超能力の子   作:ガテル

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第9話

 

個性溢れる奴らだらけなPK学園での学園生活は、いつも厄介事やΨ難だらけで大変だ。前と違いあの日々を否定はしないが、正直こちらの世界では大人しく静かな学園生活を送れると。入る前は楽観視していたのにな……見事にその予想は外れ、初日からあらぬ誤解をかけられた上に本人から認知されてサインも貰う。鳥束辺りが聞いたら泣いて羨ましがるであろうグラドルファンになってしまった。

 

その後も見た目こそクールだが、内心はおもしれー女な不知火フリル。もうバレバレなのに自力でテレパシー遮断してると言い張る幼女など、まぁ結局こちらの世界でも落ち着いて暮らせる事はないと初日から悟ったぞ。

 

 

 

そんな現実を知った僕はというとアクアの想いを聞いたあの後、一応途中まで帰路は同じなものの。そこから駅に向かい電車に乗らないといけないため、2人とは別れ……たんだがな?15分後に何故か僕を追いかけてきたルビーと再会した。

 

どうやら全力で走ってきたらしく、顔は真っ赤に染まっていて息も切らしており。

 

 

「きっ、昨日行った苺プロに忘れ物してたの別れた後に気づいてね。先にお兄ちゃん帰らせて、私は取りに行く事にしたんだ。事務所の最寄り駅は斉木さんが降りる駅と同じだしさ、どうせなら一緒に行かない?」(いつもならこれぐらい平気なんだけど、流石に思いっきり走りすぎちゃったよ)

 

 

一緒に行くのは別に構わないが……ルビー、随分息が上がってるし少し休んでからでもいいぞ。

 

 

「ううん、大丈夫だよ。それに、これくらいでへばってたらアイドルにはなれないしね!」

 

 

ルビーは真っ赤な顔のまま、心配など必要ないと伝えるように笑顔でピースをしていた。

 

 

……何ていうか、ルビーは本当に僕と真逆なタイプだな。僕なんか100円マンのときでさえ、その活力の5分の1以下だぞ?彼女に匹敵するには100万円マンぐらいになる必要がありそうだ。その場合少年コニャック勤めの父さんでは力不足過ぎるし、80億円金持ってるアイツ(空助)にせびるか。

 

元の世界に戻れたときに即実行に移そうと思っていると、急に周囲の人間から聞こえる心の声に怒りの感情が異常な速度で増え始めてることに気づいた。

 

 

(あんな美少女から笑顔とピースまで受けてやがる、うらやましね!)(メガネうらやましね!)(うらやまちね!)

 

 

 

やれやれ、そういえば照橋さんと一緒にいたときもこんな反応を受けたな。後一人だけちねになってるぞ、まぁ罵倒や暴言には慣れてる。だがそれでも面倒な事には変わりないし早くこの場から移動したい、ルビー自身は大丈夫と言ってるが少し休憩が必要なのは傍から見て一目瞭然だ。

 

ここは仕方ない。

 

 

(ちょっと息整え……あれ?疲れがない?)

 

 

復元能力、対象の時間を1日前に戻す事ができる。何度も戻せるのではなく、一つの対象につき1日1回だがな。

 

ルビーは唖然とした表情を浮かべながら、古い機械のようにギギギとゆっくり僕の方に顔を上げて。

 

 

「えっ、これも超能力なの!?」

 

 

ああ、そうだ。

 

 

(これなら沢山練習して疲れ切ってもさ、状態を戻して更に練習でき……いやこれは色々な意味でダメだよね。うん)

 

 

……本当に色々ダメだな、それにあくまで復元は1日前の状態に戻すだけ。能力を使った瞬間の24時間前が疲れていたら、何の意味もないぞ。

 

とりあえずルビーも回復し、殺意溢れるこの空間から抜け出して駅の方へ向かった。

 

 

 

(苺プロと斉木さんのアパートの最寄り駅が同じで、しかも距離も結構近いって知ったときは普通に驚いたよ。でもね?それ聞いたとき同時に安心もしたんだ、超能力があるとはいえ色々心配だったから)

 

 

それに関しては本当に偶然だぞ、石油王のおかげで金が手に入ってから。アパートをネットで調べ初めて、そこが住みやすそうだったから選んだだけだ。

 

というか電車という人同士の間隔が狭い空間で、超能力とか聞かれたらマズいな。まぁ心の声で会話してる特に問題はないんだが。

 

 

(石油王……今石油王って言ったよね??)

 

 

実話だ、一切脚色してないぞ。

 

 

それを聞いて宇宙猫みたいな顔になっていたルビーだったが、ツクヨミと同じように考えるのは嫌になったらしく深掘りはしなかった。僕もあの出来事について未だによく理解できてないぞ。

 

それにしても、さっきの奴らの件で意識して聞いてみるとルビーの容姿に対しての心の声は本当に多いな。今も沢山入ってくるぞ、照橋さんのときも思ったが全てから注目されるというのはどういう感覚なのだろう?

