事だけは確かだがな。

 

ルビー、君の名前を呼ぶ心の声が聞こえたぞ?声と口調からして、恐らく大人の女性だろうが声が違うからアイではないな。

 

普通に心当たりがあるか気になって聞いただけにも関わらず、何故かルビーは嬉しそうに左目の星を輝かせニヤニヤしながらこちらを見ている。

 

……そのニヤニヤは何だ?

 

(ママの声がわかるって事は、あれから調べたんだね。それはつまり、あの公園での私の熱心な布教活動は効果抜群だったって事じゃん?)

 

 

星野アイは世界改変で、最も重要な人物だから一応調べただけだぞ。僕がまるでドルオタの道に踏み込んだみたいな誤解はしないでくれ。

 

何か話がズレてるから戻すぞ、アイ以外の誰かで心当たりあるか?

 

 

(ママ以外の大人の女性で、私をルビー呼びするなら思いつくのは一人しかいないよ)

 

 

「遠目からはよくわからなかったわ、あなた陽東高校の生徒だったのね。ルビー、彼は知り合いかしら?」

 

 

(苺プロ副社長の斎藤ミヤコさん、一応ミヤコさんは立場上の母親でもあるんだ。私とお兄ちゃんはアイの子供な事を世間には言えないからね)

 

 

……苺プロ副社長か、やれやれ。入学初日から色々ありすぎたイベント祭りも、流石にこれ以上ないと思っていたがまだ終わらないとはな。

 

 

 

 

 

今は駅構内で偶然会ったミヤコさんと3人で、話しながら歩いている最中だ。帰宅問題に関して言えば、僕の家は事務所から近くにあるしギリギリで別れても問題ない。

 

ルビーの説明によると斎藤ミヤコは、昔は苺プロ社長である斎藤壱護の社長夫人であったらしい。だがB小町ドームライブなど様々な成功を重ね、事務所が大きくなった事と彼女自身の手腕もあり。現在は副社長として苺プロのネットタレント部門をマネジメントしている、ただルビー曰く本当の得意分野は違うらしいが何だかんだ社長を支えられるのはミヤコさんしかいないからね?との事だ。

 

そして肝心のミヤコさんだが、当然超能力やらの下りは省き陽東高校に入るちょっと前に知り合いになったと僕は簡単に説明した。

 

 

「そうなのね、私てっきり……ごめんなさい何でもないわ」(遠目で見たときはルビーのナンパかと思ったわよ、しかし妹がナンパされてる現場なんてアクアが見たらトンデモない事になりそうね。主にした側が)

 

 

アクアが何をしそうなのか容易に想像できるらしく、困ったように苦笑いを浮かべていた。照橋さんの変態兄と違い、アクアは良い奴でルビーが心配という気持ちからの行動なのも知ってるが……シスコンは程々にな。

 

それにしても今の説明を聞いて、僕は少し気になった事がある。ミヤコさんが一応2人の立場上の母親ならアイの事情も当然知ってるはずだ、かなり複雑なものだが最初から受け入れてくれたのか?

 

 

(ううん、ママの母子手帳持って週刊誌に売ろうとしてたから私がアマテラスで防いだよ)

 

 

は?アマテラスだと?

 

 

(うん、アマテラス)

 

 

いや真顔で言わないでくれ……神みたいなよくわからん存在はツクヨミだけで十分だ、今の発言は聞かなかった事にしよう。

 

恐らくミヤコさんも急に任されたのだろう、受け入れられないのはわかるがそんな出来事があったとはな。なら今はアクアとルビーの事をどう思ってるのだろうと、僕が疑問に感じたときその答えはすぐに出てきた。

 

 

(それにしても時間っていうのは本当に速いわね、ルビーとアクアももう高校生なんて驚きよ。最初は美少年と日常的にやり取りしたい気持ちから、アイツと結婚したのにいつの間にかそんな事どうでもよくなって。いつの間にか私も歳取って……でもまぁアイツは約束したこの世界で一番煌めく景色、アイのドーム公演を見せてくれた。それに裏方の仕事も楽しいし、2人の事だってずっと大切な存在。昔は不安もあったけど、今はこの道を選んでよかったと心の底から思えるわ)

 

 

……2人とも良かったな、いい答えだぞ。

 

 

「ルビー、B小町SECONDのメンバー集めどうするつもり?まだメンバー誰も決まってないんでしょ。というかそもそもSECOND自体アイさんがアイツを説得して、何とかギリギリ成立した話よね。だからB小町抱えてるあっちでは難しく、私の方でやるしかないって聞いたわよ」

 

「……うわーん!助けてミヤえもん~!」

 

 

芸能事務所の副社長だと聞いたときは、何か面倒ごとが起きると。これは絶対にありえないであろう、僕が苺プロのタレントになるなんていうΨ難まで想像してしまったぞ。結果は問題なく大丈夫そうだが、今のフラグじゃないからな?

 

 

 

「私はマジシャン蜂野、活動半年の若手マジシャンです!普段は駅前や小さな劇場で活動していますが、今回初めて行う人体切断マジックのテストという事で。特別に公園でショーを開催することになりました!よい子のみんな!よろしくねー!」

 

 

は??

 

声が聞こえた方向へ振り向くと、そこは公園で。何故かその中にマジシャンの格好をした20代と箱に入った60代の男性二人組がいた、興味を示したらしく子供が沢山集まっている。子供達の前で人体切断マジックとかチョイスおかしいぞ。

 

「えっ、あれマジシャン?」

 

「……ただの怪しい2人組ね、関わらない方がいいわよ」

 

 

ああ、その通りだな。何故か凄まじく嫌な予感がするから、早く行くとしよ(こ、殺される!このままだとワシは蜂野に殺される!)

 

 

こんな流れ前にも見たぞ、蝶野雨緑とイケさんに始めて遭遇したときだ。公園という場所まで一緒とかおかしいだろ……いやそんな事考えてる場合じゃない、あの箱の構造はどうなってる。

 

 

(何か適当に通販で安いやつ買っちゃったけど、切断マジック用って書いてあったし多分大丈夫だろ)

 

(入ってわかったがこれはただの箱じゃ!種も仕掛け何もないんじゃアアアアア!!)

 

 

石油王といい絶対推しの子にこんな奴いないぞ??このままではあの人の血を子供達が浴びる血祭りショーになってしまう、アレを回避する事など僕なら余裕だ。行くしかない。

 

 

(そういえばマジシャンってうちの芸能事務所にいなかったわ、ああいう人達は正直論外だけれど実際見栄えや迫力もあるし案外悪くないかもしれないのよね……どこかに逸材でもいないかしら?)

 

 

……なっ。

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あんたが急に代わるって言ってきたときは驚いたけどさ?結果大成功でよかったわ!それにしても、切断したとき急に姿が箱から消えて木の陰から出てきたトリックは一体どういう仕組みなん「クソ蜂野!!ここでワシがお前を切断してやるわい!!」えっあっちょ」

 

 

 

勝手にやっててくれ、僕は家に帰りたいぞ……でもそれが出来るのはまるで逸材を発見したように目を輝かせたミヤコさんがいなければの話だがな?

 

 

「斉木さん、今からちょっと事務所でお話できるかしら?」

 

 

……やれやれ、今日はもう色々ありすぎて疲れたぞ。勝手にしてくれ。

 

 

この後僕はマジシャンとして苺プロにタレント所属が決まった、いや決まってしまったのだ。

 

 

 

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