超能力の子   作:ガテル

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第20話

 

今までの経験で僕が学んだ教訓、それは苦悩やトラブルは絶え間なく起き続けるというもの。実際タイトルにもΨ難が入ってるし、週刊連載だったから仕方ないんだが……いやこういうメタ視点はやめた方がいいな?

 

僕は最初の頃、こちらの世界での生活は元の世界よりも穏やかで平穏なものになると思っていた。だが、結局その見込みは甘いと言わざるを得ないと何度も痛感させられている。現に昼休みの今もな―――

 

 

「ま、前に斉木さんはうちのファンだって言ってくれてましたやろ?そのグラビアの話なんやけどな。昨日発売されたばかりの結構大手な漫画雑誌に、巻頭ではないにしろありがたい事にうちが載れたやんよ。でもこんな機会なかったし、見る側がどう思っとるのか気になってしもうて。だから、もし斉木さんがええなら……買ったら感想欲しいなぁって」

 

こういうのを直接、しかも同じ学校の生徒に聞くのは流石に恥ずかしいらしく寿さんはモジモジしながら顔も赤くさせている。

 

入学式の日にルビーがやらかしてから、今も僕は寿さんから自分のグラビアファンという認識をされてしまっているままなのだ。本人から認知されてるなど鳥束が聞いたら血涙流しそうな案件だが、自分の能力上そういう系に一切の興味は持てないため困る。

 

僕は漫画雑誌をかなり読む方で、なので寿さんの指す漫画雑誌も昨日購入済だ。しかし昨日は時間が無くてまだ読めておらず家に置いてある状態、ただそこに載ってるグラビアを見た所で感想など何て言ったらいいか分からないぞ?ここは悪いが漫画雑誌は好きじゃないから買わないと断ろう。

 

(さっきルビーちゃんに聞いたら、斉木さんは漫画雑誌好きでうちが掲載されてる雑誌も読んでるみたいだよって教えてくれたから大丈夫やろ)

 

サラっと退路を塞がれたな??黒川さんの件がひと段落して少し経ったが、やはり教訓通りに穏やかと平穏は僕には訪れてくれないらしい……寿さんにはとりあえず別の方法で諦めてもらうしかないか。

 

確かにその雑誌は読むが、わざわざ僕なんかに感想を聞くよりSNSとか色々と見れる場所があるだろう?そっちの方がいいと思うが。

 

 

「もちろんネットでの意見も凄く嬉しいわ、でも生の声って貴重やしそれがファンなら尚更なんよ。だっ、だから買ったら感想くれまへんか?」

 

 

あれだ、僕はあまり感想とか言葉に表すのが上手くないぞ。だから「全然ええですよ!」

 

いや全然引いてくれないな。

 

 

(普段こんなじゃないんやけど、大手雑誌な事もあってホンマ気になるんわ!?今のうちの行動って後で絶対恥ずかしくなるやつやで。ピーマン体操を斉木さんの前で歌ってもうたときも悶えたしな……)

 

 

どうやっても言わなきゃダメそうだぞ?だがまぁ寿さんの熱意は伝わってくるな……やれやれ。仕方ない。

 

 

 

少し待っててくれ、そう寿さんに伝えた後僕は男子トイレの個室に籠った。目的はアポートを使用し、今持ってる所持品と家にある雑誌を交換し僕の手元へと移す事だ。こういうのを後回しにするのは正直面倒だからな、感想など何を伝えていいか微塵も分からないが読むしかない。

 

……それにしてもトイレの個室で雑誌のグラビアを見る男子高校生か、この場にいないのに何故か鳥束の「俺達同志っスね!」と喜ぶ声が聞こえてくるぞ。

 

僕は自分のプライドにヒビが入るのを感じながら、ポケットに入った500円玉と雑誌をアポート。

 

アポートを?

 

 

―――出来ない、僕とした事が財布を家に忘れたようだな。

 

 

 

 

 

「斉木さん、ファッションアピールはええと思うけど……それはちょっと変やない?」

 

 

知らないのか?靴下を片方履かないのが今マジシャン界隈で流行っているんだぞ。

 

 

「随分変わっとるなマジシャン界隈!?」

 

 

アポートでちょうど等価値だったんだから仕方ないな、でも授業が始まる前に再度アポートを使い元に戻すから問題はない。

 

グラビアが掲載されてるというのはこの雑誌だろ?見たぞ。

 

そう伝えると、どう言われるか緊張しているらしく寿さんの顔がこわばる。全く、僕は透視で人間の骨まで見えてしまうんだぞ?本当にこういう系は分からないんだ。ただ寿さんは本当に感想を求めている、散々テレパシーで言いたい事を言えずに心の内へ押し込み伝えられなくて相手も苦しい。そういう人達の心の声を聞いてきた僕としては、例えそれが偽善だとしても言葉に出して人に伝える意味の重要さを分かっている。

 

……まさか僕が鳥束化するとは夢にも思わないどころか世界が滅亡する以上の衝撃だが、ここは勢いだ。

 

 

ファンとして良かったと思う、まぁそのアレだ……エロかった。ぞ?

 

 

 

それを聞いた寿さんは呆然と固まってしまった、やはり僕にこういうのは無理だったようだ。完全に間違えたな??脳内の鳥束が「斉木さん、失敗を経験して人は変態道を極めていくんですよ?」と言ってくる、誰が変態だシバくぞ。

 

 

(……わ)

 

 

僕とした事が動揺から自分にセルフツッコミを入れていたせいで、寿さんのテレパシーを殆ど聞き逃してしまっていた。僕はミスったと思っていたが、目の前の彼女は頬を真っ赤に染めて意外にも嫌そうではなく。というよりむしろ嬉しそうで。

 

 

「―――恥ずかしいんやけど、何か凄く嬉しいわ。ありがとうな、斉木さん」

 

 

 

花のような笑顔で微笑む寿さん……まぁ間違いじゃなかったなら良かったが。

 

 

同時に「斉木さんばっかりズルいっスよ!?」と文句を言う鳥束の声が聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 






次回、不知火フリル(おもしれー女)登場です。
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