超能力の子   作:ガテル

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第2話

 

僕は5秒もすれば人間の骨まで強制的に透視してしまうため、容姿へのこだわりや興味は小さい頃になくなってしまっている。だがこちらを振り返った金髪少女はまるでアイドル、いやアイドルでも中々いないであろう美形の持ち主だった、レベルでいえば照橋さんに匹敵するんじゃないか?どこの世界にも群を抜く存在はいるということか。

 

素直に関心している僕とは対照的に、金髪少女はその顔を引きつらせていて。

 

 

(アイって聞こえてつい振り向いちゃったけど、頭にアンテナ刺してるとかヤバい人じゃん!)

 

 

これはアンテナじゃなく制御装置だと訂正したいが、説明したら不審者として通報されかねないな。やれやれ、さっきの店員や彼女のように皆からこんな反応されては話すらできない。僕は元の世界に戻りたいんだ、逮捕なんて事態は避けたいぞ……やりたくないが仕方ないか。

 

 

(……あれ?よく見たら別におかしくないかも)

 

 

元の世界と同じように全人類にマインドコントロールをかけた、僕の頭についてるものは変じゃないという認識をな。とりあえずこれで不審者扱いされることはない、だがこの場にいるのは面倒だ。アイに反応したのは少し気になるが、それは自力で調べるとしよう。

 

僕はベンチから立ち上がろうとしたが、何故か金髪少女が左目の星を輝かせながら迫ってきたのでそれは叶わなかった。

 

 

「さっきアイって言ってたけど、もしかしてファンだったりするの!?」(ママの人気は凄すぎてファン数現在1億2000万人だし?まぁ当然YESでしょ!)

 

 

僕は過去での出来事から、その名前に反応してしまっただけなんだが凄い食いつきっぷりだな。ファンという事はアイは芸能人だったりするのか?いや、アイという名前の女性はこの国に沢山いる。あの男の言う「アイ」に当てはまる確率は殆どないだろう。

 

……正直退散したいが、彼女の熱量から逃げられる気はしない。まぁこの世界の人間と話せば何かわかる事もあるだろうしここは仕方ないか、質問に対し僕は素直に知らないと答えた。

 

 

「はぁ!?マ……アイを知らないの!?昔は大人気アイドル、今は大人気女優なあのアイだよ!?」

 

 

……勢い凄いぞ、アイという人物はそんなに有名人なのか。でも悪いが知らない。

 

 

「ア、アイを知らない人間とかヤバ!」(もしかして自分の興味のあるジャンル以外は情報をシャットダウンするタイプのオタ?ママの存在を知らないなんて人生損しすぎでしょ)

 

 

随分な言われようにはツッコミ入れたいぞ、まぁそれより気になる点があるから触れないでおいてやるか。気になる点というのはさっきから何度もママと呼んでるという事だ、つまりこの金髪少女はアイの娘なわけか。心の声で嘘はつけないから本当だろう、芸能人の子供ならば優れた容姿にも納得がいく。

 

 

(ママを知らなくても別に構わんの表情ムカつくんですけど……やれやれ、ここはスペシャルなファンである私がアイの良さを身に染みるまでこの眼鏡オタクに叩きこまないとね!いわゆる布教活動じゃん?)

 

 

やれやれは僕の口癖だ、取らないでほしい。

 

 

「この星野ルビーの解説を最後まで聞けば必ずアイにハマるよ、それで翌日には通販でグッズポチ祭りからの金欠間違いなし!」

 

自信に満ち溢れたその表情からは、アイの魅力を信じてやまないことが伝わってくる。

 

超能力のバグにより、自分の意志では元の世界に戻ることすらできないこの状況……ルビーの熱狂的な解説は恐らく長いものになるだろうが、やれやれ。もう勝手にしてくれ。

 

 

 

 

「これで第9章は終わったから次はラストの第10章!どう?今の時点でアイの魅力にもうメロメロでしょ!」

 

 

メロメロと言って解放してくれるなら、喜んで言ってやるぞ?それにしても2時間ほど話してまだ9章とはな……語り始めの瞬間から、心の声がうるさすぎるせいで。僕はゲルマニウムリングという、指にハメるとテレパシーを遮断できる指輪を即使ってしまった。

 

ルビーは2時間ほどひたすら語っているにも関わらず、息切れすらしていない。疲れなど存在しない心の底から楽しそうなその姿は、本当に母親が好きなんだと思わされる。家族愛に関してなら父さんと母さんのイチャつきで僕は正直お腹いっぱいだけどな?まぁ次でラストな事だし、最後ぐらい指輪ハズして聞いてやるか。

 

 

 

「ラストとなる第10章は2010年、B小町初のドーム公演!」(ドームでのママはマジやばすぎてマジやば!家に帰ってきたとき、私幼稚園児なのにオギャりまくったし)

 

 

これ指輪外すべきじゃなかったなと後悔していると、僕はある事に気づいた。

 

待て、2010年B小町のドーム公演?僕はその日にいたぞ。アイという名の女性を殺そうとしている男の犯行を事前に止めたんだ、もしかして彼があのとき狙っていたのは……いや考えすぎか?

 

 

「顔色悪いけどどうしたの、大丈夫?お水でも買ってこよっか?」

 

 

体調に関してなら別に問題はない、大丈夫だ。というか急に優しいな、さっきまであんなヒャッハーしてただろ?

 

 

「……私、色々あって体調や病気とか身体の不調に敏感に反応しちゃうんだ」(前世の自分を思い出しちゃうんだよね、こんな事間違っても言えないけど)

 

 

ルビーは先ほどの明るさとは真逆に憂鬱とした表情になっていた、そうか前世では大変だったんだな。前世、いや前世だと???

 

 

(でも、そんな中での癒しがアイとせんせだったな……せんせかぁ。今どこにいるんだろ?)

 

 

テレパシーで分かる通りルビーは嘘をついていない、彼女は本当に前世の記憶がある。それを知っただけで止めておくべきだった……ここは別世界で家族や見知った顔もいない、一人孤独な状態。だから僕とした事がその事実に、サイキックやオカルト系な言わば超常現象者の存在に同類として安心感を感じてしまったのだろう。なので完全に気が緩んでしまいやらかしてしまった。

 

 

前世について詳しく教えてくれないか?

 

 

それを聞いたルビーは数十秒間フリーズした後、脳が現実だと受け入れたらしくアワアワと震えながら僕を指刺し。

 

 

「前世記憶持ちは私とお兄ちゃんだけじゃないの!?」

 

 

ああ、本当にミスったな……後僕は前世の記憶などないぞ、ただの超能力者だ。

 

 

 





2話にしてやらかす斉木くん
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