超能力の子   作:ガテル

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第25話

 

この僕が地球上で最も恐れる存在であるG、ヤツとの死闘(山の中で追いかけっこ)は能力使用から元の姿へ戻れるまでの約1時間続いた。追いつかれる寸前で縮小化が解け他の超能力も使えるようになった僕は、ヤツがどれほど悔しがっているか知るためテレパシーで心の声を聞くと(楽しかったよー!またねー!)と言ってそのまま去って行った……一体この時間は何だったんだ?

 

僕はため息をつきながら、瞬間移動を使いルビーの元へ戻った。

 

 

「ち、小さいのもあって追いかけようにもすぐ見失っちゃってさ……大丈夫だった?」

 

 

……大丈夫だ。

 

 

「いや全然大丈夫そうじゃない顔してるよ!?何かめっちゃ怒ってない!?」

 

 

別世界でも僕にGをぶつけてやろうという作者のニヤケ顔が浮かんでくるのがムカつくだけだ、こんなので1時間も無駄にしてしまったし早く本題へ戻るとしよう。ルビーの言うアイドルパフォーマンスと合う超能力探しだが、改めてアテはあるのか?

 

縮小化という遊びと違い次は本当らしい、ルビーの表情からこのアイデアへの自信が伝わってくる……いやテレパシーで何を言うかは分かっているのだが正直それはやめてくれ。

 

 

「前に分身出来るって言ってたじゃん?その分身達を―――私達B小町SECONDのバックダンサーにするんだよ!あっ男性だとダメだから斉木さん本人も含め分身も全員女体化ね!」

 

 

ルビー、女体化の時点で反対だがそもそも僕は全く踊れないぞ?

 

どこぞのダンスも華麗にこなしてる番長じゃないんだ、まぁ一応僕もゲーム化経験はあるがジャンルが違うしな……それにしてもルビーは随分興奮気味だが下心丸出しになってるぞ。アイドルに活かしたいと思っているのも本当だろうが、それとは別に楠子が沢山見れる事に喜んでるだろ。

 

 

「バックダンサーで経験詰ませた後そのままデビューさせちゃおなんて断じて思ってないし、箱推し確定とか今からワクワクしてないからね。うん本当だよ」

 

 

棒読みすぎないか?

 

後ルビーにはまだ伝えてなかったが、分身能力にも弱点があってな。ソイツらをアイドルデビューさせるのは無理だと思うぞ。

 

 

「弱点?」

 

 

首を傾げるルビーだったが、ふと背後から声を掛けられこの場に人は僕と自分の2人以外いないのを考えれば……一体後ろにいるのは誰なのかと彼女は恐る恐る振り返った。するとそこには。

 

 

僕の名前は斉木楠雄、超能力者だ。

 

 

「……何か違う」

 

 

僕、いや―――目のタレた絶妙に顔が違う僕がいた。

 

僕の分身体である斉木楠雄2、分身が分身を生み出すのも可能だがそれを繰り返していけばいくほどオリジナルからズレて劣化していく。前にやったときは最終的に人の形を留めていないのが生まれたが、今回はまだ2体目だから変化もパーツの一部分だけに済んでいるな。

 

 

マジやれやれだわ、自分強すぎて周りの奴全員雑魚にしか見えないのよ。ホントつれー(笑)

 

 

「うわ、何か腹立つねこの斉木さん」

 

 

やれやれ、どうやらイキり属性も付与されているようだな。

 

この後も、念力で上空まで3人を飛ばし宙に浮きながらパフォーマンスや「みんなせんせの顔に見えればやる気天元突破できるよ!」と催眠でファン一斉せんせ化という案などもあったが……前者はカメラで追えない、後者は僕がルビーの言うせんせを知らない上にそれは倫理的にどうなんだろうかという僕の懸念から無しになった。分身といい割と突拍子もないアイデアばかりなのはいいのか?

