超能力の子   作:ガテル

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第8話

 

星野アクア、星野ルビーの双子の兄でありアイドル星野アイの息子。ツクヨミから聞いた話によれば彼も前世の記憶を持つ人間で、前世では20代後半の男性だったらしい。まぁ何故かあの偉そうな幼女はそれ以外の情報を僕に教えず、ただ一つ「彼のある事実を知ってもルビーには話さないようにね、それは彼女が自分で知るべき事だ」と去り際に告げられた。とりあえず深い事情があるのは理解できたしな、僕としてもそこに踏み込む気はないぞ。

 

 

 

そして時は放課後、僕は現在2人と一緒に下校中だ。やれやれ、アクアが来たあの後も大変だったぞ。まずルビーが僕を知り合いだと説明すると、彼は兄としてルビーの事が心配なのかテレパシーでこちらを軽く警戒してるのが伝わってきた。だが多少会話した今は。

 

 

(クラスメイトは若者特有のフワッフワした会話ばかりで、正直かなりダルかったが……斉木は学生らしくない落ち着いた態度でこちらも接しやすい。俺はもう諦めて精神年齢を下げ、周りに合わせようかと思っていたくらいだしな。だから初日にこういうタイプと出会えたのはラッキーだ、まぁこれなら心配する必要もなかったか)

 

アクアは僕に対し好感を持ち警戒も解いてくれたようだ、それにしても大人が高校生に混じるのはやはり大変なのか?

 

疑問に思った僕は、そのシチュエーションについて軽く想像してみたが5秒も経たないうちに大変な事だと気づいた。思春期の高校生など脳内ピンクが殆ど、あの鳥束のように1日中ひたすらエロについて考えている変態ではないが。それでもテレパシーで僕にはしょっちゅうロクでもない妄想が流れてくる、何だかアクアとは分かり合えそうな気がするぞ。

 

 

それにアクアが僕を警戒した件についても、彼がシスコンってわけじゃなく……いや多少はシスコンな面もあるかもしれないがな?妹を心配するその気持ちはわからなくもない、まだルビーとは数回程度の付き合いだが僕も感じた部分がある。それは前世の反動からか気持ちも行動もアグレッシブな所だ、夢で頭がいっぱいになるあまりそれ関係で騙されそうになった事とかありそうで怖いぞ。

 

 

ルビー、一つ聞きたい事があるんだがいいか。

 

 

(えっ、いいけどどうしたの?)

 

 

アイドル系のスカウト受けた後、スカウト元の事よく調べずに行きそうになった事とかないよな?

 

 

(わわ私は最近ママの所属する苺プロのタレントになったんだよ!た、ただ前にアイドルの研究として他の事務所はどんな感じなのかってつい気になったことがあってさ?名刺貰った地下アイドルの見学に行こうとした事は一度だけあるけどね……そのときお兄ちゃんや壱護さんにめっちゃ怒られた)

 

 

……アクアも苦労してるんだな。

 

 

 

 

アクアの気持ちを理解できる(テレパシー)話が終わった後、ルビーは先ほど校庭で不知火フリルと会った事についての話題を出した。双子両方アイが最推しと言っていたが、一人固定のアクアと違い不知火フリルの事も推してるらしいルビーは興奮した様子で語っていて。

 

 

「あの不知火フリルと同じクラスだなんてホント最高!お兄ちゃんさっき興味ないとか言ってたけど、少しは興味持ちなよー」

 

 

「いや俺の推しはアイ固定だし……ただ、今日あまドラマの感想を言われたのは意外だったけどな」

 

 

不知火フリルは今をときめく超人気女優で、未だこの世界についての情報量が少ない僕でもテレパシーで沢山聞いた名前だった。

 

だが彼女の心の声は抱いていたイメージとはかなり違うもので、おもしれー女とでも言うべきだろうか(やぁ、久しぶり……ってわけではないね全然。急で悪いと思うよ、でもこの前話しておくべきことがまだあったんだ。今君のちょうど目の前に見えるビルがあるだろ、そこの屋上に今すぐ来てくれないかい?)

 

 

ツクヨミ、どうして今なんだ?別に話すのは僕が一人のときでもいいはずだぞ。

 

 

(今アクアから今日あまの話題が出たのを聞いたよね?だからタイミング的にはちょうどいいのさ、長い話じゃないから2人には適当にトイレとか理由つければいい。)

 

 

一応重要な話なのはわかったが、心の声が普通に聞こえるという事は……お前やっぱりあの道具でテレパシー遮断してたんだな。それに僕達の会話を聞いてるなんて暇なのか?