 

 

(昔は完璧美少女であり、今は究極美人なママの遺伝子だよ!私も注目されるのは当たり前ってやつじゃん?)

 

 

……今のはテレパシーで送ったつもりないんだが、僕とした事が気が緩んでたな。

 

そんな自信満々な台詞に対して、本人の表情は意外と明るいわけでもなく。

 

 

(まぁ私としては完全にそう言い切りたいんだけど、結局前世の事があるから未だに自信持てない所も少しあるんだ。アイドルやるなら、堂々としてなきゃいけないのにね?)

 

 

アイドルか……ん?そういえば何度かその話を聞いたが、ルビーは一体どこのグループに入るつもりなんだ。ツクヨミの話だと本来の世界ではアイが亡くなった事により、B小町は解散したがルビーが新生B小町として再度立ち上げたと言っていた。だがこの世界にB小町はある、つまりそこに入るんだよな。

 

気になってしまった僕は、ルビーに聞いてみると何故か急に彼女は嬉しそうにドヤ顔をし始め。

 

 

(あっ、そこ聞いちゃう?そこにはね。ママとの凄い壮大な物語があるんだよ)

 

……いや、やっぱりいいと断ろうとしたがもう拒否権はなかった。

 

 

 

「ママ!!私はB小町に入らなくていいってどういう事なの!?」

 

「今からその理由について、ちゃんと話すから大丈夫だよ。よしよし、ルビーはいつでも可愛いね~!」

 

「あっ、それやば……ママしゅき~!」

 

 

 

おい、ずっとこんな感じのをやるのか?

 

 

(こ、ここから真面目になるから!)

 

 

 

「ルビーは前からずっと言ってくれてるよね、B小町に入って私のようなアイドルになりたい。それが夢だって」

 

 

「あ、当たり前だよ!私にとってママは……アイは人生の希望であり救いであり目標。ううん、もはや言葉じゃ表せないものだもん」

 

 

「うちの子達はホントにきゃわいいなー?本当に幸せだよ、ルビーとアクアに出会えて。今のは嘘なんかじゃなく、正直な言葉だからこそ思ってる事があって……ここはアクアにも同じような考えなんだけどね。2人には私と同じじゃなく、むしろ私を超えてほしんだ」

 

 

「マ、ママを超える?」

 

 

「どうしようもない人間な私は私なりに、沢山努力して頑張って全力で嘘を吐いてきた。色んな幸運が重なって今はこんなに幸せになれたけど、そんな今でも全然完璧なんかじゃないよ」

 

 

「そんな事ない!ママが完璧じゃなかったらこの世の誰も完璧じゃないよ!」

 

 

「こんな私でも世間は完璧って思ってくれてる、じゃあルビーとアクアならどうだろ?」

 

 

「えっ?」

 

 

「私は生まれたときからずっと見てきたんだよ、だから確信があるんだ。2人には私なんかを遥かに超える輝きがあるってね、後を追わせるだけで終わらせられない。もっと上に行ってほしい、勿体ないよ」

 

 

「そ、そんなの私には」

 

 

「あるよ、2人には絶対。ルビーがアイドルをするのは全力で応援する、これだけ話しておいてなんだけどさ。B小町に入りたいなら止めないよ、入らなくていいって言ったけど。入るなとは言ってないからね?だからこれはママの自分勝手な意見、本当にごめんね。ルビー」

 

 

「……ママ、B小町に入りたい理由はね?本当は他にもあるんだ。私はある人を見つけたいの」

 

 

「……」

 

 

「B小町に入ることで、私はその人を。もしくは、その人が私を見つけてくれるかもしれない。だから……私はママが嫌と言っても、その」

 

 

「……じゃあどっちも取っちゃえばいいんだよ」

 

 

「どっちも?」

 

 

「ルビーにとっての幸せが、私とその人ならどっちも欲張ればいい。方法はあるね、何だと思う?」

 

 

「B小町に入らずにせん、あの人に見つけてもらう方法……」

 

 

「きっとルビーなら分かると思うよー!」

 

 

 

 

(私は沢山、沢山考えたんだ。その結果分かったんだよ!)

 

 

……今まで話を聞いた感想として、一つ言うなら母は強し。そうとしか言えないな、初めからルビーの気持ちを理解してる上であえて言葉を選んでる。まぁ答えが気にならなくもない、僕は決してソワソワなんてしてないぞ?

 

 

 

 

「……私は、私は決めたよママ!」

 

 

「教えてルビー!」

 

 

 

 

 

「新しいグループを作るよ!グループ名はB小町SECOND!!」

 

 

「……やっぱりうちの子天才すぎだね~!」

 

 

「えへへっ!!」

 

 

 

 

(……と、そんな事があったんだ!)

 

 

 

……何というか、まぁあれだな。いいと思う、ぞ?

 

 

 

 

 

 

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