 

というかせんせ化計画断念に本気でショック受けるのやめてくれルビー、君はいいとしてもかなとMEMちょの2人にとってはファン全員の顔が突然知らない人に見えるとか普通にホラーだろう。

 

 

「……難しいなぁ」

 

 

中々良い案が見つからずルビーは落ち込んでしまっていた、それ以外の能力を挙げても石化を使えば観客が石になる無観客BADEND。幻覚で観客を追い詰める地獄ライブ、そして僕が透明化もした所で何の意味もない。

 

分かっていたがやはり超能力を生身の人間に使うのは難しいな、ただ僕としても何か彼女達の役に立ちたいと思っている。どうしたものかと悩んでいたそのとき……僕のポケットに入ったスマホから着信が鳴った、誰からだと画面を見れば。

 

 

「ぴえヨンだー!斉木さんいつの間に電話番号交換してたの!?」

 

 

……前に超人バトルしたときにな。

 

このタイミングでかかってくる不審さ、正直出たくないがスルーしても鳴らし続けてきそうなので仕方なくスライドさせ通話をONにした。

 

 

「―――お困りのようだね、斉木くん」

 

 

おい何でこっちの状況が分かるんだ??

 

 

「電話越しでは君のテレパシーを通じた会話も伝わらないんだ、悪いがちょっとだけ制御装置を外してくれないかい。確か外せば効力が日本全体まで広がるんだよね?」

 

 

斉木楠雄の読者なら知ってると思うが、僕は喋っているように見えていつも口には出さずに上手い具合にテレパシーで会話を成立させてきた。だがテレパシーの効果範囲は半径200m、この範囲に人がいないのは把握済み……どうして事情を把握しているのかツッコミたいが、前回でもうぴえヨンについて深く考えるのはやめたんだ。

 

制御装置を外して。

 

 

これを付けていないと危険なんだ、伝えたい事があるなら短く済ませてくれ。

 

 

「分かってるさ、じゃあまずは君達にダメ出しからだね……ド派手に見た事ないものをやりたいのは分かるけど誰もそれに追いつけないんじゃ意味はないよ」

 

 

どこかに監視カメラでもあるんじゃないかと思うぐらい把握してるのは置いといて、まぁその通りだな。

 

それで、まずはダメ出しからならアドバイスもちゃんとあるんだろ。

 

 

「シンプルさ、超能力はあくまでアイドルパフォーマンスを際立たせる程度でいいんだ。より魅力的に見えるために使えばいい、可愛さは既に十分足りてるからね。それなら―――彼女らにカッコよさを付与するのはどうかな?」

 

 

……なるほど、言いたい事は分かったぞ。

 

 

「参考になったようで嬉しいよ、君にはこの前ボクに付き合ってもらっちゃったからね。そのお礼さ!」

 

 

……ありがとな。

 

 

「君との再戦楽しみにしてるよ!それじゃあ!」

 

 

こうしてぴえヨンとの通話は終わった、正直再戦は勘弁してくれないか?

 

 

「私も話したかったな~!てか斉木さんはぴえヨンと何話してたの?教えて教えて!」

 

 

勢いよくこちらに迫ってくるルビー。

 

とりあえずぴえヨンに関してはいいだろう、それより……アイドルパフォーマンスと組み合わせられる良い超能力が思いついたぞ。驚きの表情を浮かべる彼女だがその瞳には期待の色が濃く混じっている。

 

 

「……何を組み合わせるの?」

 

 

観客がついてこれる範囲かつ、彼女達のパフォーマンスに可愛いだけでなくカッコいいを付与。これなら一つ使えそうな超能力があるな。

 

―――バイロキネシスだ、それでルビー達が踊っている周りや背景にいくつもの炎を灯す。演出としても現実を飛び出していないから理解されやすいだろう、危険性に関しても僕が上手く制御するから当然問題はない。ただ一つ懸念があるとすれば……カッコよさを必要とするかだ、ルビーはこれをいいと思うか?

 

そう僕が聞くとルビーは。

 

 

「B小町に勝つための独自性、可愛さだけじゃないカッコよさ……私は凄くいいと思うよ!その二つが共存したらきっと凄いライブになると思う!」

 

 

本当に嬉しそうに肯定してくれた。そんな彼女を見て僕とした事が珍しくやる気を感じ……フッ、たまにはこういうのも悪くないな。

 

この僕にかかれば普通のライブでは見られないような凄まじいレベルの演出をできるぞ、何せ超能力者だからな。

 

 

「じゃあ私も超能力に負けないくらい―――最高の可愛さを出せるように頑張るね!」

 

 

左目の星をより一層輝かせながらルビーは笑顔を浮かべていた。

 

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