藤田ことね「高度育成高校?」   作:桜霧島

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入学にむけて

 

 

 生徒会長である星南先輩に呼び出された翌日、あたしはプロデューサーさん(彼からそう呼ぶように言われた)を連れて実家に戻ることになった。

 

 最初は戸惑っていた家族だったけど、プロデューサーさんの説得によって最終的には高度育成高校への入学を了承した。特に資金面での支援などを約束されたことが大きかったのだろう。あたしとしてもお母さんの負担を考えれば願ったりかなったりだ。でも……

 

「プロデューサーさん……絶対うちのお母さんプロデューサーさんのこと、銀行の人か何かだと思ってますよ……」

 

「……ええ、私もそう思います。それより藤田さん、しばらく会えなくなりますが、もうお別れは宜しいのですか?」

 

「あんまり居るとちびどもと離れづらくなりますからね〜。それに3年なんてあっという間ですよ」

 

 家族も了承したことで、あたしとしても踏ん切りがついた。どうせ今のままでは高等部でも鳴かず飛ばずだっただろう。デビューさえ出来たかどうか。それなら流れに身を任せてみるのも一つの選択肢だ。

幸いなことに一人で行くわけじゃない。プロデューサーさんも一緒だ。不安なのは確かだけど、確実にサポートをもらえる人がいるというのは心強い。

 

「そう……ですね。私も可能な限り支援させていただきます」

 

「よろしくお願いしますねっ! プロデューサーさん♪」

 

「はい。それでは一度、今後の打ち合わせをしたいのですが、この後のご予定は?」

 

「特にありませぇん!」

 

「では、昼食がてら打合せといきましょう」

 

「はいっ♪」

 

 ということであたしたちは初星学園へ戻りつつ、プロデューサーさんの案内する個室レストランで打ち合わせをすることになった。

 プロデューサーさんの奢りということで、遠慮なくあたしはランチパスタセット、彼は少し悩んであたしと同じものを注文した。

 食べながら他愛のない話をしつつ、セットのデザートに手が伸びるあたりで本題に入った。

 

「では藤田さん……」

 

「ちょぉ~っと待ってください! 打合せの前に言いたいことがあります!」

 

「何でしょう?」

 

「あたしの呼び方、固すぎません? 『ことね』って呼んでください♪」

 

「わかりました、()()()()()

 

「……あらためて呼ばれると恥ずかしいですね」

 

「そちらがそう呼べとおっしゃったんでしょうに……」

 

「そ・れ・と! 出会い方が想像の1マイルくらい斜め上だったから仕方ないんですけど、本当の藤田ことねはもっとも~~~~っと、可愛いんですから!!」

 

「はぁ」

 

「何それ、反応薄くないですか」

 

「いえ、猫被ってる方のことねさんも知っていましたので」

 

「猫被ってるんじゃねーし!!」

 

「しかしそれを踏まえても、私たちはあなたに才能があると言っているのですよ。それに、本当の藤田ことねはこんなものじゃないってことも」

 

(ちょっ……! はわぁぁぁぁぁ……! ひっさしぶりに褒められけど、やっぱ褒められるのって良い……!!)

 

 

 褒められたことに気を取られていると、ティラミスの盛り付けられた皿を突っつきながらプロデューサーさんは話を進めた。

 基本無表情でツンツンしてそうな年上イケメンPが手放しで褒めるんだよ? やばくない? あたしはちょっとやばいと思う。色んな意味で。

 

「そろそろ本題に入りましょう。まず高度育成高校の入学にあたっては筆記試験と簡単な面接を受けてもらう必要があります」

 

「えぇ!? 試験ですか!?」

 

「安心してください、それで落とされるということは無いと伺っています。あくまでことねさんの学力と人となりを確認するだけのものかと」

 

「よかった~……」

 

「ですが、あまり時間はありません。今日からでも向こうに送る荷造りを始めてください。こちらは学校からの案内です」

 

 そう言うとプロデューサーさんは封筒をカバンから取り出した。どうやら入学案内のようで、やはりあたしの高度育成高校入学は既定路線になったようだ。

 あたしは渡された資料にさっと目を通す。

 

「……生活必需品を除いて、あまり持ち込める感じでは無さそうですねぇ。あたしのスマホも……解約しますかぁ」

 

「そうですね。一応、持ち込めない荷物については今の寮に置きっぱなしでいいそうですよ」

 

「良かった〜……てっきり寮も追い出されると思ってました」

 

「初星学園側からお願いして行っていただくわけですからね。最大限の配慮は出来るようになってますよ。それに万が一退()()()()()()()()()()()()()()、初星学園へ復学していただくだけだと理事長から聞いています」

 

「あたしをどんな問題児だと思ってるんですかー!!」

 

「いえ、最悪のケースはということですよ」

 

「それにしても不吉なこと言わないでくださいよぅ!!」

 

「失礼しました。それで、試験会場ですが―――」

 

 

 

 プロデューサーさんとの打ち合わせを1時間程度で終え、その日はそのまま寮に帰って休んだものの、その後はもう怒涛の勢いだった。入学試験を受けたり、荷造りしたり、中等コースで仲の良かった子に挨拶したり。

 向こうへ行っている間は連絡が取れないし、下手をすればこのまま会えなくなる。それはさみしいからね。

 

 プロデューサーさんや星南先輩はあたしのことを「才能ある」っていってくれてるけど、今のあたしにそんな実力なんて無いことはみんなわかってる。わかったうえで、あの2人はあたしに期待してくれているんだ。

 

 『一番星(プリマステラ)』を目指す星屑。それが今のあたし。

 

 

 不安なことは多々あるけど、何とかしてみせますよ!! 見ていてください、星南先輩!!

 




●Over All Ability●

氏名:藤田ことね
クラス:???
学力:D
知性:C
判断力:C
身体能力:C
協調性:B

金髪ツインおさげの小悪魔系アイドル。八重歯と猫口が特徴。
褒められるの大好き。

<Profile>
年齢 15歳
血液型 O型
誕生日 4月29日
星座 おうし座
身長 156cm
体重 40kg
スリーサイズ 75/55/75
利き手 右
出身地 埼玉県
趣味 お金を稼ぐこと
特技 ダンス、人の顔と名前を覚えること
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