「……今超能力者って言ったの?」
テレパシーで聞き取ったルビーの前世についてをうっかり口に漏らしてしまい、その上自分が超能力者だとバラした。対象のある部分の記憶のみを消し去る事も容易くできるのに、何故バラしたかの理由はここが別世界だからだ。僕ですら右も左もわからない有様の中偶然出会えた超常現象者は、もしかしたら元の世界へ戻るためにヒントになるかもしれない。実際僕を超能力者だと知っている鳥束や相トには、一人で対処しきれない問題を何度か助けてもらったしな。
しかし困ったぞ、この世界へ飛んだ原因は恐らく超能力のバグで間違いない。なら帰るためにはもう一度バグが起きなければいけない事になる……世界滅亡の危機だって何度も経験した僕の超能力ライフの中でも他世界移動なんてのは生まれて初めてだ、これが天文学的な確率で起きたのなら果たして二度目なんてあり得るのか?
(前世に触れられたときは焦ったけどさ、自分の事を超能力者とか言うなんて……この人ただの中二病なんじゃ(聞こえてるぞ、中二病なのは海藤だけだ。僕は違う)
「頭の中に声響いた!?こっわ!」
前世持ちなオカルト少女には言われたくないな。
大通りでこんな会話を続けてるわけにはいかないので、とりあえず僕達は閑散とした人っ子一人いない公園に移動した。電波系だと思われるのも御免だしな。
話が長くなってしまうので大まかに僕の事と別世界へ来てしまったことを話し。会話の中でルビーが中学3年生な事を知ったが、特に敬語とかは使わなくていいと伝えた。元よりそういうのにこだわりはなく、それに彼女の前世と今世の年齢を足したのと。年齢+火山噴火で1年を何度か繰り返した僕の合計分を比較した場合、普通に向こうが年上だしな。
「斉木さんは超能力者で別世界の人物、普通なら信じられないけどさ。私やお兄ちゃんも同じカテゴリだから正直否定できないよ、実際テレパシーも受けたし……いやテレパシー?ちょっと待って、じゃあ私の心の声も最初からずっと聞いてたの!?」
……すまない、全部ではないが聞いていた。
「ま、ママへの愛は誰に聞かれてもいいよ!むしろ素晴らしさを全人類聞いてほしいくらいだもん!でもせんせへの思いは……いやこれも案外伝えたいかも、誰にも言えなかったし。斉木さん、今から私が思うせんせの良い所100個話すから聞いてね」(16歳になったら結婚してやるよ、ずっと忘れてないからね。せんせ❤)
感情の変化が忙しすぎるぞ?後恋心とかそういう系を話すのはやめてくれないか、わからないから相手になれないんだ……それにさっき知った事だが、ルビーの前世の人生というのは。いや、これは触れないでおこう。
僕が話を聞くのを断ると喋る気満々だったのか、ルビーは完全にテンション爆下げといった感じでガッカリ顔を浮かべていた。
「せんせはママに匹敵するほど最高の存在なんだよ?」
まぁ普通に聞く気はないが、それ以上にさっきテレパシーで知った事が大きいんだ。それは……前世の病院での話だろ?関係ない僕が聞くのは悪いと思ったのもあるぞ。
「……そっか、気を使ってくれたんだね。ありがとう、でも私は構わないよ」
そう言って彼女は笑っていた、何故だ?前世であるさりなは最終的に……
「確かに私の前世は、病気に苦しみられ続けた短いものだった。でもね?せんせとの大切な思い出は確かにあって。今でもずっと輝かしいものだよ、それに今は大好きなアイの娘で毎日が凄く楽しい。だから……あんな過去なんて吹き飛ばして生きたいじゃん!」(私は絶対ママのようなアイドルになる!今度こそ夢を叶えたいよ!)
人間というのは大体表と裏があって、褒めていても内心では酷く馬鹿する事なんてのも当たり前だ。僕は誰よりもそれを知っている、だがルビーの心は。
……やれやれ、仕方ないな。
「えっ!?私のせんせ語り聞いてくれるの!?」
普段なら絶対お断りだが、特別だ。まぁあんまり長くするなよ。
「いや普通に3時間コース確定だよ?私アイドルになったら、せんせをファン化させて結婚まで計画してるの。そこまでの話含めての3時間ね!」
どうやら元の世界へ帰る方法探し、それは話を聞き終えてからになりそうだな。