超能力の子   作:ガテル

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第21話

 

 

昼休みも終わり、午後の授業が始まろうとしている。やれやれ、さっきは本当に大変だったな?この僕が勢いとはいえ……まさかあんな事を言う羽目になるとは。あまり掘り返したくないぞ。

 

 

「昼休みはもう終わりよ、ほら早く席に着きなさい」

 

(世界史の新田先生は今日もクールで綺麗だぜ!)(数学の竹下先生には彼氏がいるという噂がある、それを知って心にポッカリと穴が空いた僕を救ってくれたのが……新田先生さ)(結婚しよ)

 

「じゃあ授業を始めるわね」(ドS彼氏のカイ君と昨日やったメス豚調教プレイの興奮がまだ冷めないわ!?ダメ、ここは学校で私は先生なのよ!でも思い出すだけで身体が火照ってビクビクしちゃう……ご主人しゃま~♡♡♡私は卑しいメス豚でしゅ♡♡♡♡)

 

(ホント綺麗だぜ!)(ああ、僕の心を救ってくれた女神……あなたを見つめる事をやめられない)(結婚しよ)

 

 

もはや地獄だぞ、後何で前から1人だけ巨人になれそうな生徒が混じってるんだ?ただでさえ先ほどの件で疲れてるのにこれ以上僕の精神を削るのはやめてくれ……だがまぁ、この後にお楽しみが待っていると思えば今の苦痛もギリギリ耐えられるか。

 

そのお楽しみというのはケーキ屋に行く事である、今日は事務所の予定がなく放課後はフリーになっているからせっかくの機会だと思ってな。店の情報をネットで調べたが評価もかなり良く期待値は高い、これでも僕はケーキ好きなんだ。

 

最近は色々あった、だからスイーツで癒されるとしよ(急にごめんね斉木さん!今ちょっといい!?)

 

……ルビーか、そんな慌てて一体どうしたんだ?

 

(あの不知火フリルから昼休みに声を掛けられたんだよ!最初は何事かと思ったけど、楠雄さんと今日の放課後話したいから伝えておいてくれませんか?って言われてね)

 

不知火フリルか、僕も入学式の日に中庭でルビーやアクアと一緒にいたときに一度会ってはいるものの挨拶程度の面識しかない。今大人気の女優らしくルビーは随分騒いでいたが、テレパシーで素を聞いていた僕としては出来れば関わりたくない相手だ。何か面倒な予感が凄いからな。

 

それにしても、不知火さんが僕と何の話があると言うんだ?

 

(うーん、内容に関しては何も言ってなかったからなぁ……というか遂に斉木さんまで不知火フリルに認知されてるの羨ましいんですけど??私も一応ぴえヨンの動画に出てたりするじゃん!認知されてもよくない!?)

 

反応に困る発言やめてくれ……僕も活動など全然していないぞ、だから不知火さんが何故話したがるのか分からないんだ。

 

まぁ一つ決まったのは、せっかくのスイーツは延期という事だな。

 

 

放課後。

 

 

 

「―――さっきの昼休み、教室へ戻ろうと廊下を歩いてるときに楠雄さんとみなみさんの会話を偶然聞いた。エロかった。ぞ?って台詞自体は良いと思うけど、相手を落としたいのなら勢いに欠けるよね。私ならガチエロで最高でしたって伝える、次は頑張って」

 

 

できるなら全てに訂正を入れたいが、何かもう帰っていいか。

 

 

「?みなみさんを落としたいんじゃ?」

 

 

表情一つ変えずにトンデモ発言をぶちかましてくる不知火さん、これが彼女の素なのだ。僕は初対面で流れ込んできた思考でおもしれー女っぷりは十分把握できていたからこそ、面倒だから関わりたくないと思っていたのだが……まさかこんな形でとはな?昼休みのときは脳内鳥束にツッコミを入れていたせいか僕とした事が周りに注意がいかなかったぞ。

 

不知火さん、グラビアファンというのはルビーのせいで生まれた誤解なんだ。未だ本人には言えずにいるが僕は違うぞ。

 

 

「顔がよくて胸もデカい子を嫌いな男なんていないでしょ」(私は今、この世の真理を突いてる)

 

 

……悲しい事に世間の男共はその真理を否定できないと思うが、僕はそういったものに興味はない。

 

 

「楠雄さん、恥ずかしいのは分かるけど自分の本心を認めてあげるのも大事だと思う。そうやって恋が始まる、エロかったぞって言われたときのみなみさんの照れ顔は可愛くて本当に目に良かった。多分視力0.5位良くなったと思う、もっと間近で見れてたら1.0は上がってたかな」

 

 

ずっと真顔で言ってくるのやめてくれ、後エロかったぞは僕の中で掘り返したくない発言なんだ。それを二度も出すな。

 

 

「やっぱりツッコミを入れてくれると張り合いあっていい、ボケ繰り出してもスルーとか悲しいだけだし。個人的にはスベるより心に来るよね」

 

 

まぁ僕もクセが強い連中に散々ツッコミを入れて来たからな……いやちょっと待て?まずいぞ、この僕が危うく向こうのペースに引っ張られる所だった。

 

(初対面で私のセンサーが反応した通りだった、中々におもしれーやり取りができて満足度が高いかな)

 

 

何だそのセンサーは、というかもう勘弁してくれないか。僕はギャグ漫画の人間だが推しの子もちょくちょくギャグ描写ある作品だろう、そのノリでも普通に適応できる奴いると思うが。

 

カロリーの高い会話で頭が痛くなっていると、不知火さんのポケットに入ったスマホから着信が鳴り彼女は「ごめんなさい」とこちらに一言入れて電話に出た。

 

手短に内容を伝えたのか通話自体は短かったが、どうやら。

 

 

「……楠雄さん、私から呼び出しておいてごめんなさい。仕事が急遽前倒しになっちゃってもう行かなきゃいけなくて」

 

 

……不知火さんには悪いが、これ以上話してたらパンクしそうだったので助かったな。

 

分かった、僕は別に構わないぞ。

 

 

そう伝えると、相変わらず表情こそ変わらないものの不知火さんは何故か親指を立てて。

 

 

「ありがと、それとみなみさんの攻略応援してる。顔がいい人の乙女ヅラを沢山見れたら私の視力も更に上がるから」

 

 

おい、最後まで誤解したまま終わるな。

 

やれやれ、何だかいつにも増して疲れたぞ……帰りにケーキを買って癒されるとするか。

 

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