 

 

(ち、違う!今はテレパシーを受け入れられるようにしてるからだからね!?あと普段私は忙しいけれど、今日は入学の日だから祝いの意味で聞いてあげてただけだよ!)

 

 

わざわざ取り合うのも面倒になった僕は、2人にトイレに行ってくると伝えた後人影のない路地で瞬間移動した。

 

 

 

 

「そ、それは瞬間移動かな?便利だね超能力ってのは」

 

 

ビルの屋上にはツクヨミがいて、さっきと違い心の声は聞こえなくなっている。そんな遮断できます幼女は、表情こそ余裕感を醸し出しているものの。その声には焦りが出ているし、普通に僕の透視でツクヨミがまた道具を持ってるのも見えたけどな?もう突っ込まないぞ。

 

 

それで、こんなタイミングで一体何の話だ?

 

 

僕の問いに対しツクヨミは、その顔を先ほどまでとは違う真剣なものに変えて。

 

 

「……改変前の本来の世界では、さっき言っていた今日あまのドラマに彼が出演した理由は復讐のためなんだよ。真犯人に辿り着く、手がかりである人物と接触するためにね?」

 

 

ツクヨミが話した内容に、この世界を変えてしまった原因である僕は何と反応していいかわからず言葉が出なかった。

 

 

そんな僕の姿を見たツクヨミは、純粋な感情で……まるでこちらを安心させるように優しく微笑み。

 

 

「別に君を責めてるわけじゃない、この復讐が消えた改変世界でも彼が今日あまに出た理由は有馬かなが心配だったから……ああそうか。君はまだ知らないんだったね?彼女を」

 

 

一応アクアの心の声で何度か名前には出てたぞ、彼女は重要な人物なのか?

 

 

「絶対に欠かせない人物だよ、まぁしかし世界というものは上手くできてるね?復讐がなくともアクアはドラマに出て有馬かなを救ったのさ。ここら辺はアイが生きている影響かな、彼自身の心も変化してるんだろう。しかも今後恋リアにも出るらしいし、MEMちょとの関わりも出来て黒川あかねも救える。アイが生きた上に、彼女らも救うというわけだ。この結果で君が気負う必要は微塵もない」

 

 

黒川あかねやMEMちょも有馬かなと同じように、アクアとルビーの2人にとって重要人物なのは理解できた。それにしても気負う必要はない、か……そこは良い悪いという理論ではないぞ。理由は過去に戻らない選択肢を選んだ時点で、僕は世界の改変の罪を背負ってしまったからな。だから安心してはいけないとわかっているが、その結果が良かった事に心のどこかで喜びを感じる自分自身を否定できなかった。

 

 

そしてツクヨミの話も終わって、再度瞬間移動で路地に飛び待たせてしまっている2人の元へ戻った。だが一つだけ、僕の中でアクアについて知りたい事ができており。

 

 

 

 

 

……アクア、どうして今日あまドラマ出演を決めたんだ?

 

 

ツクヨミから聞いた話では、改変前の世界でアクアが今日あまドラマに出た理由というのもアイを殺した奴に近づく復讐目的だったらしい。でも今はアイが生きている世界、それなら彼の中に復讐心は存在しないはずだ。

 

 

「……悪い、そこは答えられない」

 

そんな僕の疑問に対しどうやらアクア的に言いずらい事らしく、断られてしまった。だが口で発しなくとも問題はない、まぁテレパシーで聞いてしまう事に申し訳なさを感じるが。

 

 

(俺が幼い頃に一度やった演技は、所詮ギャップが生んだものだ。自分に才能がない事もわかってるし、最初は有馬の誘いを断ろうとしたんだけどな)

 

 

「ふっ……アクアは頭が良いから周りは騙せるかもしれないけど、残念ながらママだけは誤魔化せないよ?本当は演技やりたいって顔に出てる。前から監督の所通ったり、いくつか作品にも出てたもんね。私将来アクアは自分を超える大人気で最高の役者さんになると思ってるから!だからアクアがドラマに出てるとこ見たいなーすっごく見たいな~!」

 

 

(そもそも俺が演技を続けたのは、幼い頃アイからアクアは将来役者さん?と言われたからなんだが……まぁつまり僕は一生どうしようもないほどアイのファンということだ。でも結果として有馬を救えたし、何だかんだドラマに出演してよかったと思える。俺を次の恋リアメンバーに入れやがった鏑木だけは許さねぇけど)

 

 

 

……聞けて良かったと、素直にそう思える答えだったな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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