超能力の子   作:ガテル

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第7話

 

そろそろ1年の入学式が始まる時間で話す余裕はあまりなくルビーは直ぐに行ってしまったが、変わりに昼休みで兄の紹介もかねて中庭で会うことになった。一応2年の転校生という事になっている僕はというと、ホームルーム中担任に呼ばれてクラスに入る流れになっているので今は職員室で待機中だ。まぁそろそろ時間的に行かないといけないのだが(斉木さん、さっき半径200m以内がテレパシーの範囲内って言ってたよね。なら今私の声は届いてるの?)

 

 

……ああ、聞こえてるぞ。僕は今職員室にいる、だが自分の教室からでも範囲内だろうからテレパシーで受信は可能だ。

 

 

学校内で脳内に直接話しかけてきたのは相トぐらいなもんだが、2人目が出てくるとはな。まぁ相トのようにひたすら好き好き連呼されるという面倒な事じゃないなら、僕としては別に構わない。

 

 

(凄いねテレパシー……ってそれより話したいことあるんだった、聞いてよ斉木さん!今自分のクラスにいるんだけどね?私の横の席に凄い子いるんだよ!)

 

心の声からしてルビーは随分と驚いている様子で、声しか聞こえないこちらにとっては困惑しかない。そんなに有名人でもいたのだろうか?でも名前を聞いた所で、この世界についての情報量が少ない僕が知ってるとは思えないが。とりあえず聞くしかないな。

 

ルビー、誰がいるんだ?

 

 

(グラドルやってる寿みなみさんって人なんだけどね、サイズはGだよG!いやデッカすぎでしょ!?)

 

 

……今すぐゲルマニウムリング付けてテレパシー遮断していいか?

 

 

「さ、斉木さん!?(私はね、ただこの衝撃を誰かと共有したかっただけで……あっ、やっば)

 

 

まるで絶対に内緒にしなきゃいけないことを、ついうっかり口に漏らしてしまったときのような絶望感満載の声。何が起きたかわからないが、既に相トのときより頭が痛い。

 

教えてくれルビー、何をやらかしたんだ。

 

 

(……えっと、焦って斉木さんって口に出しちゃったんだ。で、でも大丈夫だよ!?不思議がってるみなみちゃんを納得させるために、斉木さんがファンで前から会いたがってたからつい言っちゃったって理由を今ちゃんと説明しといたからね。い、一応それで納得してくれてた!)

 

 

頼むから僕を鳥束みたいなキャラにするのはやめてくれないか、アレと同じ扱いとか最悪にも程があるぞ。やれやれ、まさかクラスに入る前からもう何か起きるとはな?幸先悪いスタートだ。

 

 

 

転校生に対し期待の溢れた浮足立つ心の声が聞こえるなか、僕はそんな流れに一切答えず目立たないをモットーにした微妙な自己紹介を行った結果。中高一貫なのもあり、まぁ自発的に動かなければ友達を作るのは難しいといった感じになった。そもそもいつまでいるか不明の別世界だ、友達を積極的に作る必要はないだろう。

 

 

 

 

午前も終わり、時刻は昼休み。待ち合わせ場所の中庭へ行くとルビーはいてもアクアの姿は見当たらないが、恐らく彼もそろそろ来るだろうしそこは大丈夫だろう……ただ問題はルビー以外にも女子生徒が一人いて。

 

 

「え、えっとこちら知り合いの2年の斉木楠雄さん。ま、まぁみなみちゃんにはさっき話したけどね。あはは……」(本当にごめんなさい)

 

 

……よろしくな。

 

 

「う、うち寿みなみいいます。よろしゅー」(さっきルビーちゃんが言ってたの本当なら嬉しいわぁ、ファンとしてうちを応援してくれてるって事やしね。サインとか書いてあげへんとな)

 

 

1%の希望を抱いていたが、それも今テレパシーで打ち砕かれてしまった。僕にトンデモない誤解がかかってるとよく理解したぞ……それにしても複雑だ、違うと率直に否定するつもりだったが彼女は僕がファンなことにかなり喜んでいる。当たり前の事かもしれないが芸能人としてファンの存在は嬉しく大切なものなんだろう、元の世界では照橋さんのシスコン変態兄が唯一関わりのある芸能人だったから色々麻痺していたな。

 

 

最初は断るつもりだったが、まぁ僕の中の芸能人イメージを良くしてくれた例だ。

 

 

 

「サイン?もちろんええですよ、あっでも今は文房具とか教室やったな。ちょっと待っててください、取りに行ってきますわ」

 

 

いやその必要はない、サイン色紙とペン両方あるぞ。

 

 

「……ペンはポケットに仕舞えるからまだわかるわ、でもサイン色紙はどこから出したん!?」

 

 

アポート、金銭と同価値のものを瞬時に入れ替える能力。僕の財布に入ってる500円玉を元に、僕の家にあるサイン色紙とペンをこちらに入れ替えた。

 

公園で話したときにルビーから「ドルオタならサイン色紙は必需品、持ってないなら買わなきゃダメだよ」と強く言われたから、別にドルオタでもないのに何となく買ったものがここで役に立つとはな。

 

 

「ま、マジシャンでも目指しとるんですか?」

 

 

困惑一色の寿さんはサインを書きながら、僕の全身を訝しげに見てトリックの仕掛けを知りたがっていた。悪いが種も仕掛けもないぞ。

 

そんな中、何故かルビーまで僕を変な視線で見ていることに気づき。

 

 

どうしたんだ、アポートについて気になるのか?

 

 

(ううん……斉木さんってもしかしてツンデレなのかなって思ってたんだ、いやーお兄ちゃんも割とそうなんだよね?何だかんだ言いながら最終的にはやっちゃう感じが似てるかも)

 

 

僕は決してツンデレじゃないぞ……というか今の話で思い出したが、兄のアクアはどうしたんだ?もう7話なのにまだ出てこないのは流石に困るな。何故なら推しの子はアクアとルビーのW主人公だろう。

 

 

僕が心の中で全開メタツッコミをしていたそのとき。

 

 

「悪い、担任から教材運ぶの頼まれて遅れた……ってその2人はルビーの知り合いか?」

 

 

 

左目に星を宿した少女とは対照的に、右目にその星を宿した少年がようやく現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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